遊戯王ARC-V 光紡ぐ意思   作:シューティング☆

19 / 39
どうも、投稿サボってこんなに間が空いてしまったシューティング☆です、遅くなってすみません。


ではさっそくですが、どうぞ。


第18話 覇者たる星VS新たな眼

フィールドの状況

 

アクションフィールド:仙界竹林

 

遊矢 手札4(時読みの魔術師) LP 4000

モンスター EMシルバー・クロウ×1(守)

魔法・罠 「EMピンチヘルパー」×1、セットカード×1

 

勇雄 手札4 LP 4000

モンスター 天将星ハヤテ×1(攻)

魔法・罠 セットカード×1

 

 

「では参りましょう!私のターン、ドロー!…(あそこにアクションカード…ここは…)」

「ほわちょー!」

「!っとっと…危ない危ない…」

 

勝鬨が遊矢の視線を追い、アクションカードがあるのを見て瞬時に動き、いつものように相手に対しラフプレーを仕掛ける…が、遊矢はそもそも取る気がなかったのか、あっさり退く。その隙…と言っていいのか分からないが、勝鬨はそのアクションカードを手に入れる。

 

「アクションカードは取られましたが、まだまだこれから!手札からスケール2の法眼の魔術師を、ペンデュラムゾーンにセッティングし、EMドクロバット・ジョーカーを召喚!」

 

 

EMドクロバット・ジョーカー ATK 1800

 

 

光の柱が現れ、その中に先端が大きな円錐状になっている杖を持つ、屈強な体をした魔術師が浮かび、下に2が現れる。そして遊矢が召喚したのは道化師のようにも見える黒い服を来た魔法使い。継ぎ接ぎのドクロを模したシルクハットを手に持ち降ろし、お辞儀をして再び被る。

 

「EMドクロバット・ジョーカーは召喚に成功したとき、デッキからオッドアイズ、魔術師、EMのペンデュラムモンスターを、いずれかから1体だけ手札に加えることができる頼もしい仲間!この効果で私はデッキから、EMトランプ・ウィッチを手札に!さらに手札からスケール1の星読みの魔術師を、ペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

もう一つ光の柱が浮かび、その中に星読みが浮かび、下に1が現れる。…これでペンデュラムゾーンには、2枚のカードが揃った。

 

「ただいまセッティングされているペンデュラムスケールは1と2、これではペンデュラム召喚は行えません…ですが、法眼の魔術師の、ペンデュラム効果!手札のペンデュラムカードを公開し、自分のペンデュラムゾーンにある魔術師ペンデュラムモンスター1体のペンデュラムスケールを、エンドフェイズまで公開したペンデュラムモンスターのペンデュラムスケールと同じにする!私はスケール8の時読みの魔術師を公開し、法眼の魔術師のスケールを8に!」

 

 

法眼の魔術師 Pスケール 2→8

 

 

法眼の魔術師の下の数字が2から上がっていき、8で止まる。

 

「そしてこれにより、レベル2から7のモンスターが、同時に召喚可能となります!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!こい、オレのモンスター達!」

 

巨大な振り子が、フィールドにある光の柱の間を揺れ…そして、空に穴が開き、その中から…2つの光が、フィールドに落ちる。

 

「エクストラデッキより、私の現エース!雄々しくも美しき二色の眼、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!そしてもう1体!手札より、私の元祖エース!元祖世にも珍しき二色の眼を持つ竜、オッドアイズ・ドラゴン!」

 

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 2500

 

オッドアイズ・ドラゴン ATK 2500

 

 

フィールドに現れたのはオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン。そしてもう1体…オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが細くなった…否、進化前と言うべきか…そういうべきモンスター……そう、オッドアイズ・ドラゴン。ちなみに遊矢はそもそも、オッドアイズ・ドラゴンは2枚持っていたのだが、そのうち1枚がオッドアイズへと変化したのに対し、こちらにはまったく変化がない。

 

[おっとここで榊選手、ダブルオッドアイズだー!元祖エースのオッドアイズ・ドラゴンに、現エース、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!ここに2大エースが揃ったー!]

「さらに手札からEMトランプ・ウィッチを召喚!」

 

 

EMトランプ・ウィッチ ATK 100

 

 

フィールドに現れたのは、少しだけ継ぎ接ぎのある青い服を着た女の子。手には骨が×字に交差したところに、×字の目をしたドクロが重なった装飾が先端についている杖を持っている。

 

「本来ならばペンデュラム効果のほうにしたいところですが…星読みは片方のペンデュラムゾーンのカードが魔術師でなければ、スケールが変わってしまい、ペンデュラム召喚が難しくなります。ですが今回は、モンスター効果を発動させてもらいます!というわけで、EMトランプ・ウィッチの効果!このカードをリリースすることで、デッキから融合を手札に加えます!」

「融合をサーチ…くるか」

 

トランプ・ウィッチが消え、遊矢は融合を手札に加える。…トランプ・ウィッチには、フィールド融合を可能とするペンデュラム効果があるのだが、時読み、星読みのデメリットのせいで今回はそれが使えない。…レベル1でペンデュラムモンスターであるが故に再利用は難しい。

 

「手札から魔法カード、融合を発動!フィールドのドクロバット・ジョーカーとオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを融合!軽やかに舞う道化師よ、龍の眼に宿り新たな力を呼び起こせ!融合召喚!」

 

融合の渦にドクロバット・ジョーカーとオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが飲み込まれ、混ざりあう。そして…。

 

「出でよ、秘術ふるいし魔天の龍、ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!」

 

 

ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 3000

 

 

フィールドに現れたのは、大きなわっかがついたオッドアイズ。鋭利な部分が減り、全体的に丸っこい。また片目は義眼かそれともこれが普通の目かは分からないが、不思議な目をしている。

 

「さらに!フィールドのEMシルバー・クロウと、オッドアイズ・ドラゴンを素材とする!誇り高き銀狼よ、二色の眼持つ竜と一つとなりて新たな力生み出さん!融合召喚!出でよ、野獣の眼光し獰猛なる竜、ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!」

 

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 3000

 

 

不意に融合の渦が現れ、オッドアイズとシルバー・クロウがその中に入り、混ざりあう。そして現れたのは、全身に骨のようにも見える外殻を纏ったオッドアイズが現れる。そして勝鬨は…。

 

「何?!融合召喚とは、融合、もしくはその系統に含まれる特定のカードを使わなければできないのではないのか?!」

「私のビーストアイズには、素材となる闇属性、ドラゴン族モンスターと獣族モンスターをフィールドから墓地へ送ることで、専用のカードなしで融合召喚が可能となります!」

「なんだと!!」

「では、バトル!ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで、天将星ハヤテを攻撃!光輪のシャイニー・バースト!」

 

ルーンアイズの輪にある三か所ある窪みのうち2つに光の玉が現れ、そのうち1つから光線が放たれる。

 

「だが…ハヤテの効果!このカード以外のモンスターが自分フィールド上に存在しない場合、相手モンスターの攻撃を、無効にする!」

 

ハヤテがルーンアイズの攻撃をかわそうとした…が。

 

「ですが、ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは、ペンデュラム召喚を行ったフィールドのモンスターを融合素材にしたら、そのターンは相手のカード効果を受け付けない!」

「なんだと?!」

「シャイニー・バースト!」

 

ルーンアイズの攻撃が早く、まともにその攻撃を受けたハヤテは破壊される

 

勇雄 LP 4000→3100

 

「ぐっ…おのれ…」

「そしてビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで、ダイレクトアタック!激動のヘルダイブ・バースト!」

「だが…アクションマジック、回避!この効果で自分は、ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの攻撃を無効にする!」

 

ビーストアイズの攻撃を、勝鬨は後ろに飛んで軽やかに回避した。

 

「それではカードを1枚伏せて、ターンエンド!このエンドフェイズ、法眼の魔術師のペンデュラム効果は切れ、スケールは元の2に戻ります」

 

 

法眼の魔術師 Pスケール 8→2

 

遊矢 手札1(時読みの魔術師) LP 4000

モンスター ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン×1(攻)、ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン×1(攻)

魔法・罠 「EMピンチヘルパー」、セットカード×2

Pゾーン 法眼の魔術師:2 星読みの魔術師:1

 

「くっ…自分のターン、ドロー!……自分は手札から、召喚僧サモン・プリーストを召喚!サモン・プリーストは召喚したとき、守備表示になる」

 

 

召喚僧サモン・プリースト ATK 800 → DEF 1600

 

 

「サモン・プリースト…確か魔法カードを1枚捨てて、レベル4のモンスターを1体、デッキから特殊召喚するカード…でも何を…」

「自分はさらに進化するだけだ。サモン・プリーストの効果!手札1枚を捨てることで、デッキからレベル4のモンスター1体を特殊召喚する。現れろ、変将星ヘンゲ!」

 

 

墓地へ捨てたカード:融合

 

 

変将星 ヘンゲ 戦士族・効果 星4 闇属性 ATK 1500 DEF 1000

①このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、発動できる。手札から「将星」モンスター1体を特殊召喚する。

②1ターンに1度、属性を1つ宣言して発動できる。このカードの属性は、その属性になる。

③1ターンに1度、墓地の「将星」モンスター1体を対象に発動できる。そのカードをゲームから除外し、このカードの名前を、そのカードと同じにする。

 

 

変将星 ヘンゲ ATK 1500

 

「ヘンゲは特殊召喚時に効果が発動できるが、自分は発動しない。そして自分はトラップカード、融合準備を発動!エクストラデッキの覇将星 イダテンを公開し、融合素材として指定されている天将星 ハヤテを、デッキから手札に加える!」

 

 

覇将星 イダテン 戦士族・効果/融合 地属性 星10 ATK 3000 DEF 2200

「天将星 ハヤテ」+地属性、戦士族モンスター1体

①このカードがこのカードのレベル以下の相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。その相手モンスターの攻撃力は、そのダメージ計算時のみ0になる。

②このカードが破壊された場合、発動できる。自分の墓地から融合モンスター以外の「将星」モンスター1体を特殊召喚できる。

 

 

「さらに墓地の融合を1枚、手札に加えることができる」

「これは…どうやら、これはピンチになるかもしれませんね」

「…そして、ヘンゲの別の効果を発動!属性を1つ宣言することで、その属性となる。自分は地属性を宣言!」

「属性を宣言…これで融合が可能になる、というわけですね」

「その通りだ。手札から魔法カード、融合を発動!手札の天将星 ハヤテと、地属性の戦士族、H・Cサウザンド・ブレードを融合!天駆ける疾風!千の剣と重なり!悠久の覇者たる星と輝け!」

 

奇妙なポーズをし、融合宣言をする勝鬨。…無論、融合の渦にハヤテと背中に無数の武器を背中に携えた…生えているようにも見えるが…白い服を着ているお坊さん…にも見えなくもないモンスターが、入る。え?なんでお坊さんか?モチーフとなった存在が存在だからだ。

 

「融合召喚!出陣せよ、覇将星 イダテン!!」

 

 

覇将星 イダテン ATK 3000

 

 

融合の渦から紫の鎧を纏った青いズボンを持つ…三国志をモチーフとするゲームに出てもおかしくないような覇者たる将軍が、現れる。

 

「やっと現れたな、イダテン…」

「そして自分のフィールドに地属性の将星と名のついたモンスターが存在することで、手札の地将星テンマを特殊召喚する!」

 

 

地将星 テンマ 戦士族・効果 地属性 星5 ATK 2100 DEF 0

①自分フィールド上に「将星」地属性モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚することができる。

②このカードが特殊召喚された場合、墓地にある「融合」魔法カード、もしくは「フュージョン」魔法カード1枚を対象に発動することができる。そのカードを手札に加える。

 

 

「地将星 テンマの効果発動!このカードが特殊召喚された場合、墓地の融合と名のついた魔法カードを1枚、手札に加える。自分は融合を手札に加える!」

「!まさか、もう1度…」

「そうだ。そしてヘンゲのさらなる効果!墓地の将星モンスター1体を除外し、そのモンスターと同じ名前になる!自分はハヤテを除外し、ヘンゲをハヤテにする!」

「!もう1体来る…」

 

ヘンゲの背後に、半透明のハヤテが浮かぶ…背後霊、というものと思っていいだろう。どう見ても。

 

「そして手札から魔法カード、融合を発動!フィールドのハヤテとなっているヘンゲと、地将星 テンマを融合!天駆ける星!地を跳び!今1つとなって悠久の覇者たる星と輝け!融合召喚!出陣せよ、覇将星 イダテン!」

 

 

覇将星 イダテン ATK 3000

 

 

先ほどと同様のポーズで融合宣言、そしてイダテンが現れる。これでイダテンは2体…遊矢のフィールドのモンスターと、同じになった。

 

「バトル!覇将星 イダテンで、ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを攻撃!イダテンはバトルするとき、そのモンスターのレベルがこのモンスターのレベル以下なら、その攻撃力を0にする!」

「!くっ…!アクションカード…」

「!たあ!」

「っと!」

 

イダテンがルーンアイズに向かって突撃していく。そして遊矢はアクションカードを見つけるが、勝鬨が瞬時に反応、足元の石を蹴る。当たらないコースにはなっていたが、反射的に遊矢はかわしてしまう。

 

「いけ、イダテン!覇者天地突き!!」

 

そしてイダテンが槍を使いルーンアイズを上へと思いっきり突き上げ宙に浮かせる。

 

 

ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 3000→0

 

 

そして素早く飛び、ルーンアイズと並び…槍をルーンアイズに叩きつけ、地面へと叩き落とす。衝撃により、土埃が発生する。

 

「!ルーンアイズ!ぐっ……トラップ発動、ガード・ブロック!相手ターンに発生する自分への戦闘ダメージを0にし、デッキからカードを1枚ドローする!」

 

衝撃波は遊矢の周りに展開されたバリアによって防がれた…が、モンスターの破壊までは防げない。

 

「もう1体のイダテンで、ビーストアイズを攻撃!覇者天地突き!」

「くっ…EMピンチヘルパーの効果!」

 

ビーストアイズも、ルーンアイズ同様、イダテンによって突き上げられ、宙に浮かされる。

 

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 3000→0

 

 

そしてビーストアイズもなすすべもなく…地面へと、叩きつけられ…土埃が発生する。

 

「これでお前のライフは…ん?」

「…EMピンチヘルパーは、自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合の攻撃宣言時に墓地へ送ることで発動でき、その戦闘で発生するダメージを0にします」

「しぶとい…自分はこれで、ターンエンド」

 

勇雄 手札1 LP 3100

モンスター 召喚僧サモンプリースト×1(守)、覇将星 イダテン×2(攻)

魔法・罠 なし

 

「オレのターン…ドロー!くっ…法眼の魔術師のペンデュラム効果!法眼の魔術師のペンデュラムスケールを、手札の時読みの魔術師と同じにする!」

 

法眼の魔術師 Pスケール 2→8

 

「リバースカード、オープン!トラップカード、ペンデュラム・ターン!自分のペンデュラムゾーンに2枚のペンデュラムカードがセッティングされている場合、そのスケールでペンデュラム召喚可能なモンスターを2体、墓地から手札に加えます!ペンデュラムゾーンのスケールは法眼の魔術師の8、星読みの魔術師の1、2から7のモンスターがペンデュラ召喚可能の範囲となっています。私は墓地の、レベル2のカードカ・Dとレベル7のオッドアイズ・ドラゴンを手札に加えます!そして手札に加えたカードカー・Dを召喚!」

 

再び現れるカードカー・D。…ここで勝鬨は1つ、疑問に思った。

 

「ペンデュラム召喚が可能なら、何故ペンデュラムで出さない?」

「残念ながらカードカーDのドロー効果は特殊召喚では発動できず、特殊召喚したターンに効果は発動できません。カードカーDの効果を発動!このカードをリリースし、デッキから2枚ドローする!そして、ターンエンド」

 

遊矢 手札5(オッドアイズ・ドラゴン、時読みの魔術師) LP 1000

モンスター なし

魔法・罠 セットカード×1

 

「自分のターン、ドロー!…バトル!イダテンで、ダイレクトアタック!」

「トラップ発動!ダメージ・ダイエット!このターン受ける全てのダメージを半分にする!」

「くっ…だが、ダメージは受けろ!」

「!うわあああ!!」

 

遊矢 LP 4000→2500

 

さすがに突き上げて叩き落とす…というのはダメなのか、地面に槍を叩きつけ、その衝撃波で攻撃した。

 

「そしてもう1体のイダテンで、ダイレクトアタック!」

「!うああああああ!!」

 

遊矢 LP 2500→1000

 

「これでターンエンド」

 

勝鬨 手札2 LP 3100

モンスター 召喚僧サモンプリースト×1(守)、覇将星イダテン×2(攻)

魔法・罠 なし

 

「くっ…」

「さあ立て。叩きのめしてやる」

「…ぐっ…!っ!!」

 

不意に遊矢が動きを止める。…遊矢には、奇妙な声が聞こえていた。

 

『(委ねよ…力に。滅ぼせ、全てを)』

「な、なんだんだいったい…」

「?」

『(力に身を委ね…そして滅ぼせ、壊せ、潰せ)』

 

謎の声は遊矢にしか聞こえないが…ドンドン、ドンドン大きくなっていく。

 

「ぐっ…おおお…」

 

そして遊矢から少しだが…何やら不穏な黒い何かが、見える。

 

「おお…おおおお…」

 

その不穏な黒い何かは徐々に大きくなる…だが…不意に、ペンデュラムが光り、揺れる。

 

 

 

 

「…?ここは…」

 

気が付けば、遊矢は不思議な空間にいた。辺りが白く、ところどころに様々な色の光が漂っている空間。

 

「オレは確か、勝鬨とデュエルしてたはず…でも、なんで…」

 

疑問に思っていた遊矢の耳に、何かの鳴き声が聞こえる。…よく聴く、鳴き声だ。

 

「!まさか…オッドアイズ?オッドアイズなのか?!」

 

…鳴き声が聞こえる。…だが、姿が見えない。

 

「オッドアイズ…どこだ、どこにいるんだ!」

『…オッドアイズは、まだここにはいません』

 

どこからともなく、声が聞こえてきた。声の感じから、少女のようだ。

 

「まだ…いない?」

『はい。でも、もうすぐきます。あなたを頼りに、力を求めて』

「…新たな力を求めて、オレを?」

『はい。…でも、今あなたは力に負け、溺れそうになっている。だから…力に、負けないでください』

「…力に、負けない…」

『そうすればきっと…オッドアイズは進化します。あなたと一緒に』

 

その声とともに、遊矢の周囲を光が囲う。

 

「な、なんだ…?」

『大丈夫です。…今、あなたの心によって、オッドアイズが新たな力を得ようとしています。…後は、あなたの心次第』

「オレの…心」

『あなたの心、それが…新たなオッドアイズとなります』

「…オレは…オレは、勝鬨を、笑顔にしたい。方法は……正直分からない。勝鬨のことまったく知らないから、好きなこととかそういうことは分からない。でもそれでも…あいつのことも楽しませたい、笑顔にしたいんだ!だから頼むオッドアイズ、力を貸してくれ!」

 

オッドアイズの鳴き声が聞こえ…光が炎のように変わる。オレンジ、赤、黄色…燃え上がる炎のように。

 

「?!こ、これは?!」

『オッドアイズがその熱い心によって、力を得て、新たな姿を得ます。…燃え上がる炎の力を』

「燃え上がる炎…」

『さあ行ってください。そして、進んでください』

「…ああ。……でも、いったい誰…ん?うわ?!」

 

遊矢は光に包まれる。……そして、誰か分からぬ少女の声が聞こえる。

 

『…よろしくお願いしますね……マスター』

 

 

「…!ここは……」

 

気が付いた遊矢は、デュエルフィールドに戻っていた。どれほど時間が経ったかについてだが…まったく時間が経っていない。

 

「…何かは分からないがお前のターンだ。それとも何もせずに敗北を待つか?」

「(…まだ1分経ってない……よーし…)…皆さま!少々ご心配をかけて申し訳ありません!ですがもう私は大丈夫ですのでご安心を!…ただデュエルの状況については私の不利、おそらくこれが、私の最後のターン…つまり次のドローがこのデュエルの命運を分けます!このデュエル、どちらが勝つか…」

 

遊矢がデッキの上のカードに手をかける。……そのカードは不思議と光っているように見えるが…誰もそれは分からない。

 

「最後まで、観ていてください!ドロー!!」

 

カードが光の軌跡を描く。無論気付くものはいない。……そして遊矢はドローしたカード見て…驚いた。

 

「!(このカード…でも、ペンデュラムでもなかったし…それに…いや、今はいい…)さあ行くぞ勝鬨!再び揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!!ペンデュラム召喚!こい、オレのモンスター達!手札から世にも珍しき元祖二色の眼、オッドアイズ・ドラゴン!そしてエクストラデッキからEMドクロバット・ジョーカー!EMシルバー・クロウ!そして雄々しくも美しき二色の眼、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!!」

 

 

オッドアイズ・ドラゴン ATK 2500

 

EMシルバー・クロウ ATK 1800

 

EMドクロバット・ジョーカー ATK 1800

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK 2500

 

 

フィールドに再び現れる4体。そして遊矢のエクストラデッキは…光っている。

 

「オレは手札のチューナーモンスター、貴竜の魔術師の効果!フィールドのオッドアイズと名のついたモンスターのレベルを3つ下げ、このカードを手札、墓地から特殊召喚する!オッドアイズ・ドラゴンのレベルを3つ下げ、特殊召喚!」

 

 

オッドアイズ・ドラゴン 星7→4

 

貴竜の魔術師 DEF 1400

 

 

白く大きい帽子に大きめの紫と白のローブを着た少女が現れる。手にはU字磁石のようなものが先端についた、赤い宝玉のついた杖を持っている。

 

「!チューナーモンスター…ということは、シンクロ召喚かっ!」

「オレはレベル4のオッドアイズ・ドラゴンに、レベル3の貴竜の魔術師をチューニング!」

 

貴竜の魔術師が3つの歯車になり、その中にオッドアイズ・ドラゴンが入り、4つの星になる。

 

「熱き情熱の炎を纏い、今新たな姿を現せ、二色の眼の竜よ!シンクロ召喚!」

 

歯車から光が放たれ…それが炎になる。そして炎の中から現れるのは…赤い体、胸に青い宝玉を収めたオッドアイズ。その姿はどこか炎の鳥にも見える。

 

「レベル7、猛き咆哮をあげし、灼熱の竜!オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン!!」

 

 

オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン ATK 2500

 

 

『ここで新しいオッドアイズ!オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンだー!!その体はまるで燃え上がる炎のように赤く輝いている!!』

「だがレベルは7、イダテンの敵ではない!」

「イダテンを倒すのは、オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンではございません。オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンの効果発動!このカードが特殊召喚に成功したとき、自分のペンデュラムゾーンのカード1枚を、特殊召喚する!現れろ、法眼の魔術師!そして星読みのスケールは、片方が魔術師でなくなったことで1から4になる!」

 

 

法眼の魔術師 DEF 2500

 

星読みの魔術師 Pスケール 1→4

 

 

光の柱が数字と共に消え、星眼の魔術師がフィールドに降り立つ。そして星読みの魔術師の下にある数字が1から上がっていき、5で止まる。

 

「…なんの真似だ」

「あるモンスターを呼ぶため…かな。…勝鬨」

「…なんだ」

「お前、デュエル楽しんでるか?」

「…デュエルを楽しむ必要はない」

 

デュエルを楽しむ必要はないと言う勝鬨。…だが。

 

「でも勝鬨…お前にだってあったはずだ。デュエルを楽しんでいたときが」

「…」

「そんな顔ばっかりしていたら、辛いだけだ。たまには思いっきり楽しんで、笑顔になることも大事だと思う。だから楽しもう、このデュエルだけでも!行くぞ…オレはレベル4のEMドクロバット・ジョーカーとEMシルバー・クロウで、オーバーレイ!」

 

フィールドに渦が現れ、その中にドクロバット・ジョーカーとシルバー・クロウが紫の光となり、飛び込む。

 

「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!こい、ランク4、ダイガスタ・エメラル!」

 

渦から現れたのは、緑色の鎧に両手に楯を持った、エメラルドの騎士。背中には硬質な翼を持つ。

 

 

ダイガスタ・エメラル ATK 1800

 

 

『ここで榊選手、エクシーズ召喚を行ったー!!これで榊選手はこのデュエル中、ペンデュラム、融合、シンクロ、さらにはエクシーズ!これら4つを行ったー!!』

「ダイガスタ・エメラルの効果発動!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、2つあるうちの効果を1つ使う!1つは、墓地の効果モンスター以外のモンスターを特殊召喚する効果、そしてもう1つは、墓地のモンスター3体をデッキに戻し、その後1枚ドローする効果!オレはモンスターを3体デッキに戻し、ドローする効果を選び、墓地のオッドアイズ・ドラゴン、ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴンをデッキに戻す!」

 

 

取り除いたカード EMドクロバット・ジョーカー

 

 

墓地のカード3枚をデッキに戻す。うち2枚…融合モンスターである2枚はエクストラデッキへ戻され…遊矢は、シャッフルされたデッキの上のカードに、手をかける。

 

「…(このドロー…このドローで、本当に全てが決まる…オレのデッキに入ってるドローカードのうち、そのほとんどは…今の状況だとあんまり使えないカード…このドローであのカードが来ればきっと…)……皆さま!これがこのデュエル、正真正銘私の最後のドローとなります!それでは、参ります!…ドロー!!!」

 

ドローが光の軌跡を描き…それを、確認する。

 

「…!来た…オレは自分フィールド上の光属性モンスターの法眼の魔術師をリリースし、デッキからオッドアイズ・ドラゴンを墓地へ送ることで…オッドアイズ・ドラゴンを、進化させる!」

「何…」

「行くぞオッドアイズ!眩しき光を受け、聖なる力を持って道を切り開け!白銀の剣携えし二色の眼、オッドアイズ・セイバー・ドラゴン!」

 

法眼の魔術師が光の粒子となって消え、半透明のオッドアイズ・ドラゴンが現れ…光の粒子が、その半透明のオッドアイズに纏わり、強い光を放つ。…光は形を変え、棘々しい形になる。光が弾け、そこには金色で縁取られた白く輝く、棘々しい鎧を纏ったオッドアイズ。背中には大きな剣が2対ついている。

 

 

オッドアイズ・セイバー・ドラゴン ATK 2800

 

 

「だが攻撃力は2800…それ以前にレベル7、イダテンの前には無力だ!」

「確かにオッドアイズ・セイバーだけじゃ勝てない!でも、たった1枚じゃ敵わなくても、様々なカード1枚1枚が繋がることで、勝利へとつなげる!オレはスケール3のEMヒックリカエルを、セッティング!」

 

カエルのEM、EMヒックリカエルがペンデュラムゾーンにセッティングされる。

 

「ではヒックリカエルのイリュージョンをお見せします!EMヒックリカエルのペンデュラム効果!1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力、守備力を入れ替える!オレは覇将星イダテンの攻撃力、守備力を入れ替える!」

「だが攻撃力と守備力を入れ替えたところで無駄だ!」

 

覇将星イダテン ATK 3000→2200

 

「いいえ、無駄ではありません!手札からEMチアモールを召喚!」

 

遊矢のフィールドに現れるチアガールの恰好をしたモグラ。ユーキとのデュエルでも登場したこのカードの効果は、タイミングによっては強力だ。

 

 

EMチアモール ATK 600

 

 

「EMチアモールの効果!相手の攻撃力が変化したモンスター1体を選び、そのモンスターの攻撃力を1000ポイント、あげるか下げることができる!私は攻撃力をさげる効果を選びます!」

「何っ!」

 

 

覇将星イダテン ATK 2200→1200

 

 

「バトル!オッドアイズ・セイバー・ドラゴンで、攻守の入れ替わったイダテンを攻撃!」

「だが、無駄だ!イダテンの効果発動!」

「無駄じゃない!オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴンがフィールドにいるとき、相手はバトルフェイズ中にモンスター効果を発動できない!」

「なんだと?!」

「いけ、オッドアイズ・セイバー・ドラゴン!乱舞無双ストライク・スラッシュ!」

 

メテオバーストの咆哮が轟き、それにより勝鬨のフィールドのモンスターが全て、耳を抑える。その隙かはともかくオッドアイズ・セイバー・ドラゴンが攻守の入れ替わったイダテンへと一気に接近し、背中にある剣や爪を使って切り付け、最後には距離を取り、ブレス攻撃を放った。

 

勇雄 LP 3100→2300

 

「ぐっ…だが、この程度」

「ここでオッドアイズ・セイバー・ドラゴンの効果!このカードが戦闘によってモンスターを破壊したとき、相手フィールドのモンスター1体を破壊する!この効果で、イダテンを破壊!必殺のストライクセイバー!」

「!イダテン!!」

 

オッドアイズ・セイバーが大きく飛び上がり、背中の剣でイダテンを上から一刀両断し、破壊した。

 

「いけ、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!勝鬨にダイレクトアタック!その二色の眼で、捕らえた全てを焼き尽くせ!螺旋のストライク・バースト!」

「く…ならば、アクションマジック、回避…?!これは…」

 

メテオバーストの効果を知らず、事前に取ったアクションカードを温存していた。そのカードを使う…が。

 

「星読みの魔術師のペンデュラム効果は、ペンデュラムモンスターが攻撃するとき、相手は魔法カードを発動できない!ホロスコープディビネイション!」

「なんだと?!」

 

回避は発動できず、エラー。…そしてオッドアイズが飛びあがり、炎のブレスを放つ。

 

「ぐっ…ぐあああああ!!」

 

勝鬨 LP 2300→0

 

 

『決まったー!ギリギリの攻防を繰り広げ最後に勝利を手にしたのは…榊遊矢選手―!!』

 

その声と共にフィールドが元に戻る。そして遊矢は、尻もちをついている勝鬨へと近づく。

 

「勝鬨」

「…なんのようだ」

 

遊矢は、勝鬨へと手を差し出した。

 

「またデュエルしよう。今回はお前を笑顔にできなかったけど、次は笑顔にしてみせる」

「…ふん」

 

だが勝鬨はその手を取らず、普通に立ち上がり…遊矢の顔目掛け、拳を突き出す。無論、寸止め。

 

「わ?!」

「榊遊矢、次は自分が勝つ」

 

そういうと後ろを向き、見に来ていた梁山泊塾の面々へと深々と頭を下げ、フィールドを去った。

 

「……えっと………またデュエルする…ってことで、いいんだよな」

 

 




…まず、遅くなってすみませんでした!投稿サボってましたすみません!!

遊華「…」

遊矢「うわぁ…」

理由あるない関係なくタイミングとかいろいろあったのに結局のところサボりましたすみません!!

遊華「とりあえずさ………もうちょっと早く投稿できるようがんばらないと」

遊矢「ホントだよ。まったく…いろいろあってモチベーションとか下がってたかもしれないけどさ、さすがにな…」

本当にすみませんでした!!で、ではとにかく、全力!デュエル塾!今回のキーカードは…。


オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン ドラゴン族・効果/シンクロ 炎属性 星7 ATK 2500 DEF 2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン」の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①このカードが特殊召喚に成功した時、自分のPゾーンのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを特殊召喚する。
このターン、このカードは攻撃できない。
②このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。


オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン!

遊矢「このカードは特殊召喚に成功したら、ペンデュラムゾーンのペンデュラムカード1枚を、特殊召喚する効果を持つ…って言っても、この効果を使ったらこのカードは攻撃できないけどな」

遊華「それにもう1つの、モンスターゾーンにいる限り、バトルフェイズ中に相手はモンスター効果を発動できない効果。…って、この効果、竜星には天敵じゃん」

竜星はリクルーターデッキ。メテオバーストは的確に封じるな。

遊矢「アハハハハ…特殊召喚効果は、別にシンクロ召喚じゃなくてもいいからシンクロ召喚以外の特殊召喚でも、別に構わないんだよな。シンクロ以外の方法でエクストラデッキから特殊召喚、墓地からの特殊召喚。それでも効果は発動する」

遊華「攻撃できないって効果も、魔術師ならレベル7のペンデュラムモンスターや、ペンデュラムのチューナーを特殊召喚すれば、このカードを使ってさらに展開ってことも」

遊矢「ペンデュラムチューナーのほうはな…貴竜の魔術師はシンクロ先はドラゴン族限定、12月に発売する零児のストラクチャーデッキにあるDDオルトロスってカードもペンデュラムでチューナーだけど、特殊召喚したら悪魔族以外は特殊召喚できない。竜剣士ラスターPは竜剣士以外のシンクロ、融合、エクシーズの素材にできないっていう制限があるからな…」

そうなんだよな…今のところ、ペンデュラムチューナーって、何かしらの制限があるからな。まあ、ペンデュラムモンスターだから簡単にまた出せるからそうしないといけないだろうけど…。

遊華「うーん…シンクロは難しいか…なら、エクシーズかな」

ランク7、貴竜の魔術師を使えばランク4の素材にもできる。

遊矢「バトルフェイズ中のモンスター効果の発動封じ、これは強いけど…バトルフェイズ以外ならモンスター効果は普通に使える。それに攻撃力だってそこまで高いわけじゃないから突破自体は意外と簡単。それに封じられるのはモンスター効果。魔法や罠は封じられない」

遊華「確か時読み、星読みの2体の魔術師のペンデュラム効果って、ペンデュラムモンスターの攻撃時には魔法や罠を封じるんだよね…このカードがいればモンスター効果も封じられるから…」

遊矢「まあ、そういうこともできるんだよな…」

それじゃあ今回はここまで。…ホント、遅くなってすみませんでした。

遊矢「次からはそういうのは無いようにな」

はい…。

遊華「それじゃあ次回も読んでくださいね!えーっと…次回、迫る融合次元の影。…え?マジ?」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。