ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

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雰囲気的には新章突入なんでしょうかね。
実際原作もここから新章でしたけど。

なお、本章・夏期追試のリベリオンは全編にわたって
原作にはないほぼ完全オリジナルストーリーが展開されます。
(一応、原作5巻冒頭部分にあたる時系列ですけど……)


夏期追試のリベリオン
Soul59. 決死の覚悟、必至の戦い


俺は宮本成二。

クラスメート、兵藤一誠のデートに不審なものを感じた俺は

後をつけるが、その先で堕天使レイナーレに瀕死の重傷を負わされる。

目覚めた俺は、リアス・グレモリーに歩藤誠二と言う名を与えられ

霊体になっていることを知ることになる。

 

身体を取り戻すために様々な事件に巻き込まれたが

ある日、その身体が維持できる時間が残り少ない事を耳にしてしまう。

 

――残された時間は、あと2か月――

 

――――

 

慌ただしくインタビューを終えたバオクゥが退室したことで

suikapeを立ち上げている理由も無くなった俺はパソコンの電源を落とすが

それと同時にこちらにも呼び出しが来る。まぁ、ある意味ちょうどいいタイミングだ。

 

「セージ君。部長が呼んでるってさ」

 

「わかった。今出るから少し待ってくれ」

 

恰好はライブカメラ越しのインタビューを受けていたこともあり

別段整える必要も無かったのだが、長い間座っていたせいか体が痛く

軽く伸びをしてから部屋を出ようとする。

その寸前で鍵の開く音がしたことで「自分は幽閉されている」と言うことを

改めて思い出すことになったが。

 

――――

 

部室に呼び出された俺を待っていたのは、オカ研メンバー全員だ。

やれやれ、こんな大所帯で一体何をしようと言うのだ。圧迫面接か?

一人……いや二人か。威圧感とはかけ離れた奴がいるが。

 

「セージ。前にも言ったと思うけど、私は冥界に帰るわ。と言うわけで長期旅行になるから

 みんなも準備をよろしく頼むわよ」

 

旅行ねぇ……嫌いではないのだが状況が状況だ。

そもそも今の俺は霊体であることを考慮すれば着替えとかが必要ない。

……ちょっと今惨めな考えがよぎったが、まあよそう。

とりあえず体が戻ったらまず風呂だな……できれば温泉がいい。スーパー銭湯のでいいから。

 

「セージ。あなたの事だから何か言うかと思ったのだけれど……」

 

おや珍しい。向こうから俺に話を振ってくるなんて。

てっきり「実家に帰るわ! 下僕も同伴! 勿論あなたもよセージ!」とか

平然とのたまってくれるかと思ったんだがね。

 

「言いたいことが無いわけじゃありませんがね。今の自分の置かれてる状況を考えたら

 言ったところで無駄だと思っただけですよ」

 

「うんうん、ようやくお前も自分の立場がわかったか! よし、これから俺と一緒に

 部長のために頑張ろうぜ!」

 

イッセー。お前ちょっと黙ってろ。言いたいことが無いわけじゃないって前もって言ったぞ。

それにな、今俺が言おうと思ったことは……もしかしなくとも……

 

「……いいわ。そこまで言うなら聞くだけは聞いてあげる。

 それをかなえることは残念だけどできないと思うけど」

 

「おや。季節柄いつ台風が来てもおかしくはありませんが……まぁそれはいいとして。

 言ってもいいのならば言いますよ? ……コホン。

 

 では今回の帰省、俺も喜んで参加しましょう」

 

俺の言葉に、周囲がざわつく。おい。一体俺を何だと思ってやがったんだお前ら。

まあ、今までが今までだったから、その事について別段腹を立てたりはしてないけど。

グレモリー部長でさえ、ハトが豆鉄砲を喰らった顔をしている。

……普段俺の事をどう思っているのかが何となくわかった。特にわかりたくもなかったが。

 

「ま……マジで!? お、おいセージ……こんなこと言うのもなんだけどよ……

 夏風邪ひいてるんじゃないか?」

 

「ええっ!? セージさん、夏風邪は拗らせたら大変だって慧介(けいすけ)さんが言ってました!

 部長さん、セージさんの帰省は待った方が……」

 

いやいやいやいや。俺風邪ひいてないから。霊魂でも風邪ひくのは体験済みだけど

今は風邪ひいてないから。すこぶる元気ってわけでもないけど。有体に言えば、普通。

 

「風邪ひいてる風に見えるか二人とも。心配してくれるのはありがたいが

 そういうのは要らん心配だぞ……こほん。話の腰が折れてしまいましたが

 確かに、『冥界への』帰省に俺は参加します」

 

「その言い方ですと、何か裏がある風にみえますわねぇ」

 

ああそうだとも姫島先輩。俺は「冥界への」帰省には参加する。

いい加減、こっちで得られる情報も少なくなってきたからな。

俺の目的を果たすためには、これ以上こっちにいても仕方がないってのと

これが多分……最後の賭けだ。俺が俺に戻るための。

分の悪い賭けは主義じゃないし、そもそも賭け事は好きじゃない。

けれど、ここまで来たらもう分の悪い賭けでもせざるを得ない状態だ。

残り二か月。それまでに、俺とイッセーの悪魔の駒の共有を切り

俺の身体に戻る条件をそろえなければならない。

その情報を、手掛かりを得るために俺は冥界に行くんだ。

決してグレモリー部長のご実家にゴマすりに行くわけじゃない。

 

そもそも、なんで俺を幽閉した奴の所にゴマをすらなきゃいけないんだ。

下手をすれば暗殺されかねないってのに。

バオクゥの情報を信じるならば、俺の幽閉にはグレモリー部長の親父さんが大きく関与している。

それなのにのこのこグレモリー邸に行こうものならば、よくて幽閉、最悪生きて出られない。

表面だけ従うフリも、恐らくは通じないだろう。だからこそ、俺はこの結論に至った。

そう――

 

「……ですが、グレモリー部長のご実家には行けません。

 繰り返します。冥界には行きます。ですが、グレモリー部長のご実家には行けません」

 

再び、部室が大きくざわつく。まぁそうだろうよ。

今の俺がグレモリー部長の実家にのこのこ出向くってのは、殺してくれってのとほぼ同義だ。

そんな真似が出来るかってんだ。

 

「セージ! そんな勝手が通ると……」

 

「ええ思ってません。ですが、今回は俺も口先だけじゃないって事を証明します。

 こっちだって、もう手段を選んでいられるほど余裕があるわけじゃないんだ。

 残りわずかな時間で、俺は俺の目的を果たさなきゃならない。

 その時間を過ぎたら、俺はもう俺でいられなくなるどころか……最悪、消えるでしょうから。

 だから……」

 

グレモリー部長の反論を押し切り、俺はその勢いに任せてまくし立てる。

ここまで来たらもうそれしかない。それがたとえ……

 

……彼らと、本気で戦うことになろうとも。

 

「……俺と戦ってもらいます。ルールはレーティングゲームに即したもので。

 俺が勝てば、今話した俺の条件を飲んでいただく。

 グレモリー部長が勝てば、この要求は取り下げ。

 そして以後二か月間、俺はあなたに絶対服従します」

 

「ば、馬鹿なことを言わないでちょうだいセージ!

 そもそもレーティングゲームに即した形って言ったって

 あなたは『兵士(ポーン)』よ、『(キング)』じゃない!

 そんなものレーティングゲームとさえ言えないわ!

 そんな条件、飲めるわけないじゃない!」

 

「……これが俺にできる現実的かつ最大限の譲歩でしたが……仕方ありません。

 この提案を飲んでいただけないのであれば……残念ですが……」

 

――フリッケン。少し早いが、出番かもしれんぞ。

 

『本当に早いな。と言うことは、交渉はやっぱ決裂したか?』

 

――そうなる。俺もこんなことはしたくなかったが……やはり最後は自分の命、らしい。

 

右手の紫紅帝の龍魂(ディバイディング・ブースター)に宿るフリッケンと話を合わせ、俺は紫紅帝の龍魂を起動させる。

一気に分身を生成し、混乱に乗じて冥界に逃げ込む。

確かまだ使い魔の森へ行く用の魔法陣は生きているはずだ。

分身の一人が魔法陣をくぐってしまえば、こっちのものだ。

狭い部室の中なので、際限なく分身を生み出してしまえば混戦は免れない。

俺の目的は冥界に行くことだ。戦うのはその手段であり、目的じゃない。

 

「あらあら。ここでヤり合うつもりなのかしら?」

 

「お望みとあらば。俺としても、ここにはそれなりに思い出があるので

 心苦しいものはありますが……もう、そうも言ってられませんので」

 

――行くぞ、フリッケン。

 

『ああ、ちょっとくすぐった――待てセージ! 何か来るぞ!』

 

フリッケンの言葉に俺は紫紅帝の龍魂の稼働を一時止め、周囲を見渡す。

するとそこには、グレモリー家の魔法陣が展開されていた。

まさか、向こうから出向いてきたのか!?

そうなるとちょっとこの作戦が通るかどうか怪しいぞ……

 

いくら紫紅帝龍(ジェノシス・ドラゴン)の力を得たからって、グレイフィアさんとガチでやり合える自信はない。

いや、物量作戦に持ち込めば何とかなるかもしれないが。

それをやるにはそもそもを一対一にしなければならない。

他オカ研メンバー入れて相手は最悪8人。八対一。分身前提の総力戦だ。

そこに魔王眷属クラスが来られたら、俺一人ではどう考えても無理だ。

そして来るのがグレイフィアさん以外だったら、もっと無理だろう。

さっきのインタビューの際、記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)

ついでにグレモリー部長の両親を調べたが、別段グレモリー部長の両親も力が衰えているとか

そういった情報はない。そんなのが本気で来たら……2か月を待たずして、俺は終わるだろう。

 

だが、その俺の考えは杞憂に終わった。

 

「お待ちください誠二様。先ほどの条件、私と、サーゼクス様立会いの下で承認いたします」

 

「グレイフィア!? けれど、セージは『王』じゃ……」

 

「ああ、確かに彼は『王』じゃない。けれど、非公式な試合ならばそう言ったルールは

 形骸的なものだよ。それに、彼は自律行動のできる分身を生み出せることは

 この間の戦いで証明されている。特別ルールを設ければ、ゲームとして成り立たせることは

 十分に可能であると、私は思うけどね」

 

グレイフィアさんと、まさかのサーゼクス陛下。わざわざこの二人がやってくるとはね。

まあ、こっちの条件を飲んでくれるってのはありがたい話だが……

 

「では魔王様、セージ君の条件を飲んで、部長チームとセージ君のチームで戦うということで

 よろしいのでしょうか?」

 

「そうだね。勝者と敗者の褒章やペナルティも明確にされている。

 セージ君には足りない分を分身で埋めてもらうということになるが、いいかい?」

 

「もとよりそのつもりでした」

 

どんな形であれ、比較的角が立たずに解決できるならばそれがいい。

だが……ここでサーゼクス陛下が横槍を入れてくるとは……妹可愛さだけじゃないだろう。

妹可愛さならば、俺を縛ってでも実家帰省に連行させるだろう。

それをしないということは……

 

『魔王の奴め。俺達の力を測る腹積もりだな』

 

――やはり。レーティングゲームと言う体を取る以上、必要以上に傷つくことはないと

  踏んでいるのだろうが……フェニックス戦の事もあるんだぞ。

  まさか、実の妹をダシに紫紅帝龍の力を測りに来るとは思わなかった。

  その点に関しては、グレモリー部長が少し不憫に思えた。

 

「セージ君。これだけは言っておくよ。確かに私はそのドラゴンの力を知りたい。

 だがそのために、リアスをダシにしているつもりも無い。

 何故なら、リアスが負けることはないと思っているからね」

 

言うじゃないか、魔王陛下。こっちには負けられない理由があるんだ。

そのどこからくるのかわからない自信を鼻っ柱ごとへし折ってやろうじゃないか。

 

「まさかこんなことになるなんてな……魔王様が見てる前だ!

 無様に負けるつもりはねぇから、覚悟しろよセージ!」

 

イッセー。まずお前は状況に疑問を抱け。

何故魔王陛下が自分の妹を犠牲にするような真似までしてフリッケンの力を測ろうとしてるのか。

そしてフェニックス戦で俺が何をやらかしたのか、知らないわけじゃないだろうが。

一応お前には軽くだが話したはずだぞ。

今度は俺がグレモリー部長を同じ目に遭わせる可能性があるって事なんだぞ、これ。

……多分、やらないと思うけど。

 

「セージ君……確かに僕は君との決闘を望んだけど……こんな形とはね」

 

……そういやそういう約束してたな。うん、すまん。

今自分がそれどころじゃなくなってるから、そこまであまり気が回ってなかった。

一応、分身の仕様を考慮に入れれば決闘に近い事は出来なくはないが……

などと考えていたら、そっと塔城さんが俺に耳打ちをしてくる。

 

「……セージ先輩。そっちについちゃ、ダメですか?」

 

「やめとけ。裏切者扱いされて、最悪……っと、これ以上は言うまいよ。

 そもそも前に言ったぞ。そっちでの立場が悪くなるようなら

 協力関係は即破棄だ、って。たとえお芝居でも、俺と戦うポーズはつけておかないと」

 

塔城さんは俺と戦うことには消極的みたいだ。

まぁ、俺も戦うのは最後の手段にしたい部分があったから、ここまでその手は使わなかったが……

俺ももう、形振り構ってられない。2か月。長いようで短い。

まして、手掛かりは殆どないに等しい。

そんな状況での残り2か月。俺はもう、そこまで追い詰められていると言うのだろう。

 

「セージさん、どうして味方同士で戦うなんてマネを……

 そこまでしないといけない事って、何なんですか……?」

 

「……知りたければ、俺に勝ってくれ。そうすれば話す。

 ただ一つ言えるのは、今の俺は相当に追い詰められている。

 こんな手を使わざるを得ないほどにね」

 

アーシアさん。そういえば今の俺の顛末はアーシアさんには話してなかったっけ。

言う必要も無いから黙ってたけど。ま、事情を知らなきゃその疑問も尤もだわな。

でも悪いね、これ以上関係ない人は巻き込みたくないんでね。

なんていうと、アーシアさんに怒られそうな気もするが。

 

「では、細かなルールの制定に入らせていただきます。

 お嬢様、誠二様、こちらへ」

 

グレイフィアさんに促され、俺はグレモリー部長と向き合う形でテーブルにつく。

そこで取り決められたルールはこうだ。

 

・試合時間は30分。

 

・グレモリー部長はギャスパーも含めたフルメンバー。

 俺の側は分身6体。これ以上の分身生成は不可。

 つまり七対六。なお、俺の分身は体力――ダメージを共有しているため

 実質一人倒されたら俺の負けだ。

 

・俺の側の勝利条件は、終了時間まで倒されずに生き残ることか

 「王」であるグレモリー部長の撃破。

 

・試合準備時間として会場移動後、5分のインターバルがある。その間敵本陣への移動は不可。

 

・ギャスパーの神器(セイクリッド・ギア)使用制限は無し。

 俺の方も分身1体につき1回までカードリロード可能。

 

・試合開始は今から1時間後。フィールドは前回と同じ駒王学園……風の異空間。

 

・フィールドの破壊は可能。但し、フィールドへのモーフィングや霊体化による行動は禁止。

 

……若干だが、こちらが不利かもしれない。

だが、下剋上的な性質を兼ね備えている以上、多少の不利は甘んじて受けねばなるまい。

 

「……わかったわ。レーティングゲームとしての体裁が整っている以上

 私としても負けるわけにはいかないわ。覚悟なさい、セージ」

 

「死ぬ覚悟、消える覚悟は既にしていますが……負ける覚悟はしてませんよ。

 こっちもジョーカーを出してるんだ、簡単には負けてやれませんよ」

 

そうだった。グレモリー部長はレーティングゲームと言う者に対して

並々ならぬ情熱を注いでいる人げ……いや悪魔だった。

それもあって、レーティングゲームと言う土俵を提案した。

観客が増えたとはいえ、目論見はうまく行ったというべきか。

明確なルールのある勝負事の上での決め事ならば、禍根は残るまい。

 

……そ、そうだよな? 今ふと「もしもあの時フェニックスに俺達が負けていたら」って

考えがよぎったんだが……まさか負けておいて実質無効試合だなどといちゃもんをつける展開に

なったりしないよな? もしそうなったら……

 

……それは最悪、本気でグレモリーってのを見限る事案だが。

 

「ふふっ、それが味方ならとても頼もしい言葉ね。それだけが残念だわ。

 けれどセージ。ロイヤルストレートフラッシュを組むのに

 ジョーカー……ワイルドカードは使えないわよ?」

 

「ご心配なく。俺が狙ってるのはエースのファイブオブアカインドですので。

 おっと、どちらが上の役かってのは不毛になりそうなんで無しで願います」

 

「随分な大穴狙いだね。これは試合が楽しみだ。

 ならリーア、スペードのロイヤルストレートフラッシュを出すくらいの気迫でなければ

 彼には勝てないかもしれないよ?」

 

そう。手札は切られた。勝負はもう降りられない。

負けた時の事を考えていないわけじゃない。けれど、負けられない。

否、負けるわけにはいかない。ここで負けたら、俺が俺に戻るのは――絶望的だろう。

 

「みんな、急な話だけど今から試合よ。相手はここにいるセージとその分身合わせて6人。

 開始は今から一時間後。それまでは自由時間とするわ。

 開始十分前にここに集まってちょうだい」

 

「誠二様の監視には私が付きますので、祐斗様と小猫様はお嬢様の元にお願いします」

 

まあそうだろう。今から戦う相手の所に監視につくなんてあり得ない。

スパイ行為を疑われても仕方ないのだから。

しかしグレイフィアさんがこれから一時間見張りか。どうなることやら。

 

「ぼ、僕もです……か……?」

 

「そうね。ギャスパーはこれが初めてのゲームかしら。

 ……ギャスパー。セージは『兵士』だけど

 あなたの知っている『兵士』と同じに思わないほうがいいわ」

 

「う、うぅぅ……」

 

脅かしてやろうかとも思ったが、試合前にそれは少々アンフェアな気もしたのでやめておく。

奴はどうだか知らないが、俺の側は奴の神器に対する対抗手段を持っている。

と言うか、グレモリー眷属の大半に対するメタ編成は出来るはずだ。

紫紅帝の龍魂も、記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)もそういう意味でもとことん強い。

と言うかメタ編成をするために生まれた様な神器と言っても過言ではなかろう。

 

「心配すんなよギャスパー! 俺やみんながついてるんだ!

 セージが分身したって所詮一人、みんなの力を合わせれば負けるわけがないぜ!」

 

言ってくれるなイッセー。だがその発言、裏を返せば一人一人は大したことが無いとも取れるぞ。

まぁ、その限りでもないことはよく知っているが。

まさか俺が、分身もできるのに集団に囲まれるような戦い方をすると思ってるのか?

と言うか、こっちは一人でもやられたら終わりなんだ。そんな展開に持っていくわけないだろう。

 

「それではこれより、リアス・グレモリー様と歩藤誠二様による

 非公式試合を行うための準備時間に入らせていただきます。

 お嬢様のチームは部室にて、誠二様は幽閉の際の部屋にて

 それぞれ準備をお願いいたします」

 

……わかってはいたけど、やっぱ部屋そこなのね。

まぁトイレとかでなければどこでもいいんだけどな。

俺はグレイフィアさんに促されるまま、部室を後にする。

 

 

……来るべき時が来てしまった。

いつか、彼らと刃を交える時が来るかもしれないとは思っていた。

けれど、心のどこかでそんな時は来てほしくないとも思っていた。

下手を打てば、後生の別れになるかもしれない。

 

後悔が無いと言えば、嘘になる。

だが、もうこれしか手が無い。

他の手を選んでいる余裕など、俺にはないのだ。

だから――

 

 

――リアス・グレモリーを、その眷属を。

  全力で、完膚なきまでに叩き潰す。

 

 

それが、きっと今の俺に尽くせる最大限の礼儀だろう。




来るべき時が来てしまいました。
セージVSオカ研。
1巻ラスト部分で暴走とは言えやってますが
その時とは事情も能力も全然違います。

オカ研部員はどうセージの多彩な能力を攻略するのか?(そっち!?)

冒頭は仮面ライダーゴースト風。
某天空寺さんバリのカウントダウンが始まりましたので。
FF風に言えば死の宣告。

Q:ここでリアスがセージの提案を飲んでいなかったら?
A:セージ強引に冥界に行ってました。
  おそらくそのタイミングではぐれにされたかもしれません
  (イッセーの駒との兼ね合いはありますが)。

  因みに、拙作で採用されている「はぐれ化した悪魔は怪物化する」が
  セージに適用された場合、ロードバロン(仮面ライダー鎧武)風の
  見た目になったと思います。

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