ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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今回からにこ襲来編になりますが、まだ直接にこは出てきませんw


33.6人のμ's

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言うと、μ'sは6人になった。

 

 

 

 

 

 

 

 めでたい事に、1年生3人組が入ったのだ。

 

 

 小泉花陽。

 星空凛。

 西木野真姫。

 

 

 この3人が新たなμ'sのメンバーとして入ってくれた。

 

 アイドルが大好きな小泉はスクールアイドルの知識に置いては欠かせないメンバーになる。

 

 元々陸上部に入ろうとしてた星空は小泉から聞いてた話によると運動神経は良いとの事。つまりダンスとかトレーニングとかもあまり苦にはならないかもしれない。

 

 ファーストライブをする前から関わりがあった西木野は言わずもがな作曲が出来る。西木野が入ったのはとても大きいと言える。

 

 

 

 

 

 

 これでμ'sの歌や踊りにもレパートリーが増えるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?たくちゃん」

 ふと、朝練へ行く途中の穂乃果に声をかけられた。少しボーっとしすぎてただろうか。うん、だって眠いもん。朝練さえなければもうちょっと寝れてたもん。

 

「いや、1年の3人が入ってくれって良かったなあって思ってただけだ」

 眠いのが本心だが一応嘘は言ってない。くそぅ、昨日夜遅くまでラノベ読んでるんじゃなかったぜ……。はたらく魔王さまは早く2期するべき。アニメで動くちーちゃんに会わせてよ!!

 

 

「そうだよね!いやーホント良かったよー!真姫ちゃんも結局は入ってくれたしね!」

「それは、まあ、確かにそうだな」

 あんな事を言っておいてなんだが、星空はともかく西木野も本当に入ってくれるとは思わなかった。これも小泉に後から聞いた話なのだが、西木野は将来親の病院を継ぐ事になっているらしい。

 

 だから勉強に励まなくてはならなかったはずなのだが、高校3年間だけならと、μ'sに入ってくれたのだ。こちらとしては作曲が出来る大切な人材を得られて大変嬉しいところなんだが、西木野はμ'sに入ってる事を母親には言っていても父親には言ってないらしい。そこだけは少し不安が残るな……。

 

 

「……今は気にするだけ無駄か」

「え、どうしたの?」

「いや、気にすんな。グリコのプリンが食べたくなっただけだ」

 今度はまったくの嘘を言ってみる。穂乃果の事だから対して気にしないだろ。

 

 

「やけに具体的だね……。あっ、あの前にいるのって花陽ちゃん達じゃない?」

「ん?ああ、そうっぽいな」

 前を見ると音ノ木坂特有の赤いジャージを着ている3人組がいた。髪を見れば分かるが、間違いなく小泉達だった。

 

 

 

「おーい!花陽ちゃーん!凛ちゃーん!真姫ちゃーん!おっはよー!!」

「あ、おいっ」

 別に神社までもうそこなんだから声かけるほどでもないでしょうに。眠いのにこれ以上騒がしくなるのは御免こうむりますよ拓哉さんは。ホントお勧めしない。全部俺に夜更かしさせたラノベが悪い。……ごめん俺が全部悪かったわ。

 

 

 

「あ、穂乃果先輩とたくや先輩だー!おっはようにゃー!」

 俺達にいち早く気付いた星空がこちらに手を振ってきた。軽く手を上げてそれに応じる。穂乃果が走る中俺はゆっくりと歩く。少しはゆったりしながら歩いてもいいんじゃない?走りたくないし。

 

「お、おはようございます……」

「3人一緒に朝練に来るなんて仲良しだねー!」

「べ、別に、歩いてたら偶然会っただけだし……!」

「真姫ちゃんとももう仲良しだもんねー!」

「もう!朝っぱらからくっつかないでよー!」

 

 き、キマシ……!!朝から百合の花園を拝む事が出来ましたぞ!いやー眼福眼福。今ので少し目が覚めた。ついでにイケナイ扉も開きそう。女の子同士は何故か良い匂いしそうという謎の幻想を抱いてしまう男子は多いはず。

 

「あ、ことりちゃん1人でストレッチしてる!これはいけない!たくちゃん!私先にことりちゃんのとこに行くね!」

 何でまだ後ろにいる俺に言うの?小泉達に言えばいいでしょ。俺は先生じゃないので勝手に行ってください。答えは聞いてない!

 

 

 穂乃果が階段を1人で上がっていくと小泉達もそれに続くと思っていたのだが、あら不思議。1年生の方々は階段の手前で親切に俺を待っていた。何この子達、先輩の俺を立てようとしてんの?

 そんな事して俺に奢ってもらおうと思ってるなら大間違いだ!昼飯くらいなら奢ってやっても構わん!!……結局奢っちゃうのかよ。

 

 

「おーう、おはよ、小泉、星空、西木野」

「……あ、あう」

「……また忘れてるにゃ」

「……何回言えば気が済むのよ」

 え、何。俺なんか悪い事した?まさか待ってくれてると思ったらいきなり呆られてるとは思ってなかったから拓哉さん困惑ですよ。

 

 

 

「だーかーらー!2週間前にも言ったように凛達の事は下の名前で呼んでって何度も言ってるにゃー!」

「……あ、あー……それな、オーケーオーケー、覚えてる覚えてる」

「思いっきり忘れてたじゃない」

 い、いや、あれだよ?覚えてたよ?覚えてたけど遠慮してただけだから。ホントだから。決して呼ぶのが恥ずかしいだとかそんなのじゃないから!

 

 

「……私達の事、名前で呼ぶのは、その、嫌、ですか……?」

 ぐ……お……、やめてっ!そんな目で俺を見ないで!罪悪感で押し潰されちゃいそうになるから!……小泉と話してると何もないのに罪悪感を感じてしまうのは何でだろうか。

 

「……いや、そんな事は決してないぞ。ただ、その、何だ。幼馴染の穂乃果達以外で女の子を名前ではあまり呼ばないから、少し恥ずかしいんだよ」

 ヒフミの場合はもう恥ずかしくはない。というかあいつらは何かと俺にちょっかいをかけてくるから恥ずかしさよりも謎の対抗心が勝ってしまう。だからノーカンだ。ちなみに中学の時に1人そういう後輩がいたけどそれもノーカンだ。

 

「恥ずかしいって……それでも男なの?」

「……うっせ、全部の男が女の子の扱いに長けていると思ったら大間違いだ。俺の場合は穂乃果達だけで十分なり」

 俺はそこいらの男よりほんの少しだけヘタレなだけだ。慣れたら大丈夫。……多分。というか何でそこまで拘るんだこいつら。名前呼びならメンバーである穂乃果達だけで十分だろうに。

 

「穂乃果先輩達もそうだけど、お手伝いであるたくや先輩も仲間に変わりないにゃ!だからたくや先輩も凛達の事ちゃんと名前で呼ぶの!!」

「お、おう……。努力するよ」

 ヤバイよ。最近の女の子はみんな読心術心得てるから怖いよ。μ'sメンバーそういうの多すぎない?俺限定で考えてる事が分かるとか超怖い。ハレンチな事考えられない。

 

 

「あの……た、拓哉先輩っ」

「お、おう、どうした?」

 こいず……花陽から声がかけられた。1年がμ'sに入ってから俺に話しかけてきた回数が1、2回くらいしかない花陽が一体どうしたんだ?

 

 

「……えっと、た、試しに、私達の事、名前で呼んでみて、くれませんか……?」

「…………………………………はい?」

 えっと、何言ってんのこの子?いきなり名前で呼んでくださいだと?何その後悔処刑。後悔しかしないの確定じゃん。どうせこれから呼ぶのに今呼ぶ必要ないじゃん。あれか、ずっと忘れてたからそのその罰ってやつか。あらやだ、花陽ちゃんったら結構鬼畜っ!

 

 

「そうだにゃ!1回言ってみるにゃ!」

「そうね、いい加減ちゃんと言ってもらわないとこっちとしてもめんどくさいものね」

 後輩が先輩である俺を殺しにかかってきてる件。変に頑固なとこは穂乃果達に似てんだなこいつら。こりゃ言わないと先へ進めなさそうな雰囲気ですわ……。仕方ねえか……。

 

 

 

「わぁーったよ、言えばいいんだろ言えば。……は、花陽に、凛……それと、真姫……」

 妙に恥ずかしいのは気のせい。これも暖かくなってきた季節のせいに違いない。

 

 

 

 

「は、はい……えへへっ……」

 何ちょっと嬉しそうにニヤケてんですか花陽さん。そんなに嬉しいものでもないだろ。俺が余計恥ずかしく感じるんだから堂々とした反応してもらわないと困るなあ。

 

 

「にゃ、にゃはは……呼ばれちゃったにゃー」

 呼べって言ったのあなた達でしょうが。さっきまでの威勢はどうしたあ!!お前は1番堂々としてなきゃダメだろ!いっちょ前ににゃーとか言ってんじゃねえ可愛いと思ってしまうだろ!いや可愛いけども!

 

 

「……さ、さっさとそう呼べばよかったのよ。ふんっ……」

「ああ、さすがだ真姫。お前はやはりお前だったよ……」

「な、何がよ!」

 今はお前のそのツンデレが俺を救ってくれたよ。これで真姫まで変な態度だったら俺は階段を逆立ちしながら登っていたかもしれない。……うん、やっぱなし。これは無理だわ。

 

 

「さ、さあ、もう言ったんだし、俺達もそろそろ上がるぞ。穂乃果はまだしもことりを待たせておく訳にはいかない」

「穂乃果先輩の扱いがいつもおかしいと思うにゃ」

 気にするな、いつもだ。ちなみに海未は今日弓道部の方の朝練に行っている。やはりラブアローシュートを習得するためか。いや、やめておこう。こんな事考えてるとまたバレるかもしれん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺達が階段を上りきったところで、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穂乃果がデコを軽く腫らせ、ことりがそれを心配そうに抱えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………いや、この短時間に何があったんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は淡々と進み放課後になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 授業中の記憶はあまりない。寝てたからね!そして不覚にも山田先生の授業で寝てしまい顔面教科書バットを喰らってしまった。あの人俺に対してだけ容赦なさすぎでしょ。そりゃ男子だからってのもあるけど、たった1人の男子をそんな扱いしますかね!……その男子が授業中寝てるから仕方ないか。

 

 

 

 

 

 まあ今は終わった事だしそれはいい。

 只今私共μ'sの手伝いとμ'sのメンバーは練習着に着替え廊下に立っている。

 

 

 

 

「それでは、メンバーを新たに加えた新生スクールアイドル、μ'sの練習を始めたいと思います!」

「……いつまで言ってるんですかそれはもう2週間も前の事ですよ」

 確かに、この2週間ずっと穂乃果は飽きもせずに練習のある日は絶対にこれを言っている。さすがにしつこいんじゃないですかね。まあ俺もこの2週間ずっと真姫達を名前呼びするの忘れてたからあんまり言えた事じゃないんだけどね!!

 

 

「だってぇ嬉しいんだもん!!」

「……ふふっ、それもそうですね」

 海未も少し時間をおいて賛同した。まあ、メンバーは元々募集はしてたし、1年から3人も入ってきてくれた。それに、あのライブを見てくれた3人が入ってくれたのだ。こちらとしては嬉しい他ないだろう。

 

 

「なので、いつも恒例の!」

 そう言って穂乃果は姿勢を正す。キリッとしてるけどデコの絆創膏に笑いそうになってるのは俺だけ?あ、俺だけだね。みんな表情引き締まってるわ。これ俺邪魔なタイプのやつだわ。

 

 

「1!」

「2!」

「3!」

「4!」

「5!」

「6!」

 

 それぞれ番号を言う。

 これが穂乃果の言っている『恒例のやつ』というものだ。ファーストライブの時にもこれをやって緊張をほぐしていたらしい。さすがに6人ともなると番号もそれなりに聞こえる。悪くない。

 

 

「くぅぅ~!6人だよ6人!アイドルグループみたいだよねぇ!」

「いや、一応スクールアイドルなんだからアイドルはアイドルだろ…………って、何。何でそんな顔で見てくんの?」

 笑顔になったと思ったら今度はムス~っとした顔でこちらを見てくる穂乃果。表情豊かで大変そうですねあなた。表情筋使いすぎて顔面筋肉痛にならないようにね。

 

 

「なぁんでたくちゃんは番号言ってくれないの!?」

 ああ、そういう事ね。……いや、それはもう何回も言ってるじゃん。

 

「だから言ったろ。番号を言うのはスクールアイドルであるお前達だ。その手伝いでしかない俺は関係ないから番号を言う必要も資格もないんだよ。オーケー?分かったかい穂乃果ちゅわん?」

「むぅ~……何でぇ!!いいじゃんいいじゃん!たくちゃんも私達の大事なメンバーなんだよ?だったら番号くらい言ったって―――、あたっ」

「穂乃果」

 このまま放っておいたら永遠に言われるのでとりあえずチョップしておいた。気持ちは嬉しいんだがな。

 

 

「確かに穂乃果のその気持ちは嬉しいよ。でもさ、結局は俺は手伝いでしかないんだ。それ以上でもないしそれ以下でもない。だから大事なメンバーって言ってくれるだけで、俺はそれだけで十分なんだよ。だからさ、これからまたメンバーが加入した時のために、7番以降はとっておいてやってくれ」

 頭に手を置いて言ってやる。穂乃果を説得する際はこれが1番効果がいいのだ。ソースは俺。大体これで俺の意見が全てが通せる。

 

 

「むぅ~……たくちゃんがそこまで言うなら、分かった。もうあまり言わない……」

 あまりかよ。時々言っちゃうのかよ。そこはもう言わないでいいだろ。

 

「ほら、そんなくよくよすんな。今はもうμ'sが6人もいるんだ。まずはそこを喜んで練習に励まなきゃだろ?」

「……うん!そうだよね!6人にもなったんだもんね!いつかこの6人が『神6(シックス)』だとか『仏6(シックス)』だとか言われるのかなぁー!」

 ちょっと穂乃果さん?話が飛躍しすぎじゃないですかね。どんだけ年を重ねれば神だとか仏になれるんだよ。多分その頃にはみんな死んでるに違いない。というかスクールアイドル自体終わっているまである。

 

 

「仏だと死んじゃってるみたいだけど……」

 ですよね。花陽も俺と一緒の事思ってたのか。これはいいツッコミ人材が増えたかもしれない。……いかん、花陽をそんな危ない役割にする訳にはいかない。ツッコミは相当労力を使うものだ。そんな労力を使うのは手伝いである俺だけでいい。……なーに語ってんだ俺は。

 

 

「毎日同じ事で感動出来るなんて羨ましいにゃ~」

「えへへ~まあね~!」

 いや、それ褒められてないと思いますよ穂乃果さん。遠回しにバカにされてますよそれ。遠回しに人を小バカにするなんて、しかもそれを本人ですら無自覚なんて……星空凛、恐ろしい子ッ……!!

 

 

「私、賑やかなの大好きでしょ!それに、たくさんいれば歌が下手でも目立たないでしょ!あとダンスを失敗して―――、」

「穂乃果……」

「じょ、冗談冗談……あはは~」

 何でだ!何で穂乃果には鉄拳制裁がないんだ!俺なら鉄拳制裁されて、そこから肘鉄されて、最後に回し蹴りがくるまであるのに!!……あれ、言ってて悲しくなってきたぞ。あれ?

 

 

「そうだよ。ちゃんとやらないと、今朝言われたみたいに怒られちゃうよ?」

「あー」

「確か『解散しなさい』って言われたんでしたっけ?」

 

 そう、今朝の朝練で穂乃果が倒れていた理由。

 それは、ことりがストレッチ中に誰かの視線を感じ、それを穂乃果に伝えたところ、穂乃果はことりの言う視線の感じる場所を覗きに行った。その先でデコピンされたらしいのだ。

 

 そしてその際に言われたのが、解散しろ、との事だそうだ。ことりの証言からすると、その人物は女の子であり、背はそんなに大きくはない。髪型はツインテールで、声は高い方だったという。……あれ、何か見覚えがあるのは気のせいか?いや、気のせいだろう。見た目が似てるなんてよくある話だ。

 

 

 

「でもそれだけ有名になったって事だよね!」

「そうだな。まだ1回しかライブはやってないけど、その映像だけでも結構再生数は伸びてる。それが影響してるんだろう」

「それより練習。どんどん時間なくなるわよ」

 せっかく人が解説してんのに完全無視って酷くないですか真姫さんや。自分が映ってないからって拗ねるんじゃありませんっ!

 

 

「おお、真姫ちゃんやる気満々!」

 うっそだろおい。言ってきた凛にまで無視されちゃったよ僕。最近自動ミスディレクションが多発している模様。バスケ始めてみようかな……。あ、光の役割の担う人がいないから詰んだ。

 

「べ、別に、私はとっととやって早く帰りたいの!」

「またまたぁ!お昼休み見たよぉ。1人でこっそり練習してるの!」

 ほほう、この娘。ツンデレ要素ばっかじゃねえか。リアルでこんなツンデレ娘がいたとは……やはり収穫は大きかったようだ。でもまだデレの部分を十分と聞いていない。いつデレるのだろうか。私、気になります!

 

 

「あ、あれはただ、この前やったステップがカッコ悪かったから、変えようとしてたのよ!あまりにも酷過ぎるから!」

 え、でも前のステップ考えたのって……あっ……。

 

 

 

 

 

「そうですか……」

 未だにツン要素ばかりを見せる真姫の前にいたのは、髪をいじりながら、そして表情も軽くいじけている海未だった。

 

「あのステップ、私が考えたのですが……」

「うぇ……っ!?」

 ヤバイよ、凄くいじけてるよ。後輩にあんな事言われるの初めてだから凄くいじけてるよ。あ、ちょっと涙が見えた。結構ダメージいってるよ!!誰か慰めてあげてっ!

 

 

「ま、真姫も本心で言った訳じゃないと思うし、だから、元気だそうぜ。な?」

「うぅ……拓哉君……っ」

 俺のところに来たから俺が慰めるしかなかった。ことりのとこに行けばもっと癒されるのに。俺ならすぐにことりのとこに行って頭撫でてもらうね。それだけで一瞬で回復しちゃうっ。瀕死でも全回復するまである。

 

 

「頭……撫でてください……」

「……え?あ、おう……よ、よーしよーし」

 やべえ、何この可愛い生き物。服の裾掴んで軽く涙目になりながら俯いてるよこの子。普通ならあざといと感じるのに海未だから一切そういうのを感じない。超可愛い。保護欲が凄い。甘えさせたい。

 

 

「……拓哉君の手、気持ちいいです……」

「お、おう……そりゃ、良かった……」

 俺への精神的ダメージが凄いんだけど。学校内という事を忘れてないよねこの子。ついでに今周りに穂乃果達もいるのに……って、あ。

 

 

 ギチギチと、自分の首がゆっくり動くのが分かる。

 

 

 

 その方向の先にいるのはもちろん、

 

 

 

 

 

「たーくちゃん♪」

「たーっくん♪」

 

 

 

 

 何でだろう。慰めてるはずなのに寒気がするのは。

 

 

 

「まあ気にする事ないにゃー!真姫ちゃんは照れ臭いだけだよねー!」

 そんな時に助け船を出してくれたのが凛だった。おおー!よくぞここで言葉を発してくれたぞ凛!今日ほど君を天使だと思った事はない!まじえんじぇー!!

 

 

 

 

「あれ?」

 ふと、凛が後ろに振り向いた。

 

 

 

 ザーザーと、音が響いていた。何とか穂乃果とことりに気付かれないように海未を宥め、階段を上がると、

 

 

 

 

「こりゃ、随分とまあ、振ってますなあ……」

 土砂降りの雨が降っていた。これは外で練習は出来なさそうだな。かといって中で練習も出来ない。詰んだ。

 

 

 

 

 

 

「どーしゃーぶーりー!」

「梅雨入りしたって言ってたもんねぇ」

「それにしても降り過ぎだよー!降水確率60%って言ってたのにぃ」

「いや、それは別に降ってもおかしくはないだろ」

 むしろそういう中途半端な方が高確率で降るのを俺は知っている。ソースは俺。以前それで油断して外にマンガ買いに行ったら見事にずぶ濡れになった。マジ天気許せん。濡れてダメになった510円を返せ。

 

 

 

「でも昨日も一昨日も60%だったのに降らなかったよぉ?」

「なん……だと……!?」

 俺の推理は間違ってたというのか……。マジ許せん天気予報。ツリーダイアグラムを作るべき。

 

 

「あ、雨少し弱くなったかな」

「ホントだ!」

 見ると、確かに雨は弱まっていた。でもこういうのってあれだよなー。

 

 

「やっぱり確率だよー!良かったー!」

「これくらいなら練習できるにゃー!」

「ですが、下が濡れていて滑りやすいですし……。またいつ振り出すかも……あっ!」

 海未の言葉など耳に入るはずもなく、バカ2人は外に駆け出した。

 

 

 

「大丈夫大丈夫!練習出来るよー!」

「うー!テンション上がるにゃー!!」

 

 

 

 言うと、突然凛が凄いアクロバティックな動きを見せた。

 おお、普通にすげえや。あんな動きも出来るのか凛は!!バカだけど!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃーん!」

 

 

 

 

 最後に決めポーズをとった瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきの同等の雨が降り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱバカじゃねえか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本命のにこは次回出てくる!……はず!!


お知らせ
本編の1話を軽く加筆修正しておきました。
ホントに軽くですが、お時間がある方は是非ご覧ください!
これからも序盤の話などを加筆修正していくやもしれません。


いつもご感想評価ありがとうございます。

評価の方がありがたく20を超えたのでここで改めてお礼をば。


高評価くれた方。
塩釜HEY!八郎さん、aimkutさん、穢土転生さん、寂しがり屋の悪魔さん、ぬべべさん、コドクさん、北屋さん、もぐもぐ45さん、沢庵さん、9回裏から逆転さん、グラニさん、豚汁さん、ムラさん、Bナイトさん、ウォール@変態紳士さん、橘祐希さん

評価ありがとうございました!

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