戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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今日から年の瀬まで、連続投稿とか無茶な事に挑戦してみる。

ストック尽きて途中で止まるかもしれないけど、出来るだけガンバリマス。


25時間目 目測20cmの誤差

 

『なんだ今の…!』

『落ち着け!とにかく逃さないようにするんだ!』

 

リーダー格の男の言葉を皮切りに、チンピラ達が俺たちを囲い込む。

 

ひい、ふう、みい…全部で八人か。

 

 

『散々探し回らせやがって…ぶっ殺す!』

『だから落ち着け!まずは時間稼ぎに徹するんだ!』

『まさか変装して誤魔化してるとは思わなかったぜ…でも見つけたからにはこっちのもんだ!』

 

 

なに言ってんだコイツら?

 

変装?ごまかす?なんで俺がそんなことしなきゃいけねえんだ?

この格好は不可抗力であって自分の意思じゃねえんだぞ。

 

「おいナツル、考え込んでる場合じゃないぞ。どうするんだ?」

 

思考の海に浸ろうとした瞬間、直江に揺さぶられて現実に戻る。

 

そうだった。囲まれてんだった。ここで別なことに意識を割くのはマズい。

 

 

どうするかな…バットやメリケンサック持ってるとはいえ、たかだか八人程度。殲滅するのは容易い。

 

だが時間がない。次の試合会場はここからちょっと距離がある。今から走ってギリギリだろう

 

ならチンピラどもの間すり抜けて逃げちまえばいいんだが―――直江がいるからな。見捨てるのは流石に…

 

流石に…さすが…に……………

 

 

 

==直江大和==

 

・平気で嘘をついて人を利用する。

例)遊びに誘われて、ついて行ってみれば臨戦状態のモモさんが…

 

・人の情報、秘密をすぐにバラす。

例)20時間目 Justice 参照

 

・なんかムカつく

例)さっき頭叩かれた。

 

 

 

 

うん。

見捨ててもいいかなって、思えてきた。

 

 

「なっ…なんだよナツルいきなり、そんな売られていく子牛を見つめるような目をして…」

「直江…昔の偉人はこう言ったそうだ」

 

 

 

所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬんだー

 

 

 

「志々雄真実か!架空の人物だろそれ!」

残念、宗次郎だよー。

 

「まって、まってまって、ちょっと待って!ナツルお前そんなこと言うキャラじゃないだろ!?もっとこう…『ガキをかばっちまうなんて最低だ、へへっ』みたいな奴だろ!」

「ピッコロか」人生で一度も使ったことないんだけどそんな台詞。

 

これから先も使う予定は無いし…よしんば言ったとしてもお前にじゃない。第一死んでるじゃねーか。

 

「ちょっ、これ見よがしに柔軟とか始めないでくれ!この場面で置いていかれたら俺死んじゃう!」

「みじかいあいだだったがおまえとすごしたひびはたのしかった」

「棒読みやめろ!!」

弱いチームには早く消えてもらわなくてはな。

 

 

焦る直江を余所に軽い体操を終わらせて、いざ走り出そうと前傾姿勢を取る。

 

が、すぐに直江に抱きつかれた。

 

「まって!ほんと待って!なんでもするから見捨てないで!」

「離せ気色悪い、誤解されるだろうが!」

 

必死な形相で人の腰に手を回す奴の顔を、掌で押して引き剥がす…が、全く離れない。

こいつこんな力あったのか?それとも火事場の馬鹿力?

 

困った…本気でどうしよう。

 

直江を引き剥がすのは簡単だ。イベントリに常備しているもんで二、三回シバけば離れるだろう。

でもそれをすると俺のイメージダウンになる。困ったもんだ。

 

時間も刻一刻と流れていくし…こいつも『ここは俺に任せて先に行け!』くらい言えんのか。

 

 

「桐山ァ!」

 

 

またしても思考の海に浸ろうとした瞬間、強制的に引き戻される。

 

「テメーこんなとこで油売ってたのかファック!あちこち探し回っちまったじゃねーかファック!!」

「今まで何をしていたのですか?」

 

人混みから文句を言いながら出てきたのは、金髪ツインテールでナイスバディな美女と、黒髪ショートカットのナイスバディな美女。

二人ともに不機嫌オーラを出している。

 

しかも両方メイド服。

 

ぶっちゃけ見知った顔だった。

 

 

「ちゃんとリクエスト通りのもん買ってきたんだろうなぁ?ここまで待たせておいて違うもんだったらただじゃおかねえぞ」

 

二度目の邂逅だが相変わらず桐山さんの扱いがヒドイ。パシリかよ。

 

 

つーかこの人ら、また俺を同僚と間違えてんのかよ。全然違――そういえば今俺、間違えやすさ二割り増し(執事服+髪型)だった。じゃあしょうがないか…

 

…………いや、しょうがなくねーよ!他の同僚や雇い主も人違いしてたけど、よく考えたらおかしいだろ!?

 

雰囲気で分かれとは言わん、髪の色が微妙に違うのも目を瞑ろう。

 

だがせめて、せめて背丈に違和感を覚えろ!

(※ 桐山:165cm ナツル:187cm)

 

 

「どうかしましたか?黙り込んで…しかもなんですかこの状況」

黒髪の方が話しかけてくる。

 

俺もよく分からん。

 

「腰に男巻きつけてんじゃねえか。マザコンの次はゲイに走ったのか?お前ヤバくねえ?」

 

誤解です。俺もヤバいとは思うけど誤解です。俺の意志じゃないです。

 

 

また面倒なのが来やがって…!今はまだチンピラの輪の外側にいるが、入ってこられたら厄介だな。誤解を解くのにも時間がかかる。

 

もういっそ全部、誰かにまる投げしてえ…まてよ?

 

咄嗟に出た思いつきとも言えないアイデアだが、案外イケるんじゃないか?

ちょうどいいイケニe…もとい代役もいるし、助かるためなら拒否はせんだろう。

 

《と言う訳で直江、後ヨロシク》

《ちょ、え?なにが》

 

目で合図したが困惑した表情しか返ってこなかった。

察しが悪い奴だ。まあいいか。

 

「お姉さん方ーーーー!」

 

腰にしがみついている直江の襟首を片手で掴んで引き上げ、逆の手でベルトを掴み頭上にリフトアップ。

 

「お届けものでーーーーーーす!!」

 

文句が出る前に即座にスロー・イン。

ハロー。そして、グッバイ!

 

「うわあああああぁぁっ!?」

『うおっ!?』

『飛んだ!?』

『え?』

「ああ!?なんだいきなり!?」

 

空を舞う一人の男に、関係者のみでなく様子を見守っていた野次馬の視線が集中する。

 

今だ!

 

「デビルバットゴースト!!」

『なっ!』

『にぃ?』

『ぅおっ!?』

 

一瞬の隙をついて、目くらましの影分身を使いながらチンピラどもの間を走ってすり抜ける。

 

 

走りながら時計を見ると、試合開始の時間が差し迫っていた。

 

間に合うかな……距離を考えると全速力で走っても微妙だぞ。いかに人の渋滞を避けれるか、目的地までのルート選択にかかってくるな。

 

技名叫ぶの結構恥ずかしかったのに、これで間に合わなかったらマヌケすぎる。

 




■志々雄真実・宗次郎
 るろうに剣心。近いうち実写映画版がテレビでやるらしい。興味ないけど。

■ピッコロ
 ドラゴンボール。ちなみに作中のはサイヤ人襲来編(?)で死んだ時の台詞。
 割と有名だから知ってる人は結構いる筈。

■みじかいあいだだったがおまえとすごしたひびはたのしかった・弱いチームには早く消えてもらわなくてはな
 キン肉マン。初期の超人タッグトーナメント編でバッファロー・モンゴルマンペアの台詞。
 あの作品過去の設定ガン無視して話進めるから矛盾が多い。
 作品自体は嫌いじゃないけどね。

■ハロー。そして、グッバイ!
 マザー2。条件を満たすと期間限定で入れる都市で使われる台詞。
 思い出したらやりたくなってきた。

■デビルバットゴースト
 アイシールド21。ナツル君は作品の全ての技を使えます。(ただし体格を利用した技は若干威力下がる。)

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