不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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放浪者人気に、主人公が嫉妬する勢いなんですが…。

次辺りにドリン様倒しますんで。

おまけのアンケートもそれに合わせてと言うことで。


不死の英雄伝 57

第五十七話 1>4

 

折角だから、仕留めた暗月野郎の竜狩りの弓とその矢を剥ぎ取り、弓の弦を張り直す。

 

 

暗月の連中、もう少しはやるかと思ってたんだがな。

 

まさか此処まで弱ぇとは夢にも思わなかったぞ。

 

俺の腕は落ちてねぇ、寧ろ師匠と出会ってからは前より強くなったはずだ。

 

なのにだ、あの騎士はもう三度も俺を退けた。

 

此処で侵入した時は霊体の事が頭から抜け落ちていたとは言えだ、最下層、地下墓地では手加減なんざこれっぽっちもして居なかった。

 

だが、結果は二度とも敗北だ。

 

あの男の腕で言えば、小細工無しで戦った場合、ここの連中以下だ。

 

奇策に翻弄されたってのもあるだろうが、俺とあの男ではそもそもの土台が違ぇんだ。勝てる方がおかしい。

 

 

チッ、嫌な感じだぜ。

 

 

あの男が何もんなのかは知らねぇが、どんな存在かは検討が付いた。

 

冷静に考えれば、奴はこの時代の人間じゃあ無ぇな。

 

奴が居た世界が今より栄えていた過去なのか未来なのかは分かんねぇが、少なくとも今この時代に生きる人間の出来る発想や知識じゃねぇ。

 

 

火薬と鉄片を埋め込んだ感圧板の件がいい証拠だ。

 

あれは俺があの男に対して考え付いた出来立ての罠だった。

 

確かに、実験を何度かやったが其処は灰の湖だ。あの男の仲間は勿論、師匠にすら見られないようにした物だった。

 

 

なのにあの男は難なく突破しやがった。それも、あの罠がどんな物なのかを把握した上での行動だった。

 

あれと同じような物を知っていたんだろうよ、胸糞悪りぃ。

 

 

こんな事が出来んのは神より上位の”何か”しか居ねぇな。

 

俺を殺すために送られた刺客だってんなら辻褄があう。

 

憶測の域を出ねぇがほぼこれで決まりだろうよ。

 

やっぱし俺がこの時代を終わらせるしかねぇみたいだな。

 

俺の創る新世界に神は要らねぇ。

 

実力が全ての時代を創り上げてやる。

 

その為にだ、目の前の狗共を片付ける事から始めようか。

 

 

 

目の前に見える四人の男、

 

復讐者サスケ

 

亡国の騎士アイギス

 

暗月のソラ

 

縋るものジェームズ

 

 

ーへぇ、一人じゃ分が悪いからって数を揃えてきたってかー

 

ーちったぁ身の程を弁えてんじゃねぇかー

 

ーけどよ、テメェら一つだけ思い違いをしてやがるー

 

ーそいつは、俺に対して数が質を圧するなんて言う妄言は通じねぇって事だー

 

ー来な、質が数を圧する事を教えてやるー

 

 

その言葉が終わると同時に、左右から挟み込むように飛び掛かるサスケとソラ。 彼らの背後ではアイギスとジェームズが雷の大槍を構えている。

 

 

それを見た放浪者はサスケの襟首を掴み、槍を盾にしながらソラの脇腹を殴りつける。

 

後方支援の二人が慌てて槍を地面に投げ付けて誤射を避ける。

 

襟首を掴まれて居たサスケは放浪者の顔を蹴り付け、その拘束から脱出する。

 

盾にされた事に怒りを覚えながら、彼は腰の刀を抜き油断なく構えている。

 

 

先ほど脇腹を殴られたソラは肋を何本か持って行かれたらしく、立ち上がってエスト瓶を飲もうとしたのだが。

 

 

放浪者はその瞬間を狙って居た。

 

身体を落とし、相手に飛び込むように踏み込み、左腕をアッパーのようにかち上げる。

 

足を踏ん張り、腰の捻りを乗せ、身体に掛かる全ての力を拳に集中させる。

 

エスト瓶を使用する為に無防備となった顎に刺さり、首が引っこ抜かれたように跳ね上げられる。

 

更に、その体勢から相手を薙ぎ倒すように、全体重を乗せた拳をソラの顔面に突き立てる。

 

顎を砕かれ、顔面が潰れ、後頭部を石畳で強打したソラ。

 

ー…せ、戦場だ、覚悟は出来て居る…ー

 

彼は最期にそう言い残し沈黙する。

 

 

その光景を見て、何やら奇跡を使用し始めたアイギス。

 

彼の周囲に光の輪が現れる。

 

 

ー平和への歩みかい?ー

 

ーテメェらが好きそうな奇跡だなー

 

 

彼の奇跡によって、身体を拘束された放浪者に、三人が飛びかかる。

 

だが、そんな事は始めから読めて居たのだろう。

 

放浪者は炎の嵐を発動し、周囲を焼き尽くす。

 

 

それと同時に三人が吹き飛ばされ、平和の歩みの効果範囲から解放された放浪者は、トドメを刺すためにサスケの顎を左手のアッパーで跳ね上げ、それとほぼ同時に、顔面を殴り潰す。

 

ー成る程、強い…ー

 

ーコレで残るは二人かー

 

ー身体もあったまって来たしそろそろ本気をだすとしますかねー

 

ー光栄に思えよ?ー

 

 

その言葉と同時に、ジェームズが墓王の大剣舞を発動しアイギスが、太陽の癒しを発動。

 

 

先ほど受けた火傷が無くなり、暖かな光が彼らを癒す。

 

アイギスは太陽の光の剣を刺突直剣に発動、その刀身が黄金の光に包まれ、太陽の力を宿す。

 

ジェームズが雷の大槍を構え、アイギスの援護に入る。

 

 

放浪者は、背中のツヴァイヘンダーを引き抜き、彼らに鋒を向ける。

 

先に動いたのはジェームズ、彼が放つ雷はいくら放浪者とて容易に回避出来るものでは無い。

 

その証拠に、先ほど投げられた際にはサスケを盾にして居たのだ。避けられないと言う動かぬ証拠。

 

 

しかし、放浪者はその場から身じろぎせず、ツヴァイヘンダーで雷を両断する。

 

 

残念ながら防がれてしまったが、代わりに放浪者の足を止める事に成功した。

 

それだけあれば、アイギスには十分。

 

一息に踏み込み、彼の特大剣の軌道の外から心臓目掛けて突きを放つ。

 

だが、

 

ー豆知識を一つ教えてやるー

ーツヴァイヘンダーのウリってのが何なのかについてだー

 

そう言った彼は、ツヴァイヘンダーの横に着いて居るグリップを握る。

 

 

ーこの剣は斬撃の最中にその軌道を変えることができるってのがウリなんだよー

 

ー残念だったな? そこはまだ射程範囲内だー

 

握ったグリップを使い、強引に軌道を変えられた大剣はあっさりとアイギスを両断する。

 

 

ークソが、俺の所為かよ……ー

 

 

アイギスを両断した後にツヴァイヘンダーを手放し、右手の刺剣でジェームズを仕留めにかかる。

 

 

彼はダークハンドで結界をはり、最後まで抵抗したのだが、残像が残るほどの刺突の弾幕に押し切られ、滅多刺しにされる。

 

ー己の神が見つからぬ内に果てるとは…ー

 

ーこれも、戦場を甘く見た報いか……ー

 

 

ーauf wiedersehen ー

 

ー誇って良いぜ? なんせ俺が中々楽しめたんだからよ?ー

 

 





四人の内二人を素手で殴り殺すとか……。


もうお前が主人公で良いよ(適当)

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