戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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10時間目 召喚大会②

 

〜〜ナツルSide〜〜

 

・第二修練場

 

普段は道着着た奴らがキャッキャウフフしてる(※違う)場所も、今日は閑散としていて少し物寂しい。

 

こういう施設って普通、イベントで使うために真っ先に確保されるはずなんだが…ああ、召喚大会のために学園側で確保されてるのか。

 

こんなでかい会場いくつも押さえてるのに、出し物やるスペースが足りないどころか有り余ってるって話だ。どんだけ広いんだよこの学校。

 

「相手のチームはまだみたいね」

 

会長の言う通り、試合場は立会人の教師しかいなかった。

 

「もぅ!時間にルーズな人ってサイっテーよねっ!」

時間は有限なんだからさっさと始めさせてよ!!

 

「あなたいつも会議に遅刻してくるじゃない」

 

聞こえんな。

 

「開始までもう少しですから、予定時間から五分経っても来なかった場合は生徒会チームの不戦勝となります」

 

立会いの教師が苦笑しながら進言してくる。

そんなルールあったんだな。

 

面倒だから不戦勝にならねえかなーとか考えながら待っていたが、あまり時間を置かずに俺たちが来たとこと別の出入り口から、二人の男女がやって来た。

 

誰かは知らん。初対面の人物だな。

 

ただ女の方はこっちの姿…正確に言うと会長を見た瞬間、分かりやすく苦々しい表情を見せた。

 

他は人名をそのままチーム名にしてるけど、うちだけ名前が『生徒会チーム』になってるからな。もう少しやりやすい相手が来ればとか思ってたのか?

 

「せっ、瀬能!?お前っ、生徒会役員だったのか!?」

「あん?」

 

いきなり相手チームの男の方が驚愕の表情で指差してきた。

 

…人に指差しちゃいけないって、親御さんから教わらなかったのか?

 

「…どうしたの根岸君。確かに学年一位の生徒会長がいるチームは厄介だけど、男子の方はそこまで警戒する必要はないでしょう」

 

 

酷い言われようだ。

 

 

顔は覚えたからな。

 

 

「それは…でも…優香…あいつは……」

 

男の方(根岸だっけか?)がしどろもどろに、変な動きをしながら狼狽(うろた)える。

 

はて?どこかで会ったことあったか?

 

「瀬能君、知ってる人?」

「いや、全然」

 

会長が小声で話しかけてきたので、それに合わせて小声で返事を返す。

 

見たところ俺に対して…怯え?の感情が見て取れる。

 

相手が一方的に知ってるパターンか?それならしょっちゅうあるから気にしなくていいか。

でもコイツ…どっかで見たことあるような…?

 

「そろそろ始めてもいいですか?」

 

何か昔の記憶が浮上してきそうだったが、立会の教師の一言で霧散した。

 

「大丈夫です。邪魔してすみません」

「いえ、緊張しすぎてないのはいいことです。三回戦までは他の人の目もありませんし、引き続き気を楽にしてて大丈夫ですよ」

 

俺には縁のない言葉だな。

 

むしろもう少し緊張感を持てとよく言われる。

 

 

「それでは召喚してください」

「「「「試獣召喚《サモン》」」」」

 

 

おなじみの掛け声で召喚される召喚獣。それぞれ実力に見合った装備をしている。

そんな中俺の召喚獣はというと

 

 

 

全身は羽毛で覆われており、ダチョウを彷彿とさせる体躯。

顔の大半を占める、突かれたらちょっと痛いじゃ済まなそうな大きなくちばし。

それでいてマスコットのようなデフォルメされた姿。

 

 

 

……って言うかー

 

「チョ●ボじゃねえかっ!」

 

もはや人型ですらない。

 

Dクラスとの試召戦争の時、カラクリ人形ピヨリ号スタイルになったが、アレより人間離れすることがあるとは思わなかった。

 

「この学園に赴任してそこそこになりますが、人型以外の召喚獣を見たのは初めてですよ」

 

立会人の教師が興味深気に俺の召喚獣(ニックネーム:ナッツ)を見つめてくる。

正直コメントに困るわ。

 

しかしこれ毛並みは青だが、はたしてこれは俺らしさを表してると取っていいんだろうか?見た目完璧に川チョ●ボなんだけど。

 

つーか無手(無足?)だけど武器は?もしかして無し?

問題はないけどなんとなく損した気分だ。

 

「……はっ、すみません。つい見入ってしまいました。それでは…準備はよろしいですか?」

「…て俺このままやるんすか」

 

チョ●ボですけど。

 

「時間がないので、自分で工夫してなんとかしてください」

「無茶苦茶言いますね…」

 

試験召喚獣ってもう一人の自分みたいなもんだろ?

鳥類の自分を想像したことはない。

 

俺の返事に、教師がちょっと困ったように眉をひそめる。流石に自分でも無茶を言ってる自覚があるようだ。

 

「そんなの心配する必要ないわよ」相手側の女が急に口を開く。

 

「だってあなたFクラスでしょ?すぐに沈めてあげるわ」

 

 

……………………………………

 

 

「わかりました。自分で工夫しますからハジメテください」

「あ、はっ、はい…」

 

いい度胸だ。俺のことをよく知らんと見える。

 

なら教えてやらんとなぁ…?

 

「それでは、試合開始!」

「はぁっ!」

「死ねっ、瀬能!!」

 

立会の教師の合図と共に、二体の召喚獣がナッツに襲いかかる。

 

見た目のせいでモンスターを狩るハンターみたいな構図だな…てことは俺が悪者?

 

なら何やってもいいな。

 

 

―――強制⬇︎⬇︎⬇︎(ダウンロード)

 

 

ドゴゴゴンッッ!!

 

「えっ?」「なっ?」

 

突然相手の召喚獣が、地面に垂直に叩きつけられたかのようにうつ伏せに倒れる。

 

 

 

Sクラス 三郷雫 物理 451点

        &

Fクラス 瀬能ナツル 物理 103点

        VS

Bクラス 根本恭二 物理 109点

        &

Cクラス 小山友香 物理 83点

 

 

 

そして空中に浮かび上がる各自の点数。

 

攻撃を受ける・与えるをしなきゃ表示されないのは調整すべきじゃなかろうか。

 

「なっ、なによ今の!?それにその点数…!あんたFクラスでしょ!?」

「もともと俺はCクラス程度の学力はあるんだよ…っと」

 

ザシュッ!!

 

地面に倒れ伏している(というか若干めり込んでる)女の方の召喚獣に、第一(あしゆび)(人でいう踵部分にある、鳥の後方の足)を突き立てる。

 

外道?敵対してる奴が無防備に隙を見せてるんだぜ。普通やるだろ、追撃。

 

 

Cクラス 小山友香 物理 0点

 

 

「なっ…嘘…私が、Fクラスの奴なんかに…!」

「友香!クソッ、瀬能!」

 

男の方の召喚獣が、即座に身体を起こして剣を振るってくる。

 

迎撃――は、距離が近すぎて無理だな。

 

 

ガキィン!!

 

 

「なに!?」

 

根岸の召喚獣が振るう剣が、途中で鎖付きの短剣によって止められる。

 

凶刃を防いでくれた短剣。そこから伸びた鎖の先にいるのは、戦乙女(ヴァルキリー)のような鎧に身を包んだ女型の小人。

(今だけは)俺のパートナーである会長の召喚獣だ。

 

「どーも」

「パートナーとして当然よ」

 

頼もしいねぇ、という訳で

 

 

―――(ざん)飛翔分身抜刀牙(ひしょうぶんしんばっとうが)

 

 

瞬間、ナッツが横一列に並ぶように三体に分身する。

 

 

ガドズッッッ!!

 

 

そして正面のナッツが剣をくちばしで弾き、左右に展開している二体が同時に胴体と頭を貫く。

 

 

Bクラス 根本恭二 物理 0点

 

 

そして表示される相手の点数(ステータス)

 

「………はっ?」

 

間の抜けた根岸の声が、なぜかやたらに印象的だった。

 




■斬・飛翔分身抜刀牙
 銀河。本来は身体に隠れている二体と本体を含む三位一体の連続攻撃。当然だがナツルの身体に隠れている二体はいない。
 作中のは影分身(キンニクマンのブラック・ホールの技)と瞬動(ネギま!の技)のコラボ。どっちにしろ人間技じゃねえ。



強制⬇︎⬇︎⬇︎(ダウンロード)

 両腕を広げ、その範囲内を"気"で地面に圧し潰すナツルのオリジナル技。⬇︎⬇︎⬇︎(下三つ)の名前通り三回連続攻撃。
 ナツルのイメージとしては、かなりデカイ岩かなんかを持って落とす、的な感じ。(すごい筈なのに一気にショボく見える…)



副題:テンロウ八鳥士

変更可能ジョブに サモナー(召喚士)が 加わりました。(前からじゃないの?)

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