グラデンスの依頼
四堕神及びルシアス討伐から半年後。
―帝都ランドールにて
「新しいゲートが見つかった?」
そう気だるげに言うのはまだ16歳程の見た目をした金髪碧眼の少年だった。
「はい!ですから、先輩に調査していただくよう指示があったので連絡したんですよ!」
少年とは対照的に元気よく連絡しているのは明るい緑の髪を短く整えた少女だ。
「・・・リム。そういうのはルジーナとかの仕事じゃないのか?」
少年がそう尋ねると、少女―リムはこう告げた。
「イェーガー先輩、ルジーナさんは今、魔神の討伐で居ないんですよ。カルさんやセリアさんもそれぞれの任務でいませんし未開の地へと送れるのは先輩だけなんです。」
少年―イェーガーはため息をついた。
そうか、あのクソまりも頭野郎め。勝てもしない仕事に行ったか。
と、思った時頭の中のルジーナが文句を言い始めた。
想像の中でもうるさい奴だな。だから、セリアとも喧嘩ばかりするんだろ。
すると今度はセリアまでもがルジーナと共に騒ぎ出した。
「・・・先輩?聞いてますか?」
リムが綺麗な緑色の瞳でイェーガーを見つめながら声をかけるとイェーガーははじかれたようにリムを見た。
「なに?」
聞いてなかったんですね、とリムが嘆くように呟くとリムはこういった。
「ですから、グラデンス様も是非行ってこいとおっしゃってましたよ?」
「お師匠様が?」
イェーガーの師匠であるグラデンスはイェーガー達、召喚師が所属するアクラス召喚院でかなり地位の高い『召喚老』と言う地位にいた。今はグランガイアと呼ばれる地域に頻繁に魔神が出るようになった為に地位を顧みて自ら最前線に立つようになった。召喚老というだけのことはありその力は他の召喚師とは次元が違っていた。
イェーガーは幼少の頃グラデンスに助けられその強さに憧れ弟子となったのだ。
「はい!」
「・・・お師匠様が絡んでるじゃ断れねぇな。しゃあない、ゲートは?」
グラデンス程の召喚師がたのみこむと言う事はそれほどまでに任務は難しく重大だと言う事だ。
「えーと・・・パルミナ諸島とリゼリアの間のゲートです!」
イェーガーは管理局を出てゲートの狭間へと向かった。するとそこには巨大な扉―ゲートがあった。
ゲートの先は光で包まれ何も見えない。
イェーガーは背中に背負った大剣―覇炎剣ダンデルガと旅の必需品が入ったカバンがあることを確認するとゲートを開けた。
「行ってくる。」
お気をつけて!というリムの声を背後に聞きながらイェーガーはゲートを抜けた。