ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

40 / 199

やっと出せた……w


34.ツイン娘との再会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……私帰る」

 そんな真姫の一言から、それは次々と続いていった。

 

 

 

 

 

 

 

「わ、私も今日は……」

 花陽も同じ事を言って、

 

 

 

「そうだね、また明日にしよっか」

 ことりもまたそれに賛同して、

 

 

 

「よし、そうと決まったらすぐ帰ろう。家で愛しいマンガが俺を待っている」

 思いっきり俺も賛成しといた。しょうがないじゃん、雨降ってるんだから!もう早く帰ろう。こんな所でウジウジしてられない。あーもー、雨ってばホントやだなーもープンスカプンスカッ☆

 

 

「拓哉君の場合は仕方なくではなくマンガが目的でしょう……」

 イエス、よく分かってるじゃないか海未よ。ついさっきまでグズッて泣いてた君とは違うようだな。見直したぞ。そしてそんな呆れた目で見ないでほしい。どこがとは言わないが傷付いちゃうから。

 

 

 

 さあさあ帰ろうとしたところで、外から誰かが駆けて来る足音がした。

 言わずもがな、おバカ2人なのは誰でも分かる。

 

 

 

「えー、帰っちゃうのー!」

「これじゃ凛達がバカみたいじゃん!」

「バカなんです」「バカなんだ」

 最初はもうビックリした。まさか凛がおバカだったとは。μ'sに入ってからというもの、何となく、本当に何となく、凛は何か穂乃果と同じような雰囲気がするなーと思っていたのだが、案の定でした。元気なのはいいけどもうちょっと勉強もしようね。

 

 

「ですが、これからずっと雨が続くとなると、練習場所を何とかしないといけませんね……」

「体育館とかダメなんですか?」

「ああ、スクールアイドルを結成した時に練習場所を探しに色々と見て回ったんだが、講堂も体育館も他の部活が使ってるんだよ。……あと何故かカバディやってる奴が多かった」

「……か、カバディ、ですか……?」

 場所取り過ぎなんだよあいつら。もうちょっと詰めて分散させる人を少なくしろよな。スライムみたいにちらほらしやがって。しかもそれが全員女子だから何も言えないのが辛い。

 

 

「仕方ないね。今日はもう帰ろうか」

 ことりの提案に音速で賛同しようとした瞬間、

 

「じゃあ今日はみんなでどこかお店に行こうよ!」

 穂乃果の提案がそれを遮った。こいつ……俺の音速を超えやがった、だと……!?……まあ、全然音速じゃないけどね、うん。

 というか、

 

 

「やだよ。何で雨降ってんのにみんなでどこぞとも分からない店に行かなきゃならんのだ。俺は帰るぞ。マンガと愛しの唯が待ってる」

 俺は雨が嫌いだ。何かジメジメするし、湿気が鬱陶しいし、傘さして歩いてるだけでだいぶ道幅占領するしでホント良いとこない。濡れるのは嫌いなのだ。でも女の子が雨で濡れるのは好き。透けるから。何がとは言わない。

 

 

「ええー!一緒に行こうよたくちゃんー!!」

「ふんっ、行きたきゃお前らだけで行け。練習がないなら手伝いもない。つまりは俺の管轄外だ。自由にしても文句を言われる筋合いはないぞ」

 穂乃果の抗議と共に、後ろから微かに凛がにゃーにゃー言ってくるが気にしない。というかまず日本語で話してもらわないと何も分からない。

 

 

 

「……仕方ありません」

「ほれ、海未もそう言ってるんだ。諦めな。俺は帰るぞ」

 まさか海未がこういう時の俺の意見に賛同するなんて。いや賛同ではないけど強制な手段を使わないなんて、これは珍しい時もあるもんだ。ま、それならお言葉に甘えて帰らせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ことり、アレをお願いします」

「うんっ、分かったっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの、海未さん……?その、アレって、何ですかね……?あとことりさんも何ファイティングポーズみたいな事してんの……?」

「たっくん……」

 すると、ことりはいつかのあの時のように片手を胸の前辺りで握って瞳を潤ませながら俺の目を真っ直ぐと見つめてきた。

 

 

 

 

 

 

 こ、これは、ヤバイ……!!まさか海未が言ってたアレって、そのアレの事か……!?非常にマズイ……早く目を逸らさなければ、や、やられる……ッッッ!!しかし、逃げ道である階段は俺の前方、つまりことりの真後ろにある。雨の中に逃げるなんて以ての外だし、逃げ場がな―――、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おねがぁいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「凛、花陽、今すぐ下に向かった真姫を連れてこい。今すぐみんなでどこか店に行くぞ。雨の中がなんだ。ことりのお願いに比べたら雨なんて毛ほども興味ないわ。オラァ!お前らもさっさと準備しやがれえ!!」

「ラジャーだにゃー!」

「は、はい……!」

「たくちゃんもはや条件反射になってるよね」

「拓哉君の扱いに困った時はことりに切り札を使っていただければ、拓哉君でもちょろ……言う事を聞いてくれます」

「ありがとね、たっくん♪」

 

 

 

 

 

 おかしい、外に出てないのに何故か顔に水が垂れてるんだけど。雨漏りしてるんじゃないですかねこの天井。先生、この雨しょっぱいです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、俺達はまた全員で集まり、鬱陶しい雨の中を何とか移動し、ファストフード店へ来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

「たくちゃん、戻って来たからいいよ。ラストにたくちゃん行ってきなよ」

「……言われなくても行くっての」

 俺が1人で何をしていたのかというと、ただでさえ7人という少し多めな人数のため、誰かが早めに席を確保しておいた方がいいだろうという事になり、俺がその役割を担う羽目になっていた。

 

 いやまあいいんだけどさ。そんなに時間かかる事でもないし、雨を凌げるだけマシだし。何故ファストフード店に来たのかはあれだ。みんなのマネーの都合だ。1人ブルジョワな真姫がいるが、そんなのは知らん。庶民の味を知れ。

 

 

 ちなみに名目上これは雑談ではなくミーティングという事になっているらしい。まあミーティングなら俺も参加するに異議はない。少しだけ癪だが。取って付けたようにミーティングするんだよ!って言った穂乃果の顔の引きつった感じは忘れない。咄嗟のアドリブすぎるだろ……。抗議する気も失せるわ。

 

 

 他のみんなも注文は終わってるようだ。ことりと花陽もそろそろ戻ってくるとの事。なら遠慮なく行きますかね。せっかく来たんだ、何も買わずにいるより何か買って食べた方が気分転換にもなるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 席を立ち、レジへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 おぉふ、結構並んでるのね……。全てのレジに客が並んでいる。それはいつかの、あの主婦モンスターを見た時のような感覚に襲われた。……まあレジから注文する分、醜い争いはないのが良いんだけどね。

 

 とりあえず後ろへ並ぶ。やはり雨という事もあり、小腹が空いた人達はこういう値段もリーズナブルなファストフード店へ行く、という集団心理でもあるのだろうか。何とも迷惑な。サイゼでも行ってなさいサイゼに。

 

 

 ファストフード店『ワグロナルド』。

 ここはレストランと違って、注文してから品が来るのが早くて有名な大手のチェーン店である。あ、言わなくても分かる?そうだね、全国の共通認識だもんね。そうだね、プロテインだね。

 

 言ってしまえば、要はあれである。どれだけ行列で並んでいてもワッグは来るのが早いからすぐに順番が来ちゃうよやったね!!という感じだ。ほら、こんな下らない事考えてる間にもう中盤まできた。おお早い早い。

 

 

 

 良い匂いに釣られ何にしようかと考えていると、見えはしないが席の奥の方から子供の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

「うわぁー!!うんちうんちー!!」

「うるさぁい!!」

 同時に女の子のような甲高い声も聞こえた。おいおい、一応ここは公共施設であり食事をするとこなんだからうんちなんて下品な事を言うのはやめなさい。チョコのソフトクリーム頼めなくなったでしょうが。

 

 

 というか、え、何。うんちって言われた子は女の子なの。何をどうしたらうんちなんて言われるんだよ。髪型がそんな感じなのか。逆に見てみたいわ。……というのはなしだ。好奇心に任せて見てみろ。海未にバレたら俺がハンバーガーの袋に包まれるわ。

 

 

 

 と、あっという間に俺の番が来た。

 

 

 

 

「ぃらっしゃっせー!ご注文は何にやっしゃっすか!?」

 店員は男だった。他の店員と制服が違うのを見ると、新人かな?無駄にテンション高いなおい。せめて女性が良いと思ったのは内緒だ。ピークが過ぎたのかは知らないが、俺の後ろにはもう何故か並んでいる客はいなかった。ならばのんびり選ぼうじゃないか。

 

 

「えーっと……、じゃあ、ワッグ照り焼きバーガーセットで」

 速攻で決まった。というか俺はいつもこればっか頼んでるから迷うも何もなかった。でも一応メニューを全部見ておきたいこの現象を何と名付けようか。……よし、やっぱりどうでもいい。

 

 

「かしこやりやしたぁ!では、お飲物はどれになっしゃっしょーか!?」

「コーラで」

 だからテンション高いよ。何なの?ここはラーメン屋じゃないよ?暑苦しい対応はしなくていいから。むしろ爽やかなスマイルを無料でくれるくらいにならないといけないから。

 

 

「かっしゃっしゃっしゃー!しょっしょうお待ちやっさっせー!!」

 いやちゃんと言えよ。滑舌絶望か。ラーメン屋じゃないっつのだから。どういう教育してんだここの店長は。まったく、顔が見てみたいもんだぜ!プンプン!

 

 

 

 

「こらこら、お客様にそういう口調はダメっていつも言ってるんだよなぁ」

 すると、奥から何かを言いながら暑苦しい店員に軽く注意する男の人がやってきた。わぁお、名札に思いっきり書いてるけど、明らかに店長じゃん。顔見てみたいとか言ったけどもういいです。クレーム言うそんな勇気俺にはありませんで。

 

 

「ここは私がやっておくから、君はポテト持って来てね」

 シャッス!!といういかにもさっきの注意聞いてない返事をしながら新人であろう店員は揚げたばかりのポテトを入れに行った。その間に店長はテキパキとジュースを入れ、バーガーを用意し、店員がポテトを持ってくる頃にはあとはポテト待ちだけという状況になっていた。プロや……。

 

 

「ポテト持ってきしゃっすっしたーッッッ!!」

「こらこら……だから違うんだよなぁ。口調が全然違うっていつも言ってんだけどなぁ」

 ……店長さん?アンタもなんか口調が砕けてきたような気がするのは気のせいですかね?まあ新人バイトにだからいいんだけどさ。結構ラフな口調だなこの店長。

 

「しゅやっせん!次からは気を付けしゃっしゃっす!!」

「全然気を付けてないんだよなぁ」

「いや、もういいから先に品くださいません?」

 埒が明かねえわ。冷める前に頂戴。そしてこの2人何気にコントみたいに面白いから余計腹が立つ。客の前で喋ってないでちゃんと仕事しろ。だよなぁがゲシュタルト崩壊しそうなんだよなぁ。

 

 

 また奥の方で忘れてたんかーい!!と、さっきのうんちと呼ばれてたっぽい女の子が叫んでいたが今はどうでもいい。この店長と店員、俺のツッコミレーダーがブオンブオン鳴っている。これはこのままここにいると危険だ。さっさと去ろう。

 

 

 という訳で、今も俺の言う事をスルーしながら喋っている店長と新人店員を振り切るように、既に品が全部置かれているトレイを自分で手に持ち一言、

 

 

「いただきまーす!」

 とだけ言ってスムーズに去る。よし、完璧だ。

 

 

 

「どうもシャースッシャッシャッセー!!」

「違うんだよなぁ」

 後ろから聞こえる声に聞こえないフリをしながら歩く。ツッコんだら負けだあれは。

 

 

 

 

 

 早く穂乃果達のところに戻ろうとしている時、またしても奥の方から騒がしくなっていた。何だよ何だよ、次から次からへと騒がしいなこの店は。もう少し場を弁えて喋れないのか。店長達があんなだから騒がしくもありそうだけど。

 

 

 

 

 

 そこでふと気づく。この騒ぎ声、聞いた事あるような……というか穂乃果のような――――――――ってあいつ何騒いでんだ……!!

 

 

 

 

 

 諸悪の根源が分かったところでトレイを持ちながら駆け出すと同時に、曲がり角で俺とすれ違うように女の子とぶつかりそうになった。

 

 

 

「―――うおっ……!?」

「―――っ!……くぅ……っ!!」

 何とかお互い避けて、女の子はサングラス越しに俺を一瞥したかと思うとそのまま外に出て走りさって行った。なるほど、確かにあの帽子はうんちみたいだな。というかうんちだ。現に外に出てからも他の子供にうんちうんち言われてる。お気の毒に。

 

 

 

「たくちゃん!今走っていった人追いかけて!」

 俺が走り去ってもう見えない女の子に哀れみの視線を送っていると、穂乃果がこちらに走ってきた。

 

 

「残念だがもう手遅れだ。それにトレイ持ったまま走れるかっての」

「私のポテトと海未ちゃんのポテトを知らない間に勝手に全部食べちゃったんだよ!?やっちゃいけない事だよ!?」

「確かにそれは簡単に許しちゃいけない事だ。でもこの雨の中、もういない相手を闇雲に探すのも体に毒だ。だからもう諦めろ。穂乃果と海未には俺のポテトとハンバーガーをやるから」

「え?いいの?」

 

 言うや否や穂乃果の顔はすぐにムスッとした表情から明るい笑顔に戻った。分かりやす過ぎだろこいつどんだけ現金なんだよ。

 

 

「ああ、別に構わん。俺はジュースだけでいいよ。どうせ家で晩飯食うんだし」

 晩飯前に軽く食べておきたかったがこの際もう仕方ない。多少は我慢しよう。とりあえず俺が気になるのは、何故こんな騒ぎが起きたのか、だ。それを聞くためにも、今はもう一度全員を席に戻す必要がある。

 

 

 

「全員、一度席に戻れ。聞きたい事もあるしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 単刀直入に言うと、今朝の女の子がまた来たらしい。

 

 

 

 

 

 穂乃果達に言った事も同じで、スクールアイドルへの冒涜、恥、プロ意識を持ってない。などの事を言われ、最終的には言わずもがなである『辞めろ』と言われたようだ。

 

 うん、まずスクールアイドルだからプロ意識はそんなに必要ないよね。と思ったのも思ったのだが、そこはやはり意識的な問題なのだろう。話を聞いてるとそれだけアイドルの事が好きなんだろう。花陽みたいに。

 

 

 そして、花陽以上にアイドルへの思いが、意識が強いのだと思う。だから穂乃果達の活動を見た上で分析し、全然出来ていない、なっていないと言うのだろう。しかし、だからといってこちらも言いなりになる訳もない。

 

 まだ結成してそんなに経っていない。不完全で当たり前なのだ。始めてすぐに何でもこなせるような天才でもないのだ。だからこそ努力をしている。学校を守るために、みんな必死であり、それでも楽しそうに活動している。

 

 だったらそれを続けられるように活動を続けて、もうあんな事言われないように努力して上手くなるしかないのだ。認められるように、応援してもらえるように、そうやって日々を努力しながら頑張る。それが穂乃果達のやれる事だ。

 

 

 

 

「とりあえずさっきの女の子の件は後にしよう。お前達が努力して技術の向上をすれば自然とそういうのはなくなるはずだからな。問題は真姫も言っていたらしい練習場所だが、穂乃果のおバカが7人いるのにも関わらず部活申請をしていないという大変おバカで迷惑でおバカなド忘れをしていた」

「おバカって言い過ぎだよ!!」

「……だから教室を借りれるようにするため、明日に部活申請を出す。それで上手くいけば、雨が降ってても教室で練習ができるはずだ」

 

 今日のミーティングの本来の目的は屋上以外での練習場所の確保。雨などで屋上が使えない時のため、いざという時のための空き教室を借りたいという目的であるものだ。

 

 

「そういう訳だ。みんな分かったな。じゃあ今日はもう解散だ。各自帰るなりこのままここで喋ってても構わない。まあ俺は帰るけど。そんな訳で、かいさーん!!」

 そう言った瞬間に荷物を持って店の外へ出てダッシュする。穂乃果の事だ。絶対に俺の事を引き止めて時間つぶしに付き合わされるだろう。そんなのはごめんである。早く帰ってマンガを読むのだ。相手にしてられんわい!あばよぉとっつぁん!

 

 

 

 

「あっ!逃げたにゃ!」

「どれだけ早く帰りたかったんですか……」

「穂乃果ちゃん達なら絶対に引き止めちゃうもんねぇ。……私もだけど♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……何か寒気がしたのは気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイドル研究部?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の放課後、例にもよって雨の中、俺と幼馴染ズ3人はまたしても生徒会室に来ていた。いや、別に生徒会室が好きな訳ではないよ?むしろ堅苦しいとこだから苦手まである。早く帰りたい。

 

 

 

 

 

 

「そう。既にこの学校には、アイドル研究部というアイドルに関する部が存在します」

 なんと、そんな珍しい部活もあったのか。漫研とかなら分かるが、アイドル研究部って何をするんだ?徹底的に研究追及して追っかけでもすんの?それか完コピして学園祭で披露でもすんの?するならバニー姿になってバンドで私着いて行くよとか言えばいい。エンドレスエイトは悪夢でした、はい。

 

 

「まあ部員は1人やけど」

「え?でもこの前、部活には5人以上って……」

「設立する時は5人必要やけど、その後は何人になってもいい決まりやから」

 なるほど、つまりは名前だけ貸して幽霊部員になるっていう手もあるのか。まあもう5人以上いるから大丈夫だけど。

 

 

「生徒の数が限られている中、いたずらに部を増やす事はしたくないんです。アイドル研究部がある以上、あなた達の申請を受ける訳にはいきません」

「そんなぁ……」

 確かに、ただでさえ少ない生徒数にそんなに多くない部活。それに生徒が少ない分、1つ1つの部活の予算も限られてくるだろう。それなのに、むやみやたらに部活を増やしてしまうと、少ない部費が余計に少なくなってしまう。これに関しては生徒会長が正論だ。

 

 

 

 

 しかし、だったら他の案を突き返してやればいい。

 

 

 

 

「これで話は終わり……、」

「にしたくなければ、アイドル研究部とちゃんと話を付けてくる事やな」

「の、希……!」

 思わずニヤけてしまいそうな顔を我慢する。やっぱ東條とは気が合うらしい。東條も東條で穂乃果達を応援してくれているらしい。確信はないが、こんなにもお膳立てをされれば多少の見当はつく。ホント、ありがたい。

 

 東條は俺にひっそりとにこやかに笑顔を見せたと思ったら、再び生徒会長に向き直って、

 

 

 

「2つの部活が1つになるなら問題はないやろ?」

「っ……」

 やはり俺と同じ事を考えていたようだった。そうだ、似ている部活なら合体させればいい。お互いのアイドルへの意見を尊重し合いながらお互いの目標を目指すのなら、それは悪い条件ではないはずだ。

 

 

「部室に行ってみれば?もしかしたら部員の子に会えるかも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、言われるがままに俺達は教えられた通りにアイドル研究部へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ」

「な……っ……」

 そこで、鉢合わせした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 唯一のアイドル研究部部員の人、それもまさかの俺も知っている人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「矢澤、さん……?」

「うっ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつかのタイムセールの時に知り合ってから、初めての再会を果たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まさかの再開は最後でした!!
騙された人挙手!!……ノ。自分でもこうなるとは思わなかったw

いつもご感想評価ありがとうございます。


新たに高評価をくださった方。

ユキーロさん、パフェを配れさん、流星@睡眠不足さん、ありがとうございました!!



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。