戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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なんとなく思いついたので煮詰めて一話にしてみました。

オムニバス?形式で、一話で3つのお話が入ってます。




22.5時間目 "裏番"冴島タイガ 後日談

・あいる、びー・ばっく

 

〜ナツルSide〜

 

 

「ああナツル。やっと見つけたヨ」

「『うん?』」

 

突然ルー教員に後ろから呼び止められた。

 

モモさんを気絶させた後、一旦選手控え室まで移動してそこから窓を使い外に逃げた。

 

一番目立つ場所から立ち去れたとはいえ、下手にお面を外すわけにはいかないので、現在はスネークさん張りに周りを警戒しつつ普通に歩いてたんだが…こんなに早く見つかるとは思わなかった。

 

「声を無理して作らなくてもいいヨナツル。モモヨが迷惑をかけてすまないネ…」

 

そういって目尻を下げ、申し訳なさそうな顔をするルー教員。

どうやら事情を知ってるようだ。あの怪しい草(川神草)、川神院経由で手に入れたのか?

 

「まったく、本当にモモヨには困ったものだヨ。人が栽培しているものを無断で持っていくのは止めてほしいネ」

「お前の自作かい!!」なんてもん作ってくれんだ!

 

つーか今の台詞、断りいれたら持ってっていいって聞こえたんですけど!破棄しろよそんな人体に影響がある異常食材!

 

「いやはや、山での修業中に偶然見つけてネ。観察しようと持ち帰って育ててみるとこれがなかなか」

「さっさと要件を言え要件を!」

 

霊障浮いた草の談義がそうだっつったらぶっ飛ばすぞ。

 

「ああ、渡すものがあったんだヨ。はいコレ」

 

そう言ってルー教員が手渡してきたのは一つの茶封筒。

 

「なにこれ」

「裏神月ランキングの1位から10位の人物は、公式な試合に勝つとファイトマネーが入るのヨ」

「は?」ファイトマネー?

 

封筒を開いて中身を確認してみると、学園で使える食券だった。

 

ただ量が半端じゃない。100枚くらいがぎっちりと入ってる。

 

「多いな」

「ランキングのトップだからネ。それくらいはあたり前ヨ」

 

いやでもこれ、購買のコッペパン(1個50円)から学食の高級ランチ(1食5000円)まで使える共通学食券ですけど。

やったねパパ!明日はハンバーグだ!

 

「今日の試合を見て、決闘を希望する人が大勢いるネ。みんな血眼になって冴島タイガという人物を探してるヨ」

「敗者がどうなったか見てないわけじゃないだろうに…どういう神経してんだ」

「あれは相手が悪かったと思ってるんじゃないかナ。最後の方、攻撃を回避することを主体にしてたのは、一撃で気絶させられるタイミングを狙ってたんだろウ?」

「からかってみただけだ」

「ちなみに川神草だけど、川神水同様副作用とかはないから安心していいヨ。ただ念のため、一度食べたら一週間は間を空けた方がいいかもしれないネ」

「聞けよってかなんか服用計画立てられてる!?」まだやるって言ってないよ俺!?

 

…しかし……

 

ちらっと手の中の茶封筒を見る。

 

………………たまになら……いい…かな…?

 

「入り用になったら、ワタシに言ってくれればすぐに用意するヨ」

「まだなにも言ってないぞ」

「見てれば分かるヨ」

 

物欲には勝てなかったよ…

 

============================

 

川神草は用法・用量を守って正しくお使いください

 

============================

 

・その後、彼らの姿を見たものはいない…

 

〜ナツルSide〜

 

 

「〜♪」

 

ランカー4位との戦いから数日が経ち、やっとこさ男に戻ったある日の昼休み。

 

臨時収入が入ってご機嫌な俺は、今日の昼飯はなににしようかと考えながら食堂までの道のりを歩いてた。

 

流石に2日連続で高級ランチはアレだ。ちょっと飽きがくる。

 

「〜♪〜♪〜〜、っと、また音飛びやがった…」

今月で何回目だよ。

 

今使ってる音楽プレーヤー、形は古いがデザインが気に入ってるために長らく愛用しているんだが…たまにDJが操る音楽みたいに巻き戻ったり、曲の再生途中に別の曲になったりと不調を訴えてくる。(本当に不調か?)

 

「買い替えなきゃダメなのかな」

 

思わずそうひとり言ちる。

メーカーが潰れたとかなんとかで修理が無理なんだよね、たしか。

 

そういえば前に壊れた時はメカ弄りが趣味な友だちに頼んだんだっけ。また頼もうかな。

 

中学の卒業式の日から今日まで一回も連絡取ってないけど。

 

…2年近く音信不通でほっといて、電話の理由が音楽プレーヤー直してって言ったらどういう反応するかなあいつ。(家に殴り込みかけてくるかもしれん)

 

「……ん?」

 

立ち止まって、音楽プレーヤーをポンポンと軽く叩くなど無駄なことをしていると、見覚えのある人物が視界の端を掠めた。

 

我がクラスの金髪ツインテール。クリスだ。

 

それだけならまだいい。なんの問題もない。

 

しかし何人かの見知らぬ男女に囲まれながら歩いていたら…ちょっと見過ごす訳にはいかないな。

しかもそれが真剣な表情をしていたなら尚更だ。無いとは思うがなにか弱味を握られてて、どこかへ連れて行かれる最中かもしれん。

 

俺は直ぐに気配を殺し、クリス達に見つからないように身を隠しながら後をついて行く。もしもの時のために携帯が使えたらよかったんだが、あいにく電池切れで沈黙中だ。こっちの方こそ買い替えを検討するべきか。

 

そうやってしばらく、スネークさんよろしくのストーキング行為を続けていくと、やがて一つの空き教室に全員が入っていった。

 

今から中でなにが始まるんだろう。

 

好奇心の赴くままに、ドアに耳を当てて室内の様子を探る。

 

『全員集まったようだな』

『はい、抜かりなく』

『会長、今日は…』

 

会話の内容はなんとか拾えるが、声の判別がし辛いな。この学園無駄に防音設備高めてやがる。

 

『集まってもらったのは他でもない……先日の件だ』

『おお…』『ではやはり…』『あの方が……』

『うむ、……冴島タイガ殿だ』

 

 

ずっこけそうになった。

 

 

『狐のお面を付けていたのはなぜなのでしょうか?』

神力(しんりょく)が足りないのだろう』

 

神力!?

 

『おそらくはあの面を外したら煙のごとく消えてしまうはず…それを押してまで現世に降臨したのは、昨今の武闘者の質の低下を嘆いてのこと。くっ…、自分にもっと力があれば…!』

『会長!』『会長のせいじゃありません!』

『そうです!それを言ったら私たちだって…!』

 

 

なんだこの会合。

 

その後も注意深く聞いてみたが、どいつもこいつも『現代の戦神に認めてもらうようもっと鍛錬を』やら『冴島様のためにより強く、美しく!』など、どう頑張ってもイカれた盲信者の一歩手前みたいなことを延々と言い合うだけだった。

 

もう一度言おう、なんだこの会合。

 

 

あとずっと聞き続けて思ったんだがこの会長ってクリスじゃね?なにやってんのお前?

 

 

『うむ、皆の心意気を自分は大変嬉しく思う。これからも一層の努力をしていこう。しかし間違っても先日の沙原なる男のようにはならぬように』

『はい、それはもう!』

『清く正しく、ですね!』

『うむ、では時間もないので解散しよう。全ては冴島殿のために!』

『『『『『『冴島様のために!!』』』』』』

 

室内の気配が入り口へと移動し始めたので、足音を立てないようにこっそりと物陰へ向かう。

 

掃除用具用のロッカーの陰に身を隠すと同時に複数の男女が教室から出てきた。

 

…ぱっと見たところ、目当ての人物はいない。

逐一人の出を確認しながら、イベントリから"ある物"を取り出す。

 

昔戯れで作った一品だ。まさか使う日が来るとは思わなかった…あるいは今日この日のために制作したのかもしれない。

 

準備が整ったころ、タイミングよく目当ての人物―――当然クリスだ―――が教室から出てきた。

しかも最後の一人のようだ。好都合。

 

「ふう…冴島殿、自分は今日も正しい行いをしたぞ」

「そういうのをエゴっつーんだよボケ」

 

自分自身の行いに酔ってるようなことをほざくので、背後から正直な感想をかけてやる。

 

するとビクッと身体が一瞬跳ね、硬直。

しかしすぐにギギギっ…と、サビついてんじゃないの?と言いたくなるほどぎこちない動きで振り返る。

 

それを顔につけた、ウォーズマンスマイルの面の位置を直しながら見つめる。

 

「ちょぉっとお話しようか?フリードリヒちゃん」

 

大丈夫、昼休みはまだまだあるから。

 

 

============================

 

・ウォーズマンスマイルの面

 某ロボ超人のマスクを真似て作られた一品。高品質。

 

防御+5

特殊効果:威圧(弱)。相手をたまに恐怖状態にすることがある。

 

============================

 

・物語の狭間の一ページ

 

〜〜〜〜

 

・神月学園の敷地から少し離れた場所にある学生寮

 

 

 伊織 順平「今日のあれ、凄かったなー」

 鳴上 悠「今日の?…ああ、ランカー同士の決闘か」

 伊織 順平「そそ、とくにあの…冴島タイガ?だっけ?ヘタしたら俺らペルソナ使いより強いんじゃね?」

 岳羽 ゆかり「強いかどうかは分かんないけど、じゅんぺーより頼りになりそうなのは確かね」

 伊織 順平「ちょぉっ!ゆかりっちそれはないでしょ!?」

 里中 千枝「冴島さんかぁ…同じ足技としては、ちょっと興味あるかな」

 花村 陽介「同じって…里中と向こうじゃ全然違うだろ。月とすっぽん?みたいに」

 里中 千枝「なんだと花村!」

 花村 陽介「ちょっ、やめろ危ねえ!?」

 

 鳴上 悠「みんな仲がいいな…そっとしておこうか」

 有里 湊「そうだね…割とどうでもいいし」

 花村 陽介「いや、言ってねえで助けろよ!」

 

がちゃっ(← 寮入り口の扉が開く音)

 

 汐見(しおみ) 琴音(ことね)「ただいま〜。って陽介と千枝はなにしてんの?」

 岳羽 ゆかり「あ、琴音。おかえりー」

 伊織 順平「琴音っち〜聞いてくれよ〜、ゆかりっちってば俺のこと頼りにならないって言うんだぜ?ひどくねぇ?」

 汐見 琴音「え、じゅんぺーって頼りになるの?」

 伊織 順平「琴音っちまで!?」

 花村 陽介「お…おい…いい加減助けてくれ……」

 

>陽介は千枝に首を絞められてぐったりしている…。

>どうしようか?

 

 ▶︎千枝に話題を振る

  陽介を助ける

  千枝を助ける

 

 汐見 琴音「あ、そうだ千枝おめでと〜」

 里中 千枝「え?どしたのいきなり」

 汐見 琴音「今日付けで裏神月ランキングの10位になったから」

 里中 千枝「ええ!?あたしが!?」

 真田 明彦「ん?ああ。沙原が負けてランキングから外れたから、順位が繰り上がったのか」

 花村 陽介「げほっ…死ぬかと思った……」

 鳴上 悠「そういえば里中11位だったな」

 汐見 琴音「うん。だから今日は…ご馳走だね!荒垣先輩、よろしくお願いします!」

 荒垣 真次郎「ああ?なんで俺が」

 汐見 琴音「お祝いになにか美味しいもの作ってくださいよぅ」

 里中 千枝「あ、じゃあ肉!お肉がいいです!」

 荒垣 真次郎「……っち、めんどくせぇな…」

 汐見 琴音「とかなんとか言いながらもキッチンに足を運ぶ荒垣先輩、大好きです!」

 荒垣 真次郎「うるせえ!」

 天城 雪子「あはは…でも凄いね、千枝。学園で強い人の10人目になっちゃうなんて」

 里中 千枝「いやいやー、まだ上に9人いますから。真田先輩とか」

 天城 雪子「でもどの部活にも入ってないんでしょ?やっぱり凄いよ。私も頑張らないと」

 岳羽 ゆかり「いや雪子はいいでしょ」

 伊織 順平「そーそー。ゆかりっちもそうだけど、ゆきっちは魔法特化のペルソナ使いなんだからあんまり気にしなくていいって。俺なんてバリバリの前衛タイプなのにランキングに擦りもしてないぜ?」

 天城 雪子「…やっぱり頑張らないと」

 伊織 順平「なんで!?」

有里 湊「あれで慰めてるつもりなのかな」岳羽 ゆかり「じゅんぺーだし…」花村 陽介「そもそも慰めなのかアレ?」鳴上 悠「もっとがんばろう」

 伊織 順平「ちょっ!みんなひどくね!?」

 汐見 琴音「大丈夫だよー」

 伊織 順平「へ?」

 

 汐見 琴音「じゅんぺーがどんなに頼りなくても、きちんとフォローするから。タルタロスでもそうでしょ?」(←ランキング12位)

 

 

……………………………………

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

がちゃっ

 

 桐条 美鶴「戻ったぞ」

 汐見 琴音「あ、美鶴先輩。おかえりなさい」

 桐条 美鶴「君か、ただいま。……伊織は何をしているんだ?」

 伊織 順平「(ぶつぶつ)…1位から5位までは…ちょっとムリくさい…なら6位は……」

 

>順平から気迫を感じる…

 

 汐見 琴音「ランキングの10位圏内に挑戦するから相手を選んでるんですよ」

 桐条 美鶴「そうか…それはいいんだが、台詞の内容を聞くともの凄い情けないな…」

 伊織 順平「 …8位はみなっちだし…ちえっちは確実とは言えない……よし決めた!」

 有里 湊「どうでもいい」

 伊織 順平「みなっち酷い!でもいいもんね、俺っちはこの9位の奴を倒してランカーになってやる!」

 桐条 美鶴「(ぴくっ)9位?」

 真田 明彦「この前トップ10入りしたばかりの奴じゃないか。確か…瀬能だったか」

 伊織 順平「記事では結構やる奴みたいに書かれてるけど、タルタロスで実戦やってる俺ら程強いわけじゃねーっしょ。帰宅部っぽいし」

 岳羽 ゆかり「小っさい理由…」

 伊織 順平「うっさいやい!とにかくこいつに勝ってバラ色の学園生活を――」

 桐条 美鶴「止めたおいた方がいいぞ。伊織」

 伊織 順平「へ?」

 里中 千枝「桐条先輩?どうしたんですかいきなり」

 岳羽 ゆかり「止めといた方がいいって…あ、そういえば瀬能ナツルってこの前生徒会に入った人でしたよね。後輩が傷つくのが嫌とか?」

 桐条 美鶴「そういう意味で言ったわけでは…まあいい、どうしてもやるのなら止めはしない。だがやるのなら召喚器の申請と病院の手配をしておけ」

 伊織 順平「へ?」

 真田 明彦「おいおい、病院の手配とは穏やかじゃないな。それに召喚器って…試合でペルソナを使わせる気か?適性のない一般人には見ることもできないんだぞ?」

 桐条 美鶴「それでも攻撃を避けることは出来る。実際単体の攻撃魔法は擦りもしなかったからな」

『え?』

 桐条 美鶴「…そうだな。知り合いのよしみだ、病院の手配は私がしてやろう。桐条グループで用意できる最高級の所をな。いいか?伊織」

 伊織 順平「へ!?え、え〜っと…やっぱり!挑むのやめときます!」

 桐条 美鶴「そうか。…明彦はどうだ?戦闘のスタイル等を考えると闘ってみるのも悪くないんじゃないか?なにか得るものがあるかもしれないぞ」

 真田 明彦「なに!?いや…そろそろボクシングの試合が近いからな…」

 桐条 美鶴「そうか」

 

>言うだけ言って美鶴は去っていった…

 

 岳羽 ゆかり「今のって…桐条先輩流の冗談?」

 伊織 順平「とてもそうは見えなかったけどなー…」

 

 

============================

 

「テレッテー、俺さまのターン!」

「血祭り・悪」

 

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・あいる、びー・ばっく

これからもタイガを出すのにちょうどいい理由を考えたら、自然とこんな流れになった。物欲に抗うのはムリだよね!

・その後、彼らの姿を見たものはいない…

もっとうまく書きたかったけど今の自分にはこれが限界だった。
くっ…ガッツが足りない!

ちなみにワン子は冴島教の存在を知りません(そういうのに疎い上にクリスが教えてないから)

・物語の狭間の一ページ

汐見 琴音 → ペルソナ3ポータブル女主人公
有里 湊 → ペルソナ3主人公
鳴上 悠 → ペルソナ4主人公

流石に公子やらキタローやら番長やらを本名にするわけにはいかないので、ウィキ調べで名前を引っぱってきました。

P5は未プレイなのでそこからの人物は誰もいません。






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