今回は遊華のライバルキャラ(ライバルっぽくはないかもしれませんが)の登場です。
それでは、どうぞ。
~~~ とある空港 ~~~
「つ、ついた…なんで今日に限って、向こうの空港近くで竜巻が起きるんですか…」
「自然には敵わない、ということだと思います。ともかく、予定された時刻より大幅に遅れています。急ぎましょう」
「はい…はあ」
とある空港。…その空港に降り立った女性2人。うち1人は灰色の髪をした少女、もう1人はスーツの似合う大人の女性。
「不幸です…」
「手続きもありますので、早く」
「はい…」
少女の呟きは、空港内の数多の会話の中に、簡単に埋もれる。
~~~ 数十分後 舞網チャンピオンシップ会場 ~~~
「RCM プリンス・カレーで、ダイレクトアタック!」
「うわああ!」
[決まった―!!おいしそうな匂いが漂うこのデュエルを制したのは…茂古田未知夫選手だっー!]
「あ~、なんだかお腹空いてきた」
「あんなうまそうな匂いが漂ってきたから仕方ねえよ。…って、そういやもうそろそろ昼か…」
「確かにそうだね…そして休憩が入るぐらいか」
「そういえば休憩が入るってあったわね…」
「それじゃ一緒にご飯食べよう!」
[えー、ではただいまより、休憩時間とさせてもらいます。次のデュエルは1時からとなります]
「さーてと、弁当弁当」
「真澄、お弁当多めに作って」
「残念ね、昨日みたいなことにはならないわ」
「…」
「うーん…ドンマイ、北斗」
休憩時間となり、各々弁当を取り出し、昼食をとる遊華達。…ちなみに言えば、昨日真澄は会場辺りにある出店で何か食べ物を買おうとしたが、人が多すぎて辿り着けず、結果として3人から分けてもらったということがあったが……今回はしっかり用意してもらったようだ。……重箱持ってきた北斗よ、哀れ。
~~~ その頃 とある空港 ~~~
「…ダメです、道路は未だ渋滞、電車はトラブル、それぞれ予定の時間には辿り着くのは難しいです」
「う、うそ!!…船は?」
「そもそもないです」
…とある空港においては、ディスクにて情報をチェックしている女性と、女性と一緒にいる少女。…どうやら予定があるらしいが、間に合いそうにない条件ばかりが揃っている。
「うう、不幸です…このままでは遅刻して、兄様に迷惑が…」
「いいえ大丈夫です。私に、いい考えがあります」
「え?それ何か嫌な予感がします…」
「大丈夫です。…陸に海がダメなら、また空です」
「…ヘリコプター?」
「はい。お嬢様の不幸はよく分かっているので、電車はよくてももしかしたらがあるので、呼んでおきました」
「なんだか複雑です…」
だがこのままでは遅刻するのは明白なため、女性と少女はヘリポートへと向かう。……女性のほうはよく予想できたものだと思う。
~~~ 12:59 舞網チャンピオンシップ会場 観客席 ~~~
「…もうすぐ13時だけど、相手の…確か、誰だっけ」
「梁山泊塾の梅杉剣っていう人だね」
「そうそう…その人いるけど、もう一人がこないね…名前だって分かんないし…」
「なんだ遅刻か?」
「もしくは怖くなったかの、どれかね…梁山泊はラフプレーで有名。怖がって逃げ出しても無理はないし、それはそれでいい判断だと思うわ」
そう、梁山泊塾は、塾長の方針から過度と言っても過言ではないほどのラフプレーを交えた武闘派デュエルの塾。その厳しさと梁山泊出身でプロデビューしたものが多いため、業界第2位を誇る。…とはいえその教育方針に関しては少し疑問があるが、それはまた別の話し。
「一歩間違えば大変なことに繋がるからね」
「ラフプレーじゃないにしても、榊遊矢に対して、大変なことになりかねないことをしたあんたに言われたくない」
「う…」
「榊遊矢とのデュエルで、危ないタイミングで効果使ったりしたんでしょ?もし次同じようなことやったら絶交」
「だ、だってなんだか調子乗ってそうな感じがあったし」
「それはあんたも一緒」
「確かに」
「うぐ…」
真澄に加え、今回は遊華まで話しに入ってきた。遊華が入ってきたことはあまり影響していたかはともかくとして、それにより、北斗はいつものように落ち込んだ。…そうこう話しているうちに…。
[えー、ただいま入った連絡によりますと、このデュエルの対戦相手はまだ会場に到着しておらず、少しお待ちください…とのことで…ん?]
進行役のニコ・スマイリーが何かの音を聞いたのと同様に、観客席にいた人達も、何人かが…騒がしい会場にいる中、何か音が聞こえてきた。…低音で、連続した一定の音。…それは徐々に近づいてきて…。
「あ、ヘリだ!」
「あれ、なんかフィールドのほうに、降りてきてねえか」
「どうやらもう一人…かなり裕福な家庭に産まれ育ったようね」
「真澄ぐらい?」
「そうね」
そして、梅杉含めフィールドにいた人は一旦退去、そしてフィールドにヘリコプターが着陸し、少ししてヘリコプターの扉が開く。…そしてヘリからは、1人の少女が……足を踏み外して滑り落ちる形で、フィールドに降り立つ。……その光景に、騒がしかった会場は、一瞬にして静まり返った。
「…」
「…かなり、恥ずかしいだろうな…」
「…そう、ね…」
「ん?どこかで………あー!!」
フィールドに降り立った灰色の少女の顔を見た遊華は、唐突に叫んだ。
「?!い、いきなりどうしたんだよ遊華」
「あ、アハハハ、失礼しましたー………シンクロコースの首席の中に、海外へ留学したっていう人がいるの、覚えてる?」
「ん?ああ、確かそいつが留学して、次席の遊華が主席になったんだよな」
「その後筆記の結果の影響が響いて刃に主席持ってからたけどね」
「それは遊華が悪い……でもそんな話しをする、ということはまさか…」
「うん…間違いない」
遊華がそこから先の言葉を言う前に…司会進行のニコが、状態を把握し、話し出す。
[えー、お待たせしました!ただいま遅刻していたもう一人の対戦相手が到着いたしましたので、今回の対戦者、両名を紹介いたします!まずは梁山泊塾所属!梅杉剣選手!!そしてもう1人、様々な諸事情が重なったことにより遅刻しましたが無事到着。そしてその名は……赤馬零奈――――!!!]
「赤馬零奈、私の目標で、ライバル」
「…でも妙ね…海外に留学していた人が帰ってくるなんて話しは聴いてない、それに日本での成績は」
「多分、一番最近あったLDS主催のアメリカのほうの規模の大きい大会で優勝したこともあるからじゃないかな………っと。…あ、ほら。この大会確か、アメリカ版ジュニアユース選手権だよ」
「なるほど………ユースクラスでもいいかもしれないけど、海外の成績はともかく、日本での成績は止まってるからジュニアユース…」
「うーんそこは分かんないかな…」
遊華達がそんな感じの会話をしている頃、ヘリコプターは零奈、そしてもう1人女性が降りた後に上昇、会場から飛び去った後…梅杉と零奈は、対峙していた。
「遅れてしまい、申し訳ありませんでした…不幸に不幸が重なり、このような結果に…」
「言い訳はどうでもいい。てっきり怖くなり逃げ出したのかと思ったぞ」
「…いいえ、デュエルにおいて、逃げ出すわけにはいきません。…そして、兄様の名にかけてこのデュエル…必ず勝利してみせます」
「いや、このデュエルはオレが勝つ!」
[では参りましょう!アクションフィールド、大火原発動!]
ニコが宣言し、リアルソリッドヴィジョンの投影機が起動、それによりフィールドは……赤茶色で岩が辺りに転がり、所々炎が噴き出すフィールドに変わる。
「行くぞ!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「モンスターと共に、地を蹴り宙を舞い」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系」
「アクション…」
「「デュエル!」」
剣 LP 4000
零奈 LP 4000
「先攻はオレだ!オレのターン!ライフを1000ポイント支払うことで、手札から電将星 トドロキを特殊召喚!」
剣 LP 4000→3000
フィールドに雷鳴が轟き、稲光が落ちる。…そして、フィールドに黄色い装束を着た戦士が現れる。
電将星 トドロキ ATK 2100
電将星 トドロキ 戦士族・効果 光属性 星6 ATK 2100 DEF 0
①ライフを1000ポイント支払うことで発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
②このカードが破壊された場合、発動できる。墓地からこのカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードがフィールドを離れる場合、代わりにゲームから除外される。
[おおっと梅杉剣選手、いきなり自分で自分のライフを削る!この一手がデュエルにどう影響するのかー!!]
「そして手札からモンスターを1体セット、これでターンエンド」
剣 手札2 LP 3000
モンスター 電将星トドロキ×1(攻)、セットモンスター×1
魔法・罠 なし
ターンを終えた梅杉。…そして、移動を始める。零奈のほうはというと…。
「私のターン…ドロー!」
デュエル開始時からその位置を動いていない。アクションデュエルにおいて動くことは大事だ、動かないことを流儀の1つとするところもある。だが、彼女はLDS所属、LDSにそのようなルールなどない。
「…手札からチューナーモンスター、神秘の代行者 アースを召喚!アースは召喚に成功したとき、デッキから代行者1体を手札に加えます。この効果によりデッキから創造の代行者 ヴィーナスを手札に加えます。そして、カードを2枚伏せてターンエンド」
神秘の代行者 アース ATK 1000
フィールドに白い肌をし、銀髪の髪をした少女の天使が現れる。アースの名前からか、翼と服は青と緑が大部分を占める。そしてフィールドに2枚のセットカードが出現し、ターンを終了した。…開始時の位置から多少動いた程度であり、あまり動いてはいない。
零奈 手札4(創造の代行者 ヴィーナス) LP 4000
モンスター 神秘の代行者 アース×1(攻)
魔法・罠 セットカード×2
[ここまで互いに様子を見ている!だが梅杉剣選手のライフは3000、フィールドには攻撃力2100のモンスター1体とセットモンスター1体、それに対し赤馬零奈選手のフィールドには攻撃力1000のモンスター!セットカードは梅杉剣選手より多いとはいえ心細い攻撃力!]
「オレのターン、ドロー!…このタイミングでこのカードか…まあいい。オレは手札の沼地の魔神王を墓地へ捨て、効果発動!沼地の魔神王は手札から墓地へ捨てることで、デッキから融合を手札に加える!」
[ここで融合を手札に加えた梅杉選手!ということはつまり!]
「さらに反転召喚、曙光の騎士!そしてここで魔法カード、融合を発動!フィールドの電将星 トドロキと、光属性、戦士族の曙光の騎士を融合!轟け電撃!曙とともに現れよ!融合召喚!雷将星ライジン!!」
特徴的な融合の渦が現れ…梅杉が妙なポーズをとりながら口上を述べ…フィールドに、黄色い鎧を纏った武将が現れる。
雷将星 ライジン ATK 3000
雷将星 ライジン 戦士族・効果/融合 光属性 星10 ATK 3000 DEF 2200
「電将星 トドロキ」+光属性・戦士族モンスター1体
①このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
②このカードが破壊された場合、発動できる。フィールド上の表側表示のモンスター1体を破壊する。
「そしてフィールドから墓地へ送られた曙光の戦士の効果!このカードがフィールドから墓地へ送られたとき、デッキから光属性モンスター1体を墓地へ送る。タスケナイトを墓地へ送る!さあバトルだ!雷将星 ライジンで、アースを攻撃!」
「!っと」
「!そんなところにアクションカード…だが!」
ライジンの攻撃宣言した瞬間、零奈が後ろに軽く退く……零奈の足元の地面には窪みがあり、その中にはアクションカードがあった。…それを取ろうとした零奈、だが…。
「イヤァァァァアッ!」
「!よっ、っと…危ないですね」
「だがアクションカードは手に入れ…!これは、アクショントラップ…アクショントラップ、火柱。自分の炎属性モンスター以外のモンスターの攻撃力を、300ポイントダウンさせる…だと!」
火柱 アクション罠
①このカードを発動したターンの終わりまで、自分フィールド上に存在する炎属性モンスター以外のモンスターの攻撃力を、300ポイントダウンさせる。
雷将星 ライジン ATK 3000→2700
「ぐっ…」
零奈 LP 4000→2300
[これは痛いダメージ!アクションカードによりダメージは少しだけ軽減したとはいえ、赤馬零奈選手、ライフを半分近く削られたー!]
「…うわー、相変わらずってところかな」
「?相変わらず…っていうと?」
零奈がダメージを受けたとき、観客席の遊華はそう呟いた。…無論、その言葉に対して疑問を抱かないわけがない刃、北斗、真澄は…。
「いや、零奈…運悪いんだ。パックをいくら買っても欲しいものは当たらず、諦めた直後にパックを買った人が、自分が欲しいカードを当てた、よく犬に吠えられる、大会には遅刻しかける…って感じで。でも、デュエル中はそんな不幸な感じはあんまりないんだよね……アクションカードを除いて」
「?どうしてアクションカードは除かれるんだ?」
「取ってもほぼアクショントラップで、こっちにとって嫌な効果しか与えないものばかりだから」
「あー……」
「不幸ねそれは」
「不運だね…」
「そんなことが続いたからか、基本的に自分が取ろうとするアクションカードはアクショントラップだから取らないようにしようっていう考えを持ってるけど…もしかしたら、それを逆手に取ったのがさっきのかも」
「なるほど、それはそれで戦術の1つとしても十分使えるな」
「戦術のために不幸になりたくないわ」
と、そんな会話を遊華達がしているのを知る由もないフィールドの2人。
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!このエンドフェイズ、ライジンの攻撃力は元の3000に戻る!(さあ攻撃してこい…セットカードは魂の一撃、これで返り討ちだ)」
雷将星 ライジン ATK 2700→3000
剣 手札2 LP 3000
モンスター 雷将星 ライジン×1(攻)
魔法・罠 セットカード×1
「…では、私のターン…ドロー!…手札からヘカテリスを墓地へ送り、効果を発動します。このカードは手札から墓地へ送ることで、デッキから神の居城-ヴァルハラを手札に加えられます。そして手札に加えた永続魔法、神の居城-ヴァルハラを発動します!そして神の居城-ヴァルハラは1ターンに1度、自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、手札から天使族モンスター1体を特殊召喚できます!創造の代行者 ヴィーナスを特殊召喚します!」
荒れた灼熱のフィールドに、光が差し込む。そして空から光の中を通り、黄色い女型の姿をした天使が現れる。
創造の代行者 ヴィーナス ATK 1600
「創造の代行者 ヴィーナスの効果発動!ライフを500支払うことで、デッキ、手札から神聖なる球体を特殊召喚できます!この効果は、ライフさえあれば1ターンに何度でも発動できます!この効果を合計3回使い、デッキから3体の神聖なる球体を特殊召喚します!」
「!自らライフを…(ここまで削られては、魂の一撃が意味をなさない!)」
零奈 LP 2300→1800→1300→800
ライフを大幅に削り、現れたのは3体の光る球体。レベルは低いが、それでも十分だ。
神聖なる球体×3 DEF 500
[なななんと!赤馬零奈選手、ここで一気にライフを、1500ポイントも自ら削り、3体のモンスターを特殊召喚!同じモンスター、ということは、レベルは同じ!エクシーズ召喚が可能となったー!]
「だがレベルは2、例えエクシーズ召喚したとしても呼び出せるのは精々ランク2…その程度では倒すことはできまい」
「その程度…ですが私は、1度もエクシーズ召喚をするとは、言っていませんよ。永続トラップ、強化蘇生を発動します!このカードは墓地のレベル4以下のモンスター1体を、レベルを1つ上げ、攻撃力、守備力を100ポイントあげて特殊召喚します!墓地のチューナーモンスター、神秘の代行者 アースを特殊召喚!」
神秘の代行者 アース ATK 1000→1100 星2→3
[おおっと!ここでチューナーモンスターが現れた!ということは、シンクロ召喚なのかー!?]
「!チューナーだと…!」
「私は、レベル3のヴィーナスとレベル2の神聖なる球体に、レベル3となった神秘の代行者 アースをチューニング!2つに別けられた力高め、1つの力となり光迸れ!シンクロ召喚!!」
アースが飛び、3つの歯車になり、その中に神聖なる球体とヴィーナスが入り、5つの星になり、直列となって…歯車から光が放たれる。現れたのは、緑色の宝石がついた金の装飾を纏った、ヘビのように細長い白いドラゴン。翼は純白の天使の翼が2対。
「レベル8、ライトエンド・ドラゴン!」
ライトエンド・ドラゴン ATK 2600
「…何を呼び出すかと思えば、2600…それぐらいならば、オレのライジンのほうがまだ上!」
「まだ終わっていませんよ。…墓地の創造の代行者 ヴィーナスを除外して手札から、このモンスターを特殊召喚します。…天空より炎を纏い光放て、マスター・ヒュペリオン!!」
再び光が差し込み……いや、光が差し込めている…のではなく、光を放ちながら…炎の翼をもって羽ばたき現れる、太陽の代行者にして、代行者の長、マスター・ヒュペリオン。
マスター・ヒュペリオン ATK 2700
「それでも2700…まだまだこちらが上!」
「マスター・ヒュペリオンのモンスター効果、発動!墓地の天使族、光属性モンスター1体を除外することで、相手フィールド上のカード1枚を、破壊する!墓地の神聖なる球体1体を除外し、セットカードを破壊します!プロミネンス・フレイム!」
「!くっ…」
マスター・ヒュペリオンの翼から、渦を巻く炎が放たれ、剣のセットカードに直撃、セットカードである魂の一撃を焼き尽くした。
「…セットカードより、ライジンを破壊したほうがよかったのではないのか?」
「私は多少ではありますが臆病なほうでして…分かるほうより、分からないほうが怖いです。手札から装備魔法、巨大化をライトエンド・ドラゴンに装備します。このカードは自分のライフと相手のライフがどういう状態かによって、3つの変化をもたらします。今は私のほうが下回っています、よって攻撃力は元々の2倍となります!」
ライトエンド・ドラゴン ATK 2600→5200
「!攻撃力、5200だと!」
「そして私はレベル2の神聖なる球体2体で、オーバーレイ!2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
フィールドに現れた穴に、神聖なる球体が黄色い光になり、その中に飛び込む。そして中からは…岩のような肌色をした、ムキムキな人型モンスターが現れた。
「ランク2、ガチガチガンテツ!」
ガチガチガンテツ DEF 1800
[1ターンの間にシンクロとエクシーズ!これはあまり見られないぞー!!]
「ガチガチガンテツは自身のオーバーレイ・ユニットの数だけ、自分フィールドのモンスターの攻撃力、守備力を200ポイントアップさせます!今のガチガチガンテツのオーバーレイ・ユニットは2つ!よって400ポイントアップする!」
「くっ…微弱ながら攻撃力を…」
ライトエンド・ドラゴン ATK 5200→5600
マスター・ヒュペリオン ATK 2700→3100
ガチガチガンテツ DEF 1800→2200
「バトル。ライトエンド・ドラゴンで、雷将星 ライジンを攻撃!そして、ライトエンド・ドラゴンの効果発動!」
「やらせて、たまるかぁ!!…!アクションマジック、奇跡!自分のモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージは半分となる!」
「ですが、ライトエンド・ドラゴンの効果は、相手モンスターと戦闘を行う場合、その攻撃宣言時、ライトエンド・ドラゴンの攻撃力、守備力を半分にすることで戦闘を行う相手モンスターの攻撃力、守備力をターンの終わりまで、1500ポイントダウンさせる!ライト・イクスパンション!!」
奇跡 アクション魔法
①自分フィールド上のモンスター1体を対象に発動する。そのモンスターはこのターン、戦闘では破壊されず、戦闘ダメージは半分になる。
ライトエンド・ドラゴンの胴体にある装飾の宝石から光が放たれ、ライトエンド・ドラゴンとライジンを覆う。
ライトエンド・ドラゴン ATK 5600→5100
雷将星 ライジン ATK 3000→1500
「シャイニング・サブリメイション!!」
「ぐっ…うおおお!」
剣 LP 3000→1200
「はあ、はあ…ライジンの攻撃力は下がったが、戦闘ダメージは半分、このターンは凌いだぞ」
「では、マスター・ヒュペリオンで、ライジンを攻撃!…!」
「!アクションカードは取らせない!たあ!」
零奈が近くにアクションカードを取ろうとした瞬間、剣が瞬時に石を蹴り飛ばす、投げるといった妨害、その隙にアクションカードを取る。
「…ほう、今回はいいカードだ。アクション魔法、回避!これで攻撃を無効にする!!」
「…ターンエンド。このターンのエンドフェイズ、ライトエンド・ドラゴンの効果は終了、相手モンスターの攻撃力は元に戻ります」
雷将星 ライジン ATK 1500→3000
零奈 手札1 LP 800
モンスター ライトエンド・ドラゴン×1(攻)、マスター・ヒュペリオン×1(攻)、ガチガチガンテツ×1(守)OU×2
魔法・罠 永続罠「強化蘇生」×1、セットカード×1、永続魔法「神の居城―ヴァルハラ」×1
「行くぞ、オレのターン、ドロー!…どうやら、お前の命運もここまでのようだな」
「いいえ、まだ終わりません」
「いいや、これでお前の命運も尽きる!手札から速攻魔法、サイクロンを発動!巨大化を、破壊する!」
「!ライトエンドが…」
ライトエンド・ドラゴン ATK 5100→2500
「魔法カード、融合回収を発動!墓地の電将星 トドロキと、融合を手札に加える!そして、融合を発動!手札のトドロキとフィールドのライジンを融合!轟け電撃!神雷と共に現れろ!融合召喚!雷将星 ライジン!」
雷将星 ライジン ATK 3000
ライジンを融合素材に現れる、ライジン。…融合素材が光属性、戦士なのでこういうことも可能。
[融合モンスターを素材に融合召喚、しかし、いったいこれにどのような意味が…]
「分からないなら今教えよう。手札から魔法カード、死者蘇生を発動!墓地の雷将星 ライジンを特殊召喚する!!」
「…なるほど」
雷将星 ライジン ATK 3000
剣のフィールドに揃う2体のライジン。…そしてライジンは、守備貫通を持っている。
[ここで2体の雷将星 ライジンが、梅杉剣選手のフィールドに並んだ―!]
「バトル!雷将星 ライジンで、ガチガチガンテツを攻撃!ライジンは守備表示モンスターを攻撃するとき、その守備力を攻撃力が上回っていれば、貫通ダメージを与える!くらええ!」
「…ダメージを受ける際にトラップカード、ガード・ブロックを発動します!この効果で戦闘ダメージを0にし、デッキからカードを1枚ドローします」
ライジンの一撃がガチガチガンテツを貫き、破壊する。……ガチガチガンテツはオーバーレイ・ユニットを取り除くことによって破壊を免れる効果も持っているが、今回はそれを使わずに…。
ライトエンド・ドラゴン ATK 2500→2100
マスター・ヒュペリオン ATK 3100→2700
「マスター・ヒュペリオンも攻撃だ!!」
「くっ…」
零奈 LP 800→500
マスター・ヒュペリオンも失う、という事態になった。だが、ガチガチガンテツが残っていた場合は守備力が下がり、その後にまた攻撃され、さらなるダメージを受けてしまう。最初の攻撃の時点でジャストキルとなるぐらい。2回目を受けてしまったら…敗北は避けられない。
[赤馬零奈選手大ピンチ!今のライトエンド・ドラゴンの攻撃力では効果を使用しても、僅かなダメージしか与えられない!このまま決まってしまうのかー!]
「これでターンエンドだ。例え次のターン、ライトエンド・ドラゴンで攻撃し効果を発動しても、オレのライフは残る!(例えライフが0になるような攻撃力を出したとしても、墓地のタスケナイトの効果で無効にできる)」
剣 手札0 LP 1200
モンスター 雷将星 ライジン×2(攻)
魔法・罠 なし
「…私のターン、ドロー!…手札から魔法カード、アドバンス・ドローを発動します。フィールドのライトエンド・ドラゴンをリリースし、デッキからカードを2枚ドローします」
「ライトエンドを…なるほど、ヴァルハラのためと、手札を増やすためか」
「…神の居城-ヴァルハラの効果を発動し、手札からチューナーモンスター、死の代行者 ウラヌスを特殊召喚します」
光と共に現れたのは、冷たく黒に近い灰色の肌をした、青い髪の天使。その翼は、冷たく暗い青に染まり、容姿や衣服、そして持つ杖からも他の代行者とは明らかに、異質であった。
死の代行者 ウラヌス ATK 2200
「死の代行者 ウラヌスの効果を発動します!デッキから裁きの代行者 サターンを墓地へ送り、ウラヌスのレベルを、サターンのレベルと同じにします!サターンのレベルは6、よってレベルは6となります」
「ほう…レベルの変更か。だがどんなモンスターが来ようと、オレの勝ちは揺るがない!」
死の代行者 ウラヌス 星5→6
「手札から勝利の導き手フレイヤを召喚!フレイヤはフィールドにいるとき、天使族モンスターの攻撃力、守備力を400ポイントアップさせます!」
さらに現れたのは、ボンボンを持った青い髪の、女の天使が現れた。そして応援を始め、ウラヌス、フレイヤに光が纏われる。
勝利の導き手フレイヤ ATK 100→500
死の代行者 ウラヌス ATK 2200→2600
「私はレベル1のフレイヤに、レベル6のウラヌスをチューニング!」
ウラヌスが飛び6つの歯車に変わり、その中にフレイヤが入り、1つの星になる。
「黒鋼の起動を響かせ、重音を轟かせ戦場に出撃せよ!シンクロ召喚!レベル7、ダーク・ダイブ・ボンバー!」
歯車から光が放たれ、現れたのは…オレンジ色のボディをした爆撃機を模したようなモンスター。
ダーク・ダイブ・ボンバー ATK 2600
[おおっとここで現れたモンスターは、今まで赤馬零奈選手の使っていたモンスターとは打って変わって、機械族、それも戦闘機のような人型ロボットだー!]
そしてこのモンスターを見たシンクロコース所属の刃と遊華は…。
「あ、これ勝ったんじゃね?」
「アクションカード取って、それ次第だね」
「?何、もう勝利確信?」
「あのカード、そんなにすごいのかい?」
「すごいのなんの…あのカード、一時代を築いたカードなんだ」
「え?」
「一時代…を?」
「ああ。シンクロコースじゃ一時期、あのカードばっか目にした時期があるぐらいだ」
「って言っても、すぐに解決策が出たけどね」
「ダーク・ダイブ・ボンバーの効果!自分のターンのメインフェイズ1に1度、自分フィールドのモンスター1体をリリースすることで、リリースしたモンスターのレベル×200ポイントのダメージを相手に与えます!これにより、ダーク・ダイブ・ボンバー自身をリリース!」
「な、なんだと!!だが、まだ、アクションカードがある!たあ!」
瞬時に近くのアクションカードを取りに行き、そして取った。…だが。
「!くっ…このカードでは…」
「では…これで、終わりです」
ダーク・ダイブ・ボンバーが梅杉に突撃し、自爆。…ダーク・ダイブ・ボンバーのレベルは7、そして梅杉のライフは1200…そして、与えるダメージはリリースしたモンスターのレベル×200ポイント、なので…。
「ぐっ…うおおおおおお!!!」
剣 LP 1200→0
デュエルは終了、そしてそれによりフィールドは灼熱の荒野が通常のフィールドに変わる。
[…き、決まったー!残り僅か500にまで削り削られあわや敗北から逆転勝利を掴んだのは、赤馬零奈選手―!!]
「ふぅ、なんとか勝てました…」
「くっ、おのれ…」
「…中々いいデュエルでした。…ですが、デュエルスタイルに関してはかなり荒っぽいですわね…でも向こうにも荒っぽいデュエルスタイルの方は大勢いました。そして、あなたより強い人も、何人か」
「…弱いと言いたいのか?」
「そうですわね…あなたが強いか弱いかは、もっとデュエルを重ねないと、分かりませんわ。…では、機会があれば、また」
そういい、零奈はフィールドを後にした。
「兄様、本日は遅刻してしまい、申し訳ありません」
「お前の不運は今に始まったことではないからな。南、向こうでの零奈はどうだった?」
「大体定期報告通りです。ただ出発前に近くで竜巻が起き、幸い空港に被害はありませんでしたが、出発時刻が大幅にズレました」
デュエル後、零奈は付添である女性…南と呼ばれた女性と共に零児のところに来ている。
「ですが…もっと早く、それでこそ昨日にでもアメリカを出発していればこんなことには…」
「その話しはいい。では、さっそくだが零奈…あるデッキを使ってもらいたいんだ」
「…?あるデッキ?」
「どのようなデッキでしょうか…私も気になります」
零奈、南共々どんなデッキか気になる。…どちらもデュエリストであるため、気になるのは当たり前だ。
「ああ…どうだ?」
「構いませんが…ある程度改造はさせてもらいます」
「構わない。…だが、デッキに関しては種族こそ同じだが使い方は大きく違う」
「では、その実物は?」
「また後で渡す」
「分かりました」
零奈「中々の強敵でした…」
遊華「お疲れ零奈。…それにしても、最後のあるデッキって、なんだろ…」
それを言う前に、以前やったアンケート結果を発表します。…結果は……どっちも0
遊華「予想通り」
零奈「この小説、あんまり人気ないでしょうからね」
なんとなくこうなる予感はしてましたよ…結果は0でしたので、ここはもうオリカカテゴリのデッキ使います。
遊華「うーん…いろいろ問題多いかもしれないけど、大丈夫?」
問題ないと言いたいところだが、分からない。でも、やると決めたからには、やろう。
零奈「大丈夫でしょうか…まあ、ともかく…では、全力!デュエル塾!です」
よしやろう。今回のキーカードは…。
マスター・ヒュペリオン 天使族・効果 光属性 星8 ATK 2700 DEF 2100
①自分の手札・フィールド上・墓地に存在する「代行者」モンスター1体をゲームから除外することで発動できる。このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
②1ターンに1度、自分の墓地に存在する天使族・光属性モンスター1体をゲームから除外する事し、フィールド上に存在するカード1枚を対象に発動できる。そのカードを破壊する。フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、この効果は1ターンに2度まで使用できる。
マスター・ヒュペリオン!
零奈「代行者の切り札であるマスター・ヒュペリオン。フィールドか墓地の代行者を除外することで手札から特殊召喚でき、墓地の光属性、天使族を除外することでフィールド上のカードを1枚…天空の聖域があれば、1ターンに1度のこの効果が、2回発動できるようになるという、強力な除去効果を持ちます」
遊華「代行者のチューナーは2体、シンクロデッキならシンクロ召喚した後にこのカードを特殊召喚、なんていうこともできるね」
零奈「ウラヌスの効果を使えば、エクシーズ用にレベル調整も可能で、エクシーズモンスターの効果でオーバーレイ・ユニットを消費した後に特殊召喚、ということも不可能ではありません」
除去効果はカードが除外されたら効果を発動するカードと組み合わせてみたら面白いかもしれない。カードにもよるが、より展開できる。
零奈「ただ、特殊召喚効果は除外する必要があるので、墓地に光属性、天使族が少ない状況での使用は、あまりオススメできないですね」
遊華「除去効果も、光属性で天使族のモンスターじゃなきゃ除外できないからね」
零奈「代行者は現在、ウラヌスが唯一の闇属性。さらに強力な天使族には堕天使という闇属性モンスターもいますので、いろいろ注意しないといけません」
特殊召喚自体は他のカード効果でも可能だから、他のカード効果も使って特殊召喚、なんていうことも可能。それに墓地のモンスターを除外して特殊召喚できる分、除去効果を使わなくても特殊召喚しやすいモンスター、ということがあげられる。他にも、もっと厄介で強いモンスター、いるけど。
零奈「クリスティアですね…」
遊華「あれは正直トラウマものだよ…」
うん…では、今回はここまで。誤字脱字といったご指摘や普通の感想、待っています!
零奈「次回も読んでくださいね」
遊華「ん?…次回、次へ向けて」