2016年正真正銘最後の投稿。
駆け足で書いたからいつも以上に拙いかも。
「はぁっ!」
「うおっ!?」
視覚の外からいきなり殺気を感じた。
慌てて俯くように頭を下げると、髪を掠めてロングフック気味の拳が通過する。
「話は終わったか?なら続きをヤルぞ」
「げぇぇっ!!モモさん!」
荒ぶる(自称)美少女。溢れ出る闘気で若干髪が浮いてる。
怒らせたままなの忘れてたわ。
「ふん!」返事を待たずしてローキック飛んできた。
鋭く、勢いもある蹴り。直撃したら大木もへし折りそうな威力だ。
しかし俺は大木ではなーい!頭痛に気を取られてなかったら対処はできるわ!!
「念心流・
ビキ、メチっ、
「っ、っ"あ"あ"あ"ああっ!!」
咄嗟の反撃を食らい、モモさんが脚を抱えて床を転げ回る。
その顔には無数の油汗が滲んでいて、苦痛に歪んでいる。
即座に骨と筋肉を捌く(剥ぐ)技だからなぁ。さぞ痛いだろう。
皮とかあるから完全に分離することはないので、すぐに治療すれば元に戻る。まあモモさんの場合、すぐにでも修復しちゃうだろうけど。
…分かっちゃいるけど、あんまり気分いいもんじゃねえな。知り合いがのたうち回ってる光景みるの。
「ぐっ…川神波!」
横たわった状態で気弾を放ってきた。
「エア・ハンマー!」
"気"を掌に集中させ、丸めてゴムボールのような形を作る。
それを向かってくる川神波にぶつけると――
ぷにゃんっ。
気弾の起動が変わり、上空へと飛んでいく。
返却してもよかったんだが、激痛で苦しんでるところにそれは流石に咎められた。
かといって客席に逸らす訳にはいかない。ということで必然的に上にやるしかない。後はどうなろうと俺は知らん。
弾けることに関しては、あえて触れない。
「はぁっ!!」
その隙に瞬間回復で傷を修復される。
「…やってくれたなナッチ……すっごい痛かったぞ」
ゆっくりと足の調子を確かめるように立ち上がるなり、めっちゃ恨みがましい目で見られた。
「そりゃどうも」
「いやそれよりも、なんだ今の!新技か!?」
そっちかよ。
自分でやっといてなんだけど、筋骨剥離されて『それよりも』で流すのはどうかとおもうよ?
「最近開発した…技ではあるけど、初披露じゃないっす」
「ナッチのバカッ!!」
拳が飛んできた。
「なんで!?」
「新技ができたなら真っ先に私に見せるべきだろ!このいけず!」
ぷりぷりと怒りながら拳を連続で振るってくる。
可愛く言ってるつもりだろうけどあんた、クッソ可愛くないっすから!知ってんだぞ。その拳で打岩(岩を道具を使わずに素手のみで丸く加工する行為)したの!
しかも素材は合金でグーパンだけでやったそうじゃねえか!現物見たけど砲丸サイズだったし!圧縮でもしたの?
ゾクゾクとした恐怖を背中に感じながら攻撃を避け、一瞬の隙をついて両手を捕獲。手四つの体勢になる。
「ぬぐぐ…!知るかそんな自分ルール!俺の技をどこで使おうと俺の勝手だろ!」
「どうせ他にもまだ未発表のがあるんだろう、この場で全部出せ!」
「聞けよ人の話!そうぽんぽん新作ができる訳ねーだろ!!」
ウソだけど。
後三つほど使い所が難しくて死蔵してるのがあるけど。
「ならその三つを出せぇぇぇぇっ!!」
「うぉっ!?」
先ほどのロックアップの時と同じく、両手を掴まれたままで上下逆さまに持ち上げられる。
違う点はそのまま肩に担ぐように――キン●バスター!?
「変形川神バスターーーー!!」
「ごはーーー!!?」
飛び上がることなく即座に尻餅をついて、衝撃を俺に伝える。
本来の形とだいぶ違うために威力は半減されたようだが、速攻でやられたから返す暇がなかった。
肩超痛え。
「変形川神バスターーーーー!!」
「ごはーーーー!!?」二回目!?
立ち上がる振りしてもう一度尻餅つきやがったこの女!鬼か!!
今度は肩から背中まで痛え!
「変形川神――」「ヤラセねえヨォォ!」
立ち上がりに合わせてクラッチを切り、両腕をモモさんの首に絡める。
そのまま後ろに倒れて――
「変形・断ち落とし!!」
自分の肩に相手の頭を乗せるようにして、
ぶっちゃけただのショルダーバックブリーカーだ!
気にしたら負けだ!!
そして今ので肩と背中と腰を痛めた。
考えたら負けだ!!!
「…はっ、せっ、瀬能君、川神さん!何してるんですか!?もう四回戦は終わりましたよ!」
ようやく事態の理解に追いついたのか、高橋先生が今更なことを言い出す。
「今すぐ戦闘をやめなさい!」
「俺よりもあっちに言ってくんないすか」
「はっはっはっ、だが断る!!」
だよね、知ってた。
仕切り直しと言わんばかりに距離取って構えてるし。
「食らえ、川神正拳!!」
「甘い、シールドガード!」
風を巻いた正拳突きを腕に付けられたデバイスで受ければ、ドガンッ!!と大きな音がする。
" バッテリー充電:+97% "
「ふっ、あの時の俺と――って充電率高ァッ!?」鉄バットの五倍じゃねーか!
半端ねえとは思ってたけど、この人の破壊力マジパネェな!
「隙あり!」
「はっ!?」
しまった!
デバイスに気を取られた一瞬の不意を突かれて、腕を掴まれる。
そのまま流れるように立ち関節。アームロックを決められる。
技としては単純なものだ。が、それだけにやる奴によって難易度が上がる。
「ぐぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ふんっ!」
ただでさえキツイのに、先ほどの川神バスターのダメージの影響でうまく身体が動かん。
現在進行形で腕に痺れるような激痛走るし…散々だよ!
「どうしたナッチ?逃げないのか?」
そう言いながらモモさんは掴んでいる腕を捻る。
「ムリムリムリムリムリムリムリムリ!千切れるっ、右腕が捥ーげーるーーー!!」
ブロッケンJr.になっちゃう!隻腕を利用した必殺技編み出しちゃうかも!?
「折れるー!ねじ飛ぶーー!最悪の未来しか見えないぃーーー!!」
「大げさだなぁナッチは」
大げさジャネーヨ!あんたこないだ俺に何した忘れたのか!
「タワーブリッジだー」とか無邪気に笑いながら担ぎ上げて締め上げやがっただろうが!
やめろって散々言ってもやめねえし、背骨が折れそうになったから声帯模写で骨折音出せば「あ、ヤバっ」て投げ捨てて逃げやがって!本当に折れてたらどうするつもりだったんだ!!
てか誰かいい加減とめてくれよこのくされバーサーカー!!
「まっ…マジ勘弁してください…!俺にできる事ならなんでもするからっ!」
「んー?じゃあ…私と付き合ってくれるか?」
「それは俺にできる事の限界を遥かに超えて――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!折れる折れる折れる折れる!!」
より強く腕が捻じ上げられた。
これヤバイ、ヤバイよマジで!今解放されても後遺症残る!
左右で関節の曲がり具合変わっちゃう!
こんな状況で告白してOK貰える訳ねーだろ!発想が島田と同じなんだよ!
「しょうがないな…じゃあ…あ、そうだ。代わりに呂布ちゃんをくれ。あの娘なら可愛いし強いからナッチの代わりに十分――」
「――テメーの敗因はただ一つ」
楽しそうな笑顔を浮かべている川神の首を、身体を"く"の字に折り曲げた状態で正面からキツく締め上げる。
「かっ…は…?」
「たった一つ、シンプルな答えだ」
テメーは俺を怒らせた。
――ワンフレーム・ギロチンチョーク
ゴ キュッ
びくんっ、と一瞬だけ痙攣して、ぐったりと全身から力が抜ける。
完全に
「せめて苦しまず安らかに死ぬがよい…」
「…死んだのか?」
いえ、ネタです。
ちゃんと呼吸もしてるし、ほっといても勝手に目覚めるだろ。
介抱はしないぞ。
調子に乗りすぎなんだよテメーは。
「…クラスメイトでパートナーとして言わせて貰えば、川神も本気ではなかった筈だぞ」
見かねた京極先輩からフォローが入る。
"筈"なんですね。
「先輩、冗談にも二種類あるんですよ。『笑える冗談』と『笑えない冗談』の二種類が」
「川神先輩が言ったのはどっちなの?」
会長が尋ねてくる。そりゃあもちろん…
「笑える冗談だ」
「お前なぜ気絶させたんだ?」
「笑えるのと許せるのは別だよ。言っていいことと悪いことがある。どんなに親しくてもな」
「……………」
「だーいじょうぶ。大丈夫。あの人のことだから笑って許してくれるさ、ただの冗談なんだから」
「すごい皮肉ね」
高橋先生が手配したのであろう、タンカを持った人間が会場に入ってきて、モモさんをそのタンカに手際よく乗せていく。
そして会場を静かに去っていく様子を、全員で見守る。
まあ多分、次会った時には忘れてるだろう。いつも似たような感じだし。
■打岩
バキ。今は亡き烈は黒曜石でやったそうな。
■テメーの敗因はただ一つ
ジョジョ第3部。そのまんま(のはず)
■せめて苦しまず安らかに死ぬがよい
北斗の拳…だったかな。
又聞きみたいな感じでうろ覚えです。テキトーですいません。
・念心流・腿捌き
相手の蹴り攻撃に対して発動させるカウンター技。一瞬で骨と筋肉を引き剥がす。
皮や脂肪があるため完全に分離する事はないが、かなりの激痛でしばらくは移動はもちろん行動も出来なくなるだろう。
・エア・ハンマー
掌に"気"を集中させ玉を作り(見た目はナルトの螺旋丸)、玉に触れたものを弾き飛ばすナツルオリジナル技。
ぶっちゃけワンピースのくまの能力のパクリ(削除されました)
召喚大会四回戦、終了。
前も言ったけどストック尽きたんで、しばらく投稿休むかもです。
こんな作者ですが、2017年もnickの作品をよろしくお願いします!
それではみなさん、よいお年を!!