眷属さんがいつも荒ぶってるからな、ここ。
第四十一話 楔のデーモン
筋肉達を引き連れ昇降機まで移動し、そこを塞いでいた蛇人を倒したのだが、絶命の瞬間に足を掴まれ石橋から落下してしまう。
全身を強かに打ち付けてしまい、一時的に身動きが取れなくなってしまう。
仰向けに倒れて居るため、上から筋肉が飛び降りてくると言う光景が目に飛び込んで来た。
助けて貰っていて失礼な感想だけどね。
彼らに起こして貰って、エストを飲む。
狂舞のシンが出口らしい場所を指差しているのだが、その先には石像のような物が設置されている。
警戒しながらも出口に向かおうとしたのだが、肩を太陽見習いのテイスに掴まれた。 そちらを向くと、二人とも先ほどまでのふざけていた表情は無くなり真剣な顔をしていた。
どうやらアレはタダの石像では無いらしい。
テイスは右手にタリスマンを構え、雷の槍をその手に握る。
彼は身体を弓のように引き、石像に投げつける。
放たれた雷が石像に直撃し、身体を仰け反らせるが、着弾点が僅かに焦げているだけであまり堪えていないようだ。
石像は片足のようで、手に持つ刺股を杖代わりにしながら此方に近づいて来る。
大剣を抜きエンチャントを施す。
テイスも炭松脂をクラブに塗って行く。
シンはラージクラブを両手で構えながら、我々の前に立っている。
片足だけで天高く飛び上がり、我々を踏み潰そうとする石像
する石像。
三人共その場から飛び退き、石像を囲むように分散する。
向かい合うように正面に立った俺は杖を取り出し、ソウルの塊を周りに浮遊させる。
俺の身体の周囲にソウルでできた小さな弾が四つ現れた。
ソウルの塊は相手のソウルに反応して発射される魔術で、一度使用してしまえば杖での発射の必要は無いため、石像の背後に居る二人に石像の意識が向かないように囮になりながら牽制できる。
まぁ、発射のタイミングを決められないとか色々とあるんだけどね。
盾を構え、ぬかるんでいる足場に気をつけながら、石像の動きを注視しつつ間合いをはかる。二人の霊体は石像の足を重点的に殴りつけて行き、動きにくくさせるつもりらしい。
途中で石像の注意が彼らに向かいそうになったので、自分から接近しソウルの塊を発射する。
発射された四つの弾は目の前の石像の中心へ、同時に着弾する。
いくら小さい弾だとは言え、全く同じ点を同じタイミングで撃ち抜かれては衝撃も大きい物となる。
石像は、着脱の衝撃で仰け反った際に二人の霊体のおかげでヒビが入っていた足が折れてしまい、身動きが取れなくなった。
トドメを刺す為に、エンチャントを施された大剣を石像の顔に突き刺し、杭に見たてる。
シンが手に持つラージクラブを両手で振り下ろし、大剣の柄を打ち付けて、刃を根元までねじ込んだ。
大剣が刺さった部分を中心に、石像の全身にヒビが入っていき、最後にはソウルとなって消えていった。
その時に、テイスが石像の一部を此方に投げ渡して来た。どうやら持っていろと言う意味らしい。
とりあえず出口から上に登り、改めて昇降機に乗る。
今まで孤独な旅ばかりで少々寂しかったが、やはり旅仲間がいるのは良い事だ。
それは戦術的にも言える事で、囮役などの役割を決める事で戦いの幅を大きく広げられる上に、格上相手でも十分戦えるようになる。
昇降機を使用して居る最中に、何時もの不快感が俺を襲う。
闇霊に侵入されたのだろう、霊体の二人達も不快感に顔を顰める。
昇降機から降りるとシンが前に立ち、後ろはテイスが見張りをしてくれている。
シンがゆっくりと物陰から顔を出し、周りを索敵する。
どうやら闇霊は見つからなかったらしく、先に進む。
しかし、道中では闇霊による襲撃は起こらず、無事に霧の前まで着いてしまう。
無用な戦いが避けるに越した事は無かったが、どうにも引っかかる。
そんな思いを振り切るように二人に礼を言おうとした時だった。
正面に見える階段から、放浪者が音もなく炎の塊を投げようとしていた所だった。
咄嗟に二人を突き飛ばし、盾を使って飛来する炎の塊を防ぐ。
その際に爆風で相手の初動が見えず、次に奴が見えた時には両手の中で温めていた炎を、地面に撒き散らすように動かす姿だった。
彼の行動を止めようとナイフを投げたのだが、一歩遅く。
周囲に無数の火柱が噴き上がり、俺達を焼き上げる。
鎧を着ていなかった事が幸いしたのか、全員吹き飛ばされて大火傷を負ったものの、脱落者は居なかった。
俺は床に転がったままエストを飲み傷を癒していく。 最近知ったのだが、エスト瓶の効果は俺が召喚した霊体にも効くらしく、急いで彼らの傷も癒して行く。
シンは吹き飛ばされた際に受け身を取って居て、満身創痍ながらも我々の前に立ち、放浪者からの追撃を防いでくれていた。
放浪者は仕留め切れなかった事に舌打ちをかまし、此方の人数を見て不利を悟ったのか、水晶のような物を使った。
不審に思っていると、彼の身体が徐々に消えて行く。
そして、完全に消える前に俺を指差し、親指で首を切る動作をしながら消えて行った。
確か、決別の黒水晶とか言ったか。
出先の世界から帰還する道具だったと思ったが。
恐らく、さっきのは挨拶替わりの一撃だったんだろう。
奴が本格的に仕掛けてくるのはアノール・ロンドだろう。
今回の奴には、然程ヤル気が感じられなかった。
王の試練の前に彼奴とも戦わないと行けないのか。
とりあえず、今はこの先で待つ強敵を倒す事だけを考えよう。
今度こそ二人に礼を言い、霧を越えた。
居合い刀どうしましょうか?
混沌の刃にするのかそのまま強化して行くかで非常に悩んでます。
後、クレイモアも雷派生させるか、魔力派生させるかで悩んでます。
上質になり切れませんからね。