一夏、織斑捨てたってよ   作:ダメオ

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一夏と秋彦の殴り合いの後の話です

ヌルいのであまり期待しないで下さい


番外編
駁羅家、黒幕を片付けるってよ


一夏と秋彦とラウラが去っていき、誰もいない砂浜にて、一人の少女が銀の福音の残骸に歩み寄る。その少女の名は、駁羅シャルロット。事後処理中で福音の残骸に手をつけてない今を狙ってやって来たのだ。彼女は福音の身体にある端末を繋げると、福音のデータはその端末から駁羅家に送られた。それからシャルロットはその端末を操作し、通話を始める。

 

 

『は〜い!こちら天才の束さんだよ〜!』

 

 

相手は篠ノ之束。シャルロットの姉とも言える存在であり、束もまた、シャルロットを妹として可愛がっている。

 

 

「お姉ちゃん、データはどうだった?」

 

『これは暴走じゃないよ。ちょちょいと中身を見たら分かった。目的は……いっくんの殺害だったよ』

 

「……ふざけてる」

 

『そうだねぇ、ふざけてるねぇ。よりによって、いっくんの命を狙うなんてねぇ……。ありがと、シャルちゃん!後は、わたし達に任せて!じゃ、ばいび〜!』

 

 

束の言葉を最後に通話が切れた。画面越しに見える束は、眼が笑っていなかった。

 

 

「(犯人……御愁傷様)」

 

 

シャルロットはその場で合掌してから足早に去っていった。

 

 

 

 

 

ー駁羅家・研究室ー

 

シャルロットとの通話が切れた後、尋稀が入ってくる。

 

 

「何してんの?」

 

「あっ、ひーくん。丁度良かった」

 

 

束は銀の福音のことを伝える。何者かが銀の福音のプログラムを弄って一夏を殺そうとしたことを伝えた瞬間、尋稀は携帯を取り出し、どこかに通話を始める。

 

 

「ちっと待ってろ。…………もしもし、キモヲタ?俺だ。……おっ、よく分かったなぁ。そう、そのプログラムを仕込んだ馬鹿を特定して欲しいんだ、今すぐに。……うん。うん。あぁ〜。はいはいはい……分かった。サンキューな。じゃあな」

 

 

尋稀は通話を終えて携帯を仕舞う。

 

 

「ウチのメカニックの調べだと、黒幕は日本政府らしい。アメリカ政府に日本政府の手先がいるらしく、そいつが銀の福音にちょっかい出したとのことだ」

 

「(出張中のメカニックさんって本当に何者?)

政府が繋がっていっくんを?」

 

「ああ。どうやら政府の中にも女尊男卑主義者がいるらしい。一夏と織斑兄を消そうと考えてるとか。だが、織斑兄には織斑千冬がいるから迂闊に手を出せない。だから、『織斑家の出来損ない』の一夏を殺そうとしたらしい。まあ、そうだよな。政府は誘拐犯の条件を織斑千冬に伝えず黙って一夏を見殺しにしようとしてたんだから」

 

 

尋稀が淡々と語ると、束の顔から完全に笑みが消え失せる。

 

 

「そして、政府の男連中はその死体を解剖して男でもISを使える方法を研究する目論見を立てて女尊男卑主義者を利用する形でその行動を黙認したんだと」

 

 

尋稀が笑みを浮かべ出す。実に殺る気に満ちた笑顔だ。

 

 

「とりあえず実行犯の女尊男卑主義者は殺す。まあ黙認した馬鹿共も、二度とおかしなことを考えないように軽く殴っとくか。俺、優しいから」

 

 

尋稀は笑顔で言う。その笑みから滲み出る殺意を前に、束は思わず鳥肌が立つ。だが、自分も日本政府には用があった為丁度いいとも考えた。

 

 

「ねぇ、ひーくん。わたしも連れてって?」

 

「よし!狗澄ィ!デッドォ!」

 

「ー一ーなんでしょう先輩!」

 

「ー一ーヒンヒン!」

 

 

突如尋稀の下に現れる狗澄と跪いてるデッド。駁羅家恒例である。

 

 

「デッド、端末にターゲットの情報をやるからアメリカ政府にカチ込んで殺ってこい」

 

Yes,sir!my master‼︎(畏まりました!オレの御主人様!!)

 

 

デッドは尋稀と同じような笑みを浮かべ、その場から消えたかのように走り去った。

 

 

「残った俺達は日本政府にカチ込むぞ!」

 

「了解!」

 

 

尋稀はギラついた笑みを浮かべて言い、歩き出すと狗澄と束はそれについていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本政府本部に、デストロイヤー現る。真正面から警備員を蹴り飛ばし、扉を蹴破り入ってくる狗澄と尋稀。そこに、ラファール・リヴァイヴを展開したSP達がやって来て二人を囲み、アサルトライフルを向ける。その数、およそ三十人。

 

 

「止まれ!貴様等は既に包囲されている!」

 

「……先輩。御命令を」

 

 

狗澄は淡々と言う。その左手には、納めてある背丈並の野太刀を持っている。

 

 

殺害(バラ)せ。以上(over)

 

「了解」

 

「ッ!!?」

 

 

狗澄は左手の鞘を手元で回して順手に持ち替え、その状態で近くにいた一人の女に左手の鞘で刺突を行い、絶対防御を貫いて先端を喉に減り込ませ、砕く。左腕が伸びきった状態、そこから狗澄は右手で自身側を向いた柄を掴み、鞘から引き抜くように抜刀する。

 

 

「シイィッ!」

 

 

喉に減り込んでいる左手の鞘を振り上げて顎をカチ上げ、身体を捻って右手の野太刀で下から上へと斬り上げる。そこから狗澄は目にも留まらぬ速さで残り十九人の女の間を駆け抜け、尋稀の隣で、野太刀を鞘に突き刺すように納刀する。

 

女共の身体がするりと動く。指が、腕が、耳が、顎が、鼻が、首が、離れ離れになり、やがて多くの断面から大量の血を流して血の海を作り、タンパク質の塊とISだった残骸が落ち、辺りに血を弾く。

 

 

「終わりました。次は?」

 

「実行犯を同じく殺害(バラ)してこい」

 

「ラジャー」

 

 

尋稀の命を受け、狗澄はその場から消えるように走り去る。そして、目標を捕捉する。その周りには、打鉄を纏った女が六人いる。

 

 

「(SP六、他愛なし!!)」

 

 

狗澄は再び目にも留まらぬ速さで駆ける。鞘で二人の女の頭を撲り、陥没させる。続いて野太刀で二人の首を飛ばし、残りの二人の胸元に鞘と野太刀を突き出し、一人を突き飛ばし、もう一人に刺さった野太刀を下げて胸元から下腹部まで斬り開き、臓物を撒き散らしながら野太刀を抜いてその勢いで振り向きながら野太刀を振るい、最後の一人の首を飛ばす。最後に、主犯の顔を横一閃に斬り、両目を潰す。

 

 

「あぁああああッ!!!」

 

 

女は顔を押さえて叫び、血を流しながら痛みに苦しみ、血と臓物と遺体が転がる床を転がる。狗澄は普段の好青年振りからは想像出来ない程に冷たい表情でその女を見下し、踏みつける。

 

 

「女だからって理由で偉ぶって、ISに乗る覚悟も無いくせに。男だからって理由で俺達のファミリィに、先輩の子である一夏君に手を出すなんて……ふざけてんじゃねぇよ糞アマァッ!!」

 

 

狗澄は憤怒に満ちた表情に豹変し、踏みつけた状態で女の腹部に野太刀を突き刺し、文字通り『かく拌』する。

 

 

「ぎぃっ!!ぶっ、ぶふぇ、ぁ、がぁ、ひっ、ひぃぎっ、ぶぅ、ふ」

 

 

女は腹部と口から血を噴き、垂れ流しながら野太刀の刃を掴んで手からも血を流す。だが、狗澄は止まらずに、掻き回す。

 

やがて、女の手の力は無くなり、苦悶の表情を浮かべて事切れた。

 

 

「ハァ……またやっちゃったよ」

 

 

狗澄はため息混じりに言う。普段の九十九狗澄は『ファミリィの良心』と言われる程の好青年だが、尋稀への侮辱とファミリィに仇なす者にはファミリィ随一の殺意を剥き出しにする『駁羅の狂犬』と化す。

 

 

「さて、後二人。今度はスピーディに無駄なく殺ろう」

 

 

狗澄は気を取り直してその場を走り出した。

 

 

 

 

 

一方尋稀は、笑みを浮かべて政府の要人連中に歩み寄る。良い年した中年の男共が、失禁しているのは実に滑稽だ。

 

 

「バ、バカな……生身で、ISの絶対防御を貫くなんて……」

 

「まあ、俺達鍛えてるからな」

 

「貴様ぁ……何が目的だ!?」

 

「決まってるだろ?駁羅一夏を殺そうとした政府の連中を殺しに来たんだよ。まあ、その目的は俺の部下が果たすだろうから、次は俺の連れの目的を果たそうか。オーイ!こっちだ!」

 

 

尋稀が呼ぶと、束が入ってきた。束は室内の惨状を見て顔が引きつりながらも血の海を避けて歩き、尋稀の隣に立つ。

 

 

「(くずみんって、こんなに強かったんだ……。わたし、結構くずみんのことパシリに使ってたけど、今後は控えよう……)

ハロー!みんな御存知の篠ノ之束さんだよ〜!」

 

「し、篠ノ之博士……!?」

 

「わたしの目的は一つだけ。実にシンプル!篠ノ之箒をIS学園から退学させて、監視を全部外してよ。じゃないと、隣のこわ〜いお兄さんに、オマエ等殺してもらうからね?」

 

「わ、分かった!今すぐ連絡する!」

 

 

男共は即急に行動を開始した。それから五分で、篠ノ之箒はIS学園の生徒でなくなり、監視の目もない、後ろ盾もない、正に普通の女の子になった。

 

 

「御苦労様でした!じゃ、後はひーくんお願い!わたしはちょっと後片付けしてくるから!」

 

 

束がその場を立ち去った後、尋稀は再び笑みを浮かべる。

 

 

「さぁて、次は俺の目的を果たそう」

 

 

尋稀は一人の男に歩み寄り、頭に拳骨を叩き込む。その拳骨を受けた男の頭は陥没し、鼻血を流しながら倒れる。

 

 

「ヒィッ!?」

 

「これは見せしめだ。次、お前等がふざけたことをやる気なら、お前等もこうなるからな」

 

 

尋稀は倒れた男の頭を踏みにじる。まるで、風船を踏んだ時のように、呆気なく潰れ、辺りに赤いモノを炸裂させた。

 

 

「俺は帰るから。お前等は今日、何も見なかった。いいな?」

 

「はっ、はいっ!!」

 

「いい返事だ。後はお片付け専門の連中が来るから待ってろ。今後はこの国を良くする為に動けよ。じゃ、また悪さをした時に会おうぜ」

 

 

尋稀は爽やかな笑みを浮かべてその場を去った。男共は、室内の惨状と尋稀が退室した安心感から精神状態が混乱し、失神した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー旅館・一室ー

 

事後処理が終わり、警戒態勢が解除された後、秋彦は箒の部屋に来て、言った。

 

 

「ーーー箒……僕達の関係、今日で終わりにしよう」

 

 

秋彦の一言が、箒に突き刺さる。箒は信じられないといった表情で秋彦を見つめる。

 

 

「秋彦……?何故、何故だっ!?何故そんなことを言う!?」

 

「僕は、箒といることに疲れてしまったんだ……ごめん」

 

「ふざけるなッ!!私は認めないぞ!?お前と私は結ばれる運命にあったんだ!今更切れると思っているのか!?」

 

「それだ!箒のそういう所が、もう僕には耐えられないんだ……。本当に、ごめん」

 

 

秋彦の言葉に箒は絶句した。秋彦は足早に部屋から出て行った。箒は一人、その場に佇む。

 

 

「……もしや、一夏に唆されたのか?そうだ、そうに決まってる。秋彦が、私を嫌うわけない!ならば……一夏を今度こそ、仕留めてみせる!」

 

「ーーーそれは叶わぬ願いだよ。箒ちゃん」

 

「……えっ?」

 

 

箒の目の前に、ある女性が現れた。その女性は、過去に箒と絶縁した実の姉である篠ノ之束その人だった。箒は憎しみの篭った眼差しを束に向ける。

 

 

「頭の次は耳も悪くなった?ならもう一回言ってあげる。『それは叶わぬ願いだよ。箒ちゃん』」

 

 

対する束はまるで路上の端に転がる石ころを見るような眼差しで箒を見つめ、無表情で言い放つ。

 

 

「貴女にそんなことを言われる謂れはないッ!」

 

「あるんだなぁ、それが。いっくんはわたしの大切な人だから。そのいっくんを傷付ける原因となったオマエを、わたしは許さない」

 

「貴女は……貴女はそうやってわたしの邪魔をする!!」

 

「心外だなぁ。わたしは石ころに手を出す趣味はないよ?」

 

「ふざけるなァッ!!」

 

 

箒は木刀を取り出し、束に殴りかかる。束はその木刀を平然と片手で掴む。

 

 

「なっ……何ッ!?」

 

「……ぜーんぜん、成長してないねぇ」

 

「ッ!!」

 

 

束は無表情のまま言い放ち、箒を蹴り飛ばして壁にぶつける。だが、箒は再び立ち上がり、木刀を構える。

 

 

「うおぉぉぉぉッ!!」

 

 

吼えながら木刀を振るう箒。だが、束はそれを回避する。

 

 

 

「ハァ……もういいでしょ?」

 

「ぐはっ!」

 

 

そして、木刀に手刀をぶつけて木刀を折り、箒の腹部に掌底を叩き込んでから再び蹴り飛ばして壁に叩きつける。

 

 

「ッ!!ぐっ……!」

 

「残念だったねぇ、箒ちゃん。わたしってば頭脳もさることながら肉体も細胞単位でオーバースペックだから。わたしのことを叩きのめしたいなら、ちーちゃんを叩きのめすくらいには使えるようになりなよ。ま、そんな機会は与えないけどね。今後、二度と」

 

 

束は箒に歩み寄り、箒を踏みつける。

 

 

「うっ!」

 

「オマエのせいでいっくんは傷ついた。そして、オマエは今後いっくんの妨げになるだろうからわたしが排除する。まあ、元でも妹だから情けをかけて命までは取らないよ。今からどこか遠い島国にでもほっぽり出すだけ」

 

「な、何故……ーーーッ!?」

 

 

箒は束を見て顔を恐怖に染めた。束の眼からハイライトが消えており、目つきを鋭くして睨んでいたからだ。

 

 

「わたしねぇ、いっくんの為ならどこまでも堕ちれるよ?いっくんの為なら、肉親だって、神様だって殺してみせる。オマエみたいに、織斑秋彦を束縛してるだけの役立たずとは違うんだよ」

 

 

束はそう言い放ち、何度も何度も踏みつける。やがて、ボロボロになった箒のポニーテールを掴んで引きずり、ドアの前に立つ。

 

 

「話は政府に通したよ。『篠ノ之箒は今回の件でIS学園から退学処分。そして政府に身柄を拘束されることとなった』って名目だけど政府の連中の監視はないよ?箒ちゃんは自由の身。まあ、残りの人生は日本では過ごせないけどね」

 

「い……嫌だ!嫌だァ!!誰か!助けて!助けてぇっ!!」

 

 

暴れ出し、泣き喚く箒に束は面倒臭そうな表情を浮かべてから注射器を取り出し、箒の首筋に刺す。その瞬間、箒は意識を失った。

 

 

「ハァ……コイツの目の前に立っただけでかなり疲れたよ。さてと、手早く運んで〜」

 

 

束がそう言うと、扉が開いてスーツ姿のデッドが現れる。アメリカ政府の要人を殺害した後に政府の人間を偽ってやって来たのだ。

 

 

「束っちゃん!協力したお礼にお乳揉ませてよ!」

 

「地獄に堕ちろ」

 

 

束は笑顔でデッドの顔に右ストレートを叩き込み、デッドは笑顔で倒れてから起き上がる。やはり無傷で。

 

 

「やっぱし束っちゃんの乳揉んでいいのはいっちゃん君だけなん?」

 

「そう、わたしの全てはいっくんのモノなの。他の人は絶対イヤだもん!」

 

「へぇへぇ、ご馳走さんでしたっと」

 

 

デッドはヘラヘラと笑いながら言い、箒を担ぐ。

 

 

「んじゃ、この子は他国にトバしちゃいますねぇ?」

 

「うん、お願いね」

 

「ウェーイ」

 

 

デッドは笑顔で返事してから部屋を出て行った。

 

 

「……じゃあね、篠ノ之箒。まあ、せいぜい長生きしなよ?」

 

 

一人部屋に残った束は無表情で呟いた。束は何も感じなかった。縁は切れたが血の繋がった妹を失っても、何の感情も抱かなかった。

 

 

「……酷いなぁ、わたしって」

 

 

心は何も感じないが、この行為が道徳的にどれほど業の深い行為かは知識として理解している天才は一人呟いてから部屋を出た。目指すは、最愛の人の下である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー船内・倉庫ー

 

「んっ……っ。こ、ここは?」

 

 

箒は身体の痛みに顔を歪めて目を覚ます。起き上がり周りを見ると、そこはどこかの船の倉庫のようだった。箒は動こうとしたが動けなかった。荒縄で両手を縛られ、且つ両足も縛られていた。

 

 

「おっ、お目覚めかな?シノノノホウキさん」

 

「……お前は?」

 

 

そこにいたのはデッド・ウォルノックス。スーツ姿から一変、仕事用のオシャレな服装に変わっている。

 

 

「そうだな……強いて言うならば、死神かな?」

 

「し、死神?」

 

 

デッドは笑みを浮かべて言う。そして、一度ひらりとその場でターンしてから右手をロングコートの内側に入れる。デッドはそこから右手を抜くと、どのような仕組みなのかは解らないが身の丈程の大鎌を取り出す。

 

 

「なっ、何をする気だ……!?」

 

「この状況なら、バカでも分かるでしょ?死神が鎌持って君の前に立ってるんだ。やることは一つっしょ?」

 

 

デッドは相変わらずニヤニヤとした笑みを浮かべて鎌の刃を箒に向け、頬を少しだけ斬る。

 

 

「キミの命はオレが頂く。こればかりは束っちゃんも知らない。オレの独断で、キミを殺らせて頂くよ」

 

「や、やめろ!いいのか!?私のことを殺してみろ!日本政府は黙ってないぞ!!?」

 

「人の話は聞こうよぉ……束っちゃんが言ってたじゃない。政府はキミの監視を辞めたってさ」

 

 

デッドが苦笑しながら言うと、箒の顔は見る見る内に青ざめていく。

 

 

「い、嫌……嫌だぁ!!死にたくないっ!死にたくないっ!!死にたくないっ!!」

 

「……では、これにて」

 

「いや……いや……いや……っ!いやぁ……っ!!」

 

「御機嫌ようッ!」

 

「いやあぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁッ!!!」

 

 

泣き叫ぶ箒を見下しながら、デッドは鎌を振り上げて、絶叫する箒の頭目掛けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

「……クックック、ヌフフフフ…………」

 

 

デッドは叫ぶのを辞めて倒れている箒の前で、無音の倉庫の中で一人笑っていた。

 

 

 

 

 

その鎌の刃が斬ったのは、ポニーテールとリボン、そして箒の心だった。

 

 

「殺しはしなーいよん!キミを殺すと鎌が汚れそうだし。まあこれで良くてASD、悪くてPTSDですなぁ。いやぁ、いっちゃん君がやられた憂さ晴らしは出来たし、いたいけな女子の悲鳴は聞けたし、お小水漏らした瞬間を拝めたから良しとしようかな?」

 

 

デッドはニヤニヤと笑みを浮かべて言う。そして、倉庫の扉にどこでも玄関を付ける。

 

 

「さらばだ、篠ノ之箒ちゃん。聞いてないだろうがもし生き延びたいなら自分の身体を売りな。そして、お淑やかに御奉仕しな!その胸でも、使ってね?では、バイなら!」

 

 

デッドは扉を開いて駁羅家へと戻り、倉庫には箒だけが残った。これからの箒の末路は、この妄想の年齢設定的にはとても見るに耐えない下劣な内容であり、筆者の文才では読者に読ませる程の文に出来そうにないので割愛させて頂く。




次回は鈴ちゃんの話を
書こうとでも思っています

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