ホントはもう少し長い予定だったけど、ぶっちゃけなに書いてるかよく分からなくなってったので割合しました。
グダグダ感がぬぐいきれない。
〜義経Side〜
「そういやおたくら、神月学園に入学するんだよな?」
義経たち全員との挨拶が終わってから、一拍置いたくらいのタイミングで瀬能君がふと思い出したかのように口を開いた。
「うん?そうだがそれがどうかしたのか?」
「見たとこみんな私服みたいだけど学校は?」
? なにを言ってるのだ?
「編入のこと言ってるなら今日からだよ。ちなみに私たちは2-S」
「おお、そういうことか」
弁慶に言われて気づいた。
義経はまだまだ駄目な主だな…
「えー?でもお前ら私服じゃねえか。あ、学校終わってからすぐ帰って来たのか?」
「いや。放課後に学校のみんなが歓迎会を催してくれて、それを終えて今帰ってきたところだぞ」
「え?」
「というかもう夜だよ」
「はい?」
瀬能君はギギギ…と錆びついたネジが回るような音がしそうなほどゆっくりと、側にある窓に顔ごと目を向ける。
「……うわーい………そらにきらきらおつきさま………」
その口からぽつりと言葉が零れる。
つられて窓の外を見るが、辺りは一面の真っ暗闇。
瀬能君、今夜は新月だぞ…
「てぅおーい!マジでもう9時じゃねーか!?嘘だろ!?」
今度は腕時計を見て叫ぶ。
「もう9時って…こんな時間までなにしてたのだ?」
「ずっと寝てたよ。時折おかしな寝言口にしながらね」
「あー、あるあるそういうこと。一回起きたのに気づいたら夜だったり」
それは弁慶がだらしないからだぞ…
「くぅぅ…!せっかく沸いて出た俺の休日が…!いったいなぜこんなことにっ」
「いや寝てたからでしょ」
「はっ、まさかこれが…ボスの能力!?」
彼はなにを言ってるんだろうか。
「あっ…あの場所へ…あの場所へ逃げなければ…!あの場所へっ!」
「…ミス・マープル、
「問題は…無いとは言えないけど、瀬能は思春期特有の病を患っているとの話だからあれでも正常なんだろうさ。報告は聞いてたけど実際目の前にすると刺激が強いね」
「あー…与一の同類か」
弁慶が呆れたような顔でため息をつく。
与一と同じ病気…?それってえっと…なんだっけ?
確か"ちゅうに"とか言ったような…義経には難しくてよく分からないぞ。
「逃げなくてわぁっ!!」
瀬能君がいきなり両腕を
どんな結論が出ればそんな行動を取れるのだろうか。
>『物理反射』発動
バキィンッ「ぐはっ!!」
窓に激突する!と思わず身構えた瞬間、瀬能君の身体が弾かれたように後方に吹っ飛んだ。
え?いったいなにが?
「言ってなかったけど、九鬼家の窓ガラスはすべて特殊なガラスで出来てるよ。
「そうなんですか?」
「あんたたちにも言ってなかったか。必要もないと思ってたからねぇ…。そういうことだから窓に攻撃とかするんじゃないよ」
普通ないぞそんな機会。
「くっ…たかが窓に弾かれるなんて…これも
孤独は優れた精神の持ち主の運命、か……とうずくまりながらニヒルな笑みを浮かべる瀬能君。
どうしよう、義経は彼がなにを言っているのか全く分からないぞ…
「しかしこの程度で俺は負けない!挫けない!顧みないぃぃっ!!」
叫びながら再び窓に突っ込んだ。なんで!?
「オラァッ!!」
バキィンッ
>『物理反射』発動
瀬能君が勢いよく拳を突き出すと、先ほどと同じく窓ガラスが一瞬光り攻撃を反射する。
パンチをと言うより、それで発生した衝撃を返しているようだ。
そして返した先には当然、衝撃を生み出した原因がいる訳で、
「クロスカウンター!!」
衝撃が瀬能君を襲った――と思った瞬間、最初に振るったのとは別な方の腕で再び窓を殴りつける。
反射返し!?すごい運動神経だ。正しく反射神経だな。
「一度食らった技は二度食らわぐはっ!!」
>『物理反射』発動
そのすごい反射神経の持ち主はまたしても窓ガラスに弾かれ、猛スピードで宙を舞い反対側の壁に激突した。
一度目よりも威力が高い…!?
「ご…ゴフッ…」
「ふむ…傷ひとつついてないね、いい性能だ。これなら…」
廊下の端で苦しそうにうずくまる瀬能君に見向きもせず、窓ガラスを触りながら思案するミス・マープル。
自分で招いた客人じゃなかったのか?
「ぐ…ま、まだだ…まだ…メイン……がやられた程度で…!」
「メインの後なんて言ったのかな?よく聞こえなかったんだけど…」
「思いつかなかったんじゃない?ごにょごにょって濁してただけみたいだし」
義経は瀬能君がなにを考えてるのかよく分からないぞ…
「うおおっ…!」瀬能君は若干ふらつきながらも立ち上がり、再び窓に向かって一歩踏み出す。
その勢いは最初の頃と比べると見る影もない。もう止めればいいのに。
>『物理反射』発動
「ぐはっ」
ただ前ほど勢いがなかったからか、通路の真ん中あたりまでしか飛ばなかった。
「めっ…メイルストロームパワー……!」
それでもめげずに立ち上がり、窓に向かおうとする。なにが彼をそこまで駆り立てるのだろう。
「も「もう止めろ!」」
見かねて声をかけようとしたら、それより早く瀬能君に近づく人影が現れた。
「それ以上は危険だ!身体がどうなってもいいのか!?」
片足を引きずりながら歩く瀬能君を必死な表情で押し留める。
…なんか、主であるはずの義経ですら見たことない顔してるぞ…
「止めるな離せ!俺がやらねば…人類の未来がないのだ!!」
「…窓ガラスを割るのと人類の未来にどんな因果関係が…?」
「清楚さんダメだよ〜真剣に取り合っちゃあ。どうせ理由も意味もないんだから、適当に流しとかないと」
「そもそもテメーにゃ関係ねぇだろ俺がどうなろうとよ!もうほっとけよ!」
「一人で死地に行く奴を放って置けるか!!」
与一が今までに出したことのない大声を…!?
「未来がなんだよ…そこに、お前も含まれてるんじゃないのかよ…!」
「っ、……」
与一の台詞にハッと驚愕の表情をする瀬能君。
なんだ、この状況。
「お前も…
「ああ、組織に狙われる身だ」
「…ふっ……人気者は辛いな…」
「………?…?…?」
「なんなんだいこの状況…」
「いったいどんな設定なんだろう…?」
「世界観がまったく分からないねー」
よかった。義経だけじゃなかったんだな…あの二人のやりとりがわからないの。
瀬能君と与一は一旦離れ、あらためてお互いに向き合いながら会話を続ける。
「こんな状況じゃなかったら、情報交換の一つでもしたかったんだがな…残念だがそろそろ拠点に戻らなきゃならん」
(※訳:もう夜遅いし、明日も学校だから帰らなくちゃいけないです。語り合えなくてごめんね?)
「そう…か…だが――いや…俺の都合を押し付ける訳にはいかないな…ならせめて、俺の
(※訳:メアド交換しよう?いつでもメールしてくれてもいいけど、恥ずかしいから人に見られないようにしてね?)
「ああ…もちろんだ。堅気に迷惑かける訳にゃいかねえからな」
「ふっ…嫌いじゃないぜ。そういう考え」
もう一度思う。なんだこの状況。
あと二人ともずっと―――瀬能君は右手で口元を、与一は左手で顔を―――覆い隠してるけど、その行為になんの意味があるんだろう?
しかもそのままの状態で携帯を取り出そうとするから、すごいもたついてる。
あ、でも瀬能君はするっと取り出せた。…なんか慣れてないか?
「……今日は…来れてよかったよ。来なければ、永い旅路の途中にもこんな出会いがあると知れなかったからな」
「組織に追われる身の以上、孤独は仕方ない。そう思っていたんだがな。これも特異点故か…」
連絡先の交換を終えた二人は、真剣そのものの表情で見つめ合い、
「あらためて自己紹介させてもらおう。神月学園2年Fクラスの瀬能ナツルだ。ナツルと呼んでくれ」
「俺は
がっちりと強く握手を交わす。
「「これからよろしくな、友よ!」」
―――男たちは分かり合った。
義経には、まだ早い。
「なんだこの状況は…」
あ、つい口から出ちゃった。
もう一話ぐらい引っ張りたいけど、そろそろ本編進めたいのでこの辺で一章を〆ます。
でも気が向いたら追加するかも。その時は告知します。
〜おまけ〜
「そういや呂布子ちゃんよ、おたくいつまでついて来る気だい?」
「………?」
「そこで首を傾げられても困るんだけど。まさかと思うけどおはようからおやすみまでついて回る気じゃないだろな」
「………(コクリ)」
「コクリじゃねーよ。許さないからね?お前の家はここ(九鬼家)なんだから、きちんとここで生活しろ」
「っ、…………」
「……ッゴフ!おっオイ…やめろ、そんな捨てられた小動物みたいな眼で俺を見るな!ダメったらダメだ!!」
結局この後。説得に二時間以上かかり、ナツルが帰宅したのは日付が変わったころだったとさ。