SAO~黒の剣士と遊撃手~   作:KAIMU

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 どうも、KAIMUです。初めての二次創作、精一杯頑張ります。

 まず最初は、キリトこと桐ヶ谷和人くんのお話です。駄文かもしれませんがお付き合いください。


序章
和人


現実は残酷だ……。

 

 俺、桐ヶ谷和人はそう思う。特に、朝起きて、鏡に映った自分の顔―――正確には額の傷跡―――を見る度に否応無く思ってしまう。

 

 

 

 

 

 昔は、こんな醜い傷跡なんて無かった。弟の晴人(ハルの愛称で呼んでいる)と揃って女顔であること以外は、あまり悩みのない平穏な生活だった。

 

 ――ハルや隣人の木綿季、藍子姉妹と一緒に遊んだり――

 

 ――叔母の翠さんから教えてもらった知識を頼りに、ジャンクパーツから自作PCを組み立てて両親を驚かせてみたり――

 

 ――従妹の直葉と剣道で何度も戦い、一試合毎に一喜一憂したり――

 

 

 どこにでもありふれている、普通の幸せ。それだけで、俺は満たされていた。こんな生活が、ずっと続けばいいと、そう、願っていた。それなのに―――

 

 

 

 キキィィィーーーー、ガッシャァァァァン!!!!

 

 俺の願いは脆く崩れ去った。俺たち四人の乗った車に、信号無視したトラックが突っ込んだという、ありきたりな事故で。俺が10歳のときだった。

 

 「……おとう、さん?おかあ、さん?」

 

 事故の直後、額の痛みで意識が朦朧としながらも、俺は両親を呼んだ。しかし返事は無く、代わりに俺の視界に映ったのは―――

 

 「う、そ…だ……」

 

 ―――変わり果てた両親”だった”ものだった。そして俺は意識を失った。

 

 

 あの事故でトラックの運転手も亡くなったらしい。しかし、俺にはどうでもよかった。ハルと共に桐ヶ谷家の養子になることも、どこか他人事のように思えた。

 

 桐ヶ谷家に引き取られた直後の俺は、ひどいものだった。毎晩事故の事が悪夢として蘇り、うなされては飛び起きる、一日中部屋に閉じこもって出歩かない、等々多大な迷惑を掛けてしまった。そんな俺を立ち直らせてくれたのはハルだった。

 

 「兄さん、お願いだから…前を向いていこう?きっとお母さんも……お父さんも、兄さんがまた笑ってくれる事を望んでいるよ。…僕、も…兄さんと一緒なら、グスッ……がんばれる………からぁ………だから……だからぁ……」

 

 後は言葉にならなかったが、俺の心には強く響いた。これを聞いたとき、俺は自分が情けなくなった。俺が立ち止まっている間に、ハルは悲しみを乗り越えようとし、俺を泣きながらも励ましてくれようとしたのだ。

 

 (ハルに引き換え、俺はなんだ?いつまでも立ち止まり続けるのか?弟が励ましてくれているのに?逆だろう!俺がハルを励ますべきだろう!)

 

 「…ごめんな。一番つらいのはハルなのに、気づいてやれなくて……。がんばろう、すぐには…無理かもしれないけど。それでも、二人ならきっと…乗り越えられるよ」

 

 だからこそ、俺はこう応えた。それを聞いたハルは、泣きながらも笑ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 事故の場景が脳裏に焼きついているため、すぐに他人と関わることはできなかったが、出歩くことはできた。なぜなら妹の直葉――スグが

 

 「お兄ちゃん、散歩しよ!」

 

 「お兄ちゃん、買い物に行こう!」

 

 と、事あるごとに外に連れ出すからだ。おかげで一人でも出歩けるようにはなったが、自分たちが女顔だと痛感してしまった。何故かって?……簡単だ。ある日近所のおばさんたちに、

 

 「あらあら、”三姉妹”揃ってお出かけ?仲がいいわねぇ」

 

 などのセリフを言われたからだ!!しかもスグも、

 

 「はい!そうです!!」

 

 と否定せずに笑顔でこたえてるし……。この日家に帰った後、俺とハルはお互いにお互

いを慰めあった。女顔ってツライ……。

 

 

 

 

 

 

 小学六年生のとき、初めて女の子に告白された。俺自身、その子のことはあまり知らなかったが、告白されたこと自体はうれしかった。だから―――

 

 「これを見ても、好きだって言えるのか?」

 

 そういって、俺は前髪をかきあげて額の傷跡をその子に見せた。あの事故によってついた傷跡。叔父さんや叔母さん、スグやハルでさえも、最初見たときは驚き、怯んでしまったもの。俺のコンプレックス。この子なら受け入れてくれるかな?と淡い期待を込めて――

 

 「っ!!……う……ぁ…」

 

 その子は一歩退いた。

 

 ―――怯えた。怖がった。受け入れては、くれなかった。そう内心ショックを受けるも、何とか愛想笑いをつくり、

 

 「ごめん。俺は君とは付き合えないよ。…さようなら」

 

 そう答えた。その後も、何人かの女の子からも告白されることはあった。しかし、傷跡を見せる度に同情、哀れみ、嫌悪、侮蔑、怯え等の目で見てきた。誰一人として、この傷跡を受け入れてはくれなかったのだ。

 以来、俺は女性からの好意があまり信じられなくなった。だからだろうか?俺がネットゲームにはまったのは。

 ネトゲの中なら、俺は傷跡のことを忘れられた。相手の素性などわからない、誰もが仮面をつけた世界は、俺には居心地がよかった。

 

 

 

 ―――そして俺は出会った。ソードアート・オンライン、通称SAOと―――




 誤字、脱字、アドバイス等ありましたら感想にてお願いします。

 なお、作者はメンタルが弱いのであまり厳しい批判や駄目だしはしないでください。あくまでも「~はどうでしょう?」 「こうすると良いですよ」といったやんわりとした言い方でお願いします。

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