ソードアート・オンライン~神速の剣帝~   作:エンジ

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ggo2話

 菊岡から直接依頼を受けてから約一週間後。

 俺は彼が言っていた『安全措置』の内の一つであるとある病院の一室の前に来ていた。この一週間、GGOというゲームの情報を集められるだけ集めたが、それだけでトッププレイヤーたちに太刀打ちできるとは到底思えなかった。

 とはいえ、有益な情報を手に入れたことも事実だ。

 どうやらGGOにもSAOにあったような、ステータスが存在している。プレイヤーたちはレベルを上げるごとに受け取ることができるポイントを好きなように割り振ることで自分好みのキャラを作るそうだ。ただ、そのステータス値はGGO内の戦闘に大きく左右されるようで、今回のターゲットである《死銃》の手によって亡くなったとされる茂村氏も、《ゼクシード》としてどのようなタイプのキャラクターが強いのかあちらこちらに提唱していたらしい。もっとも、彼がなくなる直前にいた《MMOストリーム》では、彼が今まで提唱してきた《AGI(敏捷力)》型最強説を自ら否定し、《STR(筋力)-VIT(体力)》型が最強を提唱し始めていた。その理由もしっかりと筋が通っていて、今後の変動予想としてはよく出来ていたものだった。

 しかし、AGI型が強かったのは事実であり、実際《ゼクシード》と共に《MMOストリーム》に出演していた《闇風》と呼ばれるプレイヤーはAGIがん振りのステータスだった。そのステータス値で、ゼクシードに競り負けたにも関わらず前回の最強者決定大会で準優勝だったということは、俺にとっては大きな援護射撃だ。

 何故なら、これから俺はALOのキャラクター・データをGGOにコンバートするからだ。

 

 コンバートとは、簡単に言えば能力値の継承だ。

 ある会社が運営しているゲームで使っていたアカウントで、他の会社が運営しているゲームをプレイしようと思った場合、最初に二つの選択肢が与えられる。

 一つは新規アバターを製作してそのままプレイすること。

 もう一つが、そのアカウントでプレイしていたゲーム内のキャラクター・データを移行させることだ。この二つ目が、《コンバート》というシステムに該当する。

 コンバートで作成されたキャラクターは、前のゲームのキャラクターのステータス値を相対的に引き継いでいる。簡単に言えば、前のキャラクターが《中の上》程度の能力値だった場合、引き継ぎ先のキャラクターも《中の上》程度の能力を持つことができる、ということだ。

 ただしこれは、キャラクターのコピーを増やすというシステムではない。コンバートをした瞬間、元のゲームのキャラクター・データは完全消滅し、そのキャラクターが持っていたアイテム類も引き継がれることなく消滅する。そのため俺は、ALOでの《ラテン》が持っていたアイテム、装備すべてを妹であるコトネに預けている。

 もちろん事情はすべて説明しており、彼女も渋々納得して受け入れてくれた。ただ、俺が再び危険に飛び込もうとしていることに対して怒っているようで、その日から態度がちょっとだけ冷たいのは気のせいではないだろう。

 

「無事帰ってきたら、ご機嫌取りにまたスイーツ食べ放題にでも連れて行ってやろうかな」

 

 一週間たった今でも、思い出すと若干気持ち悪くなるが妹の機嫌が直るのなら安いものだ。

 一呼吸おいて、病室のドアをノックする。数秒も立たず中に入るよう促されたため、ゆっくりとドアをスライドさせた。

 

「今日一日お世話になります。大空天理です」

「君が大空君ね。私はあなたたちの状態管理を任されている《安岐ナツキ》です。よろしくね」

 

 中に入れば、若い女性看護師が自己紹介をしてくれた。

 ナースキャップの下の長い髪を一本の太い三編みにまとめ、その先端には小さなリボンが揺れている。目線は俺よりも少し低いものの、女性にしてはかなりの長身だ。おまけに、ボンッキュッボンでメガネ付き。こんな人に看護されていたら別の意味で心臓に悪いだろう。

 

「はい、よろしくおねが――」

 

 にこにこと笑みを浮かべた小作りな顔のナースに頭を下げようとした時、視界に相棒である和人の姿が映った。上半身裸姿の。

 

「お、おまっ……明日奈という人がいながら……!」

「誤解だ! で、電極貼るために脱げって言われたんだ、信じてくれ!」

「あ、ああ、なるほどな……でもお前、そういうところがあるからなぁ……」

「ねぇよ!」

 

 よく見れば、二つの用意されたベットの横には仰々しいモニター機器が並んでいる。おそらくこれも『安全措置』の一環だろう。

 納得しつつも怪訝な視線を送り続ける俺と弁解する和人を見て、安岐が小さく噴き出した。

 

「じゃあ、大空君も服を脱いでベットに横たわってねー」

「わかりました」

 

 俺は多少羞恥心を拭いきれないまま、おずおずと来ていた服を脱ぐと電極を貼るために目の前に来ていた安岐が声を漏らす。

 

「へぇ、大空君ってたくましい身体をしてるのね」

「そ、そうですかね?」

 

 確かに日ごろからトレーニングをしているため、あまり無駄な肉はついていないが、こうも初対面の人――しかも女性にまじまじと見られると流石に恥ずかしい。

 

「あらら、照れちゃって。可愛い」

 

 小悪魔的笑みを浮かべる安岐に対抗するカードを俺は持っていない。なすがままにされていると、不意に冷たい視線が投げかけられていることに気が付いた。

 

「天理……お前……」

「…………何も言うな」

 

 静かに言えば、呆れたようなため息が聞こえてくる。

 とりあえず俺は言われた通りにベットに横たわると、安岐が慣れた手つきで電極を貼っていった。それを終えるのを見届けると、頭上にあったアミュスフィアを頭にかぶった。

 

「二人のカラダはしっかりと見てるから、安心してね」

 

 安岐の言葉に俺と和人は頷くと、同時に叫ぶ。

 

「「リンク・スタート」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い放射光が止み、一番最初に目に飛び込んできたのは無数の高層建築群だった。空高く伸びるそれらを空中回廊が網目のようにつながれており、どこか近代的な建物を連想させる。その下を形成するのは、この街のメインストリートらしき広い通りだ。道の左右には怪しげな雰囲気の商店が並び、その前を行き交う人々を見て思わず声がこぼれる。

 

「うわ……ごつい男ばっかだな」

 

 いつもよりトーンが高いような気がするが気にせず正面を見据える。

 メインストリートを歩く人々はそのほとんどが迷彩のミリタリージャケットやら黒いボディアーマーやらを着た筋骨隆々な男性ばかりだ。そして、その肩や腰にはこの世界のメインウェポンである《銃》をぶら下げられている。はたから見たら物騒にもほどがあるが、それがこのGGOという世界なのだろう。

 とりあえず一緒にこの世界へ来たはずのキリトを探すため辺りを見回してみる。しかし、二メートルほど左に離れた、黒い長髪を持った俺よりも少し背の高い女性以外にこの周辺にはプレイヤーはいなかった。後ろを見れば、初期キャラクターの出現位置に設定されているであろうドーム状の建物が存在しており、キリトもこの場所にいるはずだ。

 

「……気が乗らないけど、あの人に聞いてみるか」

 

 俺が上を見ている間に先に進んでいった可能性もあるため、ほぼ同じタイミングでこの世界にやってきたであろう少女へ声をかけた。

 

「あの、すいません。ここら辺で僕の他にプレイヤーを見かけませんでしたか? その人と待ち合わせをしてて……」

 

 できるだけ丁寧で慎重に聞く。初対面でいきなり男性プレイヤーから陽気に声を掛けられれば、ナンパだと思われるだろう。この場限りの関係であるとはいえ、嫌な目で見られるのは気分が乗らない。

 とはいえ、声をかけてから思ったのだが俺よりも身長が高いにもかかわらず少女のような小ぶりな顔づくりだ。てっきり凛とした大人な女性だと思っていたのだが。

 

「……えっと、見てはいないかな。実は俺も人と待ち合わせしてるんだ。逆に、見かけてないかな?」

「いや、見かけてはないですね……」

 

 少女の言葉に口ではそう答えながらも心の中では疑問が浮かぶ。

 ――『俺』?

 確かにこの少女は自分のことを『俺』と言っていた。もちろん、女性にも自称するときに『俺』を使う人はいるかもしれないが、大半の女性は使わないだろう。とはいえ、こんな血なまぐさい世界へやってきたのだ。雰囲気に合わせて自称を変えていても不思議ではない。心の中で何かが引っかかりつつも、それを押しとどめていると、目の前の少女が困ったような表情をしながら辺りを見渡す。

 

「そうですか……」

「お役に立てず申し訳ありません」

「いえいえ、こちらこそすいません…………ったくどこに行ったんだよ『ラテン』の奴……」

 

 少女に頭を下げて踵を返そうとしたとき、少女が小声で言った言葉を俺は聞き逃さなかった。

 

「……今、なんて……?」

「え?」

「いや、今誰かの名前を呼んだ気がして」

「……ああ。俺が待ち合わせしているプレイヤーです。『ラテン』っていうプレイヤーネームなんだけど……」

「……もしかしてお前、『キリト』か?」

「へ……?」

 

 目の前の少女が目を丸くする。

 これで間違っていたら相当恥ずかしいのだが、ここで待ち合わせをしていてそのプレイヤーの名前が自分と同じなんて偶然、起きるだろうか。

 呆けた表情のまま目の前の少女は震える手で俺に指をさす。

 

「お、お前、ラテンなのか…………でも、だったらなんで女に……」

「いや、それはこっちの台詞だ。どっからどう見たってお前も女にしか――え? 女?」

「へ?」

 

 俺たちは互いに間抜けな表情をすると、同時に自身の体に視線を向けた。

 両手の肌は白く滑らかであり、指は男のものとは思えないほど細い。腕も、ストリートを歩く男たちのようなたくましいものではなく、服の上からでもわかるほど華奢なものだ。そして、それを見ている間に、はらりと白銀の毛髪が俺の頭上から垂れてくる。

 

「……は?」

 

 驚いて掴んでみれば、しっかりと掴んだ感触と掴まれた感触が伝わってくる。間違いなくこれは俺の髪の毛だ。

 次いで背名に手を当ててみれば、腰までとは言わないが随分と長くまで伸びた自分の髪が存在を主張していた。

 ――なんか違和感があると思っていたけど……これか 

 この世界にやってきてからの違和感を解決する。

 しかし、何故キリトは俺のことを『女』だと言ったのだろうか。髪の長い男性プレイヤーだって存在する。いや、確かにこれほど細い体つきでは間違えるかもしれないが、顔つきまでは――

 そこまで考えて、顔を上げれば俺と同じように顔を上げた少女と目が合った。ほぼ同時に、ごくりとつばを飲み込むと、背後にあったドームの外壁を飾るミラーガラスへこれもまたほぼ同時に張り付いた。

 

「なんだよ、これ……」

「うそだろ……」

 

 キリトと俺は絶句する。

 ガラスに映っていたのは、まぎれもなく女姿のプレイヤーだった。

 夜空に輝く月のような白銀の長髪に、小ぶりな顔立ち。瞳はクリッとしていて、髪と同じ銀色がこちらをじっと見つめている。身長も心なしか低く見えるのは気のせいではないだろう。

 固まったまま動かない二人の少女を映した鏡に、突然男性プレイヤーが飛び込んできた。

 

「おおっ、お姉さんたち運がいいね! そのアバター、F一三〇〇番系でしょ! め~~~ったにでないんだよ、そのタイプ。どう、今なら始めたばっかだろうしさあ、アカウント事占い? 二メガクレジット出すよ!」

「お姉さん……?」

 

 その言葉である可能性に至った俺は、慌てて自分の胸部を両手でまさぐる。だが幸いにも、柔らかな双璧はなくひたすら平らな胸板があっただけだ。どうやら本当に女性プレイヤーになってしまったわけではないらしい。

 最近のVR系ゲームは、そのほとんどすべてのタイトルでプレイヤーとアバターの性別を変えることを禁じている。異性のアバターを長期間使用していると、精神的・肉体的に無視できない悪影響があるから、というのが理由らしい。

 

「あー……、悪いけど俺、男なんだ」

「あ、俺もそうです」

 

 いつもよりも声のトーンが高かったのは気のせいではないらしい。否定したはいいが、この声では誤解されても文句は言えない。

 心の中で苦笑していると、肩を落とし残念がると思っていた目の前の男はしばし絶句した後、先ほどよりも大きな勢いでまくしたて始めた。

 

「じゃ、じゃあ……そてM九〇〇〇番系かい!? す、すごいな、それなら四、いや五メガ出す。う、売ってくれ、ぜひ売ってくれ!!」

 

 よっぽどレアなのだろうここまで言われると少し考えてしまうほどだが、このアバターはコンバートしたものだ。これを売ってしまえば俺は、ALOに《ラテン》として戻ってくることはできなくなってしまう。

 

「すいません、このキャラ、コンバートなんです。金には替えられません」

「俺もだ」

「そ……そうか……」

 

 キリトも俺に同調すると、今度こそ目の前の男は肩を落として残念がっていた。しかし、よくある悪質なセールスマンとは違い聞き分けはいいらしく、透明なカード上のアイテムを渡しながら潔く引き下がった。

 

「まあ、気が変わったら連絡してくれ」

 

 そう言うと、踵を返して立ち去って行った。キャラ名などが記されたそのカードは数秒もしないうちに発光し、跡形もなく消滅する。おそらくアドレス帳のようなものにデータが保存されたのだろう。

 

「……どうする?」

「どうもこうもこのままで行くしかないだろ」

 

 俺の問いにキリトが肩をすくめながら答えた。

 キリトの言う通り、この容姿に文句を垂れたところで変化するわけではない。《死銃》と接触し、依頼を果たしてこの世界から出るまでは我慢しなければならないだろう。

 

「確か今日、大会があるんだよな」

「ああ。早速エントリーしに行こうぜ」

 

 本日から《バレット・オブ・バレッツ》と呼ばれる最強者決定イベントが開催される予定だ。この大会の前回優勝者は今回犠牲になった《ゼクシード》であるため、この大会で目立つことができれば《死銃》と接触できる可能性がある。

 先に歩いていくキリトを俺は慌てて追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おいキリト。ここどこだよ」

「さ、さあ……?」

「さあ、ってお前……」

 

 俺が意味ありげな視線を送って見せると、キリトは大げさに目を逸らした。

 勢いよく歩いていったキリトの後を付いていくこと数分。もはや引き返すこともかなわないほどに、道に迷ってしまった。こういう時に頼りになるのはマップなのだが、あまりにも道が入り組んでいるため、表示されている現在位置と照合するのには骨が折れる。こういう時は、人に聞くのが手っ取り早いだろう。

 キリトもその結論に達したようで、さっそく近場にいたプレイヤーに声をかけた。

 

「あのー、すいません、ちょっと道を……」

「お、おい……」

 

 俺が制止するとキリトも気が付いたようで、しまった、とでも言いたげな表情をする。そう。振り向いたのは、どう見ても女の子だったからだ。後姿を見てもわかるはずだというのに、この男の頭の中には道を尋ねることでいっぱいだったらしい。

 俺は心の中でため息をついた。

 VRMMOにおいて、男性プレイヤーが女性プレイヤーに「道に迷った」等々声をかける場合、その七割までナンパ目的だと断じていい。そんな行動をキリトはしてしまったのだ。

 危惧した通り、振り向いた女性プレイヤーの顔にあからさまな警戒の色が浮かんでいた。しかし、俺たちの予想を裏切って、意外にもその表情はすぐに消え去った。

 

「……あなたたち、このゲーム始めて? どこに行くの?」

 

 綺麗に澄んだ声で言うその口許には、かすかな微笑を浮かべている。

 可愛い、よりかは美しい類の顔立ちをした少女だ。さらさらと細いペールブルーの髪は無造作なショートヘアで、額の両側で結わえた細い房が印象的だ。くっきりとした眉の下に、猫科な雰囲気を漂わせる藍色の大きな瞳が輝やいている。

 嬉しそうな表情を見て、何故すぐに警戒を緩めたのか直感的に理解する。

 

 ――俺たち、女性プレイヤーだと思われてね?

 

 初期地点にも、道に迷うまでの道のりにも誰一人として女性プレイヤーは見かけなかった。おそらく、このGGOは圧倒的に男性プレイヤーが多いのだろう。まあ《銃》をメインに添えるような硬派な世界観が女性受けするか、と言われれば首を振るし、仕方ないと言えば仕方ない。

 そんな世界で自分と同じ女性プレイヤー――しかも初心者(ビギナー)から声を掛けられれば、嬉しくなるのは当然だろう。

 

「あー、えっと……」

 

 キリトは少し考えるかのように黙り込むと、数秒後、まるで開き直ったかのようにハスキーな響きのある声で続けた。

 

「はい、私たち初めてなんです。どこか安い武器屋さんと、あと総督府、っていうところに行きたいんですが……」

 

 ――こいつ、彼女を利用する気か!?

 

 どうやらさっきの沈黙は俺たちの性別が男であることを正直に白状するかどうかを迷っていたからだったようだ。とはいえ確かに、彼女には悪いがこのまま女性プレイヤーを演じ続けていたほうがいいのかもしれない。

 

「総督府? 何しに行くの?」

「あの……もうすぐあるっていう、バトルロイヤルイベントのエントリーに……」

 

 彼女の眼がぱちくりと丸くなる。

 

「え……ええと、今日ゲームを始めたばかりなんだよね? その、イベントに出ちゃいけないことはぜんぜんないけど、ちょっとステータスが足りないかも……」

「あ、私たち初期キャラってわけじゃないんです。二人で他のゲームからコンバートで……」

「へぇ、そうなんだ」

 

 藍色の瞳がきらりと輝き、口元に今度こそ明確な笑みが浮かんだ。

 

「いいよ、案内してあげる。私もどうせ総督府へ行くところだったんだ。その前にガンショップだったね。好みの銃とか、ある?」

「え、えっと……」

「私は特にないです」

「じゃあ、色々揃ってる大きいマーケットに行こう。こっち」

 

 くるりと振り向き、歩き始めた彼女の後ろを二人で追いかける。

 どうやらこの女性プレイヤーは相当このゲームをやっているらしく、迷路のような道をマップで確認もせずに涼しい顔を通り抜け、わずか数分で、先ほど言ったものであろう大きな店にたどり着いた。

 

「入ろっか」

 

 少女に促されるまま、俺とキリトは歩を進める。

 中に入ってまず驚いたのは、広大な店内だった。スペースを大胆に使い、多くのプレイヤーが不自由なく行き来している。壁際には、銃を映したパネルが無数に存在していて、この中のどれかをタッチすれば購入できるという仕組みだろうか。パネルの近くで、NPC店員らしき露出の大きい服を着た美女がプレイヤーたちに説明をしている。

 

「な……なんだか、すごい店ですね」

 

 キリトの言葉に、女の子は苦笑した。

 

「ほんとは、こういう初心者向けの総合ショップよりも、もっとディープな専門店の方が掘り出し物があったりするんだけどね。まあ、ここで好みの銃系統を見つけてから、そういうとこに行ってもいいし」

 

 この女性が言った通り、よくよく見てみれば店内をうろついているプレイヤーたちの服はどれも派手めな色のコーディネートが多く、初心者感が漂ってこないわけではない。

 

「さてと。あなたたち、ステータスはどんなタイプ?」

「……えっと、筋力優先、その次が素早さ……かな?」

 

 キリトが顎に手を当てながら答える。おそらくコンバートしてきた俺たちのステータスタイプは、コンバート前とほぼ同じ能力傾向のはずだ。

 

「私はAGIガン振り型ですね」

「そ、そっか……」

 

 女の子は一瞬驚いた表情をすると、すぐに目を伏せた。

 

「STA-AGI型のあなたは、ちょっと重めのアサルトライフルか、もうちょっと大口径のマシンガンをメインアームにしてサブにハンド感を持つ中距離戦闘タイプがいいかなあ……。AGI型のあなたは、メインをサブマシンガンか軽めのアサルトライフルにして、ランガンスタイルにするのがいいのかも……。あ……でも、あなたたちコンバートしたばかりだよね? てことは、お金が……」

「あ……そ、そっか」

 

 キリトは慌てて右手を振りウインドウを出す。俺も同じようにウインドウを出してみれば、〖 G: 1000 〗と表記されていた。どうみてもバリバリの初期金額だ。

 とはいえ、コンバートすればこうなることは当然だ。だから、この世界にログインする前に菊岡が言っていた『必要経費はこちらで出す』という言葉に従って、ある程度金が入ったクレジットカード情報を登録している。こうすれば、銃を購入するときにたとえ足りなくても、必要な分だけ現実世界のお金からこちらの通貨に換金される。

 

「私は大丈夫です。この時のために準備してきましたから」

「そっか。あなたは?」

「ええと……千クレジットしかありません……」

「まあそうだよね」

 

 女の子は小さく苦笑する。

 キリトはそれに伴って空笑いしたが、目線だけをこちらに向けてくる。その瞳には、『なんでお前は金があるんだよ』とでも言いたげなものだ。どうやらキリトは菊岡の援助からの援助を受けていないらしい。口頭で説明もされたし、渡された資料の中にも書いてあったはずなのだが。

 

「うーん……その金額だと、小型のレイガンぐらいしか買えないかも……。実弾系だと、中古のリボルバーが……どうかなあ……。――あのね、もし、よかったら……」

 

 女の子が次に言わんとしていることを俺はすぐに察した。どのゲームでも初心者が熟練者から過剰な援助を受けることはあまり褒められたことではない。とはいえ、キリトがこのままでは装備を揃えることができないのも事実だ。ここは俺の金で購入したほうがいいだろう。

 

「いや、ここは私が――」

 

 そこまで言いかけて俺は口を紡いだ。

 よく考えてみればキリトと同じ初心者である俺が、キリトに対して金を貸すというのはいかがなものだろうか。いくら準備してあるとはいえ、二人分の装備を揃えるにはそれなりの額が必要になる。それを軽く出してしまう俺の姿を、彼女の瞳はどう写すだろうか。

 きょとんと眼を丸くした女の子に対して、どういえば悩んでいるとキリトが慌てて首を振った。

 

「い、いや、いいですよ、そこまでは。えっと……どこか、どかんと手っ取り早く儲けられるような場所ってないですか? 確か、このゲームにはカジノがあるって聞いたんですが……」

 

 ――すまん、キリト!

 心の中で謝っていると、女の子は呆れたような笑みを浮かべた。

 

「ああいうのは、お金が余っているときに、スるのは前提でやった方がいいよ。そりゃあ、あちこちに大きいのも小さいのもあるけどね。確かこの店にだって……」

 

 くるりと頭を巡らせて、店の奥を指さす。

 

「似たようなギャンブルゲームはあるよ。ほら」

 

 細い指先が示す先には、ぴかぴかと電飾が瞬く装置が見えた。どうやら巨大なゲーム機のようだ。

 幅三メートル、長さは約二十メートル。金属のタイルを敷いた床を、腰の高さほどの柵が囲い、一番奥には西部劇に出てきそうなガンマンめいたNPCが笑いながら立っている。その横には看板があり、そこには三十万と少しの金額が表示されていた。大方、このゲームで勝てば、あのうちのいくらか、もしくは全額を入手できる、というような結構ありがちなギャンブルだろう。

 俺は再びウインドウを表示させて時刻を見る。現在時刻は十四時二十分。《BoB》のエントリーが終了するのが十五時ちょうどであることを考えると、二人分の装備を彼女に考えてもらう時間はなさそうだ。

 

「あ、じゃあ私は先に装備を買ってきますね」

「私が付いていなくて大丈夫?」

「一応いろいろ事前に調べてはいるので大丈夫だと思います。終わったらお店の外で合流、でいいですか?」

「うん、わかった」

 

 女の子が頷くのを見て、俺は踵を返した。案内板をよく見ながら店内を歩き回る。

 このゲームで、ステータスに対応する基本的な武器は一応抑えているつもりだ。STR型なら重火器、AGI型なら小火器などといったようなもので、俺はバリバリのAGI型であるため小火器であるサブマシンガンなどが基本的な武器だろう。そしてAGI型の戦い方は先ほど彼女が言っていたような《ランガン》スタイルがオーソドックスだ。

 ランガン――Run&Gun、簡単に言えば《走りまくって撃ちまくる》というスタイルだ。敏捷力を生かすことで、相手の弾を避けつつサブマシンガンの特徴である装弾数が多いことを利用して、弾をばら撒いて相手のHPを削る戦い方であり、前回《BoB》準優勝者である《闇風》も使っていたものだ。有効的な戦い方であることは間違いないだろう。

 

「サブマシンガン、ねぇ……」

 

 ただし、いくら《闇風》の戦い方をまねてもこの世界での戦闘経験が乏しい俺では、本人と戦闘することになったとき経験の差で負けてしまうような気がしてしまう。そして、AGIガン振り型の俺ならば、もっと他の戦い方ができるような気がするのだ。

 

「接近戦の瞬間火力ならやっぱりショットガンがいいかな……」

 

 敏捷力を最大限に発揮して近距離に持ち込めたら、サブマシンガンよりもショットガンの方がダメージを稼ぐことができる。ただし、重量はショットガンの方があるためその差がどれほど敏捷力に影響するのかはわかっていない。念のため軽めのサブマシンガンの方がいいだろうか。

 唸りながら徘徊していると、視界の隅にあるものが映った。

 

「これ……剣、か?」 

 

 見れば、銃が羅列する中に金属の筒のようなものが並んでいる。商品名には〖Photon Sword〗と書かれているため、剣なのだろう。事前に調べた時に見落としていたらしい。

 

「うーん、剣ねぇ……。ありかもな……」

 

 不慣れな銃よりも使い慣れた剣の方が幾ばくか安心感がある。戦闘スタイルを調べている時に見かけなかったということは、使用者があまりいないということなのだろうが、この世界に存在するということはきっと何かしら役に立つ可能性があるということだ。

 

「とりあえず……君に決めた!」

 

 ケースに並ぶフォトンソードの内、パールホワイト塗装のものを指先でタップする。出てきたウインドウから〖BUY〗を選択すると、ものすごい速さでNPCの美女が走ってきて、笑顔で金属のパネルのようなものを差し出してくる。板の中央には駅で改札口を通るときにICカードをかざすところのようなものがあり、戸惑いながらもそこに手をかざした。すると、軽やかなレジスター的効果音が響き、パネル上面に白いフォトンソードが実体化した。持ち上げてみれば、店員が「お買い上げありがとうございましたぁ~」と笑顔で一礼し、来た時と同じ速度で元の位置まで戻って行った。

 俺は右手に持ったフォトンソードのスイッチを動かすと、低い振動音と共に白銀に光るエネルギー刃が一メートルほど伸長した。さながらライ〇セイバーのようだ。

 

「意外と、軽いな」

 

 周囲に人がいないことを確認し、軽く振ってみる。円形断面の細長い筒状の剣からは、重さによる慣性の抵抗がほとんど感じられない。

 もう一度スイッチを動かしエネルギーの刃を引っ込めると、ストレージの中へしまう。

 

「装備するとしたら右の方がいいよな。そっちの方が抜きやすいし」

 

 長さ一メートルほどの実体剣ならば、いつものように左側に装備するのだが、このフォトンソードの実態部分は直径三センチ、長さ二十五センチの筒状の部分だけだ。このリーチで素早く抜くのなら西部劇の早打ちかのように、利き手である右側に装備しておく方がいいだろう。

 

「後は、牽制用武器だけど……」

 

 牽制するならばやはりサブマシンガンか、ハンドガンが一番最初に思い浮かぶ。ほとんどのプレイヤーがそのどちらかを選択するだろう。しかし、俺の中ではある武器が頭を離れようとはしなかった。

 自然に足取りはその武器の前に行く。

 

「……ショットガンは外せないよなぁ」

 

 確かに実用的なのはサブマシンガンやハンドガンだが、男心をくすぐられるのはやはりショットガンだ。

 俺は頭でイメージしたものと形状が近いものである、《ルイギ・フランキ製上下二段散弾銃 フィーリングスティール》をタップした。先ほどフォトンソードを買った時と同じ手順で購入すると、手に持ってみる。

 

「こっちは意外と重いな」

 

 刀の三倍から四倍くらいだろうか。あわよくば刀を帯刀するように左側に装備できれば、と思っていたのだがこれほどの重量ならばバランス的に厳しいだろう。

 

「買うとしたらショットガン用のホルスターだな」

 

 フィーリングスティールをストレージにしまうと今度は防具や弾が売っている場所へ歩を進める。

 ウエスト型のショットガンホルスターや予備の弾倉、接近するために使えそうな投擲物や事前の対人戦マニュアルに従って腕輪型の《対光学銃防護フィールド発生器》を買い込み、最後に薄手で白を基調とした服を購入購入してストレージにしまうと俺はマーケットを出た。

 行き交う人々にじろじろ見られながら待っていること数分。ようやく、ここへ案内してくれた女の子と装備を整えたであろうキリトがマーケットの入り口から姿を現した。しかし、出てきたや否や女の子の方はどこか険しそうな表情をしながら早口で開口する。

 

「ごめん、お待たせ。でも急がないといけないかも」

「へっ?」

「走りながら説明するね!」

 

 そう言って、呆けている俺をよそに女の子は猛ダッシュを始める。その後ろを慌てて追いかけ、数秒かかって隣に並ぶと張り詰めた声を上げた。

 

「あと九分で総督府に行かないと、《BoB》のエントリーに間に合わないの。いや、エントリー操作には五分は必要だからあと四分で……!」

 

 ウインドウを開いて時刻を見れば、ちょうど十四時五十二分になったところだった。だが、そこまで焦る必要があるだろうか。どのVRMMOゲームにも快適にプレイするためにテレポート的移動手段は設置されているはずだ。総督府がこの街の中心ならば、簡単に行けそうなものだが。

 

「あの、テレポートみたいなことはできないんですか?」

「……このGGOには、プレイヤーが起こせる瞬間移動現象はたった一つしかないの。死んで、蘇生ポイントに戻るときだけ。グロッケン地区の蘇生ポイントは総督府の近くだけど、街中じゃHPは絶対減らないから、その手は使えない……」

 

 キリトの言葉に女の子は焦った表情で答えた。

 俺は女の子の解説を聞いて絶句する。事前に調べたとはいえ、テレポート的移動手段の有無までは気にしていなかった。よくよく思い出してみれば、不自然な点はいくつか存在していた。初期キャラクターの出現地点や歩き回った街中、さらにはこの街で一番大きいであろうマーケットの近く。どの場所にもテレポートできるような装置は見かけなかった。マーケットにいる間に気付くべきだったと、思わず唇を噛む。

 

「……総督府は、あそこ。市街の北の端だから、まだ三キロはある……!」

 

 障害物が何もないまっすぐな道ならば、高い敏捷力を存分に活用すれば三分で三キロを走り抜けることはできそうだが、如何せんメインストリートを走っているため人が多い。この中をかき分けつつ走るのは非常に厳しいだろう。

 

「……お願い……おねがい、間に合って…………」

 

 女の子の悲痛な叫びに俺は何かないか、と周囲を模索する。すると、女の子の左隣を走っていたキリトが声を上げた。

 

「……あれだ!」

 

 キリトは女の子の手を掴み針路を傾ける。それに続くように追随してみれば、視線の先に〖Rent-A-Buggy!〗とネオンサインで表示された看板が首を伸ばしていた。おそらくキリトはあれを使おうとしているのだろう。

 人ごみを抜け三輪バギーの並ぶ場所に到達すると、キリトは半ば放り込むように女の子を後部座席に座らせ、前シートにまたがった。

 

「ラテン!」

「わかってる!」

 

 俺は飛び乗るようにして女の子の横に座り込むと、キリトが勢いよくスロットルを煽った。バギーは前輪を浮かせながら、弾かれたように車道へと飛び出す。

 

「きゃっ……!」

 

 隣で可愛らしい悲鳴が聞こえ、俺の左腕が強く掴まれる。

 

「しっかり掴まってて!」

 

 キリトが叫ぶと、俺は目の前に設置されていた手すりのようなものを両手で強くつかんだ。途端、バギーが猛加速をはじめ、キリトの前に設置されている速度メーターはあっという間に百キロを超える。空気を切り裂く音は、さながらジェットコースターに乗っているようだ。

 風圧で体が押しつぶされそうになっていると、隣で嬉しそうな笑い声が響く。

 

「あはは……凄い、気持ちいい!」

 

 見れば、少女が瞳を輝かせながら前方を眺めていた。最初に会った時は、どこか物静かで、クールという言葉が似合うような女の子だったが、彼女もこんな風に無邪気に笑うのか、と少し驚く。

 

「ねぇ、もっと……もっと飛ばして!」

「おーけー!」

「ちょっ……!」

 

 少女の言葉にキリトが呼応した。どんどん速度が上昇していき、メーターの針が二百キロに迫る。

 

「ちょっと待ってェェ!!」

 

 日本一速いジェットコースターと同等の速度の前に、俺はひたすら絶叫するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 総督府へと続く広い階段の手前にゆっくりと停車すると、俺はよろよろとバギーから降りた。だが、少女は俺の休息許さず、左手を掴まれると無理やり走らされる。

 

「これなら間に合う! こっち!」

 

 時計を見れば十五時まであと五分少々残っていた。これならば、エントリーに間に合うだろう。

 強引に引っ張られながら入った俺の眼に飛び込んできたのは、かなり広大な円形のホールだった。未来的なディティールの施された円柱が、十字の列を作って遥か高い天井まで続いている。周囲の壁には数多くのパネルパネルが設置され、正面にある一際大きなモニターには《第三回バレット・オブ・バレッツ》のプロモーション映像が流れていた。

 さらに引っ張られて、コンビニにあるATMのような形のした機械の前にたどり着くと少女は早口に言う。

 

「これで大会のエントリーをするの。よくあるタッチパネル式端末だけど、操作のやり方、大丈夫そう?」

「はい、やってみます」

「……私も、頑張ります……」

「ん。私も隣でやってるから、解らなかったら訊いて」

 

 少女に小さく感謝すると、俺は最後の力を振り絞ってモニターをタップする。メニューが開かれると、第三回BoB予選エントリーのボタンがすぐに見つかりそれをタップした。それらしき選択ボタンをタップし続けていると、名前や住所なのどの現実世界での各種データを入力するメニューが表示される。一番上には、

 〖以下のフォームには、現実世界におけるプレイヤー本人の氏名や住所等を入力してください。空欄や虚偽データでもイベントへの参加は可能ですが、上位入賞サプライズを受け取ることはできません〗

 と書かれていた。

 ここでいう《上位入賞サプライズ》とは、おそらくゲーム内ではどれだけ頑張っても手に入れることができないレアアイテムが相場だろう。

 

「うわぁ……」

 

 流石にこの選択肢には迷ってしまう。

 ただ、ゲーム内で現実世界の情報を入力するのはあまりよくないだろう。特に、今回の《死銃》の手口が解らない以上、安易に入力しないほうがいい。

 ――菊岡さんの情報でも聞いてくればよかったな……。

 小さくため息をつきながら、空欄のまま一番下の〖SUBMIT〗ボタンを押す。

 画面が切り替わり、エントリーを受け付けた旨の文章と、予選トーナメント表及び一回戦の時間が表示されていた。時間は三十分後、ブロックは〖B〗だ。

 

「終わった?」

 

 横から少女が声をかけてきた。

 

「ええ、無事終わりました。ありがとうございます」

「ううん、これくらい大丈夫だよ。それより、彼女と私は〖F〗ブロックだけど、あなたはどこ?」

「〖B〗ブロックですね。Bの三十一番」

「へぇ、Bなんだ……」

 

 少女は自分の画面に戻ると何やら操作し始める。数秒待った後、小さく驚いたように口を開いた。

 

「うわぁ……闇風がいるね。ら……て、ん……? これがあなたのプレイヤーネーム?」

「あ、はい。イタリアが好きなので……」

 

 苦笑してみせると、少女は「そう」と納得したかのように再び画面に視線を戻した。

 

「この番号だと……準決勝で当たっちゃうね。決勝だったら勝ち負け関係なしに上がれたのに……」

 

 どうやらこの大会は各ブロックの上位二人が《本戦》へと出場する権利をもらえるらしい。

 画面に再び視線を戻してみれば、《闇風》と書かれたプレイヤーの番号は二番だった。ブロックの人数は六十四人。彼女の言う通り、順調にいけば闇風とは準決勝で当たる計算だ。思わぬ巨壁が俺の道を塞ぐ。

 

「でも、頑張ってね。何でかな……あなたなら大丈夫って気がする」

「ありがとうございます。お二人も頑張ってくださいね」

 

 ブロックごとに予選待機場所は違うらしく、二人とはひとまずここでお別れだ。今の俺には、二人が本戦に行けるように祈ることしかできないだろう。

 

「じゃあ、また後で」

「うん」

 

 少女に軽く手を上げ、キリトとは目を合わせて小さく頷くと、俺はBブロック予選待機場へ歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 


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