放送から数週間経ったけどクオリティ高すぎていまだに覚えてる。
インパクト強すぎだよ…本家が霞む。
「くぅ〜ぜん絶後のぉ、ちょぉ〜ぜつ怒涛の最強戦士ぃ!!」
「武道、喧嘩、格闘、その全ての戦闘を制する究極の男!」
「そう、我こそは!サンシャイ〜〜ン、せの「とっとと入れ」おぶっ!?」
上体を後ろにそらした姿勢のまま、上から体重をかけるように押しつぶされた。
そこまでいったら最後まで言わせろよ。
☆ ★ ☆
〜直江Side〜
2-F が使用する教室に来ると、ナツルが突然奇行に走った。
「おっふ…おまっ、車のトランク閉めるみたいに…
「いきなりアホなことするからだろ」
さっきまで疲れた様子でとても静かだったのに、急に元気になったな。
「髪型と一緒に調子まで元に戻ったか?」
先ほどまでいた九鬼家のメイドの二人(李さんとステイシーさん)から貰った薬品で、ナツルの頭はいつものヘアースタイルに戻っている。服装は燕尾服のままだけど。
あの二人、元々今日は学園に来てなかったらしい。ただワックス落としを渡すために急遽来校したんだとか。
でも来たら来たで目当ての人物は見つからず、仕方なく探し回っていたそうだ。
……とても、真剣に探しているとは思えない第一声を発していたように思えるが、助けてもらったから気にしないようにしておこう。
「なんか歩いてるうちに良くなった」
「どういう理屈だよ…ホントお前変な身体の作りしてるな」
「いやあ」
「褒めてないから」
メイドの二人と別れる時に手錠を外して返却したけど、もう少し借りとけばよかった。
よく分からないことで照れている悪友を適当に流して、室内の様子を伺う。
来て早々に奇行に走ったからな。お客さんたちがさぞ不審に思って――
「催しか?いきなりで驚いたが、悪くはなかったぞ」
「はい!掛け合いも良くて、面白かったです!」
意外と好評!?コントだと思われてるし!
「掴みはオッケーだな。んで、暴走してるっていう困ったさんはどこだ?」
何事もなかったかのように教室に入っていくナツル。
…オッケーか?オッケーなのか?本当にOKなのか?
いや、お客さんも悪感情を持ってないみたいだし、良しとしておこう。
キョロキョロと辺りを見回すナツル。――その視線が一点で止まった。
その先には…
「…!……!!」
栗色の髪をした、騎士風の女性が目隠し・猿ぐつわをされた上で縄でぐるぐる巻きにされていた。
「なにあれ」
横たわる女騎士を指差し、ナツルが俺に尋ねてくる。
訊かれても困るんだが…教室出るときはなかった光景だぞ。
「カタリナは溢れるビィさん愛が抑えきれなくなったので、みんなで拘束したんです」
水色の髪の少女が説明に来てくれた。
「…むーむー言いながらも正確に人形の方ににじり寄ってるけど」
「ビィさん愛です」
「なんか光ってるんだけど」
「ビィさん愛です」
ビィさん愛怖っ。
「それで…その、あのビィさん人形を譲って欲しいんですけど…もちろんお金は払いますっ」
「いや、欲しいって言うんならいくらでもあげるけどさ。あっても場所取るだけだし」
室内の3分の1をナツル作の人形が占めてるからな。
それでも愛着あるのかと思ってたんだが…さらっと譲る約束するところを見ると、そうでもないのか?
まあ元手は貰いものの木屑でタダ。作製時間も数秒だから無くても不思議じゃないけど。
「ありがとうございます!それで、値段はおいくらほど…」
「タダでいいよ。金も時間もかかってないし」
「いえそういう訳には!」
「(ブチブチッ)ビィーーくーーーん!!!」
ガバッ!
「うわっびっくりした!」
「かっ、カタリナ!?」
縛られていた女性がいきなり、縄を引きちぎって近くの人形に飛びついた!
そして勢いよく撫で回し――強く抱きしめて頬ずりを始める。
彼女の知り合いと思われる人たちが止めに入るが、全く止まる気配がない。ビィさん愛怖っ!
「止めなくていいのか?」
その様子を眺めていたナツルに尋ねる。
「あ?なんで」
「なんでって…」
4回戦前にした会話を覚えてないのか?
「あのままだと破壊されるぞ」
「ああ…言ってたなそういや。でもいくらなんでも同じ轍を踏みはしないだろ。それにそう簡単に壊せるとはとても思えな――」
「
「メタルカぁビィーーーーーーーー!!!」
唯一、鉄塊で作られた人形がいとも容易く抱き潰された!?
昔姉さんが拳で加工した鋼鉄。川神院の倉庫の肥やしになってたものが原材料だったはず。
相当な硬度でナツルでも削るのにかなり苦戦したのに、なんで数秒で粉々にできるんだ!?愛のなせる技か!?
ビィさん愛ホントに怖い!!
登場人物:ナツル、大和、ルリア、カタリナ、パーシヴァル
パーさんの出番は一言だけ。
・光の小路…一歩進む度に、HPが小回復する。
デバイスの隠し機能の一つ。