ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

63 / 199
どうも、お待たせいたしました!!

とうとう今回は1周年特別コラボ企画小説、薮椿さんの小説『ラブライブ!~μ'sとの新たなる日常~』とのコラボになります!!


余計な事は書かず楽しんでください!!





【特別コラボ企画】3つの世界

 

 

 

 

 

 

 

 ここは研究室だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、そこにいるのはたった1人の女性のみ。見れば研究室自体がまず大人数で入れるような広さではなかった。()()()()()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()だと思わせるかのように。

 

 

 そして、その女性は何やら満足気な顔をしながら呟いた。

 

 

 

 

 

「か~んせいっ♪」

 その呟きとほぼ同時に、研究室のドアが開かれる。ノックもなしに開かれたドアに女性は驚きもしなかった。むしろ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かのように、笑みを零す。

 

 

 

「ったく、何だよ急に。まず秋葉から研究室に呼ばれた時点で嫌な予感しかしないんだが」

 入ってきたのは1人の少年だった。特徴と呼ぶべき特徴はないが、今日に限って言うなら、少年の首には薄くだが唇のような跡が残っていた。そんな少年は入室した途端に苦言を漏らす。

 

「もぉ~、毎回毎回そんな事言わないの♪ところでその唇の跡はどうしたの?」

 秋葉と呼ばれた女性は少年の苦言をものともせずに軽く流す。これはもう何回も繰り返されている出来事なのだからと言わんばかりに。

 

「毎回実験に付き合わされるこっちの気持ちにもなりやがれ!!……ことりに抱き付かれた時に隙を突かれて強く吸われたんだよ。あいつもさすがにこんな事するのはまだ慣れてなかったからか跡は薄いけど。まあこれならすぐに消えるだろ」

「零君達も相変わらずだねー♪お姉ちゃんも混ぜてもらおうかな~」

「勘弁してくれ……」

 軽く項垂れる零と呼ばれた少年。聞いていれば分かるが、この2人は姉弟の関係である。しかし一般家庭のような姉弟とは何かが少し違うような、そんな関係でもある。

 

 

「で、結局のところ何で俺を呼び出した目的は?今度はどんな実験に付き合わされるんだよ?」

「あら?今回は珍しく逃げないんだね?」

「逃げても結局最後には巻き込まれるから意味ないんだよ……。できれば穂乃果達は巻き込みたくないし」

 普通に聞いてみればおかしい話でしかない。研究の実験体として扱おうとする姉。それを不思議とすら思わない弟。これがこの姉弟の一風変わった関係でもあるのだ。

 

「さっすが零君、優しいんだね~!」

「うっせ!で、いいから早く言えよ。こっちも暇じゃねえんだ」

「もう、せっかちなんだからっ。……これよ」

 

 

 そう言って秋葉が手に持ったのは、缶コーヒーサイズの少し細長い筒状のような機械だった。

 

 

「……何だこれ?」

 メカを手に持った零の一言目の感想がそれだった。見れば側面の中心部には、昔のテレビに付いていた指でチャンネルを回す取っ手のようなもの。数字は1~3までしかない。

 

 取っ手の左側には時計のように時間のような数字が画面で表示されている。そしてそのすぐ下には小さな青のスイッチと赤のスイッチがあった。

 

 

 

 

「率直に言えば『パラレルリープマシン』よ」

「へえー、『パラレルリープマシン』か。そいつは凄えな。…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………え?」

 長い間を置いて、零は秋葉へと視線を向ける。それもバカみたいに目を見開いて。

 

「あれ、聞こえなかった?『パラレルリープマシン』だよ、それは」

「いやちょっと待てェェェえええええええええええッ!!ぱ、パラレルって、つまり、あれか……?俗に言う、別の世界とかそういう事を言ってんのか……!?」

「そうだよ?そのままの意味を名前にしたの。別の世界に行くための機械。名付けて『パラレルリープマシン』!!」

 脳の処理が追いつく前にショートした。そのおかげで零は気付く。そうだ、こいつは()()()()()だったではないかと。そのままの意味で()()()()()()()()()。それが神崎秋葉という人間だったのだ。

 

 

 まともな思考がこの姉に通じるはずがない。この姉に常識は通用しない。こんなマシンを1人で作れる事がその異常さを完璧に表している。

 

 

「はあ……もう驚くのも疲れるわ……。それで、このマシンで俺をどう実験したいんだよ。あれか、別の世界へ飛べってか。さすがにこれは俺でもビビるぞ」

「まあ別の世界へ飛んでもらうのってのは正解だけどぉ、先に私が別の世界に行って検証してきたからそこは安心してねっ!」

 そこで零はふと疑問を持つ。自分が実際に実験体として別の世界へ行ったなら、何故自分に言う?それに、

 

「じゃあさっき完成って言ってたのは何なんだよ。お前が行った時に何か不備があったんじゃないのか?」

 それを受け、零の指摘がそれを突いてくると分かっていたかのように、秋葉は零が手に持っているマシンに指を指した。

 

「ふふんっ、それはただ最初の段階で完成していたマシンの形がいかにもごちゃごちゃした形だったからコンパクトに改良したの!それだけだよ!」

「それだけかいっ!!」

 ついツッコミを入れてしまう。もう今更の事だから驚きはしないが、改めてこの姉はどういう頭の構造をしているのかと思う。別の世界へ飛ぶなど、普通なら有り得ない事。それを実現させて、しかも形がごちゃごちゃだったからと缶コーヒーのようなコンパクトな形にまで改良してしまう。

 

 常識とは無縁の生き物。自分の姉を例えるならこうだろうかと零は勝手に議論づける。

 

 

「で、ここからが本題。零君、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「は?」

 反射的に声が出てしまう。しかし考えてみれば不思議な事ではない。パラレルワールド。それはつまり別の平行世界とも言える。即ち、違う世界にも同じ人物がいても不思議ではないのだ。

 

「……いるのか、他の世界にもあいつらが?」

「平行世界と言っても全てが同じなわけじゃない。いるはずの人がいなかったり、いないはずの人がいる。それが別の世界よん。私が行った世界にはもう1人の私はいなかった。もちろん零君も楓もいなかった。もしくはいたかもしれないけど、別の知識を持っていて、彼女達と何の関わりももってないだけかもしれない」

 でもね……と、一呼吸置いてから、秋葉は確かにこう言った。

 

 

 

「μ'sのみんなはいたの」

 特に驚きはしない。さっき秋葉自身が言っていたから。別の世界の穂乃果達に会いたくはないかと。

 

「こっちの世界とは学年は違ってたけどね~。穂乃果ちゃん達はまだ2年生だったよ。ちなみに性格もこっちみたいな変態チックな子はいなかったよ♪」

「……一応お前の言いたい事は分かった。俺も別の世界の穂乃果達と会ってみたい気持ちはある。でもその目的は何だ?」

 零の知りたい事はそれだけだった。秋葉の言う事にはいつも何かしら“裏”がある。本来の目的は言わずに、上辺だけの目的を言っていつも零達を翻弄するのだから。対して、秋葉はいつも通りの涼し気な顔をしていた。

 

 

「はいこれ資料」

 途端に秋葉は1枚の紙を零に手渡す。それを見ると、まるで面接に行くための履歴書を思わせるような顔写真と、名前、その他諸々が書いてあった。

 

「何だよこれ。こいつがどうした。向こうの世界で穂乃果達を狙ってる悪党か何かか?」

 秋葉は即座に違うよと言うと、淡々と言葉を連ねていく。

 

 

「それに写っている男の子の名前は岡崎拓哉君。向こうの世界で穂乃果ちゃん達と幼馴染なんだ。それと、彼は零君の言う()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だよ」

 一部を強調して言う秋葉に、零は疑問をぶつけた。

 

「真逆?」

「そうっ、つまり穂乃果ちゃん達を何が何でも絶対に守ろうとする“ヒーロー”のような存在かな!」

「……」

 “ヒーロー”。それを聞いて、不思議と零はそれをすんなりと納得してしまう。別にこの少年が何なのか、たった今初めて写真を見ただけの零には分かるはずがない。なのに、すっぽりとパズルが当てはまるように納得がいった。

 

 

 

 何せ。

 ()()()()()()()()()()

 

 

「それにね、零君とはまた違うけど、彼もその世界で穂乃果ちゃん達を相手にハーレムしてるっぽいんだよねえ。好意にまったく気付いてないようだけど♪」

「ほーう、それはますます興味が出てきたな」

「あ、多分零君でも振り向いてくれないと思うから寝取ろうとするのはダメだよ?」

 んな事しねえよと、内心で軽く悪態ついてから零は決めた。

 

 

 

「……分かった。面白そうな奴だし、穂乃果達に会うついでにこいつとも会ってみてえしな」

「零君ならそう言うと思ったよ♪」

 穂乃果達を守ろうなんて、そんなものいつも自分も思っている事だ。向こうの世界の彼女達の事は何も知らない。でも、こっちの世界の彼女達の事は知っている。大切で、大事で、愛しくて、いつだって守って一緒に歩んでいきたい。本当の意味での“彼女達”だから、何か親近感のようなものを感じた。

 

 

 

「それから、私が会ってみないって言ったのも何だけど、接触しすぎるのは一応避けておいてね。別の世界同士の人間が接触するのは本当なら有り得ない事だし、後で何が起こるか分からないっていう危険もあるからっ♪」

「行く前に物騒な事言うなよ……」

 

 

 何はともあれ、行く事は決まった。まず秋葉はパラレルリープマシンの説明をする。

 

 

「3つある内の数字を2に回して。そう、それが私が事前に行った岡崎拓哉君がいる世界だよ。ちなみに1が私達のいる世界ね。3はまだ私も分からないけど、あったら面白いかなって♪」

 何やらこの姉は面白そうだからという理由で3つ目の世界まで巻き込もうとしたらしい。説明はまだ続く。

 

「でね、この時計みたいに表示されてるのはそのままの意味でとってくれていいよ。今はこっちの世界の時間で表示されてるけど、向こうの世界に入ったら違う時間に表示されるようにもなってるから安心してねんっ」

 どこまでも淡々と説明する姉に零は呆れすら覚える。何を思ってこんなマシンを作ったのか。そんな事を聞いても適当な事を言ってはぐらかすだろうが。説明は終盤に入る。

 

「最後はシンプルだね。青いボタンが向こうの世界へ行くためのスイッチ。赤いボタンがこっちの世界に戻ってくるためのスイッチだよ」

「青いボタンで1に設定すれば簡単なんじゃないか?」

「それもそうなんだけど、もしもの事を想定してどこの世界にいても赤いボタンを押せばこっち(1)の世界に自動で戻ってこれるように設定してあるんだ~」

「ふむ、確かにその方が俺としても便利だな」

 この姉にしてはマシな機械が出来たんじゃないだろうかと、零は本気で思う。まずこんなご都合マシンができる事自体が普通は有り得ないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあ、そんな感じで行ってらっしゃい!!」

 

 

 

 

 チャンネルを2に回す。あとはこの青いボタンを押せば別の世界へ行ける。

 

 

 

 

「へえ~意外と冷静なんだね?」

「まあ、お前が事前に行ったならまだ安心はできると思ってな」

 秋葉から3メートルほど離れて立つ。それだけで準備は簡単に済む。臆する事なく零は青いボタンを押した。

 

 

 すると、零の周りに青白い光が徐々に出始め、零のいる場所だけを強く光らせていく。

 

 

「へえ、さすが別の世界に行くだけあって、ファンタジーな感じがするな」

「あっ、1つだけ言い忘れてた事があったっ!!」

 感心する零をよそに、軽く何かを思い出したような口ぶりで秋葉はそれを零に放った。

 

 

 

 

「零君、そのマシンね、実は別の世界に飛ぶとその世界のどこかに勝手に落ちちゃうの!でも飛んだ付近に落ちてるからそこは安心してねっ♪ちゃんと探さないとダメだよっ!」

 

 

 

 爆弾を投下していった。

 

 

 

 

 

 

「いやまずそれを改良しろよォォォおおおおおおおおおおおおおおお―――、」

 

 

 

 

 

 

 最後までツッコミが叫び終わる事なく、零はその世界から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、今日はμ'sの練習がないからのんびりと1人で帰れますぞ~」

 

 

 

 

 

 

 学校帰りの道中。

 そんな独り言を呟いていたのは、茶髪のツンツン頭が特徴の少年、我らが岡崎拓哉だった。

 

 

 

 

 今日はμ'sの練習はなく、そういう時に行われる恒例の部室でのおしゃべりトークを無視して1人下校してきた。いくつかある、いつもの日常がそこにはあった。

 

 

 

 しかし、そういう時こそ日常は日常でなくなってしまう事もある。

 

 

 

 

 

 

「ん?何だありゃ?」

 

 

 

 

 ふと、道の前に何かが落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 そこら辺に転がっているゴミならスルーか拾ってどこかのゴミ箱に捨てるという選択肢が出てくる。しかし、『それ』はあまりにも目立ち過ぎた。缶コーヒーのようなデカさで、しかし缶コーヒーではなく、色は銀、所々凹凸(おうとつ)があって、明らかにおもちゃだと思わせるような、そんな物体。

 

 道の端ではなく、ど真ん中に落ちている『それ』を拓哉は拾う。

 

 

「最新のおもちゃか何かか?最近の流行りは拓哉さんは分かりませんの事よ?」

 何気なくそれをほんの遊び心で弄ってみる。()()()()()()()()()()()()()()()()、軽く振ってみたり、何だかんだで少年の心は今も好奇心旺盛だったらしい。

 

「交番に届けるあいだにどうやって遊ぶものか当ててやんよっ!」

 誰も聞いていない事を1人で叫ぶ。そうと決まればもう一度正面を確認してみる。そこには、()()()()()()()()()()()があった。

 

 

「ああ、このボタンを押せば何か音声が鳴るとかそんなやつか。特撮系のアイテムかな」

 

 

 

 

 

 そして、その青いボタンを、軽く、何気なく、何が起きるか分かりもしないで、少年は押そうとする。

 

 

 

 

 

「今すぐそのマシンから手を離せェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッッ!!」

「んあ?」

 

 

 突如だった。

 横手からそんな叫び声が聞こえた。ただ、その声は既に遅かった。拓哉の指は、()()()()()()()()()()()()()()()()()。そのすぐあとに、拓哉の周りに青白い光が出始める。

 

 

「うおっ、何だこれ!?最近のおもちゃはこんなに進化してたのか!?」

 当のマシンを起動させた本人は、そんな事お構いもせずに、ただ感心していた。そんな茶髪のツンツン頭を見ながら走っているマシンの持ち主の少年は、走る。

 

「くっそ!!着いた瞬間にもっと本気で探しておけば良かったッ!!おらァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!」

 青白い光が拓哉をより一層強く光らせる瞬間。ギリギリのところで、走っていた少年は拓哉の腕に触れる。

 

 

 

 

「え、なん―――、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 そして。

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 岡崎拓哉の日常は終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一言で言えば、それは街だった。

 

 

 

 

 

 

 いつも見ている景色と何ら変わらない。見慣れた街。

 なのに、景色というよりかは、時間だけが変わっているように見えてしまうのは何故か。

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、ここまで確認して、岡崎拓哉が何を思って何を言葉にするのか、とくとご覧あれッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………はい?」

 

 

 

 この有り様である。

 

 

 

「まじか……まじか……」

 一方で、もう1人、呆けている拓哉とは違い、色んな意味で四つん這いになっている少年がいた。

 

「何で外が逆にまた明るくなってんだ?いや、その前に……さっきの『おもちゃ』どこいった?というかアンタ誰だ?」

「ッ!!そうだ、まずはアレを探さねえと!!」

「あ、おい!」

 項垂れていた少年はおもむろに走り出す。それを見ていた拓哉も少年を追いかける。まだ頭が理解に追いつかないままでも、あの少年は何かに気付いている節があった。だから追いかけて話を聞く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意外と早くも『それ』は見つかった。

 

 

 

 

 

「ふぅ……早く見つけられて良かった……」

「なあ、アンタは誰なんだ?というか何が起こってるんだ?」

 拓哉から見れば『おもちゃ』にしか見えない『それ』を、零は大事そうに手に持ちながら拓哉の方へ振り向く。ようやく、“意識”が拓哉へ向けられた。

 

 

「お前何でいきなりボタン押すんだよォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!」

「うおわっ!?な、何だよいきなり!?ちょ、まっ、ゆ、揺らすなッ!体を強く揺さぶるんじゃぶべばぅっ!!」

 話しかけたらいきなり強く体を揺さぶられた。あまりにも強い揺さぶりにまともな言語を話せないくらいになっている。

 

「あ、悪い。やりすぎた」

「マジで吐く5秒前だったぞコノヤロー……」

 ようやく解放され、今度は拓哉が四つん這いになった。数分の休憩を挟んで、改めて2人は向き合う。

 

 

 

 

 

 

「俺は神崎零(かんざきれい)だ。一応学年で言うと高校3年生だけどタメ口でいい。親しく零って呼んでくれても構わないぜ」

「俺は岡崎拓哉(おかざきたくや)。学年は高校2年、よろしくな、神崎」

「あ、普通にそこは流すのね。あとお前の名前は知ってるよ」

「んな事は今どうだっていい。とりあえずアンタなら何か知ってると思って追いかけてきたんだ。一体何が起こったんだ?そのマシン?だっけ、それが本当は何なのか知ってんのか?」

「ああ、これはだな―――、」

 

 

 

 

 そこから零は秋葉に教えられた事をそのまま拓哉に教えた。別の世界の事を含め、自分が別の世界では穂乃果達の何なのかを。

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、神崎は俺がさっきいた2の世界じゃなくて1の世界の人間。そして1の世界にも穂乃果達がいて、そっちの穂乃果達はもう3年という受験生、しかも雪穂や亜里沙や神崎の妹含めてμ's全員が神崎の恋人になっている」

「そうそう」

「しかもそのマシンを俺は起動させてしまって今いる世界は3の世界。つまりアンタの姉から聞いた話も合ってるかすら分からない。それに必要以上に別の世界の人間と接触すると何が起こるか分からない、と」

「そうそう」

 

 

 零からの説明を全部聞いて、自分でもう一度確認をとって、改めて、拓哉はこう言った。

 

 

 

 

 

「マジで?」

「マジで」

「マジかよ……異能だとか怪物だとか超人的な力とか、ましてやありえない科学力の発展とかないと思っていたのに……そんなのがそっちの世界にはあったのか……」

 そんな非日常な事がないと完全に思っていたから、拓哉は今まで『平凡』ながらに、『普通』ながらに色々と努力をしてきたが、今、本当におかしい光景を目の当たりにして、どうしようもない事実を突きつけられて、少し、()()()()()()()

 

 

「まあ、言ってもそんな異常なのって俺の姉くらいだし、それ以外は何ら普通の世界と変わらねえよ。至って平和な世界だぞ」

「何だよ少しでも憧れた俺の純粋ハートフルピュアな気持ちを返せコノヤロー」

「あれ?平和な世界だってフォローしたつもりなのに何でこんな事言われてんの?」

 少し傷つきかけた零は思い出す。秋葉に見せてもらった資料には、この茶髪のツンツン頭の少年が小さい頃から強くヒーローに憧れていると。

 

 

「あーそっか、拓哉はヒーローってやつを目指してるんだっけ」

「いきなり呼び捨てとか馴れ馴れしいなアンタ。……目指してるというか、憧れてるだけだ」

「何か違うのか?」

 このままこの場所にいるのも何だから、音ノ木坂学院に移動しながら拓哉は話す。

 

「目指してるって言うと、それはまだヒーローになれてないって事だろ。違うんだよ。俺は小学生の頃に決めたんだ。穂乃果達のヒーローになるって。だから、俺はもしもの事があれば、いつだってあいつらのヒーローであり続ける。憧れてるってのはただ凄いヒーローにってだけだ」

「へー」

 拓哉に話を聞いておきながら、零はまるで聞いていないかのように反応した。それに拓哉も気付いたようで、

 

 

「おい、聞いておいてその反応は何だよ。つうか自己紹介した時アンタは俺の事知ってたっぽいけど、それは何故なんだ」

「ああ、秋葉にお前の資料を見せてもらったからな。あいつの事だし、拓哉と面識自体はなくても十分調べは付いたんだろう」

「どんだけ恐ろしい姉なんだよ……。で、元々アンタは俺の世界の穂乃果達と俺に用があって来たんだろ。何が目的なんだ」

 道中、少し止まり自販機でジュースを買い、それを飲みながら零は言った。

 

「単純に別の世界の穂乃果達と会ってみたくなったからだよ。俺の世界にはいない拓哉にも興味が出たしな」

「言っとくが、神崎がそっちの世界で穂乃果達相手に羨まけしからんハーレムを築いてても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 零自身の事もさきほど教えてもらった。だから少し拓哉は警戒もしていたのだ。そんなハーレム野郎に自分の世界の穂乃果達にまで手を出さないかと。それは零は盛大に首を横に振りながら否定する。

 

「いやそんな事しないって!!さすがに俺もそこまで思ってないっての!!違う奴を惚れてるのに手なんか出せねえよ」

「あん?あいつらは誰にも惚れてないと思うぞ。男情報全然聞かないし」

「拓哉、お前……相当だな……」

 さすがの零も純粋に他の男に惚れている穂乃果達をどうこうしようとは思えない。もしできたとしても、拒否されて無理矢理抱き付こうなどとした場合には、きっとこの茶髪のツンツン頭の少年がやってきて殴られるに違いない。

 

「まあそれは拓哉自身がどうにかするとして、問題はそれどころじゃなくなったってとこだ」

「それなんだけどさ、神崎」

「何だ?」

「お前が持ってるそのマシンで今すぐにでも元の世界に帰れるんじゃないのか?」

「……」

 

 

 

 

 暫しの沈黙が生まれた。

 

 

 

「拓哉、お前は天才だな」

「いつも実験台にされてんだからそのくらい気付けるようになれよバ神崎」

「一応言っとくけど俺お前より1歳年上だからね?そこらへん少しは弁えようね?泣くよ?」

「アンタがフレンドリーでいいって言ったんだろ。俺の思うフレンドリーは男には容赦しないだ」

「それフレンドリーじゃないよね!?嫌悪されてるレベルだよね!?」

 

 まあ、一悶着はあったが、拓哉の何気ない一言により事態は解決できそうな展開になった。言われた通りに零はパラレルリープマシンを取り出し、チャンネルを2に回す。

 

「まずは拓哉の世界に帰る事が先決だ。本来の目的はそれだったしな」

「とりあえず早くしてくれ。俺は早く家に帰ってアニメを見たいんだ」

「お前って結構ブレないよな……。よし、俺の肩に手を乗せてくれ。それで一緒に帰れるはずだ」

 零に言われた通り、拓哉は零の肩に手を乗せる。そして、零は青いボタンを押した。

 

 

 

 

 すると、零と拓哉の周りに青白い光が出て――――――――――こなかった。

 

 

 

 

「……あるぇー?」

「……あの、神崎さん?これは一体どういう事でございますのでせうか……?何も起こらねえじゃねえか!」

 慌ててマシンの画面を見る。そこには、『連続で使用できる回数は2回までです。次に使用できる時間は、あと40分後になります』と表示されていた。

 

 

 

「…………」

「…………」

「ごっめーん☆俺も知らなかったんだよ~許してテヘペぶぼぎゃえっ!?」

 何の容赦もなく、拓哉は零の横顔に殴りかかった。

 

「よお神崎……もしかして俺は勝手に俺の世界に来たアンタに勝手に巻き込まれて挙句の果てにこれまた別の世界でいらねえ時間を喰うって解釈で合ってるんですかねえ……?」

「ま、待て拓哉!話せば分かる!!まず俺を今フルボッコにしても状況は変わらないんだぞ!だったらこの世界にもいるかもしれないμ'sを見に行って時間を潰すって手もあるぞ!!ほら、お前も別の世界の穂乃果達を見てみたいと少しは思うだろ!?」

 零の必死な訴えに拓哉の足は止まる。実際のところ、零の話を聞いて拓哉も別の世界の彼女達が気になっていたりするのだ。

 

 

「……ちっ、んじゃさっさと行くぞ」

「お、おう……。さ、さすがに怒りすぎじゃねえか?何でそんなに怒ってんだよ?」

「せっかく練習がなくて優雅に家でお菓子を食いながらアニメを見ようと思ってたのにこんな事に巻き込まれたからだけど何か言う事は?」

「ほんとマジすんませんでした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうあと数分したところで学校に着くとこまで来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういや、この世界にも俺や神崎みたいに音ノ木坂でμ'sを手伝ってる男はいるのか?」

「どうだろうな。さすがにそこまでは俺も分からねえ。秋葉からも何も聞いてないしこの世界は未知そのものだからな。というか俺はあいつらのマネージャーだぞ。拓哉だってそうだろ?」

「俺はμ'sマネージャーじゃなくて()()()()()()だよ。俺はマネージャーみたいにスクールアイドルに詳しくはないし、PV撮影するための機材や場所を提供できるわけでもない。俺にできるのは、ただ男手が必要な時に荷物を持ったりとか、あいつらが困ったら全力でそれを支えてやる事だけだ」

 

 そう言う拓哉の顔は、気のせいか少しだけ影がかかっているように見えた。そこに岡崎拓哉がどんな思いをしているのか、神崎零には分からない。これは岡崎拓哉の問題なのだ。そこに、別の世界の住人である神崎零が無闇に干渉するわけにはいかない。

 それは秋葉に言われた通り、関わりすぎるのは良くない事なのだから。

 

 

「ほら、着いたぜ。学校」

 零は話を逸らすために、目的地に着いた事を言う。拓哉も顔を上げ、その光景を見渡す。

 

「見た感じは普段の音ノ木坂と変わらないな」

「ああ、俺のとことも一緒だ。あ、おい神崎、この世界の音ノ木坂、女子高になってるぞ」

「何だと!?それは侵入しないとな!……分かったからそんな目で見るな。もう殴られるのは勘弁だ」

 マシンの時間を見れば既に放課後になっている。見ればちらほらと帰っている生徒もいる。全員が不思議そうに拓哉達を見ながら。

 

「さすがに学校の真ん前で男子高校生がじっとしてたら不審に見えるか……」

「なるほど、んじゃ入ろうぜー」

「は!?おま、何考えてんだ!?」

「こういうのは逆に堂々と入った方が怪しまれないんだよ。理事長に入校許可証でも貰いにいけばいいだろ」

 臆する事なくズカズカと学校に入って歩く零を見て、拓哉は思った。

 

 

(ああ、女好きとは最初に聞いてたけど、これほどまでのレベルか。そりゃハーレム築くわけだわ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とか零が土下座して、2人の音ノ木坂一時入校許可証を貰えた。そこまでの道のりはずっと不審な目で女の子達に見られていたが、これでようやくマシにはなるだろう。

 ちなみに理事長はどの世界でも同じらしく、ことりの母親だった。

 

 

「まあこんなもんだ。どうよ?」

「ああ凄かった。凄いダイナミック土下座を見させてもらったよバ神崎」

「ねえ、それって褒めてる?褒めてないよね?貶してるよね?」

 肯定も否定もせず、やっと堂々と校舎内を歩けるようになった拓哉はキョロキョロと色々見回しながらある事を呟いた。

 

 

「なあ、ここまで来るのに、俺達って1人もμ'sの誰かを見てないよな?」

「そういや確かに……普通いたら俺のセンサーが反応して見逃す事はないのに」

「んなもんどうだっていい。まさかこの世界には穂乃果達はいないのか……?」

「いや、でもさっきポスターに『μ'sのライブやります!!』って書いてたぞ?」

 

 2人の歩いていた足が止まる。

 

「いや違うんだよ拓哉。何で言わなかったんだとかそういう言い分はもっともだが、俺は俺であいつらを探し―――、あ」

「何だよ、俺の気を紛らわそうしたってそうは―――、あ?」

 零の視線が拓哉の後方へ向き、思わず釣られて拓哉も後ろを振り向いた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はえ?あれれ?」

 お互いの世界で、もっとも近くにいる存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

 高坂穂乃果。

 茶髪のサイドテールの少女。μ'sのリーダーであり、発起人であり、別の世界では零の彼女であり、はたまた別の世界では拓哉の大切な守るべき女の子である少女が。

 2人とまったく接触を持たない者として現れた。

 

 

 気になってはいたが、実際別の世界で会ってみるとどう声をかければいいのか分からない。それは零も同じでずっと呆けている。何とかこの状況を打破しようとした拓哉は、何となしに声をかける事を選んだ。

 

 

「よ、よお、穂乃―――、」

「ん?あなた達は誰なのかな?」

「ッ!」

 思ったよりダメージは大きかった。何せ拓哉は別の世界では穂乃果と幼馴染なのだ。違う世界の穂乃果といえど、誰なのかと問われれば、分かってはいても少しショックを受けてしまう。

 

「まあ、何だ。この学校の理事長に入校許可証貸してもらったから普通に見学してるだけだよ」

「そうなんだー!あ、そうなんですか!」

 すかさず零が拓哉のフォローに入ったおかげで、何とか怪しまれずには済んだ。穂乃果は見た目で2人を年上だと思い敬語に戻したが、

 

 

「ああ、俺は穂乃果と同い年だから敬語はいらねえよ。こいつは1つ上だけど」

「そうなんだ!……ってあれ?何で穂乃果の名前知ってるの?」

「……あ」

「バッカお前……人の事言えねえぞ拓哉……。いや、さっきポスターにμ'sってスクールアイドルのポスターがあって、そこに君によく似た絵と名前が載ってたからもしかしてって思ってな。あ、俺も別にタメ口で構わないから」

 零のフォローで調子を戻したと思ったらこれである。零は零でこういう展開(トラブル)には慣れているのか、意外と普通に対応している。

 

 

「おお、なるほど!だから分かったんだね!凄いね!ええと……」

「悪い、名乗るのが遅れたな、俺は岡崎拓哉だ。んでこっちが神崎零。女の子なら基本的に誰にでも食い付く変態で危険な奴だから気を付けろ」

「おいおい、一応俺にも心に決めた奴らがいるんだからその言い方はないだろ。否定はしないけど」

 肩を組もうとした零をしないんかい、とツッコミを入れながら頭を軽く小突く拓哉を見て、穂乃果はついこの2人は凄く仲良しなんだなと思った。まだ出会って数十分しか経っていない彼らを見て。

 

 

 と、そこへ。

 

 

「穂乃果~!何をやっているんですか!ただでさえ準備が遅れているというのにまた1人でサボろうとしているんじゃないでしょうね!?」

 どこの世界でも、園田海未の性格は変わっていなかった。青みがかったロングヘア―の少女。様々な習い事を家でしている大和撫子少女が、突然脇の廊下から現れた。

 

「ううう海未ちゃん!?ち、違うよっ!今回はほらっ、初めてこの学校に男の子達が来たから挨拶してて……」

「何を世迷い言を言ってるのですか!!女子高に男性の方など来るはずが―――……」

「「や、やあ……」」

 海未を見た瞬間からもう2人の少年は察していた。これから何が起こるのかと。とりあえず今の2人を表すならば、蛇に睨まれた昆虫レベルにまでなっていた。そして海未も海未で固まっていた。

 

 

 

 固まっていた少女は突然金縛りが解けたかのようにハッとなって穂乃果の前に立ち、2人に立ちはだかるように構えのポーズをした。

 

 

「……え、えーと、つかぬ事をお聞きしますが、一体わたくしどもの前で何をしてらっしゃるのでせうか……?」

「問答無用です!穂乃果は私が守ります!!くたばりなさい!!」

 聞く耳持たないとはまさにこの事だろう。拓哉のオドオドした質問に海未は答える事なく、本当に問答無用で蹴りを繰り出した。犠牲になったのは、何故かは分からないが確信をもって言える。いわずもがな、零だった。

 

 

「ぐぼほぅッべうッばうッばるるるるるるるッ!?」

「神崎ィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッッッ!!」

 勢い良く吹っ飛んで転がって行く零をただその場に立ち尽くし決して寄ろうとはしない拓哉。しかし、それが仇となる。

 

「あなたもです!!穂乃果に手出しはさせません!!」

「え、あれ?この流れは神崎だけのパターンじゃなかったのか!?ちょ、待て、待つんだ話せば分かゴトゥヘッ!?」

 同じく、拓哉も零と同じ場所で吹っ飛ばされた。さすが武道も習っているだけあるか、当たり処が悪く意識がなくなりかけている拓哉と零の耳に、こんな会話が聞こえた。

 

 

「え!?侵入者じゃないんですか!?」

「当たり前だよ!そしたら穂乃果もすぐに逃げてるし!!海未ちゃん話聞かなすぎ!!」

「ど、どうしましょう……私達にはまだPV撮影の準備が……!」

「とりあえず誰かに手伝ってもらって保健室に連れて行こう!!」

 そんな会話がうっすら耳に入りながら、拓哉は薄れゆく意識の中でこんな事を思った。

 

 

 

 

 

 

 

(不幸だ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚めると、そこは見慣れない天井だった。

 自分の部屋ではない白い天井。右側を見れば窓から入ってくる心地良い風が白いカーテンを綺麗に靡かせている。というか保健室だった。

 

 

 

 

 そこに、茶色いサイドテールのような髪も一緒に靡いているのが視界に入った。

 

 

 

「あ、起きた?」

「……ああ、気絶してたのか、俺。どのくらい寝てた?」

「言っても数分だよ?ここに連れてきたのもついさっきだし!」

 そうか、とだけ返し、拓哉は左の方に振り向く。案の定、そこには零がまだ眠っていた。踵落としでもして起こしてやろうかとも思ったが、穂乃果も横にいるので一応こらえておく。

 

「あはは……ごめんね、海未ちゃんがあんな事しちゃって……」

「いや、いいよ。普通なら女子高に男がいるの自体おかしいんだ。あいつもお前を守ろうとしてやったんだろ?だったらそれは間違っちゃいないさ」

「岡崎君……」

 チクリ、と。名字で呼ばれた事に心が痛むが、一々それを気にしていたらキリがない。

 

「そういや、海未はどこに行ったんだ?」

「えと、ポスター見てくれたんなら分かると思うけど、穂乃果達はスクールアイドルをやっててね、それで今日はPV撮影だからその準備がとても忙しいんだ。使う場所が穂乃果達のあとに他の部活も使う事になってるから時間が限られてるの。だから海未ちゃん達は今も急いで準備してるよ。看病はリーダーの穂乃果がやってますっ!」

「……リーダーやってんのか」

「えへへ、まあね。スクールアイドルをしようって言ったのが穂乃果だったし、ここに来たなら分かると思うけど、この学校を廃校から救うために始めたんだ。頑張って、頑張って、頑張って、今は何とか廃校にはならないって感じになってるよ!」

 

 少しだけドヤ顔をしている穂乃果の顔を見ながら、拓哉は少しだけ微笑む。

 

 

「そうか……。ここでも変わらねえな」

「ふぇ?どうしたの?」

 最後まで聞こえてなかったらしく、首を横に軽く振りながらも、拓哉は言葉を続ける。

 

「……俺の近所にもさ、いるんだよ。お前に似た奴が。何かのために何かを始める。初めての事でも、そんなのお構いなしでバカみたいに努力して突き進んでいこうとする奴がいるんだ」

「バカみたいには余計だよ~!」

「ははっ悪い悪い。でさ、そいつはそいつなりに頑張って、挫折も味わいかけた。それでも、そいつは最後には諦めずに踏ん張った、だからこそ仲間が増えて、そいつと一緒にいる事が俺は嬉しく思えた」

 

 これは、独り言のようなものだ。穂乃果の事を言っているが、それはこの世界の穂乃果ではなく、拓哉がいた世界の穂乃果の事。この世界の穂乃果に言っても、無駄な事は分かってる。

 

 けれど、言わないと気が済まないと思ってしまったから。こんな事は、拓哉が元いた世界の穂乃果には恥ずかしくて絶対言えない事だろうから。

 

 

「だからさ、俺はそいつを……いや、そいつの仲間含めて全員を支えてやりたいって思ってるんだ。自己満足でもいい、傲慢でもいい、エゴでもいい。あいつらに何と思われようとも、何があっても、何が起ころうとも、俺はあいつらを守ってやりたいと思ってる……」

 そんな、1人の少年の独り言のような呟きに、1人の少女は微笑んだ。

 

「そっか。じゃあ、その子達もきっと凄く嬉しいって思ってるに違いないよ!」

「な、何でそんな事が言えるんだよ?」

「だってね、自分達の事をそこまで思ってくれる人が側にいるんだよ?そんなの嬉しくないわけないじゃん!岡崎君がそんなに思っているから、穂乃果に似た子だって安心して突っ走っていけるんじゃないかなっ」

 

 その言葉は、拓哉の心にとてつもないほどに響いたのだろう。違う世界の人間でも、拓哉からすれば同一人物なのだ。性格も何も変わらない。ただ自分を知らないだけで、そのままの高坂穂乃果という少女なのだ。

 

 

 

「それが聞けて良かったよ」

「うんっ、穂乃果に似てるんだったらその子もそう思ってるに違いない!勘だけどね!」

「ああ、俺も言ってみて良かった。ありがとな。ほら、撮影の準備が大変なんだろ?俺はもう大丈夫だから行ってもいいぞ」

「え、でも神崎君の方は……」

「こいつは俺が起こしとく。だからさっさと行け。誰かの心配するよりまず自分の事を心配しろ。間に合わなくなっても知らねえぞ。時間見てみろ」

「え?……うわあああっ!もうこんな時間!?ご、ごめんね!ホントに危ないからそろそろ行くね!できればまた会おうね、岡崎君!それと寝てる神崎君も!!」

 

 

 それだけを言い残し、穂乃果は保健室から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

「何で寝たフリなんかしてたんだよ?」

「別に、ただ会話に興味が出たからな。いやー、良い事言うじゃねえか拓哉。思わず俺も惚れそうになっちゃ―――、」

「きもい」

「シンプルすぎかよ!!」

 何やかんやの一悶着があって、2人は布団から出る。

 

 

「よし、時間ももうすぐだし、最後に準備してる穂乃果達を遠目に見てから帰るか。どうせなら全員見ていきたいし」

「遠目に見る必要あんのか?」

「言ったろ?別の世界の人間と接触しすぎたら何が起こるか分からないから危険だって。どこぞの誰かさんが穂乃果を喋りまくるからその分時間も喰ったんだよ」

「それもそうか。つうかならアンタも起きてこいよ普通に」

「元々俺は拓哉にも興味が出たからマシンを使ってきたんだ。お前の事も知らなくちゃ意味がない」

 

 さいですか、と軽くだけ返し、2人は保健室をあとにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 探せば案外近くにいるものだった。

 

 

 

 μ'sの全員が中庭の方にいた。今もせっせと準備に励んでいる。間に合うか分からないという焦りからか、全員が走って機材などを運んできていた。

 それを誰もいない遠目から見ていた2人の少年。傍から見れば不審人物そのものである。

 

 

 

「うしっ、一応全員確認したし、俺達もそろそろ学校から出るか」

 もっと穂乃果以外のみんなとも話してみたかったが、予想以上に時間を喰ってしまったせいでそれはできなかった。それに、どこまでが接触していいかなどの基準が分からない以上、無闇に接触しすぎるのは危なすぎるからだ。

 

 その上での零の判断だった。

 

 

 しかし。

 離れようと動いた足は、拓哉が零の腕を掴んだ事によって止められた。

 

 

「どうした?」

「おい……何かおかしくないか?」

「おかしい……?」

 拓哉の不可解な発言を聞いて、零も改めてμ'sの方へ視線を移す。が、

 

「忙しそうにしてるってだけじゃないのか」

「それもある。でも何かがおかしいんだ。あいつらがそういう準備をするにあたって、絶対に必要な決定的なピースが欠けている……」

「俺達みたいにマネージャー、もしくは手伝いみたいな役割の男がいないって事か?」

 その言葉で、拓哉は確信した。そう、いないのだ。いつもはいるはずの、手伝ってくれていたあの3人が。絶対に必要不可欠のピースが。

 

 

 

「そうだよ……ヒデコにフミコにミカがいねえじゃねえか……!」

「そういや、いつも何かしら手伝ってくれんのに、今日は見当たらねえな。この世界にはいないのか?」

 2人は必死でその3人を探すが、それも見当たらない。そんな時だった。慌てているからかでかい声でμ'sの方から話し声が聞こえた。

 

 

「あーん!!いつも手伝ってくれるヒデコ達がいないからどこにどの機材があるのか分かんないよー!!」

「そんな事言ってる場合があったら早く足を動かしなさいよ!にこだって頑張ってるんだから!!」

「ヒデコちゃん達は今日みんな大事な予定があるから仕方ないよ穂乃果ちゃん~!」

 

 

 

 

 穂乃果が焦り、にこが機材を運び、ことりが走りながら叫ぶ。それで事態は把握した。

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 その上で。

 

 

 

 

「おい」

「悪い、俺あいつら手伝ってくる」

 

 

 

 拓哉は歩き出す。

 だが、先程とは反対で、今度は零が拓哉の腕を掴んでそれを阻止した。

 

 

「ダメだ。言っただろ。これ以上この世界の穂乃果達と接触したら何が起こるか分からねえから危険だって!」

「そんな基準なんて分からねえだろ。それよりもあいつらを手伝わねえと間に合わなくなっちまう」

 零は強引に行こうとする拓哉を必死に腕を掴んで阻む。

 

「だからそれが危険だって言ってんだよ!!どこからが危険なのか俺にも分からねえ。でも回避できるならそれに越した事はねえだろ!ここはあいつらの世界なんだ。俺達が無闇に干渉するわけにはいかねえんだよ!」

「だからってこのまま放っておけるわけがねえだろ!!回避できたとしても、それで俺がここであいつらを見捨ててあいつらが間に合わなかったら、それでこそ俺の気が収まらねえんだよ!!」

 

 少年同士の口争いは続く。それは、どっちも間違ってはいない。正論同士のぶつけあいだった。

 

「だったら拓哉、お前はこの世界のあいつらを救えたとして、お前の世界の穂乃果達が危険に晒されてもいいってのかよ!?俺の世界の穂乃果達が危険に晒されてもいいのかよッ!!ダメだろうが!!そんなの俺が絶対許さねえぞッ!!俺がお前をぶん殴ってでもそれを止めてやる!!自分の世界の大切な奴らを危険に晒さないための判断なんだよこれは!!」

 自分の世界の大切な人達が危険に晒される。そう考えてしまっては、零も黙ってるわけにはいかない。口喧嘩の勢いで拓哉の胸倉を掴んで叫ぶ。

 

 

 

 分かっている。

 

 零の言う事も十分分かっている。

 

 頭の中でちゃんと理解もしている。

 

 

 

 でも。

 

 だけど。

 

 

 

「うるせえよ……」

 

 それらを全部分かった上で、承知した上で、茶髪のツンツン頭の少年は言う。

 

 

「んな事分かってるよ!!でも良いわけねえだろ!!俺の世界の穂乃果達も、アンタの世界の穂乃果達も、危険に晒されて良いわけがねえだろうがッ!!」

「だったら何でそんなくだら―――、」

「でも今俺達がいる世界はここだろうが!この世界で!今ッ!穂乃果達が困ってんだよ!!俺の目の前で間に合わなくなるかもしれない不安でいっぱいになってんだよ!!そんなの、そんなの見過ごせるわけねえだろッ!!」

「……ッ!?」

 

 最初から、拓哉は譲るつもりなんてなかった。別の世界だからどうとか、そんな規模の大きい話ではない。ただ目の前に困っている女の子達がいるから、それを見過ごせないから助ける。

 

 そんなちっぽけで、当たり前で、とてもシンプルな動機だった。

 

 

 

「侮るなよ、神崎零」

 

 

 

 胸倉を掴み返し、岡崎拓哉は叫ぶ。

 

 

 

「これで俺があいつらを助けて俺の世界やテメェの世界の穂乃果達が危険に晒されるようなら何が何でも俺がそれを止めてやる。誰も傷付けなんてさせやしねえぞ。みんなが笑って終われる物語が最高に決まってんだろ!だったら、そのために俺は動くだけだ!!何があろうと、何と思われようとも!!全員1人残らず助けてやるッ!!」

 正直な気持ちだった。何物にも変えられない、ちっぽけな少年の吐き出した本音だった。

 

「アンタだって本当は助けたい、手伝ってやりたいって思ってるんだろ!?別の世界と言ってもあれは紛れもない穂乃果達なんだから!別の世界だからって助けないなんて、そんなくだらねえ選択肢はハナから俺にはねえんだよッ!!別の世界で穂乃果達の彼氏やってんならここで見捨てんじゃねえぞッ!」

 何も言い返せなかった。言い返さないといけないはずなのに、危険な事が起きるかもしれないのに、言い返す事ができなかった。

 

 

 何故かとても説得力があるように思えてしまうから。この少年なら本当にやれそうだと無意識に零は思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 とすれば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 口喧嘩の勝敗は、もう決まった。

 

 

 

 

「言ったよな、神崎……。俺はヒーローに憧れてるって。それはどこの世界に行っても変わらねえ!!規模の大きい小さいとか、そんなもんの前にやるべき事があるだろ!後先考えてる暇があるならまず目の前のあいつらに手を貸してやるんだよ!たった今目の前に困ってる女の子達がいて、それを救えないで何がヒーローだッ!!」

 胸倉を掴まれ、言われるだけ言われて、ようやく零はこの少年の本性を垣間見た気がした。

 

 そして気付いた。自分が何をすべきか。

 

 

 

 

 

 

 

 優先順位が切り替わる。

 

 

 

 

「……はあ、負けたよ。俺の負けだ、拓哉」

「……負け?」

「そうそう、負け負け。大負けだ。まさか1つ年下の奴に説教されるとは思ってなかったわ」

 やんわりと掴まれていた手を離し、零は拓哉と向き合う。

 

 

「別に勝負を仕掛けたわけじゃないんだけど。アンタが元の世界に帰っても俺はあいつらを手伝っただけだし」

「いやお前それはさすがに異常者すぎだろ。お前の世界の穂乃果達の事も考えてやれよ!寂しがるだろ!」

「ああ、それもそうだった」

「マジかこいつ……」

 さすがの零でもこれはドン引きだった。この少年、自分の身の事をまったく考えていないのだから。

 

 

「まあいいや、分かったんならアンタも行くぞ。時間がないんだ」

「ブレなさすぎだろお前……でもまあ、おかげで活が入ったわ」

 出会って間もない少年達は、もはやいつもの軽口を叩き合いながらも、歩んでいく。

 

 

 

 そんな中、零は拓哉と会って正解だったと思っていた。

 

 

 

(興味が出ただけで会ってみようと思っていたが、予想以上の奴だったな。まさか俺以上に異常者がいたとは……。俺みたいな修羅場があったわけでもないのに、よくもまあこんな奴がいるもんだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よお、さっきぶりだな」

「え?……お、岡崎君に神崎君!?何でここに!?」

「準備が間に合わないかもって聞いて、そのまま放っておけるわけないだろ?今日だけ入校許可証があるんだ。堂々と手伝わしてもらうぞ」

 拓哉と穂乃果が普通に会話している中、他のμ'sの面々はただただ困惑していた。

 

 

「な、何か男の子がいるにゃ~……!」

「な、何でなんだろうね、凛ちゃん……」

「神聖なスクールアイドルの撮影現場に男なんていらないでしょも~!!」

「あら?穂乃果はもう知ってるみたいね」

「さっき海未ちゃんが言ってたやん?穂乃果ちゃんが男の子と会ったって」

「手伝うって言ってたわよね」

「男の子がいたら助かるよ~……」

 

 

 それぞれがそれぞれの反応を示す中。

 拓哉と零と穂乃果の会話は終わっていた。

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ残ってる機材を運んでこよう。俺と神崎は重い荷物を中心に、穂乃果達は軽めの物を早めに運んでくれ。残りの数名はここに残って撮影のための設置を頼む。分担しながら早く仕上げるぞ。んじゃ解散!」

 

 

 誰かが何かを言うよりも前に、素直に聞いた者達は素早く動き出した。

 

 

 

 

 

 

 そんな少女達を見て、少年達は何一つ打ち合わせもしていないのにも関わらず、ごく自然に、言葉が重なった。

 

 

 

 

「「仕方ねえな」」

 

 

 

 

 違う世界の少女達を助けるべく、ちっぽけな2人のヒーローが動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらくして、予想以上に早く準備を終える事ができた。

 

 

 

 

 

 

「で、できたー!!何とか間に合ったね!これなら撮影もできるよ!!ありがとね、岡崎君!神崎君!……って、あれ?」

 全ての準備が整って、辺りを見回すと、どこにも少年達の姿はなかった。

 

 

「どこ行っちゃったんだろ?」

「大きい機材を運び終わってからいなくなったにゃー」

 全員がお礼を言おうと辺りを探すも、やはり見付ける事はできなかった。

 

 

「仕方ないわね。お礼は今度会う機会があればしましょ。今はとりあえず撮影しないと、手伝ってくれた彼らに悪いわよぉ!」

「そうだね、よーし!PV撮影頑張っちゃうぞー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全員が衣装に着替え舞台に移動する中、その途中に、穂乃果はある機材の上に置かれている物に気付く。

 

 

 

 

「これって……」

 

 

 

 

 

 

 それは、さっきの少年達が付けていた、入校許可証だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんだけやりゃ十分だろ」

「無事に間に合ったみたいだしな」

 

 

 

 さっきまで手伝いをしていた少年達は、パラレルリープマシンでチャンネルを2に設定して、拓哉の世界に帰るところだった。

 

 

 

「もうこの世界でやる事もないし、とりあえずお前の世界に帰るか」

「分かったから早くしろよ」

「さっきまでのイケメンぶりはどこにいったよおい!?」

 何はともあれ、零が青いボタンを押した事により、青白い光が2人包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえずは無事に拓哉の世界に帰れたようだな」

「……ああ、時間も合って……え?俺が飛ばされた時間から1分も経ってないぞ!?」

「ふむ……そういう仕組みなのか。って事は俺が帰っても1分も経ってないかもしれないな。……あ、マシン探さねえと!!」

「あそこにあるぞ」

 拓哉が指差す方向、電信柱の横にマシンは落ちていた。

 

 それを慌てて拾ってから、零は真面目な表情に代わる。

 

 

「……じゃあ、俺も元の世界に帰る事にするよ」

「おう、じゃあな」

「全体的にドライじゃないか!?主に俺限定で!!」

「だってお前に勝手に巻き込まれて別の世界に行く事になったし」

 それを言われたら何も言えないのが余計に零の心を容赦なく抉っていた。

 

 

「でもまあ、神崎のおかげで向こうの世界の穂乃果達を助ける事ができた。それに関しては……感謝してる……」

 その拓哉の異常なまでのツンデレ具合に、零はどんどんと破顔していく。

 

 

「おお、おお……!何だその変なツンデレはあ!!お兄さんちょっと嬉しくなっちゃうじゃねえかちくしょうどうしよう寂しい帰りたくない~!!」

「うわっ、男がこんなとこで泣くなよ気持ち悪いな!!とっとと帰れ!!」

「もはやツンドラじゃねえかそれ!!」

 そんなやり取りも、これで最後だった。長いようで、短い、主人公2人の邂逅は終わってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあな、拓哉」

「……ああ」

 最後まで少しそっけない拓哉に軽く苦笑いしながら、零はパラレルリープマシンの赤いボタンを押した。それと同時に、零の周りにだけ青白い光が出て、零を包み込むように光り出す。

 

 

 

 

 

「なあ」

「ん、何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また来いよ、零」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おうよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった?別の世界に言った感想は?……いや、岡崎拓哉君に会った感想は、の方が正しいかな?」

戻って来た零に、秋葉は最初からこの質問を用意していたかのように問う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対し。

零の答えはシンプルだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ある意味、俺以上の奴に出会えたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「案外終わりはあっけないもんだったな」

 

 

 

 

 

 

 

ずっとそこに立っていた拓哉は独り言を呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、面白い奴だったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、いかがでしたでしょうか?

初のコラボ小説で気合いが入りすぎて20000字超えちゃいました(笑)
ほとんどμ'sが出てきてないじゃんと思った方、すいませんw
ですが拓哉と零君の絡みがどうしても書きたくて!!許してつかあさい!!

実は自分と薮椿さんはお互いどのような話を書くかとか秘密にしあってたので、それも含めて自分も薮椿さんの方の話をとても楽しみにしております(笑)

皆さんもぜひ薮椿さんの小説を見に行きましょう!!
そしてご感想も一緒に書いちゃいましょう!自分も双方のご感想が気になりますのでね!!

でもとても楽しかったです!!
コラボさせていただいた薮椿さん、本当にありがとうございました!!


……拓哉と零君って似てないようで似てる気がするんですよね(笑)



いつもご感想高評価(☆9、☆10)本当にありがとうございます!


では、新たに高評価(☆9、☆10)をくださった、


大同爽さん(☆10)、AQUA BLUEさん(☆9)


大変ありがとうございました!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!


そしてそして、いつもこの作品を読んでくださっている読者の皆様も、ありがとうございますと同時に、これからもよろしくお願いします!!



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。