遊戯王ARC-V 光紡ぐ意思   作:シューティング☆

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どうも、とても長くサボっていたシューティング☆です。すみませんでした。モチベーションの低下というヤツなのかただのサボリ癖の延長線上なのかは分かりませんが、しっかり続けていこうと思います。
それと後書きでお知らせがあります。



それでは、どうぞ。


第36話 新たな兆し

前回、素良が帰還させられた。何があったかと言うと、それは少し前に遡る。

 

「い、いけ!古代の機械(アンティーク・ギア)参頭猟犬(トリプルバイト・ハウンド・ドッグ)!」

「ぐああああ!!」

 

貴作 LP 48600→47300

 

…10ターン目、そう…10ターン目でこうなっている。天道貴作VSオベリスクフォース×9…なぜこうなったかと言えば、遡る事1ターン目…貴作のターンだ。

 

「オレは手札から魔法カード、二重召喚(デュアル・サモン)を発動。これによりこのターン、オレは2回通常召喚を行える。そして永続魔法、次元の裂け目と魂吸収を発動」

「次元の裂け目に、魂吸収…除外デッキか?」

「カイザー・シーホースを召喚。そしてこのカードは、光属性モンスターをアドバンス召喚するとき、1体で2体分となる!カイザー・シーホースをリリース!轟雷帝ザボルグをアドバンス召喚!」

 

轟雷帝ザボルグ ATK 2800

 

貴作 LP 4000→4800

 

…現れたのは、アフロの戦士、ザボルグ。しかも轟雷帝だ。そして…この轟雷帝を、光属性をリリースしてアドバンス召喚を行った。お分かり頂けるだろうか。

 

「ざ、ザボルグだって?!しかも轟雷帝!!?」

「お、落ち着け!こっちはまだターンすら回ってないんだ!ヤツが破壊できるモンスターなんて…」

「ま、待て…ザボルグって…自分のフィールドのモンスターも、対象にできるよな…?」

「あ…ということは…」

「ザボルグの効果!ザボルグ自身を破壊する!」

 

ザボルグが自身の放つ雷に打たれ、破壊される。…そして、轟雷帝ザボルグの効果は…。

 

貴作 LP 4800→5600

 

「ザボルグの効果!光属性モンスターを破壊したら、そのレベルかランクの数だけ、互いのプレイヤーはエクストラデッキからカードを墓地へ送る!アドバンス召喚のときにリリースしたのが光属性モンスターの場合、相手が墓地へ送るカードはオレが決められる!このザボルグのレベルは8、よって8枚を墓地へ送る。次元の裂け目の効果で墓地へ送られるモンスターは除外される!さあ見させてもらおうか…お前達のエクストラデッキを」

「う、うわああああああああああああああ!!!」

 

…結果、貴作は適当に手に入れた格安なエクストラデッキのモンスター合計8体、オベリスクフォースはカオス・ジャイアントとギアデビルの2体が3枚ずつ、ダブルバイト・ハウンド・ドッグが2体ずつ墓地へ…次元の裂け目の効果で除外し、貴作は桁外れのライフ、正確に言えば…69600ものライフを得た。だがそれだけならまだよかった。いや、オベリスクフォースの精神衛生上よくないが。だがそれ以上に恐ろしいのが…。

 

「な、なんで…なんであいつ、まだ笑って立てるんだよ!!!」

 

そう…貴作が不気味な笑みを浮かべて立ち上がること…それも、もう10000以上ものダメージを受けている上で、だ。いくら一撃一撃が弱くとも、合計10000以上ともなると相当なものだ。ハーフライフルールで2回以上、ノーマルライフルールで1回は負けている計算になる。いくら1度に大幅に回復したとはいえ、実体化した衝撃を10000ポイント分以上受けてなお不気味な笑みを浮かべ立ち上がる、なんていうことはオベリスクフォースどころかアカデミア内でもできるものはいないし、そんな相手今までいなかった。

 

「ははは…はっはははは…この程度か?…この程度じゃ、オレはまだ満たされない。さあ、もっとこい!オレを倒すにはまだまだ足りないぞ!!」

「な、なんで笑ってられるんだよ…なんで、なんで!!」

「も、もう嫌だ…嫌だ嫌だ!!うわああああ!!」

「お、おい!…!?ば、バカ!それ総員帰還じゃないか!!」

「え?…あ」

 

…オベリスクフォースの1人が発狂し、帰還しようとしたが…使ったのは通常の帰還ではなく、総員帰還というもの。それは…参加している作戦の登録されているデュエルディスクを持つもの全員を、強制的に帰還させるという代物だ。

 

[帰還命令!帰還命令!総員、強制帰還!]

「お前何してんだよおおおおおお!!!」

「おかげで作戦失敗じゃねえかああああ!!」

「ごめんなさいいいいいいいい!!!」

 

こうして、オベリスクフォース+素良が、強制帰還された。残された貴作はというと…。

 

「…なんだもう終わりか。つまらん」

 

笑顔はなくなり、平然とした表情でそう呟く。こいつの体、どれだけ丈夫なんだ…。

 

 

そして同じくアカデミアのユーリはというと…。

 

「…へー。ダメージ・ダイエットでダメージを半減させたんだ」

「ぐ…」

 

零児 LP 5000→3600

 

「…うーん…それじゃあ、バトルフェイズを終わらせてアビス・ラグナロクになったスターヴ・ヴェノムの効果!ダルクをリリースして、アビス・ラグナロクを除外!」

「!アビス・ラグナロクを…」

 

ダルクがスターヴ・ヴェノムの触手の1つに飲まれると、スターヴ・ヴェノムのもう片方の触手からなぜかコードが伸び、それがアビス・ラグナロクを貫き…粒子なり消えた。

 

「これでターンエンド。さ、どうする?」

 

ユーリ 手札0 LP 2200

モンスター スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン×1(攻)、捕食植物(プレデター・プランツ)キメラフレシア×1(攻)

魔法・罠 なし

 

「私のターン!スタンバイフェイズ、地獄門の契約書の効果により1000ポイントのダメージを受ける!ぐうううう…」

 

零児 LP 3600→2600

 

「まだまだ余裕だね」

「ああ。…もっとも、ライフのほうは充実させるつもりだ」

「え?」

「私は地獄門の契約書の効果を使い、デッキからDD魔導賢者ニュートンを手札に加え、ペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

光の柱が現れその中から錆びた銅色のモンスターが現れる。…三日月にも似た姿だ。

 

「これにより、レベル6から9のモンスターが同時に召喚可能!我が魂を揺らす大いなる力!この身に宿り、闇を引き裂く新たな力となれ!ペンデュラム召喚!出現せよ、私のモンスター達よ!エクストラデッキより甦れ!レベル8、DDD死偉王ヘル・アーマゲドン!」

 

DDD死偉王ヘル・アーマゲドン ATK 3000

 

再び現れるヘル・アーマゲドン。そしてペンデュラムゾーンのアビス・ラグナロクのペンデュラム効果は…。

 

「そしてアビス・ラグナロクのペンデュラム効果!墓地より、DDD神託王ダルクを特殊召喚!そしてアビス・ラグナロクのペンデュラム効果により1000ポイントの効果ダメージを受けるが…ダルクの効果により、回復となる」

 

零児 LP 2600→3600

 

「…それでどうするの?」

「こうする。私は手札から魔法カード、ペンデュラム・フュージョンを発動!このカードは自分フィールドのモンスターを素材に融合召喚を行うカード。そしてその際、自分のペンデュラムゾーンにカードが2枚あれば、ペンデュラムゾーンのカードも融合素材にできる!」

「!ペンデュラムゾーンのカードも?」

「私は、DDD死偉王ヘル・アーマゲドンとペンデュラムゾーンのDDD壊薙王アビス・ラグナロクを融合!神々の黄昏を乗り越え、数多の王を超越し、新たな世界を切り開け!融合召喚!出現せよ、極限の独裁神!DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク!!」

 

DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク ATK 3200

 

レオ・コーポレーションによって研究されたペンデュラムカード及びそれを利用するカード…中でもペンデュラム・フュージョンは、比較的最近に作られたペンデュラムを使うカード。…ペンデュラムゾーンのカードをも融合する、という代物だ。これにより、ペンデュラムの可能性は大幅に広がる。

 

「バトルだ!カエサル・ラグナロクで、キメラフレシアを攻撃!この瞬間、カエサル・ラグナロクの効果発動!自分フィールドのDDカードか契約書1枚を手札に戻し、戦闘を行うモンスター以外の相手モンスターを、このカードに装備、その攻撃力分このモンスターの攻撃力をアップさせる!私は地獄門の契約書を手札に戻し、スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンを吸収!」

「っ!キメラフレシアの効果!キメラフレシアの攻撃力を1000ポイントアップさせ、相手モンスターの攻撃力を1000ポイントダウンさせる!」

 

DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク ATK 3200→2200→5000

 

捕食植物(プレデター・プランツ)キメラフレシア ATK 2500→3500

 

「やれ、カエサル・ラグナロク!!ジ・エンド・オブ・ジャッジメント!!」

「ぐうっ…!」

 

ユーリ LP 2200→1750

 

「ダルクでダイレクトアタック!オラクル・チャージ!」

「っぐあ!」

 

ユーリ LP 1750→350

 

「これでターンエンドだ」

 

零児 手札1(地獄門の契約書) LP 3600

モンスター DDD信託王ダルク×1(攻)、DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク×1(攻)

魔法・罠 「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン」×1装備対象:DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク

Pゾーン 「DDD壊薙王アビス・ラグナロク」 「DD魔導賢者ニュートン」

 

「…ちっ…あーもうむかつくな…もうしょうがない。思いっきりやってやるよ。ボクの」

[強制帰還命令が発令されました。帰還しますか?]

「…は?え?…うーん………ドロー。…ちっ、しょうがない。…今回はボクの負けでいいけどさ……次あったら潰す」

「!待て!!」

 

ユーリ ライフ 350→0

 

零児が止める間もなく、サレンダーした直後にユーリは転移をし、融合次元へと帰還した。…それを見た零児は、すぐさま中島へと連絡を始める。

 

「…逃がしたか。中島、状況は?」

[はい。天道貴作からの報告によれば、オベリスクフォース9人が、何やら総員帰還やら、強制帰還がどうのとなって、消えた…と]

「…総員帰還…強制帰還…つまり、強制的に帰還させられたわけか。…これより、大会は中止。事情の説明を行う」

[分かりました。スタジアムのほうに伝えておきます]

「頼んだ…立てるか?」

「少し休んだおかげで、なんとか…」

 

…こうして、戦いは終息した。…だが、これはまだ始まりに過ぎない。…本当の戦いは、これからだ。

 

 

そしてしばらくし…零児は舞網スタジアムへと向かい…アカデミアについて、アカデミアが行っている次元戦争について、そしてその脅威がこの次元にも迫っていること、それに際しランサーズ…正式にはLance Defnse(ランス・ディフェンス) Soldiers(・ソルジャーズ)を結成することを発表した。ランサーズメンバーはまだ候補段階だが、全員の顔写真が大型ディスプレイに表示された。…全員、といっても零児が候補に入れている者全員、というわけではないが。

 

「私達は勝たなくてはならない!そのためにはこの世界の人々の力が必要になる!次はあなたたちがランサーズとなる番だ!!」

 

…批判がないわけではない。だが分かっていることは…戦う必要がある。会場にいるものたちの多くが、賛同した。というのも、アカデミアとのデュエル中の映像…最初は敗北したりカード化したりしたところを、それの後には…勝利する、撤退するときの映像を流した。…最後の辺り、貴作が1人で9人倒したように見えるが、倒したのではなく1人発狂して総員撤退を使ってしまったからだが…勝ったように見えれば、問題ない。後、素良が(強制)撤退する様子も映った。

 

 

そしてランサーズの発表は、点在するLDSの施設にて休んでいる者達も見た。…意識のないものを除いて。

 

「お、オレ達が、ランサーズって…そんな…」

「…勝手にそうなったのでは、あまりいい気はせんな」

 

勝手にさせられたというのではあまりいい気がしないがしない。遊矢、権現坂はそう感じている。当たり前だ、遊矢は多少なりとも知っていたとはいえ、いつの間にか戦う羽目になった。…そして何より…。

 

「…柚子…」

「連絡がついたとはいえ、まだ意識が戻らないそうだからな…」

 

柚子、遊華、シャルロット、後沢渡と勝鬨はすぐに医療施設のほうへと運ばれた。もっともみんな大したけがではなく、沢渡に勝鬨はそもそも意識があり、シャルロットも意識が戻っている。…が、柚子、そして遊華の意識はまだ戻っていない。

 

「…赤馬零児と、話しをつけてくる」

「オレも行くぞ、遊矢」

 

 

 

そしてそんな中、柚子はというと…不思議な夢を見ていた。夢なのか?と思うほど鮮明ではあるが。…夢の内容とは…瓦礫となった町と思われる場所で、誰かからカードを奪い、その人物がこられないようにしてから何故か階段状になっている浮遊している岩を登り…巨大な怪物…ドラゴンであろうか。そのモンスターの前に出る。…そしてそのドラゴンの胸元辺りには…2人の人影が見える。

 

【―――――!あなたの思い通りにはさせない!!】

【っ!お前は…】

『小娘如きが、我を止められるものか!!』

 

そうして先ほど誰かから奪ったと思われるカードを発動させると、眩い光が放たれ、色鮮やかな無数の花が、力強く羽ばたく無数の鳥が、優しく心地よい風が、神秘的で美しい月の光が現れ、ドラゴンが苦しみだす。

 

『ぐあああああ!!お、おのれ…おのれ小娘がああああああ!!!』

【…ありがとう…】

 

ドラゴンは目の前でいくつかの別のドラゴンらしきシルエットに別れ、そして自分も…。

 

「…っ!…い、今の……あれ、ここって」

 

そして目が覚めた。そこは病室のようで、日の光がオレンジを含み始めている。そしてそこで寝かされている。なお、個室だ。

 

「…なんなの、今の」

 

 

その頃の遊華はというと…柚子と似たような夢を見ていた。ただ…視点が違う。…謎のドラゴンのモンスターとデュエルをしている。視点的にはそうだ。だが…何か人の上半身のようなものが見える。…そして、自分の視点が動き、後ろへ下がったと分かる。

 

【ぐっ…】

『はははは!その程度か!その程度で我に逆らうとは…いくらお前でも無謀だな』

【いいや…まだ!!】

『!それは…ぐっ!…しまった…っ!』

 

そして走りだし、腰にあった剣を抜くと、モンスターにある人の上半身へと突き刺した。

 

【ズ―――!あなたはここで、倒す!】

『ぐっ…ふざけるな!我は大いなる力の権化!神をも超えた存在!!我はこの世界を壊す!!お前になど、邪魔はさせぬ!!』

【ぐっ…ぐぅぅ…】

【!―ァ――!あなたの思い通りにはさせない!!】

【!あなたは…】

『小娘如きが、我を止められるものか!!』

 

そしてやってきたツインテールの少女が、4枚のカードを発動させると…花、鳥、風、月が現れ、ドラゴンが苦しみだし、そして…自分とともに、いくつかに別れた。

 

 

「わああああああ!!あ、あれここは…」

 

そして病室で目を覚ました。時間帯としては柚子より後で、日の光は完全にオレンジ色に染まっている。

 

「私確か…っ!……」

 

遊華はすぐ思い出す。…3人で挑み、何もできず、自分と顔のよく似た少女に一方的にやられたことを。…自分に至っては最初に、それも反撃すらできずやられたことを。

 

「………」

 

…それを確実に思い出した遊華の表情は、暗い。

 

 

…そして時間が流れ、ランサーズ結成などの緊急会見やら後始末やら何やらが終わったのは夜の9時を回ったところだった。そして零児は、LDSのセンターコートへと向かっている。…現在のランサーズ候補をそこに呼び出しているのだ。

 

「…二人とも、用意は?」

「万全です」

「間違いないでしょう…しかし、少々ストレートなのでは」

「確証はあっても、ヤツがスパイなら情報を易々と吐かないだろう。捕縛できればいいが…」

「確実に無理でしょうね」

「私もそう思う」

 

そして、センターコートへと出る。…そこには遊矢、権現坂、沢渡、デニス、柚子、ユーキがいる。

 

「!赤馬零児!!」

「待たせてすまない。会見が少し長引いてしまった」

「オレはさっき来たばっかりだから気にしてないぜ」

「それはお前だけだ」

「ホントについさっき来たばっかりでしたからね」

「約束通りの時間に来なかったくせに」

 

…ランサーズ候補全員ではなく、あまり多くはいない。さすがに時間が時間だ。むしろ目当ての人物以外にここまで集まったことに感謝しなくてはいけない。

 

「さてここに来たのは…デニス・マックフィールドに対し、スパイ容疑がかかっていることだ」

「!…へぇ」

「え?!デニスが、スパイ?!」

「アカデミアの…だ」

「…ボク、君らに疑われるようなことをした覚えなんてないんだけどね…」

「まあ、知らぬ存ぜんを通すのも容易いだろう…ではさっそくだが本題に移ろう。中島、例のものを」

「はい。…こちらは、3回戦の最中に撮られたものです」

「ん?…なっ!?」

 

再び中島はタブレットを操作し、ある画像を見せる。……そこには、街の一画にて…誰かと誰かが話しをしている様子が映っていた。

 

「そしてこれが、拡大、鮮明化したものです」

「!こ、これって…デニス?!」

「誰かと話している…誰だこいつは」

「アカデミアのユーリという人物…いわゆる、ユートと同様、榊遊矢、キミによく似た人物だ。ちなみに彼とデュエルしてアカデミアであるということは、ユーキ、そして私自身も相手をしたからよく知っている」

「!あ、アカデミア…」

 

全体的に紫色の人物…後ろ姿からして、零児はデュエルしたユーリと判断した。零児が見たユーリとその特徴がしっかりと一致しているのだ。

 

「…これでもまだ、言い逃れをするのか?」

「…まさかそんな証拠があるなんてね」

「デニス、お前…なんでアカデミアなんかに!」

「それは…っと!」

 

不意にデニスが飛び退くと、デニスがいた場所にデュエルアンカーが飛んできて、地面へと激突、消えた。そして…センターコート観客席のほうから、黒咲が飛び降りてきた。

 

「ちっ、外したか」

「多分さっさと動揺させて捕まえようとする計画だったんだろうけど、すぐに予想できたよ。デュエルアンカーを撃ち込むなら、デュエルディスクを狙う。驚いたけどすぐに予想はついたよ」

「!…高い推理力だな」

「まあこれでもエンターテイナーだからね。こういう能力だって不要なわけじゃないさ」

 

零児が関心するが、黒咲は強い殺気をデニスに向け、もう1度ディスクを構える。

 

「次は外さない!!絶対に逃がしはしないぞ!!」

「悪いけど、こんな状況でバレたんなら、逃げるが勝ちだよ。…それと遊矢」

「!え、な、なんだ」

「…ボクはエンタメデュエリストでありそして…アカデミア。それが答えだよ」

 

そういうとデニスは素早くディスクを操作し、光に包まれ消えていった。

 

「…くっそ!!」

「……まさかアカデミアが…」

「ここに来る前、改めて彼の経歴を調べてもらっていたが…1学年に2人から3人はいそうなものになっていた」

「その経歴って…」

「真偽まで調べられる時間はなかったが、少なくともこのスタンダードでは嘘なのが間違いない」

 

真偽はともかく…融合次元の経歴を、さもこのスタンダード次元の経歴かのように偽ったのかもしれない。…スタンダードにおいては嘘でしかないが。

 

「…デニス…」

「遊矢…」

 

…デニスがアカデミアであった。そのことについては少し衝撃を受けているものもいたものの、1人を除いてそうでもない。…だが、遊矢は違う。同じエンタメデュエリストとして、エンターテイナーとしてすごい、素直にそう思えた。…そのデニスが、アカデミア…信じがたい事実だろう。

 

「…ちっ…オレはもう戻るぞ」

「ああ、すまなかった」

 

とても機嫌の悪そうな顔をした隼は、そのままさっさと帰ってしまった。…今回の出番はこれだけである。

 

「…さて…榊遊矢、私に対し、何か言う事はあるか?」

「…赤馬零児!オレを、オレ達を勝手にランサーズに入れるな!」

「キミなら、今後の伸び次第でより強くなる。ただこのスタンダードにいるより、他の次元でのデュエルを経験したほうがデュエリストとしても成長するだろう」

「そういう問題じゃない!」

「そうだな。勝手にランサーズ候補に入れてすまない。だが、別に断っても構わないぞ」

「え?」

 

…別に断っても構わない。零児はそう言った。まあ普通に考えれば当然だろう、勝手に候補に入れられたのだ、零児にとっては断られても仕方がないだろう。もっとも、遊矢は強制参加、というふうにどこかで考えていたが。

 

「だが断る前に少し、やってもらいたいことがある」

「やってもらいたいこと…?」

「それは…デュエルだ」

「デュエル…」

「そうだ。そして相手は私だ。…あのときの続きとはいかないが、あの時のデュエルの決着をつけよう」

 

そういうと、零児はディスクのプレートを展開し、構える。…対する遊矢はというと…。

 

「…いや、なんでデュエルなんかを…」

「実力を確かめるためだ。さあ、どうする?私の挑戦を受けるか、それとも受けずに逃げるか…」

「…分かった。やろう」

「ではその前に、このカードを受け取れ」

 

そういうと、零児は1枚のカードを遊矢に投げ渡す。それをしっかりと受け取った遊矢。そしてそのカードは…ペンデュラム・フュージョン。

 

「…何のつもりだ」

「ペンデュラムに関するカードで君の持たないカードも、私は多数持っているだろう。そのアドバンテージを少しでも埋めるためだ…それがあれば、よりペンデュラムの幅が広がり、君をより強くするだろう」

「…つまり、オレが弱いって言いたいのか?」

「現状ではまだ分からない。だから君の実力を見たいんだ。そのカードを手にいれた上での君の強さを」

「…分かった」

 

そういうと遊矢はデッキに、ペンデュラム・フュージョンを入れ、ディスクを構えプレートを展開する。

 

「…ではデュエルを始めよう。その前に1つ言っておくことがある」

「なんだ?」

「デュエル形式はアクションデュエル、ライフは8000で行く」

「…はあ!?」

 

ライフ8000、つまりノーマルルールでのライフだ。本来アクションデュエルは、リアルソリッドヴィジョンを使うという性質上、体への負担を考えライフポイント4000からスタートするハーフルールで行われている。…それを、通常の8000で行うというのだ。

 

「ライフ4000ではいくらアクションデュエルとは言え、早々に終わってしまうだろう。何より…君と私の実力差を計るには、ちょうどいい」

「ちょうどいいって…」

「ライフ差が近ければ近いほど実力差は近くなり、遠ければ遠い程…その分、実力差も開く。もっとも、私のデッキだとそうはいかないかもしれないがな」

 

そうでない場合もあるが、そうである場合もある。ライフが減っていれば、その分攻撃が通った、ということにも繋がる…零児のデッキのDDは自らダメージを受けに行くタイプのデッキだが。

 

「では始めよう。アクションフィールド、未来都市ハートランド発動!」

「え、ちょっと!」

 

零児、遊矢以外が観客席に移動したのを確認した零児は、アクションフィールドを発動する。それは…隼と素良が戦ったアクションフィールド、未来都市ハートランド。…隼達の故郷、エクシーズ次元のハートランドをイメージして作り上げたアクションフィールドだ。

 

「…分かった。戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ!これぞデュエルの最強進化系!」

「アクショーン…」

「「デュエル!!」」

 

 

零児 LP 8000

 

遊矢 LP 8000

 




えー、長らく更新せずすみませんでした、シューティング☆です。

遊矢「…もう遊作の過去いろいろ明らかになっちゃったけど」

柚子「…もういろいろ黒い事実が明らかになったけど」

昇「既にアニメARC-V本編も終わっているぞ」

すみませんでした……ではさっそくですが、全力!デュエル塾!…のキーカードコーナーはお休みして

遊矢「え?お休み?」

柚子「なんで?」

いや、お知らせを入れようかと

昇「お知らせ?」

えー、真に勝手ながら、一部内容を変更しようと思います。ARC-V終了していろいろなことが明らかになった結果、今のまま進めるよりも変えたほうがいいかなと。まあ、変えると言っても物語の根幹に関わる部分ぐらいですが。

遊矢「それって、プロローグの謎の人物のところ?」

YES。設定の大幅な変更に伴います。

柚子「確かそこまで行って無いからってスケール縮小を図ってなかった?」

さらに縮小します。

昇「手に負えなくなったのだな」

はい…風呂敷にうまく包めそうにないので、そうなるくらいならと…。

遊矢「…まあ、書いたからにはしっかり完結させてくれよな…」

はい…ではみなさん、よろしければまた読んでください。

遊矢「次回!対決 遊矢VS零児 前編!…ん?前編?」

長くなったので前編後編に別けました

柚子「ライフ8000じゃあ長くもなるわね…」

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