83話が投稿出来ていなかった為、一旦削除して再投稿致しました。
消した後で挿入投稿が出来る事に気が付いた……。
マヌス戦が楽しみだなぁ(白目)
第八十四話 墓王の呪い
さっきの赤い市民、アレは何だったのか。
闇霊とは違うようだが、突如として沸き出てきたソレは異常だった。
魔力の粒子である月明かりの大剣の刃を片手で受け止めた事から、彼らは特殊な力を宿しているのだろう。
そして、このウーラシール全域を包んでいる巨人墓場と同じ、濃密な死の気配。
何故アレが現れたのか、その原因は分からない。
ただ一つ分かった事、それは自分の全てを掛けることになった事。
あの赤い市民が居る限り、一瞬の判断が生死を左右する、死に続ければ当然待っているのは亡者化だ。
死ぬ事はどうでも良いが、何の意味も無しに死に続けるのは頂けない。
左手に竜狩りの槍、右手に月明かりの大剣を握り、肉体を取り戻してから先に進む。
ありがたい事に、あの魔術師が居る場所まではあの赤い市民は出現していないようだった。
道中の敵を、月明かりの大剣を盾代わりにしながら槍を突き、一体づつ丁寧に処理して行く。
そこまでは良い、問題はその後だ。
赤い市民を含めると四体の市民と一体の魔術師。
さっきは正面から向かって瞬殺されてしまったが、厄介なのが居る以上それは悪手だ。
壁から覗き込みながら彼らを観察する。
先に進む道に市民が一体、左側に普通の市民が一体、赤い市民が二体、魔術師が一体。
左側の連中は固まっている、一当てしてから一旦退くのが得策かな?
月明かりの大剣に魔力を流して行き、光波を射出する準備を整える。
それと同時に竜狩りの槍にも魔力を流し込みながら、その刀身を帯電させておく。
壁の影から身を乗り出し、横薙ぎに光波を放つ。
片手のみで魔力を込めた為か十分な威力を発揮しなかったが、相手に少なからずのダメージを負わせることが出来た。
直ぐさま来た道を戻り、階段の上で陣取りながらエンチャントを施したかのごとくに帯電している竜狩りの槍を両手で構える。
手負いの三体、ソレが階段を上るために一列に並んだ所に、帯電している雷を解き放つ。
刀身から解き放たれた雷は、ソラールの放っていた大槍と同じ物となり、彼らの胸を一気に貫いた。
神聖な力を帯びた雷は、彼らの中にある深淵の力をも浄化し、その命を奪う。
赤い市民は遺体を残さず、ソウルの粒子となって溶けて行く。
彼らは闇霊のように別の世界からの侵入者なのだろうか?
そんな疑問が鎌首を持ち上げるが、首を振ってその疑問を振り切り、残る二体を仕留めに行く。
階段を降りて行くと、先の三体に遅れながらも追いかけてきた四体目の市民と出くわした。
相手が何か行動を起こす前に槍で貫き、それを盾にしながら魔術師に接近する。
彼またも泥の飛沫を放ってきたが、市民が盾となっているため俺は無傷だった。
彼の闇術を防いだ後、槍に刺さっていた市民を雷で消し炭にしながら魔術師の胸を貫く。
闇術を使用している点から鑑みるに、彼もまた通常武器では殺す事が出来ないと思われる。
だが、この竜狩りの槍は聖槍、それも雷の力を帯びており、その一撃の威力は言うまでもない。
槍に貫かれた魔術師は、抵抗する間も無く塵となる。
しかし、まだ警戒は解けない。
何故なら、何時もの不快感が俺を襲い、地面から湧き出るように闇霊が現れる。
シルクハットを被り、胸に薔薇を刺したロングコートを着た男。
それは、アルトリウス戦の前に出会った胡散臭い男だった。
俺の人間性を奪いに来たか、それとも俺のソウルを求めてか。
まぁ良いさ、立ちはだかるならば容赦はしない、斬って捨てるだけの事。
相手は霊体とはいえ本体は人間だ、深淵の力を宿していない分、非常にやり易い。
彼は所々手を加えたスナイパークロスを握っているようだが、まともに相手にしてやる必要性など何処にも無い。
彼がスナイパークロスを構えた瞬間に、月明かりの大剣の光波を射出する。
彼はそれを唯の飛ぶ斬撃としか見ていなかったのか、半身を逸らすだけで回避するだけに留め、引き金を引こうとする。 でもね、その避け方じゃあ駄目だよ。
彼の背後で避けた筈の光波が爆発し、その衝撃で彼は転倒する。
その際に、彼は俺の追撃を防ぐ為に引き金を引き、矢を放っていたが、俺はそれを貰いながら突き進み、竜狩りの槍で彼を貫き、雷で消し飛ばす。
最後に、俺がこの男に気を取られているうちに背後に回り込んでいた市民を、逆手で握った月明かりの大剣で貫いて絶命させる。
物陰に隠れて居たんだろうけど、始めから不意打ちを警戒していれば背後を取られた事ぐらいは分かる。
道は二つ、前に向かうか左に向かうか。
どっちに進もうかな。
チェスターさんへ、貴方は魔改造スナイパークロスで三連続ヘッドショットを私に浴びせましたね。 その恨みは忘れない。
その結果、市民以下の扱いになりました。
byACS