ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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どうも、最近投稿遅れるのに読者の方も慣れてきたのでは、と思いつつあるたーぼです。

今回からウィンガベー編突入です。半分修学旅行編でもあります多分。


そして、区切りよく今回で本編100話突破!!




100.好きな行事ほど中止になると落ち込むものはない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ごきげんよう諸君、岡崎拓哉だ。

 特に何の意味もないが名乗ってみた。

 

 

 

 

 矢澤家騒動(専属マネージャーの件以外)も何とか落ち着き、それなりの平和を過ごしつつ俺達2年生は今、高校生活の青春中の青春イベント、沖縄へと修学旅行にやってきているのである。

 

 季節は秋といえど沖縄に来ればまだまだ夏みたいなものだ。しかも共学になったとはいえ男子生徒が1人しかいない俺からすれば、女子生徒しかいないこの場で合法的に女子の水着を拝見できるという願ったり叶ったりのイベントでもある。

 

 

 

 これはもう勝ち組なのでは?勝ったなガハハ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「と思ってたのに何で俺だけ部屋に閉じ込められて監視されてるんですかね山田先生」

 

「雨降ってるんだから他の生徒もみんな部屋だし共学とはいえ唯一男子であるお前を野放しにはできないからだ」

 

「信用なさすぎかよッ! てか何で雨降ってんの!? 沖縄の海は!? 麗しい女子の水着は!? 俺の高校生活の青春イベントは!? 定番の肝試しからのキャッキャウフフな展開はどこだ!!」

 

「何を期待してるか知らんが最後から3番目の件については指導が必要そうだな。ちなみに台風が来てるらしい」

 

 だってせっかくの修学旅行なんだから期待もするでしょ! 健全な男子高校生ならそれが普通でしょ! 何で台風なんか来てんだよ帰れよ! 一生に一度しかない高校の修学旅行の邪魔すんじゃねえ!!

 

 部屋にずっといるとか休日の俺と何ら変わらないぞこれ。何なら家で修学旅行してるみたいになってる。ゲームないのが辛い。部屋で寝るくらいならまだいいんだ。なのに、なのに……、

 

 

「何でよりによってこの人が監視役なんだよーう!!」

 

「心の声がダダ漏れだぞ」

 

 あらやだ本音が耐えきれず口に出してしまっていたか。でも仕方ないと思うんだ。期待していたイベントがこうもあっさりと木端微塵にされちゃ誰だって嫌になる。

 

 

「そうは言うけどさすがに厳しすぎませんかね? 修学旅行なんて大事なイベントが雨でこんな事になってるのにさらに何が悲しくて山田先生と一緒にいなくちゃいけないのか。こんな危険人物対象体験するなんて聞いてない! 青春させろ! せめて部屋の外くらい自由に行かせろー!!」

 

「普通に失礼だなお前。あたしだってお前と一緒にここで閉じ込められてるようなものなんだ。言うなればお互い被害者だ。というか男子がお前1人なのが悪い。だからむしろあたしに謝れ」

 

「この教師とんでもねえ!!」

 

 生徒に謝罪を要求してくるとかこの人ほんとに教師かよ。ある意味俺は強制的に音ノ木坂に来させられたようなものなのに何てヒドイ言い草なんでしょう。こんなの認められないわぁ!!

 

 

「しかし何だ。確かに岡崎の言う通り、さすがにここでずっと監視するのもめんど……生徒を閉じ込めておくのも問題だしな」

 

「今面倒くさいって言おうとしたな。絶対そうだな?」

 

「うるさい黙れ。それに雨の景色をずっと見てるとあたしも気が滅入る。どれ、ちょっと待ってろ」

 

 そう言うと山田先生は携帯を片手に部屋を出ていった。電話でもするのだろうか。

 先生がいなくなった途端、パチパチと雨粒が窓に当たる音だけが部屋を支配し始める。監視されてるとはいえ、誰か話し相手がいるのといないのとじゃ暇という感覚も違ってくる。

 

 監視役でも、山田先生じゃなけりゃ遠慮なく話せる人もきっといなかっただろう。そう考えると、まあ、こうしてあの人と喋ってるのも決して悪くはなか―――、

 

 

「戻ったぞー。外出の許可は得た。それと特別に幼馴染だからという事で高坂達がいる部屋にだけ遊びに行く事も許さ―――、」

 

「こんな辛気臭え部屋にいてられるかッ!! きゃっほう待ってろ俺の青春イベントォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「清々しいほどの開放感あり余るテンションだな……。まあいい、これであたしも自分の部屋に戻れる」

 

 先生の言葉が言い終わる前に体が反射的に動いていた。あと口も。とりあえず自販機で飲み物でも買ってそれから穂乃果達のいる部屋へ突撃しよう。ぐへへ、今の俺は牢屋から解き放たれたライオンだ。誰だって俺の勢いを止める事はできないんだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなわけでやってきました岡崎拓哉の突撃隣の晩ご飯!!」

 

「隣でもありませんし晩ご飯もまだまだですから静かにしてください」

 

「本読んでるからその気持ちは分かるけどさすがに辛辣すぎやしませんかね海未さん。せめてもうちょっと俺が来た事に驚きと嬉しさを顔に出してほしいんだけど。ほら、お前らの分のジュースも買ってきたんだから、ね?」

 

 人数分のジュースを持って穂乃果達の部屋に突撃したら海未のあまりの冷たさに俺の心は台風直撃したかのように冷え込んでるよ。穂乃果は何か外見ては項垂れてる。気持ちは分かるぞ。だからここに来たんだ。暇つぶしに。

 

 

「ほら、そこに立ってるのも何だしたっくんもこっちに来て座ろ? 私の隣空いてるし。あとジュースありがとね♪」

 

「神はここにいたか」

 

「天使からグレードアップしてるんですが……」

 

 うるせえ、髪のように心まで青く冷たいお前なんか知らないんだから! ことりこそまさに神。天使兼神。天使の方が可愛い感じするから天使の割合多めで。ガブリールドロップアウト見ても天使は可愛いってはっきり分かんだね。ヴィーネが1番好きだけど。

 

 

「ねえ、たくちゃん」

 

「何だいきなり」

 

 ことりの隣に座ると同時に穂乃果が俯きながら話しかけてきた。トーンは暗い。

 

 

「何で雨なの!? 海は!? 真夏の太陽は!?」

 

「知らねえよ俺に聞くな!! だがお前の言い分はもっともだ! 俺も雨のせいで暇してたからここに来たんだからな!!」

 

「諦めるしかありませんね」

 

「えーやだよー! 高校の修学旅行だよ!? 一生に一度きりだよ!?」

 

「そうだそうだー! 台風に抗議させろー! ビバ青春!!」

 

「拓哉君に至ってはもはや意味不明です」

 

 何で俺だけそういう扱いなのか。いや以前からだからまあ慣れてるけど。慣れてる事がもはや悲しい。ドライな態度とるくせに俺が買ってきたジュースはいっちょ前に飲むなこいつ。お気に召されて何よりです!

 

 

「かくなるうえは……それろ~それろ~……」

 

 穂乃果がいきなり窓を見て念仏のように唱えだした。これは神田明神の時にも見せたあれかな?

 

 

「いいぞ穂乃果。その意気だ。そのまま台風諸共雨もぶっ飛ばしてしまえ」

 

「いくら何でも必死すぎでは?」

 

「何を言う海未たん!」

 

「た、たん?」

 

「沖縄に修学旅行なんて世の健全な男子高校生にとっちゃ何の謂れもなく女の子達の水着が見れる最高のイベントなんだぞ!? それをたかが台風如きに邪魔されちゃ堪ったもんじゃねえ!」

 

「熱いね~たっくん」

 

 そりゃそうだ。今まで男子1人しかいないという事を嘆いていたが、今回だけは違う。ある意味において俺は音ノ木坂学院2年生女子の水着を1人占めできるのと同じようなものなのだ。これで熱くならない男子はいない!! 水着は正義!!

 

 

「水着水着って言うけどさ、たくちゃん一度私達と合宿行って水着見てるじゃん。あれで十分眼福だったでしょ?」

 

「バッカお前。俺はな、お前らの水着なんてもう見飽きてるんだよ! 何が悲しくて幼馴染の水着をまた見なくちゃならないんだ。それならまだ見たことない女の子の水着をたくさん見て目の保養にしたいに決まってるだろ! 分かってないなお前らははーはっはっはっは!!」

 

「……ごめん、もう一度言ってみてくれるかな、たくちゃん?」

 

「はんっ! 聞き取れなかったんなら何度でも言ってやろう。お前らの水着を見るくらいなら他の女の子達の水着をぉ…………、」

 

「あれぇ? どうしたのかな~? 何度でも言ってくれるんじゃないのたっくん? 聞こえづらかったからもう一回言ってくれると助かっちゃうな~♪」

 

 あ、あるぇー?

 何だろうこれ。テンションに身を任せてたらいつの間にか命の危険がそこまで迫ってるような気がしてならないんですが……。

 

 

「や、あ、あの……そのですね? 決してあなた方の水着が魅力的ではないという事ではなくてですね……? どうせなら見慣れていない女の子達の水着も見てみたいな~なんて思っちゃったわけでして……た、助けて海未たんッ」

 

「慈悲はいりません。さようなら」

 

「今生の別れだと!?」

 

 右には穂乃果、左にはことり、正面には海未。逃げ場は……当然ありませんね、本当にありがとうございました。詰んだよこれ。どうみてもグッバイ現世ハローあの世だよ。まさか暇潰しに来たら俺が潰されるとは思ってなかった。……何も上手くないな。

 

 

 

 

 そんな時だった。

 突然穂乃果のポケットからプルルルルと軽快な音が鳴り出した。

 

 

 

「もう、あとちょっとだったのに……あ、絵里ちゃんだ」

 

 あとちょっとって何がですか。完全犯罪ですか。

 何はともあれ絵里のおかげで命拾いした。グッジョブ絵里。

 

 

「もしもし~?……嫌味?」

 

「穂乃果穂乃果」

 

 何とかいつもの雰囲気に戻ったところでスピーカーフォンにするよう穂乃果に指示を出す。絵里の事だ、何も用なくわざわざ電話してくるとは思えない。

 

 

『今週末のイベントの事なんだけどね、相談があって』

 

 穂乃果の携帯から絵里の声が聞こえてくる。

 今週末のイベントと聞いてハッとした。それなら俺もちゃんと用件を聞いておかなければならないからだ。

 

 

「そうなんだ。あ、今たくちゃんもいるから丁度良いね!」

 

『あら、拓哉もそこにいるの?』

 

「おう、いるぞ。で、どんな相談なんだ?」

 

『ふふっ、張り切ってるわね。お手伝いさんっ♪』

 

「うっせ……」

 

 何故珍しく俺がこんな前のめりになって耳を傾けているかと言うと、絵里の言っていた今週末のイベントの事だ。そのイベントはファッションショーの衣装を着て踊ってくれという依頼なのだが、実はこの依頼、俺が取ってきたものなのである。

 

 力仕事の手伝いだけというのもさすがに気が引けてきた俺はやれるだけやってみようとネットを駆使して見ていたらあったのだ。プロのアイドルはアピールする分にはいいが予算も使うから中々とれない。プロの仕事をしている芸人や俳優だった同じだ。

 

 ではスクールアイドルなら?

 もちろん歌って踊るのならこちらとしても願ったり叶ったりだし、人数がいればいるほどあちらもアピールできるし、最終予選に向けてμ'sのアピールも期待できる。衣装は借りるだけだから予算も使わない、つまりwinwinという事だ。

 

 

 だからこの依頼に飛び込み受けた。

 言うなれば、今回に限っては俺はマネージャー的な仕事をしたわけなのでもちろん俺にだって話を聞く権利はある。

 

 

『それで、相談なんだけど……』

 

 どうやら絵里の話によると、イベントがあるのは俺達が修学旅行から帰ってきたその次の日。それは知っているが、その間リーダーの穂乃果はいないしまとめ役の絵里や希は生徒会の穂乃果達がいないあいだのサポートをしてくれるからリーダー役はできないとのこと。

 

 だから残っているメンバーの中で誰が穂乃果達が帰るまで代わりのリーダーをするか、という事で絵里は相談してきたのだ。

 

 

「うーん、誰がいいかな~」

 

 穂乃果も誰にするかで悩んでいるらしい。リーダーの穂乃果が決めるのが1番良いのだろうが、こういう時の穂乃果はポンコツを発揮する確率が高いのだ。だから何か言う前にとりあえず俺が意見を言うしかあるまい。

 

 

「だった―――、」

 

『一応、私と希で話したんだけどね』

 

 言おうとしたところで遮られた。

 というかお前ら話してたんかーい。

 

 

 

 

 

 

 

『―――――――――――、』

 

 

 

 

「……何だ、俺と一緒じゃねえか」

 

「え? たくちゃんも同じ事言おうとしてたの?」

 

 絵里の言葉を聞いてすぐ納得した。

 どうやら俺とまったく同じ意見を思っていたようで、俺が何か言う必要はあまりなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

「ああ、暫定でもリーダーするならあいつしかいないだろ」

 

 

 

 そろそろμ'sの今後の事も考えないといけない時期で、そう考えると3年生はまず除外される。そしてその場には今2年生はいない。つまり1年生に限られてくる。でもってリーダーに適任していると思うのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凛しかいない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


主人公がメイン舞台にいないので難しいですが、良い感じに絡ませていきたいと思っています。
ただ他の回よりは終わるのが早くなるかもしれません。凛推しの方々、大丈夫、凛の可愛さは発揮されると思うので!

さあ、今回でいよいよ大台の本編100話突破でもあります。
ここまで続いているのも毎回感想をくれる方、高評価をいれてくださる方々のおかげです。
これからもどうかこの『奇跡と軌跡の物語』をよろしくお願い致します。必ず完結させますので!!


では、新たに高評価(☆10)をいれてくださった


カタクラさん


1名の方からいただきました。本当にありがとうございます!
これからもご感想高評価お待ちしております!!


来週ですが、1週間ほど東京に行く予定なので投稿できるか分かりません。来週はお休みになるかもですが、投稿できそうならTwitterでまた告知させていただきます。




毎回いただける感想をおかず(活力源)にご飯食べてる(執筆してる)感じ。
いつもご感想くれる方の名前は覚えてますからね!(ヤンデレ)

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