戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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ひかりちゃんの口調は玲ちゃんと茜を混ぜた感じ。

そしてアホの子。活力のあるアホ。




79時間目 生温いコーラ

 

= あらすじ =

 ナツルは中学生時代の友人、ひかりと再会した。

 

 

「ぐっ…!」

廊下特有のひんやりとした床に両手をつき、震えながらも身体を起こす。

 

気絶していたのは数秒だけだったようで、目覚める前と周りの風景に差はほとんどない。

前に食らった時はもっと長く意識を無くしていたのに…俺も成長したな。

 

単に気を失うのに慣れたのかもしれない。姫路料理で散々倒れたから。ははっ泣けるぜ。

 

 

「久しぶりに顔を合わせた相手に対して、ずいぶんなご挨拶じゃねーか?」

 

感動の再会が台無しじゃこのスカタンが。

 

「綺麗さっぱり忘れてた人間にはお似合いだと思うけど」

 

…否定しづらい。

 

「いやそれでも、無拍子での波紋頂肘はやり過ぎじゃないかね?」

 

初めて対人で使った時、相手を一か月は入院させただろ。

 

「思い出した途端に非難するんだ。ちゃんと謝ったしお見舞いにも行ったのに」

「昏睡状態のときにな」

 

冗談半分で教えたことの練習してたとき、気がついたら病院のベッドの上で、しかも一週間も時間が過ぎてたってのが俺の(今のところ)最大の恐怖体験。

 

勉強の遅れ取り戻すの大変だったんだぞ。

 

 

「瀬能、きみの知り合いか?」

「え?あー、まぁな」

 

久々の再会に気を取られて、三人の存在が頭から抜けていた。

 

「こいつは神谷(かみや)ひかり。映画を愛し映画に愛されてるかどうかは知らんが、好きを拗らせて映画館のスタッフにドン引きされる女だ」

「何その紹介!?引かれてないよ!」

 

『いつもお一人ですね』って受け付けで言われたんだろ?引かれてんだよ。

毎週日曜日に欠かさず行ってりゃ、顔ぐらい覚えられるわな。

 

「あと三年間俺と同じクラスだったいわゆる腐れ縁だ」

「それだけでいいじゃない!なんで映画館のエピソード先に入れたの?!」

「今も言われてんのか?」

「言われないよ!H●luに入ったから」

 

悪化してんじゃねーか。独り見の。

 

きっと鑑賞の時間は増えただろうな。

 

「お前友達いないだろ」

「瀬能くんに言われたくない……」

 

失敬な、おるわ!

 

「そう思ってるのはお前だけだよ……」

「出た久々の闇ひかり!」

 

説明しよう、闇ひかりとは!

 

過去に辛い経験をした反動か抑圧された内面が表に出たのかは不明だが、とにかくっ、普段は割と人見知りな性格そのままに他人の胸に刺さる毒舌のみを発する彼女の黒い部分だ!

 

つまり、今のセリフはけっこーグサリと来たのだ……直江とか俺を都合よく使ってるってしょっちゅう思ってたから…

 

そもそもアイツ友達か?

 

「先程まで忘れていた割には詳しいな」←善

「なんか、さっきの波紋電気ショックで記憶が蘇ってきた」

 

そういえば茜の時も攻撃されて思い出したんだっけ。昔の家電か俺は。

 

 

「このタイミングで出てきたってことは、お前Eクラスなのか?」

うちの劇団員とか言ってたし。

 

「うん、そうだよ」

「…そうなんだ……」

 

そういえばこいつ結構成績が残念だったっけ。

 

 

中学のときは何度もテスト前に、赤点回避のための泊まり込み勉強会やったなぁ。俺んちで。

なぜ毎回我が家が合宿地に選ばれたのか今だによく分からん…一人暮らしだからか?

 

 

「それでもDクラスに入れるくらいの学力はなかったか?」

「Hu●uで映画観てたら成績落ちちゃった」

 

馬鹿だ。まごうことないバカだ。成績上げるために三人で結構頑張ったのに、無駄じゃねえか。

親父さんが頭抱える光景が目に浮かぶ。

 

 

「…Dクラスで思い出した。知ってるか?茜もこの学園にいるんだぜ?」

「知ってるよ。一緒に願書貰いに来たもの」

 

 

初耳なんですけど。

 

 

初耳なんですけど。え?なにそれ、え?二人で願書取りに行ったの?

 

俺なんて最初に学校見学に行って、その日のうちに神月学園(ここ)に入学しようって決めたけど願書貰い忘れて、再び一人で取りに来たのよ!?

 

 

「誘えよ俺も!」

「茜ちゃんが『ナツル(あいつ)は絶対騒動起こすから一緒はいやだ』って言って…」

「あのクソアマ!」合ってるのが腹立つ!

 

行きと帰りで何度も頭がおかしい奴に絡まれた。これは忘れてもいい記憶だな。

 

「まあいいや…この映画もお前が監督したのか」

「うん。みんな清涼祭当日は部活の方の出し物で忙しって言うから、スケジュール管理からカメラ撮影、編集まで!」

 

楽しそうだなお前。きっとウキウキで作業したんだろうな。

 

しかしそうか…こいつが作った映画か……

通りでなんかところどころで既視感があると思った。

 

「バトルシーンは主に茜ちゃんと瀬能くんのやり取りを参考にしました」

 

どーりで既視感があると…

 

 

「あの女怪盗が警棒でスーパーマン殴打するシーンも?」

「実際にやられてたでしょ?」

 

 

うん。

 

 

理由は忘れたが怒り狂った狂犬ガールに連撲の極み決められた。

 

思い出したら腹立ってきた。あとで復讐してやる。

 

 

「今の映画ひかりちゃんが作ったの!?」

「っ、!?だ…誰……?」

 

玲ちゃんがいきなり会話に割り込んできた。

 

そういや自己紹介の途中だった。

 

「この子は卯月 玲ちゃん。一学年下の後輩だ」

「そ…そう…」

 

ひかりちゃんの人見知りな部分が出てきたな…俺の服の端を掴まないでくれませんか?もう高校生なんだから。

クラスに馴染めてるの?…いや、自分の企画通せるんだから大丈夫か。

 

多分不意打ちがキツイ感じかなー。

 

 

「映画が好きらしいけど中々観る企画が無いそうだ。だから今回が初上映鑑賞だな」

「…!私の、映画が…!」

 

それなのにあんなクオリティでガッカリだよ。せめて俺や茜が出演してたらもうちょいマシだったろうに。

 

ひかりちゃんにがっっっつり演技指導受けたからな。

あの頃はなんか…構われるのが嬉しかったんだろうな。不真面目な茜と違って本気で練習してたから。

 

今日(こんにち)の俺の名役者っぷりの根幹だな。

 





●瀬能ナツルの裏設定①:信用してる人間は"くん"や"ちゃん"付け。

今のところ当てはまるのは呂布に善・玲、ひかりぐらい。Fクラスの人間は誰も信用してないのがナツルクオリティ。信用できないというのが逆に信用してるという矛盾したスタンスてことで(意味わからん)

え?茜をちゃん付けしてないって?ハハハ、やだなーもうそんなハハッ、察しなさいよ。

まぁ語呂が悪いとか相手からダメ出し受けたとかで、くんやちゃん付けで呼んでなくても信用してる子はいます。与一やワン子とか。


茜?ハッハハハハハー、察しろ。

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