二回戦進出が問題なく決まり、次の試合まで見回りをして時間を潰して過ごす。
できれば自分のクラスを冷やかし…もとい盛況しているか確認したかったんだがな。残念だがその時間はなさそうだ。
あん?見回り名目で行けばよかったんじゃないかって?いい指摘だ。
実は超会長命令で、時間内に
…ここまでやるかと本気でツッコんだ。
いくら生徒会の役員だからってこれはあんまりだろ…
思わずその場で「俺たちはアンタのロボットじゃねえんだぞ!!」て叫んだら、「これを付けるのは瀬能、お前だけだ」って冷静に返された。
俺ってそんなに信用ない?
…ないんだろうね。こんなの用意するくらいだから。
「しかしこれ妙に高性能だな」
一つのチェックポイントを通過すると、すぐに新しいチェックポイントが数メートルごとに出現する。
地図機能は当然ながら、時計に通信、今現在どこでどんなイベントが開催されているのかがリアルタイムで確認できる。
さらには予測してんじゃないの?ってタイミングで、チェックポイントがトラブルが発生した場所に切り替わる。
さらにさらに録画もできるし、撮った映像をその場で見られる視聴機能付き。
さらにさらにさらに重さが1kgほどで、大きさもスマホ並み!しかも僅かな振動もエネルギーに変えて発電するので、充電器も必要なし!
さらにさらにさらにさらに機能を追求したが故のミリタリーデザインがとても魅力的で、周りの視線を一人占め!
これでお値段なんと、据え置き価格!(※非売品です)
「この学園の技術力半端ねえとは思ってたけど、一学生に持たせていいもんなのかな」
あきらかにオーバースペックでしょコレ。俺の携帯より機能的だよ。
文化祭終わったら貰えないかな。
「っと、そろそろ時間か」
液晶を見るついでに時計を確認すると、もうすぐ二回戦開始時刻だった。
場所は…剣道場か。
チェックポイントもそこを指してるし、急いで行くか。
「そこの君」
足を踏み出そうとした途端に背後から呼び止められる。
振り返るとスーツ姿の初老に入りかけみたいなおっさんが立っていた。誰だこいつ。
「間違ってたらすまないが…君が瀬能ナツルかい?」
「あ?…人に名前を尋ねるならまずは自分の名前を教えるべきじゃないスかね」
「……正論ではあるが…普通は知っているはずなんだが…」
知らんな。俺は普通じゃないし。
「まあいい、私はこの学園の教頭の竹原だ」
「はぁ、そうスか」いたんだな教頭とか。
「…それで、君が瀬能でいいのかね?」
竹原センセの目つきがちょっと鋭くなった気がするが、とりあえず無視する。
「そうですがなにか」
「いや、とくに要件があるわけではないんだ。ただ噂の生徒がどんなものなのか気になってね」
噂ねぇ…どうせろくなもんじゃないでしょ。
「立てば外道歩けば非道。口を開けばガッカリ玉子と言われていたら一度は見てみたくなるだろう」
「教師からどんな扱いされてんすか俺」
なんだぁぃ外道非道のガッカリ玉子ってぇっ!!どんな玉子だよ!せめて点取れやぁ!
「…ちなみに目の前にした感想は?」
「うむ…聞いてた通りだな、と」
エッグチョップかますぞコラ。
もう少し突っ込んだことを問い質したかったが、そろそろ移動しないと二回戦開始に間に合わなくなる。
「すいませんが自分急ぎのようがあるんで、もう行ってもいいですか」
「ああ、結構だ。呼び止めてすまない」
そう言って自称教頭は、俺に背を向けて歩き去っていく。
…なにあれ、カンジわるーい。
ここの学園、いけ好かない
「…まあ関わんなきゃいっか」
懐から携帯を取り出し、操作をしながら離れていくおっさんに背を向けて歩きだす。
次の試合はどんな奴が相手かな。
〜〜おまけ〜〜
「経過はどうだ」
『順調にデータが送られてきています。今のところ問題はありません』
「そうか。では引き続き計測を頼む」
『了解しました。…しかしいいんですかね。勝手にこんな事して』
「うん?試作機のモニタリングについてはお父様…総帥の許可を得ているが?」
『いえ、そうではなくて…テスターはなにも知らされていないのでしょう?』
「ああ…そっちか」
『聞けば美鶴様の後輩とのことじゃないですか。影時間への適性もない一般人との話ですし…情報が外部に漏れていて、どこか別の組織に狙われたらまずいんじゃないですか?』
「そのためにあえて人が多い場所を通らせているんだ。人目がある所で強行に走る者もそう多くはないだろう。また万が一、装着者を害して奪おうとする者がいても、瀬能ならまず大丈夫だ。むしろ襲撃者が心配だな」
『そこまで…分かりました。美鶴様がそうまで信用しているならもうなにも言いません。しかし…』
「まだなにかあるのか?」
『いえ。アレの価値を知ったら…瀬能さんでしたか?きっとビックリするでしょうね』
「ああ…影時間でも円滑に探索ができるように、桐条グループと南条グループの粋を結集させて作られた一品だからな」
『アレ一つだけで対シャドウ制圧用兵器並の開発費が掛かってますからね…黄昏の羽根も使われてますし、私なら壊したらと思うと恐ろしすぎて装着できませんよ』
「ふむ…簡単には破壊されぬようにシャドウから取れた素材を使い、かなりの高強度を誇っていると報告を受けているが…?」
『いえ、そういう理屈的なことではなくて、普通の神経なら持てないと言っているんです』
〜〜〜〜
・その頃のちょっと普通の神経をしていない奴
「幻想的なダークブルー色かっけー…!」←無理やり付けさせられはしたが結構気にいっている。
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アイちゃんって大体どれくらいの開発費用かかってるんだろう。