〜〜ナツルSide〜〜
・第二修練場
普段は道着着た奴らがキャッキャウフフしてる(※違う)場所も、今日は閑散としていて少し物寂しい。
こういう施設って普通、イベントで使うために真っ先に確保されるはずなんだが…ああ、召喚大会のために学園側で確保されてるのか。
こんなでかい会場いくつも押さえてるのに、出し物やるスペースが足りないどころか有り余ってるって話だ。どんだけ広いんだよこの学校。
「相手のチームはまだみたいね」
会長の言う通り、試合場は立会人の教師しかいなかった。
「もぅ!時間にルーズな人ってサイっテーよねっ!」
時間は有限なんだからさっさと始めさせてよ!!
「あなたいつも会議に遅刻してくるじゃない」
聞こえんな。
「開始までもう少しですから、予定時間から五分経っても来なかった場合は生徒会チームの不戦勝となります」
立会いの教師が苦笑しながら進言してくる。
そんなルールあったんだな。
面倒だから不戦勝にならねえかなーとか考えながら待っていたが、あまり時間を置かずに俺たちが来たとこと別の出入り口から、二人の男女がやって来た。
誰かは知らん。初対面の人物だな。
ただ女の方はこっちの姿…正確に言うと会長を見た瞬間、分かりやすく苦々しい表情を見せた。
他は人名をそのままチーム名にしてるけど、うちだけ名前が『生徒会チーム』になってるからな。もう少しやりやすい相手が来ればとか思ってたのか?
「せっ、瀬能!?お前っ、生徒会役員だったのか!?」
「あん?」
いきなり相手チームの男の方が驚愕の表情で指差してきた。
…人に指差しちゃいけないって、親御さんから教わらなかったのか?
「…どうしたの根岸君。確かに学年一位の生徒会長がいるチームは厄介だけど、男子の方はそこまで警戒する必要はないでしょう」
酷い言われようだ。
顔は覚えたからな。
「それは…でも…優香…あいつは……」
男の方(根岸だっけか?)がしどろもどろに、変な動きをしながら
はて?どこかで会ったことあったか?
「瀬能君、知ってる人?」
「いや、全然」
会長が小声で話しかけてきたので、それに合わせて小声で返事を返す。
見たところ俺に対して…怯え?の感情が見て取れる。
相手が一方的に知ってるパターンか?それならしょっちゅうあるから気にしなくていいか。
でもコイツ…どっかで見たことあるような…?
「そろそろ始めてもいいですか?」
何か昔の記憶が浮上してきそうだったが、立会の教師の一言で霧散した。
「大丈夫です。邪魔してすみません」
「いえ、緊張しすぎてないのはいいことです。三回戦までは他の人の目もありませんし、引き続き気を楽にしてて大丈夫ですよ」
俺には縁のない言葉だな。
むしろもう少し緊張感を持てとよく言われる。
「それでは召喚してください」
「「「「試獣召喚《サモン》」」」」
おなじみの掛け声で召喚される召喚獣。それぞれ実力に見合った装備をしている。
そんな中俺の召喚獣はというと
全身は羽毛で覆われており、ダチョウを彷彿とさせる体躯。
顔の大半を占める、突かれたらちょっと痛いじゃ済まなそうな大きなくちばし。
それでいてマスコットのようなデフォルメされた姿。
……って言うかー
「チョ●ボじゃねえかっ!」
もはや人型ですらない。
Dクラスとの試召戦争の時、カラクリ人形ピヨリ号スタイルになったが、アレより人間離れすることがあるとは思わなかった。
「この学園に赴任してそこそこになりますが、人型以外の召喚獣を見たのは初めてですよ」
立会人の教師が興味深気に俺の召喚獣(ニックネーム:ナッツ)を見つめてくる。
正直コメントに困るわ。
しかしこれ毛並みは青だが、はたしてこれは俺らしさを表してると取っていいんだろうか?見た目完璧に川チョ●ボなんだけど。
つーか無手(無足?)だけど武器は?もしかして無し?
問題はないけどなんとなく損した気分だ。
「……はっ、すみません。つい見入ってしまいました。それでは…準備はよろしいですか?」
「…て俺このままやるんすか」
チョ●ボですけど。
「時間がないので、自分で工夫してなんとかしてください」
「無茶苦茶言いますね…」
試験召喚獣ってもう一人の自分みたいなもんだろ?
鳥類の自分を想像したことはない。
俺の返事に、教師がちょっと困ったように眉をひそめる。流石に自分でも無茶を言ってる自覚があるようだ。
「そんなの心配する必要ないわよ」相手側の女が急に口を開く。
「だってあなたFクラスでしょ?すぐに沈めてあげるわ」
……………………………………
「わかりました。自分で工夫しますからハジメテください」
「あ、はっ、はい…」
いい度胸だ。俺のことをよく知らんと見える。
なら教えてやらんとなぁ…?
「それでは、試合開始!」
「はぁっ!」
「死ねっ、瀬能!!」
立会の教師の合図と共に、二体の召喚獣がナッツに襲いかかる。
見た目のせいでモンスターを狩るハンターみたいな構図だな…てことは俺が悪者?
なら何やってもいいな。
―――
ドゴゴゴンッッ!!
「えっ?」「なっ?」
突然相手の召喚獣が、地面に垂直に叩きつけられたかのようにうつ伏せに倒れる。
Sクラス 三郷雫 物理 451点
&
Fクラス 瀬能ナツル 物理 103点
VS
Bクラス 根本恭二 物理 109点
&
Cクラス 小山友香 物理 83点
そして空中に浮かび上がる各自の点数。
攻撃を受ける・与えるをしなきゃ表示されないのは調整すべきじゃなかろうか。
「なっ、なによ今の!?それにその点数…!あんたFクラスでしょ!?」
「もともと俺はCクラス程度の学力はあるんだよ…っと」
ザシュッ!!
地面に倒れ伏している(というか若干めり込んでる)女の方の召喚獣に、第一
外道?敵対してる奴が無防備に隙を見せてるんだぜ。普通やるだろ、追撃。
Cクラス 小山友香 物理 0点
「なっ…嘘…私が、Fクラスの奴なんかに…!」
「友香!クソッ、瀬能!」
男の方の召喚獣が、即座に身体を起こして剣を振るってくる。
迎撃――は、距離が近すぎて無理だな。
ガキィン!!
「なに!?」
根岸の召喚獣が振るう剣が、途中で鎖付きの短剣によって止められる。
凶刃を防いでくれた短剣。そこから伸びた鎖の先にいるのは、
(今だけは)俺のパートナーである会長の召喚獣だ。
「どーも」
「パートナーとして当然よ」
頼もしいねぇ、という訳で
―――
瞬間、ナッツが横一列に並ぶように三体に分身する。
ガドズッッッ!!
そして正面のナッツが剣をくちばしで弾き、左右に展開している二体が同時に胴体と頭を貫く。
Bクラス 根本恭二 物理 0点
そして表示される相手の
「………はっ?」
間の抜けた根岸の声が、なぜかやたらに印象的だった。
■斬・飛翔分身抜刀牙
銀河。本来は身体に隠れている二体と本体を含む三位一体の連続攻撃。当然だがナツルの身体に隠れている二体はいない。
作中のは影分身(キンニクマンのブラック・ホールの技)と瞬動(ネギま!の技)のコラボ。どっちにしろ人間技じゃねえ。
・
両腕を広げ、その範囲内を"気"で地面に圧し潰すナツルのオリジナル技。⬇︎⬇︎⬇︎(下三つ)の名前通り三回連続攻撃。
ナツルのイメージとしては、かなりデカイ岩かなんかを持って落とす、的な感じ。(すごい筈なのに一気にショボく見える…)
副題:テンロウ八鳥士
変更可能ジョブに サモナー(召喚士)が 加わりました。(前からじゃないの?)