ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

71 / 151
九州熊本の皆様におかれましては
この度の地震についてお見舞い申し上げます。

以下通常営業

(不注意・精神的混乱などから)(ばかな)失敗をやる、しくじる
                         weblio辞書より

今回イリナファンの方には衝撃的な展開になっております。
タグにて警告しておりますが、改めてキャラ改変が受け付けられない方は
速やかにブラウザバック願います。

……ちょっとここ最近不調気味故に
本文若干短くなっております。
キリのよいところで切った、と言えば聞こえはよいのでしょうが。


Blundering

「……とりあえず、事情は大体分かった。

 ならば原因であるギャスパーを助け出し、拠点にしていた部室も奪還したのだから

 事態は恐らく動くだろう……どう動くのか、までは分かりかねるが」

 

イッセーと木場から、事情説明を受けセージは頭を回転させていた。

その議題は一つ。

 

――どうすれば、「禍の団(カオス・ブリゲート)」をここから追い出せるか。

 

禍の団の撃退までは、相手の戦力が分からない以上戦術の組み立てようが無い。

いや、そもそも戦術レベルでどうにかなる相手なのか。

ここにいるローブの集団だけが相手の戦力ではない。

 

事実、ギャスパーを捕らえていたローブの女は「聖剣使い」という単語を口にした。

しかし、セージが遭遇した中にはそのような者はいなかった。

そして、ゼノヴィアが茫然自失としていた理由も気にかかる。

 

「セージ君。実は僕はその話を聞いて、凄くいやな予感がするんだ……」

 

「またかよ木場。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の件といい、心配しすぎだろ。

 部長だって、あんなローブの集団なんかイチコロだぜ、イチコロ」

 

「イッセー、相手の戦力が読めない。可能ならばグレモリー部長の救出ないし

 合流を図るべきかもしれないが、どこに部長が転移したのか全く分からん。

 それに、祐斗の言う事は実際気がかりだ。

 現にゼノヴィアさんは、外で虚ろな目をして座り込んでいたんだからな」

 

ギャスパーはもとより、木場もセージも、現状には慎重な態度を取っている。

しかしイッセーは、とにかく攻めるべきだと言わんばかりに

リアスの捜索を提案してくるのだが。

 

「だったら、部長だけでも探そうぜ。黒幕は魔王様達が探してくださるだろうし

 実際黒幕まで俺達にどうにかできるとは思えねぇ。

 だから、ここは部長と合流して、少しでも魔王様の手助けをすべきだと思うんだ」

 

「……言ってる事は間違ってないな。だが奴らが体勢を立て直すのに

 再びギャスパーを狙ってくる可能性も多少はある。

 それに、今の俺がついていっても足手まといなのは重々承知だろう。

 だからここは、二手に分かれて行動したほうがいいと思うんだが」

 

「なら僕はセージ君の側につくよ。セージ君の言う聖剣使いがどうも気になる。

 部長も心配だけど、戦力分散としてはセージ君側についた方がいいと思うし」

 

「……あ、あの、僕は……」

 

「心配すんなギャスパー。俺達がついてるんだ。

 もうお前の力を誰かに利用されるような事はさせねぇよ。

 木場、セージ。ギャスパーは任せたぜ。俺は部長を探してくる!」

 

まとまった話はこうだ。

イッセーは外に出て、リアスの捜索を行い可能ならば合流する。

セージと木場は、ギャスパーを伴い新校舎にある会議場にて安全を確保する。

禍の団とて、敵側の総本山ともいえる会議室に直接乗り込むような真似はしないだろう。

まして、もう時間停止は出来ないのだから。

 

意思を確認し、外に出ようとした四人を呼び止める声が聞こえてくる。

その声は少女のもの。そして、ここにいるはずのない者のそれであった。

 

「……待ってイッセー君。私も行くわ」

 

「……えっ!?」

 

栗色の髪にツーサイドアップ、俗な言い方をすればツインテール。

そして際どさのある黒のボディスーツに身を包んだ少女。

そんな彼女は、行方不明になったと聞かされていたはずの――

 

「い……イリナ!? イリナじゃないか! 今まで何処に行ってたんだよ!?」

 

「ごめんごめん。ゼノヴィアとはぐれちゃって。

 あれからあちこち探し回ったんだけど、結局見つからないままここまで来ちゃって……

 とにかく、今の話は聞いたわ。私はイッセー君と一緒に行動するから、そっちはお願いね」

 

旧友に久しぶりに出会った――実際イッセーとイリナは幼馴染なのだが――ような態度で

イリナはイッセーに接している。そのスキンシップはやや過剰気味ともいえるほどに。

イッセーの片腕に抱きつくような形になっており

腕にはイリナの形のよい胸が押し当てられる形になっている。

案の定、イッセーは鼻の下を伸ばしている。

そんなイッセーを引っ張るように、イリナは部室の外に出てしまう。

あまりにも早い行動に、三人は呆然とするより他無かった。

 

しかし、そんなイリナの登場を不審に思うものがいた。

……セージと木場だ。

 

(……祐斗。お前のいやな予感、当たるかもしれないぞ)

 

(……ああ。さっき君が言っていた、ゼノヴィアが外で茫然自失としていた件も

 それが事実と仮定するならば納得がいってしまう。もしそうなら……

 

 ま、まずい! 彼女は「竜殺しの剣(アスカロン)」を持っているんだ! イッセー君が危ない!!)

 

ギャスパーを伴い、慌てて外に飛び出すセージと祐斗。

そこには、まだイッセーの片腕に抱きついたままのイリナが一緒にいた。

 

「どうしたんだよ? そんな血相変えて」

 

「イッセー、お前には聞いてない。

 ……紫藤イリナとか言ったな。お前、ゼノヴィアさんと本当に

 今まで一度も会ったことが無いのか?」

 

「そうだよ? 日本って言っても広いから。私が知ってるのはよくて駒王町くらいだし。

 駒王町の外に出られでもしたら、私でも探せないわよ」

 

「……それはおかしいね。彼女はある家庭にホームステイしてるはずなんだ。

 この町の外に出たって話は、僕は聞いたことが無い」

 

セージと木場は、イリナに対し疑いの目を向けている。

イッセーは幼馴染としてか、色気で篭絡されたかは分からないがイリナを庇おうとし。

ギャスパーは事情が読めず、うろたえている。

 

そうなれば、面白くないのはイリナだ。

通常、疑いの目を向けられれば誰だって不愉快な思いをする。

そこにあるものが善意だろうと、悪意だろうと。

 

「そうだったんだ。ゼノヴィアったらルームメイトの私に何の相談もしないで……

 まぁいいわ。だったら入れ違いになったのかもね。

 それで? ゼノヴィアが今回の件に何か関係しているの?」

 

「関係と言うかな。俺はさっきそこで座り込んでいるゼノヴィアさんを見たんだ。

 今はいないようだが……タイミング的に考えて、全く出くわさなかったのか?」

 

「それに……彼女のこともだけど君にはもう一つ腑におちない点がある。

 『竜殺しの剣』。君がミカエルから預かったんだろう? イッセー君に渡すために。

 ならば何故、ミカエルとイッセー君が出会ったそのタイミングで渡さなかったんだい?」

 

それは、ともすれば上司であるミカエルに対する反逆行為。

それを敬虔な信徒であるはずのイリナが行うはずも無い。

まして、大天使長自らの贈り物であるアスカロンを預かり

それを渡すべき者に渡さぬまま今の今までここにいる。

 

どう考えても、不自然極まりないだろう。

 

「それは……ミカエル様の居場所がわからなくて、それではぐれて……

 だから、今日イッセー君と出会えたのは、本当にラッキーだったんだから!」

 

「お、おい……だからってそんなくっつくなよ……」

 

さっきから、やたらとイッセーにべったりとくっついているイリナ。

そこにも、セージはある種の違和感を覚えていた。

 

――こんなような手合いを、どこかで見たことがある。

 

それは現実には数ヶ月前。夢の中ならばつい今しがた。

レイナーレ。彼ら二人にとって最も忌むべき堕天使の名前であり

赤龍帝を目覚めさせた、全ての始まりの魔女とも言うべき存在。

 

彼女はイッセーを篭絡し、殺害することで神器(セイクリッド・ギア)を破壊しようとした。

実際にはリアスによってその目論見は見事に外れたわけだが。

とにかく、その一連の流れと若干ながらも共通点が見出せてしまったのだ。

それに、セージは一連のイリナの証言に、不可解なものを感じていた。

 

紫藤イリナは、ミカエルからの連絡をシャットアウトしていたのではなかったのか?

そんなことをしておいて、居場所が分からないとは明らかに矛盾している。

それを怪訝に思ったイッセーが、イリナの色香に負けているために

セージとしても呆れてモノもいえない状態に陥っているのだが。

結局、普段どおりに皮肉が飛び出すだけに終わってしまい

イリナに対する追求は然程成されない。

 

「……いい気なもんだな。友人はお前を探すのに必死になっていたのに

 当のお前はスケコマシといちゃいちゃか。ゼノヴィアさんが見たら悲しむぞ。

 それとイッセー。お前は女と見るやすぐに鼻の下を伸ばす癖をどうにかしろ。

 そのせいで酷い目に遭ったのは何処の誰だよ……」

 

「今ゼノヴィアは関係ないじゃない。それより、早く行かなくていいの?

 私達も早く行かないといけないんだから。さ、イッセー君」

 

「そういうわけだセージ! 心配するなって、イリナと二人なら大丈夫だからよ!」

 

(……彼女の貞操は大丈夫なのかな、って突っ込むのはセージ君っぽすぎるか)

 

怪訝に思いながらも、確実な証拠の無いセージと木場は

二人を見送らざるを得なかった。

 

しかし、そこに待ったをかけた者がいた。ギャスパーだ。

 

「……ま、待ってください! その聖剣使いの人……

 僕を捕まえようとした人と一緒にいました!」

 

 

「……えっ?」

 

ギャスパーの思い切った発言には、その場にいた全員が思わず歩みを止めた。

それが事実ならば、状況は大きく変わってしまうからだ。

何せ、彼を捕まえようとした者――即ち、禍の団と密接な関係にあるからだ。

 

「お、おい……ギャスパー。お前何言って……」

 

「イッセー君。適当な事に耳を貸してる暇なんか無いわ。

 早いところ行かないと。そうでしょ?」

 

「イッセー。ギャスパーの言う事が気がかりだ。

 紫藤イリナと行動を共にするのは待ったほうがいいかも知れん」

 

「僕も同意見。ギャスパー君、よければもう少し詳しく教えてくれないか?」

 

おどおどとしながらも、ギャスパーはゆっくりと語り始める。

自分が禍の団の手に落ち、神器を強制的に発動させられた事を。

そして、その場に紫藤イリナがいたこと。

外にいたはずのゼノヴィアを打ち倒した上でここに来た事を。

 

「……なるほど。つまり、紫藤イリナは部室を見張っていたゼノヴィアさんを倒した上で

 禍の団を部室の中にいれ、ギャスパーを捕らえた、と。

 それなら確かに、ゼノヴィアさんがああなっていた理由は納得がいくが」

 

「……し、信じてくれるんですか? 僕を、僕の言う事を」

 

「信じるも何も、僕らは同じ部長の眷属、仲間だよ?

 僕は信用に値すると思うけどな」

 

「な、何適当な事を言ってるのよ!?

 私は今までゼノヴィアに会ったことさえなかったのよ!?

 寧ろ、ゼノヴィアを探しているのはこっちのほうなんだから!」

 

「……どうだか。そもそも、俺はそのゼノヴィアさんに会ったって言っただろう。

 そしてそのときの様子が尋常じゃなかった。事ここに至って、理由はお前にあると睨んだがな」

 

セージと木場は、ギャスパーの言う事を信用している。

そうなれば、面白くないのはイリナだ。何せ、禍の団と繋がっていると

面と向かって言われているのだ。これから彼らを追い払うために行動するにあたって

彼らと繋がっていると思われるのは、あまりにも不本意であろう。

 

「あんたねぇ……適当なこと言ってると聖剣の錆びにするわよ!?」

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!?」

 

「お、おい……イリナ。やめてやれよ。ギャスパーが怖がってるじゃないか。

 ギャスパーも変な事言うのはやめろよ。イリナはミカエルの使いとして

 俺に会うはずだったんだぜ? ……そういえばイリナ、あの時は何で来なかったんだ?

 ミカエルが心配してたんだぜ? 連絡が取れなくなったって」

 

「あ、あっはは……実は寝坊しちゃって……」

 

ようやくセージが指摘した事を、イッセーもイリナに問いかける。

それに対するイリナの一言に、今度はイッセーが少しだけ首をかしげた。

イリナはいい加減なところがあるとは言え、敬虔な信徒である。

それは昔からそうだった。そんな彼女との面識は幼少期だけとは言え

イッセーにしてみれば、イリナがそんな重大な局面で初歩的なミスを冒すとは思えなかったのだ。

 

「おいおい……そういえば、お前会議は知ってるのか?

 その会議は大変なことになってたんだぜ。あんまり詳しい事を話すと

 部長や魔王様に怒られそうだから言えないけどよ。

 お前んとこのミカエルも出てたけど、薮田(やぶた)……ヤルダバオトって奴に相当絞られてたぜ」

 

「イッセー。薮田はあの薮田先生だとわかるとしてもだ。

 ヤルダバオトとは一体なんだ?」

 

「ああ、ヤルダバオトってのはね……」

 

会議に参加していないセージは知らなかった。

世界史の薮田直人が、実は聖書の神の影であり、偽神を名乗るヤルダバオトであったことを。

そんな彼は、今までずっと人間として社会に紛れ込んでいた事を。

 

「……ま、マジで? な、なんと言うか……壮大というか……

 そんなところにカチコミをかける禍の団が

 すっげぇアホの集団に思えてきたというか……

 天照様に大日如来様も、俺の言いたかった事も言ってくださった……

 俺、そんな方々のいる場所に畏れ多くて顔を出せそうも無いぞ……?」

 

「お前、部長や魔王様に不遜な態度を取ってるくせにそこでビビるのかよ。

 部長の眷属の癖に、変な奴だな」

 

「バカを言うな。大日如来様はとんでもなく偉い仏様。

 天照様はこの国のやんごとなきお方のご先祖様でもあらせられるんだぞ。

 日本国民ならばお二方とも敬意を払って当然の方だろうが。

 悪魔になる前に行かなかったのか? 初詣とか受験前の天神様への神頼みとか。

 それに実家は仏壇飾ってんだ。大日如来様とは宗派違うけどな。

 そもそも神社の神様ってのは昔からこの国と密接な関係におられるんだぞ。

 

 ……しかし天道寛(てんどうひろ)が大日如来様って……

 いや確かに面ドライバービートでの役はそれっぽい俺様系だったけどさ……」

 

木場に説明を受けたセージは、色々と混乱しかけていた。

今まで知っていたものが実はとんでもないものだったこと。

自身が信仰している日本の神仏のみならず、信仰どころか存在さえ疑問視していた

全能の神――偽者だが――までもが存在していた事。

セージもまた、とんでもない事実にショックを受けた一人といえよう。

 

しかし、ショックを受けたのは一人だけではなかった。

 

「……そ、そんな……神は……主は死んだのではなかったというの!?

 しかも、それだけならまだしも偽者がのうのうと生きていて神を気取っている!?

 そ、そんな……そんな馬鹿なこと……

 

 ……ふ、ふふふ……」

 

「お、おい……イリナ?」

 

「そうよ……やはりこの世界は間違っているんだわ……

 主の御座さない世界というだけでも間違っているというのに

 主に最も近いものが偽者だなんて……狂ってる……狂ってるわ……」

 

途端にイリナの目は虚ろになり、何かをぶつぶつと呟き始める。

その雰囲気は、さっきまでイッセーに対して向けていた無邪気なそれとは全く違う。

まるで、人格そのものが変わってしまったかのようだった。

そんなイリナの様子には、イッセーも衝撃を受けていた。

 

「……ねぇイッセー君。イッセー君はこの世界が間違ってると思う?

 私は間違ってると思う。イッセー君は間違ってたらどうすればいいと思う?

 私は直せばいいと思う。イッセー君は何が間違っていると思う?

 私は主がいない事だと思う。イッセー君は主を……信じてないか。悪魔だもん。

 私はそれも間違いだと思う。イッセー君が悪魔だなんて。

 私、小さい頃イッセー君のこと好きだったんだよ?

 でもイッセー君はあの胸しかない悪魔が好き。

 そんなのおかしいよね? 私イッセー君の事忘れたこと無かったんだよ?

 でもイッセー君は私の事忘れてた。それってひどいよね?

 

 ……ねぇイッセー君。それって……間違ってるよね。

 間違ってたら……直さないといけないよね」

 

そのイリナの変わりように、周囲の者は危険なものを感じていた。

ギャスパーに至っては、完全に怯えてダンボールを頭から被っている。

木場はいつでも剣を抜けるよう、身構えている。

セージも片腕だけながらも、目線はイリナから外さない。

イッセーは、イリナの豹変ぶりに当惑している。

まさか、自分の幼馴染が――という考えも、無いわけではないだろうが。

 

「だからね……私が直してあげる」

 

「イリナ……お前何言って――」

 

 

「危ないイッセー君!!」

 

イリナとイッセーの間に、聖魔剣を握った木場が割り込む。

イリナの右手には、アスカロンが握られている。

アスカロンの刃は、イッセーの左手を狙っていた。

 

「……どうして邪魔するの? イッセー君は壊れてるんだよ?

 壊れた原因を私が直そうとしてるのに」

 

「僕には、君のほうが壊れているように見えるけど――ねっ!」

 

聖魔剣とアスカロンの鍔迫り合いは、聖魔剣が制する形となった。

しかし、イリナを突き飛ばすには木場は少々非力ではあった。

鍔迫り合いで体勢を崩したイリナに、実体化したセージが左肩でタックルをぶちかます。

今のセージには、これくらいしか攻撃方法が無い。

 

「とんだ地雷を踏み抜いたなイッセー。どうやら自分から化けの皮を脱いでくれたか。

 こんなザマでは、そりゃゼノヴィアさんもああなるか……。

 

 ってこうしちゃいられないんじゃないか? ここもかなり危険だ。

 特にイッセー、お前がこいつに狙われるとマズい」

 

「ああ。だから彼女の相手は僕が引き受ける。

 イッセー君は手筈どおり部長を探してくれ。この分だと部長も危ない!

 セージ君、すまないが君はギャスパー君を会議室まで!」

 

一瞬にして、部室前の廊下は緊張した空気の漂う場所となる。

相手が携えているのは竜殺しの聖剣。一撃でも食らえば悪魔である彼らに取っては致命傷。

ましてイッセーはドラゴンを宿している。下手をすれば即死だろう。

そうなれば、この中で一番戦力になるであろう木場がイリナの相手をするのは

理にかなった戦術といえる。

 

「僕なら心配ない! 必ずオカ研の皆と合流する!」

 

「分かった! 木場、イリナを頼んだぜ!

 セージ、お前もまともに戦えないんだ、無茶するなよ!」

 

「ああ。お前こそへまを踏むなよ。

 ……行くぞギャスパー。こうなったら四の五の言えん。

 お前も男なら、腹をくくれ。俺と一緒に会議室まで急ぐぞ。

 祐斗、油断するなよ」

 

セージが懸念したとおり、事態は動き出した。

それは、イッセーの幼馴染との最悪の決別という幕開けを以って。

 

「ちょうどよかったわ! お前も悪魔の癖に聖剣を使う間違った悪魔!

 この私が正しい主の名の下に過ちを正してやる!」

 

「よく言うよ、その正しい神自ら今までのあり方を否定しているってのに!」

 

聖魔剣と竜殺しの聖剣がぶつかり合う金属音を背に、三人の悪魔は旧校舎を駆け出していく。

いよいよ、駒王町を、人間の世界を一方的に巻き込んだ三大勢力の内乱は

その貌を少しずつ曝け出していくのであった。




イリナェ……
拙作では小さい頃からイッセーの事を気にしていた、と言う風にはなってます>イリナ
その上で再会したらこんなことになってるんですから。
さらに自身のアイデンティティとも言える信仰に亀裂が生じる事態は起きるし。

原作ではミカエルに鞍替えした彼女ですが
拙作ミカエルがかなりアレなのと
彼女の信仰はアーシアのそれと全く違う、と言う面も持たせたかった結果です……

カテレアが要らん事吹き込んだ説もありますがw


まあ三大勢力の和平が絶望的な現状で御使いなんて生まれようが無いんですがね。
結局洗脳して自分達の手駒が欲しいだけとかもうね……

メガテンの天使勢と然程変わらないと思うんです、このあたり。
ヨシオは酷い事されたよね……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。