戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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よく見るとひどいサブタイトルだ。

ゲスな瀬能君が見れるのは、nickの作品だけっ。



4時間目 トラウマって作るもんだろ?

「そういやさっき副会長と超会長に頼まれたら〜とか言ってたけど、超会長ってそんな偉いのか?」

 

何気ない口調で尋ねたら、この場にいる八割程が信じられないような表情で見てきた。

 

「…その超会長というのは、もしかして私のことか?」

 

残り二割の内の一人、桐条先輩が怪訝な表情で口を開く。

ちなみにもう一人はインディアンな方の南條先輩。さっきからずっとラクガキしてるけど何描いてんの?

 

「そーだけど」

「瀬能さんはセンスがないですね」

 

黙れ眼鏡。黒く塗り潰すぞ。

 

「というか、本当にご存知ないんですか?」

「なにを」

「…桐条グループとは南條グループと分家の関係を持つ世界有数の名家です。美鶴様はその一族の末裔。つまり次期当主です」

「へー」偉そうな人とは思ってたけど、実際偉い人だったんだな。

 

「…ナツルさん、反応が薄くないですか?」

「自分九鬼家の長女ガチで殴りつけたことあるんで」

「……世界でもトップクラスの有力財閥じゃないですか!なにしてるんですか瀬能さん!?」

 

一花の疑問に答えたら、眼鏡さんが食いついた。

 

「そんな名家の令嬢と知り合いなんて…いったい何者なんですか、あなた」

「令嬢って…」いやまあその通りなんだろうけどさ。

 

初っ端インパクトを思い出すとどうしてもイメージができないんだが…

登校しようと家を出れば、なんの前触れもなく道路の真ん中で腕を組みながら仁王立ちしてて、いきなり「貴様が瀬能ナツルか、我は九鬼揚羽。立ち合いを所望する!」とか抜かしてきた。

 

あれを令嬢と認めたら俺の中の令嬢のイメージが四散する。

 

「まぁ色々あるんだよ」

「色々、ですか」

 

そう色々。

できれば触れんとって。

 

ついでに言うと俺の背後に控えてる長身の女の子はもろ九鬼家の関係者なんだが…この人にそれを教えるのは危険な気がする。黙っとこう。

 

 

「そういや第一生徒会ってこれで全員なんすか?」

ふと気になったので超会長に尋ねる。

 

「そうだがそれがどうした?」

「いや、少ないなと思って」

 

三年って全体で三百そこらだろ?人数。

たった三人でどうにかなるもんなのか?

 

「優秀な人材というのはどうにも引っ張りだこでな。私が初めに声をかけた千紗以外はいい返事をもらえなかったのだ」

「あ〜なるほど。つまり」

 

 

 

きりじょうせんぱいは、ともだちいがいないってことですね。

 

 

 

――ピシっ

 

 

無邪気ともいえる何気ない一言に、室内が凍りついた。(※悪意には満ちている)

 

文化祭の準備をしているのであろう、外の微かな喧騒が室内に響く。

 

「……なぜ、そうなるのだ?」

 

数十秒後、桐条先輩が(←超会長呼び飽きた)口を開く。

 

「いや、あれから結構時間経ってるのに加入したのが身内一人じゃないすか。だからそうなのかなーって」

「有能な知り合いに声はかけたと言っただろう」

「じゃプライベートで電話使ったのはいつが最後ですか?仕事関係は一切抜きで」

 

俺の一言でまたしても静寂が訪れる。

 

しかし先ほどとは違い、桐条先輩だけが「ええと…」や「たしか…」だの小声でつぶやき悩んでいる。

 

そんな記憶を掘り下げなきゃならんようなことか?

 

「…ごめん」

「あっ、謝るなっ!ちょっと…思い出せなかっただげだ!」

うん…ホントごめん。

 

初めて出会ってから今日まで見たことがない、本気で焦っている姿を見ると罪悪感が途轍もなく湧き出てくる。

 

他の連中も気まずそうに顔を背けている。本当に申し訳ない。

 

 

「そっ…そういう瀬能、お前はどうなんだっ。プライベートで電話をかける知り合いがいるのかっ」

「この前の休みに遊びに誘われましたが」

 

 

――三度(みたび)、室内に静寂が訪れる。

 

 

「なんで!?」

「瀬能君あなた…その知り合いは本当に現実に存在するの?」

「いるわボケェ!」失礼だな三郷(あんた)

 

妄想じゃないから!ちゃんと直江に電話貰ってゲーセンやボーリング風間ファミリーの奴らと一緒に行ったから!

 

「という夢を見たんですね」

「現実だっつってんだろ!!」一花まで失礼だなオイ!先輩に対する態度じゃねえよ!

 

「まさか…"あの"瀬能ナツルに一緒に遊びに行けるだけの知り合いがいるなんて…!」

「瀬能ナツル…つい数日前までは『エレガンテ・クアットロ』の一員だったが、今は辛うじてイケメンランキングに名前を連ねる程度。学園での主な評価は『見た目詐欺』『思ってたのと違った』『わりと残念』『鬼畜』『悪魔』『流石は常識を問われたくない男No.1』『人よりも獣に近い』などと多岐に渡り、教師・生徒関係なく全員が認める学園一の問題児」

「バカな…、この瀬能にすらいるというのに……!?」

 

 

キ・レ・ちゃ・おっ・か・な〜〜?流石に〜?

 

 

驚愕の表情を浮かべるチョー、冷静にパソコンでデータを読み上げるメガネ、心の底から狼狽している様子の桐条先輩。

 

いかに俺が温厚と言っても、これはちょっとあんまりだ。限度がある。

思わず額に青筋が浮かび、身体全体に力が入り、そのせいで全身がわなわなと細かく震える。

 

ていうかみんな失礼すぎじゃね?とくに桐条さん。どんだけショック受けてんだよ。

なんで俺ろくに話したことない奴らから寄ってたかって貶されてんの?

 

腹立ってきたななんか。

 

「…そんな学園一の問題児以下の交友関係の先輩はこれから先も灰色の青春を過ごして社会人になっていくんですね」

「うっ」

「想像してください…」

 

 

 

誰もいない、深夜のオフィス。

 

 

たった一人、書類のチェックのためだけに会社に残って残業中。

 

 

同僚や部下は定時に上がり、みんなで楽しそうに仲良く飲みに行った。

 

 

…そこでため息まじりに一言、

 

 

 

「『…なにをしてるんだろうな、私は…』」cv.田中理恵

「うぁっ…うあああああああああっ!!」

 

桐条先輩が頭を抱えて絶叫し出した。

 

それを見て(珍しく)慌てた様子で宥めに走る三郷(会長)

 

「会長、会長落ち着いてくださいっ、今のは全部瀬能君の妄想ですっ」

ヒドいなオイ。

 

「人が想像できることは人が必ず実現できる。by ジューヌ・ヴェルヌ」

「うぁああああああああああああああっ!!」

「瀬能君!」

 

怒られた。理不尽。




あらためて読み返すと内容もひどい。

絶叫する桐条先輩が見れるのは、(おそらく)nickの作品だけっ。


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