追記2/28 15:27
タイトル変更し忘れてましたm(_ _)m
第百二十二話 デーモン遺跡 上層部
この位置から見える山羊頭のデーモンは五体、彼らはデーモン達の中では小ぶりな方なのだが、それでも力を持った者である事に変わりは無い。
単体では其れ程強くは無いが、こうも数が居ると厄介極まりない。
一旦五体とも引き付けてから黒竜の大剣で焼き払うか?
それともソウルの槍で一体づつ討って行くか?
ゴーの大弓で狙撃するのも有りか。
放浪者が帰って来る前に案を纏め、彼の帰還と共に作戦会議を開く。
ー彼処を突破する方法をいくつか纏めたのだが、出来れば意見をー
ーいや、態々そんな面倒な真似しなくて良いってのー
ー真下に篝火が見えんだろ、ロープ持ってるからそれで降りるぞー
ー先はまだまだ有るんだ、余計な体力は使わねぇ方が良いだろー
ー用意周到だな、私も今後は見習わせて貰おうー
ーテメェに”今後”ってのが有ればなー
ーそもそも、これぐらいは冒険者の嗜みって奴だー
ー用意って程でもねぇよー
そう言った彼はソウルからロープと杭を取り出し、それを慣れた手際で設置して行き、するすると降りて行った。
それに続きながら降りて行くと、壁の中から巨大な芋虫が飛び出し、道を塞いで居るのが見えた、先ほどまで居なかったんだけどな。
放浪者と合流し、彼を如何するかを相談する。
ーで?君のそのメモに、アレについては記載されていないのかね?ー
ー悪りぃが此奴は地図だけだ、魔物どもの事なんぞ書かれちゃいねぇよー
ーまあざっと見た感じじゃあ、あれ以上壁の中から出てこれねぇ見たいだし? 遠距離から殺っちまうのが一番楽だろうよー
ー何故、そう言い切れるのかね?ー
ーアレがそのまま我々に向かって来る可能性も有ると思うのだがー
ー注意力が散漫な野郎だな、アレの根元を見てみろよー
そう言われ、あの芋虫の根元に視線を向ける。
そこを注意して見ると、巣穴らしき場所となっているのが分かった。
ーありゃあ多分彼奴の巣穴だ、んでそっから身体出してるって事はだ、この場所は奴の狩場って事になるー
ーそれに合わせて、この場所はお世辞にも人通りが有るとは言えねぇー
ー何つっても最近まで溶岩で道が塞がってたんだ、餌になりそうな生物はデーモンくらいしか居ないー
ーなのに餌を求めて移動せず、此処に居続けて居るー
ー餌が欲しけりゃ一段上の階にいるデーモンの所に行きゃあ良いのによー
ーそうなると、移動しないんじゃ無く”移動出来ない”と捉える事が出来るー
ー壁の中の虫が壁ごとデーモン化したのか、一度決めた巣穴から移動しない習性なのかはしらねぇが、こんな所だろうよー
ー成る程な、ならば私に任せて貰おうー
ー丁度打ってつけの物を持っているからねー
ウーラシールでは防御や索敵用に一度使用しただけだったが、良い使い道が出来たな。
ソウルから黒竜の大剣を取り出し、両手で握りながら地面に刃を突き立てる。
刀身からカラミットの炎が溢れ出す。
黒い炎は地表をなぞりながら周囲に広がり、周りに存在する全てを焼き払う。
地表を伝い、壁を伝い、巣穴へと入り込んだ炎は、内側から芋虫を塵にする。
ーどうかね? 此れなら矢の消費は勿論、魔術や呪術も使わずに済んだがー
そう言いながら背後を見ると、彼は先ほどのロープの上に捕まっていた。
ーこの野郎‼︎、俺ごと灰にする気だったろ‼︎ー
ー……………、済まないな素で忘れていたー
ー基本的に私は一人旅だった上に話し相手も居なかったからね、霊体以外に他人が居るのは久しぶりでだなー
ーその、まあアレだ、一度だけなら誤爆かもしれんだろ?ー
ーんな言い訳通るか‼︎ー
ーそんな事より道が開いたんだ、先に進もうじゃ無いかー
彼の抗議を敢えて聞かずに先に向かう。
二人旅と言う事は、当然ながら相手への被害も考えないといけないと言う事。
この剣のような範囲攻撃を使う為には位置関係が大切になって来るな。
こんな常識的な事も気が付かなくなっているとはね。
あわよくば、と言う気持ちも確かに無くはないが、口約束とは言え、一度交わした約束は守るつもりだ。
一頻り抗議をしても俺が意に返さない為、もう諦めたのか、彼は溜め息を吐きながら道案内を再開し始めた。
あったかも知れない会話 ③
主人公「で? 結局その弁当の中身は何だね?」
放浪者「よく喋る奴だな……」
主人公「まあな、そんな事より蓋を開けて中身を見せてくれ」
放浪者「………まあこの先食ってる暇も無さそうだしな」
ビアトリス弁当→食品サンプル
主人公「………定規で計ったかのようにキッチリしたハートだな」
放浪者「……(遠い目)」
〜 実食 〜
放浪者「相変わらず平均値ど真ん中な味だ……」
主人公「ある意味才能だぞ? それは」
クラーナ弁当→黒い物体
主人公「…………」
放浪者「…………」
主人公「み、見た目は悪いが味は良いかもしれんぞ?」
放浪者「…………ぉぅ」
〜 実食 〜
放浪者「焦げてるのに半生だ、味もしねぇし一体これ何なんだよ‼︎」
主人公「断面から判断するに、何かの魚の焼き物のようだな」
放浪者「何かの魚ってなんだよ‼︎」
主人公「さあ、私は魚の種類にに明るくないのでね」
放浪者「それと、この、付け合わせはなんだよ?」
放浪者「赤くて黒くて、もうぐっちゃぐちゃしてるけど……」
主人公「トマトだな」
放浪者「トマト⁉︎、なんでトマトが焦げてんだよ⁉︎」
主人公「私に聞かれても……、うっかり焼けてしまったのでは?」
放浪者「今度、人間の食えるものが作れるようになるまで料理教えねぇとな………(遠い目」