不死の英雄伝 〜始まりの火を継ぐもの〜   作:ACS

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単調な展開となり始めたとのご指摘がありましたが、小ロンド以降はサクサク進めるつもりですのでご容赦を。

ニトとかはパワーインフレさせるつもりは無いです。

パーフェクトグウィンも主人公と対峙した瞬間からとなります。


不死の英雄伝 114

第百十四話 深淵の最期

 

 

公王達の攻撃をいなしながら、分かったことをいくつか整理して行く。

 

 

あの後、隙を見て何度か彼らを討ったのだが、何れも同じ様に蘇生してしまった。

 

単純な力で言うならば、彼らの実力はアルトリウス何処ろか、マヌスにすら遠く及ばない。

 

殺す事自体は簡単だった。

 

相変わらず深淵の連中には魔術は通らないようだが、聖剣の力を持ってすれば問題なく対処出来る、寧ろ彼ら以上に聖剣の力に弱い。

 

 

だが、問題は殺した後。

 

その瞬間は確かに彼らはソウルの粒子となるのだが、暫くすると逆再生のように再生される。

 

 

普通なら此処でお手上げだが、その中で重要な発見があった。

 

 

公王を一体倒した後に、他の者に目を向けると皆一様に僅かながらも表情に変化があった。

 

それを見て一つの仮説を立てる。

 

 

元々、四人の公王は皆別人だった筈、なのにこの四人は全く同じ姿、同じ技、同じ動きをしている。

 

思考に差異があるからか、多少は行動が違って居るが、細かな癖や剣の太刀筋などを見るに皆が同じ者となったのでは無いだろうか?

 

 

深淵は人間性のなり損ない、それに飲まれた者は異形に姿を変えてしまう。

 

ダークレイスにしても例外は無く、あの仮面の下は異形となっていた。

 

ならば、彼らが四人同時に飲み込まれ、もしも完全に同一な存在になったとしたらどうだろう?

 

存在を共有し、誰か一人が死んだとしても、他の者が一人でも生き残れば存在が共有されるとすればどうだろうか?

 

 

荒唐無稽な話だと我ながら思いはするが、痛覚を共有しているようなので、無くは無いだろうな。

 

所詮は推測の域を出ないもの、ただ単に感覚を共有しているだけな可能性もあるし、命にストックがある可能性もある。

 

 

だが、せっかく思い付いたんだ、試さないのも駄目だろう。

 

彼らの攻略法が浮かばない為、思い付いた物は片端から使用していかなければ。

 

 

もしも存在を共有しているのであれば、彼らをほぼ同時に討たなければならない事になる。

 

 

付かず離れず、攻め過ぎず、退き過ぎず、かなり難しい条件だがやるしか無い。

 

 

ハルバードを操りながら深淵を移動し、彼らの中心に向かう。

 

 

一斉に俺へ向かって薙ぎ払われる大剣、避け場は無さげに見えるが、冷静に周りを確認して太刀筋を見極めながら、そのうちの一本に飛び乗る。

 

 

その際に、ハルバードの刃で盾を引っ掛けて回収する事も忘れない。

 

先ずは一体目、彼の命を刈り取る直前まで弱らせる。

 

 

刃に飛び乗ると同時に腕を駆け上がり、その身体に光波と共に月明かりの大剣の刃を叩き込む。

 

 

威力を加減し、彼を瀕死に止めておく。

 

それと同時に他の連中にも視線を向け、その反応を確認する。

 

分かりづらいが多少顔色が変わっている様に思える、痛みはある程度共有しているのか?

 

まだ確証までは行かない為、残りの三体から放たれる闇の光波を、月明かりの大剣による光波で撃ち落としながら二人目に飛び移る。

 

 

暴れられて振り落とされては敵わないので、彼の肩にアルトリウスの聖剣を突き立てながら、その胸を十字に斬り裂く。

 

大きく身じろぎする彼の右腕を斬り落とし、次の公王に視線を向ける。

 

 

 

彼は徐々に増して行く痛みに危険を感じたのか、左腕を突き出し、闇の力を纏わせながら俺に掴みかかってきた。

 

 

本能的な恐怖が、それが何なのかを俺に理解させる。

 

ダークレイスの吸魂の業、アレはそれの大元の形だろう。

 

アレに捕まる訳にはいかない、魂の全てを奪い尽くされる。

 

 

 

それは戦いの経験からか、本能的な恐怖からか、そう判断した俺は、口に月明かりの大剣を咥え、ソウルから竜狩りの槍を取り出して彼の左腕を貫き、何とか捕まらないようにする。

 

しかし、相手は強引に俺を捕まえるつもりらしく、竜狩りの槍など物ともしなかった。

 

 

仕方ないので、突き刺したアルトリウスの大剣を踏み台にして跳躍、空中から彼の左腕に光波を叩き込み、その吸魂の術をその腕ごと潰す。

 

 

その上で彼の頭に着地した後、その両肩から下を斬り落とし、胸を一文字に斬り裂く。

 

 

 

それと同時に、やはりマヌス達に比べて些か脆いと感じてしまう。

 

理由は分からないが、この世界その物が闇に包まれているから、聖剣の光が良く効くのかもしれない。

 

或いは、単純に彼らよりもこの公王が格下だったとかか?

 

いくらでも推測や憶測は打ち出せるが、真相は分からない。

 

まあ良い、兎に角これで三体目だ。

 

痛覚の共有によって苦悶の表情を浮かべている最後の一体に飛び移り、何かアクションを起こされる前に頭から心臓に掛けてを一気に斬り裂く。

 

 

悲鳴を上げならが消えてゆく公王、他の三人もとうとう痛みに耐えられ無くなったのか、その場で立ち止まり、もがき苦しんでいる。

 

 

月明かりの大剣に結晶魔法の武器を施しながら、残る彼等に一人づつ光波を叩き込む。

 

 

ほぼ同時の撃破、これで駄目なら死ぬまで殺し続けるしかないが………。

 

 

待てども待てども彼らは蘇生せず、それどころかシースの時に味わった巨大な熱が身体を襲い出した。

 

何とか討ち果たしたが、此処で膝を付くのは宜しくないな。

 

 

幸い、目の前には篝火が見えている、何故深淵にこれが有るのかは考える余裕は無い、一旦祭祀場まで戻らせて貰う。

 

 

ほうほうの体で転送を行い、今度こそ祭祀場でのたうち回る。

 

 

白竜シースに分け与えられた王のソウルと、四人の公王に分け与えられたソウルが互いに反応し、以前とは比べ物にならない熱さとなっている。

 

 

その熱に身を焦がされながらも、残りのソウルへと思いを馳せるのだった。

 





さあ、終わりが見えて来ましたね。

残るはニトとイザリス、ニトはニト剣が逝かれてますが大した強化はしない予定。

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