まぁ飽きてなかったら読んでください。
俺、比企谷八幡がまだSAOに囚われてた時の話。
56層。
ボス攻略会議に参加していた俺は、一番後ろで話も聞かずにぽけーっとしていた。すると、なんか聞いたことある声の二つが言い合いを始めた。へいへい、精々身内で潰し合えよ。
俺はといえばせっかく料理スキルが身についたため(MAXコーヒーのためとは言えない)、今日の晩飯をなににしようか考えていた。肉…魚……いや、炭水化物系がいいな…よし、炒飯にしよう。さっそく帰って仕込みをしないと…、
「待ちなさい!そこの黒髪!」
血盟騎士団副団長様に呼ばれて振り返る。おい、黒髪なんてたくさんいんだろうが。そんなに俺の特徴ないですかねぇ…。
「どこに行くのよ!まだ会議は終わってないのよ!?」
あーそうだった…会議の途中だった。ついうっかりフェードアウトするところだったぜ…それにしてもあいつ、よく俺に気が付いたな。
そのまま会議は進み、全員解散となった。
「よう。エイト」
声を掛けられて振り返るとキリトとエギル。
「あぁ…てかなんであいつあんな機嫌悪いの?」
「お前が帰ろうとしたからだろ」
エギルに冷静に言われる。
「か、帰ろうとしてねぇよ!晩飯の御菜買いに行こうと思っただけだよ!」
「いやダメだろ…」
なんて話してるとキリトがつぶやいた。
「まさか、攻略の鬼になってるとはなぁ…」
「バッカお前、あの程度全然鬼じゃねぇよ。本当の鬼って言うのはな、職場見学希望調査書出して痛々しく『衝撃のファーストブリットォッ!』とか叫びながらボディブローしてくる人のこと言うんだよ」
「な、中々濃い人だなエイトマンの知り合いは…」
「だろ?それに比べたらあんなん攻略の鬼(笑)だろ…」
「聞こえてるんですけど?」
聞き覚えのある声がして振り返ると、攻略の鬼(怒)が立っていた。
「や、今のはお前のことじゃなくてだな…そう、あれあのゴッドフリードとかいう…」
「ゴドフリーよ」
「その人のことだよ!見てみろあの顔!鬼だろ!」
が、俺の言い訳などまるで聞いておらず、アスナはため息をついてボソッと言った。
「結局、本気で帰ろうとしてる人なんて数人よね……」
キリトにもエギルにも届かなかったような小さな声だったが、俺にはハッキリ聞こえた。いや別に中学の頃から悪口に敏感で地獄耳になったとかそういうことじゃないからね?
しかし、今のアスナの状態はあんまり良くないな。余り気を入れすぎると空回りする。あまりメールし過ぎると「ごめん寝てたーまた学校でね」って朝にメール帰ってくるのと同じだ。ま、そんなん俺には関係ないし、早く家帰って炒飯作ろう。