「う、うわあ……」
後ろからドン引きしたような声がした。まぁそれもわかる気がする。前衛に俺、キリト、材木座、クラインの男四人グループ。分かりやすく言うと、ヒースクリフを倒した二人とALO最強プレイヤーがいるのだ。途中で出てくる雑魚は俺達四人で片付け、後ろの五人は暇そうにしている。
「ふはははっ!幻紅刃閃ァァァッッ‼︎‼︎」
多少うるせぇけど、豪快にかつ広範囲に攻撃する材木座。
剣を二本持って、素早く敵を仕留めるキリト。
一人一人を一撃で確実に素早く仕留める俺。
材木座に謎の対抗意識を持って暴れるクライン。
後ろの女性陣はずっと世間話をしている。
「おい待てお前らコラ。働け」
俺が言うも、シノンがジト目で返して来る。
「そんなこと言われたって、あんたらが全部倒しちゃうんじゃない」
「や、魔法とかで後ろから援護とかあるだろ。つーかその弓はなんのための弓だっつーの」
「あんたらのこと撃っちゃうのかもしれないわよ?」
「へぇ…GGOの三代目チャンピオンの腕ってその程度ですか」
俺が挑発的なことを言うと、プチんッと音がした気がした。そして、シノンが弓を取り出す。
「上等じゃない…やってやるわ!」
シノンがブチギレたお陰で俺は元から高い隠蔽を使って後衛へ回り、「団体の三歩後ろを歩く作戦」に出た。これなら誰にも気付かれないと思ったらアスナがいつの間にか隣にいた。
「…なんだよ」
「うぅん。エイトくんと一緒に歩きたいなぁって思って」
「おい、お前冗談でもそういうこと言うのやめろ。思わず俺こと好きなのかと思っちゃうだろうが」
「好きだよ?」
「は………?」
今なんつったこの子。
「……なんてね」
「年上をからかうんじゃねぇよ……」
なんて話してると、いつの間にか全員がこっちを見ていた。
「………なに」
「エイトマン、お前殺す」
「エイトくんのバカァーッ!」
「火矢ぶっ込んでやるんだから!」
なぜか攻撃してくるキリト、リーファ、シノン。俺達がバトルロワってる時、後ろからこんな声がした。
「ママ、浮気はダメですよ」
「分かってるよ。ごめんねユイちゃん」
「パパ二号だったからまだいいものの…」
「ユイちゃん!?」
_______________________________
なんやかんやでボス部屋。敵はバカみたいに物理耐性の高い敵。
「キリトくん!今のペースだと、あと百五十秒でMPが切れる!」
後ろからアスナの声が聞こえ、歯噛みするキリト。はっ、情けねぇな。俺は常に一人プレイだから隠蔽と防御以外のステを全部均等に上げてるからこういう時に困ることはない。
一人、前に出て言った。
「全員回復してろ。俺が殺しといてやるよ」
返事を待たずに突っ込んだ。今の俺、超かっこいい。とりあえず攻撃を全部かわして殴る。殴ったらバカ高い隠蔽を利用して、相手のロックオンから外れ、後ろからタコ殴りにする。
「あ、相変わらずだなエイトマンは…」
「ひ、一人でやってる…化け物」
キリトやシリカがボソッと呟きを漏らす。ちなみに俺の種族はウンディーネだから回復に困ることもない。
「でもなんか、隠蔽が関係なくても早くない?」
「おっ確かに」
リズの言葉にクラインが反応する。当然だ。音速のソニックを参考にしてるからな。風刃脚!とも言わんばかりに相手の顎を蹴り上げる。でもね、これ弱点があるのよ。いくら回復があっても防御がないからね。つまり、一発でももらうとHPが八割減る。回復がギリギリ間に合わない。
一発もらって遠くへ吹き飛ばされた。
「うおっ」
そこから追い討ちを掛けてくる変なの。が、その前にキリトと材木座が立ち塞がり、助けてもらった。で、全員で距離を取り、キリトが声を上げた。
「みんな!一か八かソードスキルで集中攻撃するぞ!」
「うっしゃあっ!その一言を待ってたぜキリの字!」
「シリカ!泡頼む!」
「ピナ!バブルブレス!」
そのまま袋叩きにした。キリトが二刀を使ってたりとまぁ倒したよね。で、残りの魔法耐性の強い方。
え………とでも言いそうな顔をする奴にクラインが刀を向ける。
「おーし、牛野郎。そこで正座」
まぁ、材木座含めてもそれなりに仲良くやれてるようでなにより、かな?