ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

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ご無沙汰しております。
何とか投稿にこぎつける事が出来ました。

……とか言っておきながら前後編構成だったりしますが。


番外編ですので前回までとがらりと雰囲気が変わります。


Extra Life2. めざせ使い魔マスター!? 前編

ライザー・フェニックスとの戦いから暫く経ち。

俺――兵藤一誠や仲間のオカルト研究部の皆も

中間試験を終えて普段どおりの学生生活を送っていた。

 

気になることと言えば、勝った割には部長がだんまりを決め込むことが多くなったり

セージがよく部長に呼び出されたりしているみたいだ。

その都度、セージは嫌な顔をしていたみたいだが、俺にしてみりゃ羨ましい事この上ない。

 

セージと言えば、あれから結局俺は一発ぶん殴ることに成功したが

あいつは受身を取るでもなくすんなりとぶん殴られ、あっさりと吹っ飛んだ。

「一発は一発だから」とは言ってたが、吹っ飛ぶとは思わなかった。

まるで俺が悪者みたいになってしまったことについては、セージもフォローしてくれたが。

 

そして今日は、珍しくセージが俺に憑いていない。風邪ってわけでもないらしい。

学校のある日は「授業に穴を開けると後で困る」と、俺に憑いてでも授業を受けていたあいつが

今日に限っては、何故か俺に憑いていない。

その辺のクソ真面目さにも頭が下がる思いだっただけに

何かあったのかと聞いたが「自分の身体の手がかりが見つかった」としか返してくれなかった。

 

……って重大なことじゃないか! 何で俺や部長を呼ばないんだよ!?

真面目だし、能力も大した奴なんだが……水臭いわ嫌味だわ。

ちょっと、今度コミュニケーションのイロハを教えたほうがいいような気がする。ダチとして。

 

まあ、それはおいておこう。

セージがいない、と言うことは久々にアレが出来るって事だ。そう――

 

 

NOZOKI!!

 

 

うんうん、今までセージが憑いてたおかげで邪魔されたりしてたからなぁ。

そういう所はもっと柔軟になって欲しいものだぜ。なーにが「軽犯罪法違反」だよ。

俺たちが何故覗きをするのか? それはそこに女子の裸があるからなのだ!

松田、元浜、準備は良いな? いざ参らん、我らの楽園へ!

 

気合十分、ロッカーに忍び込んで後輩の着替えシーンを堪能した俺達だったが

今日は標的を完全に誤った。嗅覚に優れた小猫ちゃんがいたのだ。

松田と元浜は逃亡。俺はあえなく小猫ちゃんに捕まり、制裁を受けることになった……。

 

ざんねん! おれの あくませいかつは これで おわって しまった!

 

……ってな事になるわけでもなく。

一命を取り留めた俺は、何とか部活動に顔を出すことができた。

 

――――

 

ボコボコにされた顔をさすりながら入ると、部室には既に全員揃っていた。セージもだ。

駒王番長・宮本成二の雰囲気と言うよりは、オカ研の歩藤誠二って雰囲気だ。

手がかりがあるって言ってたけど、取り戻したわけじゃないのか。

しかし俺のそんな考えを他所に、開口一番奴はとんでもない事を言ってのけてくれた。

 

「……事情は塔城さんから聞いた。お前、俺がいないからって……はぁ。

 大体、合宿のときに言っただろうが。覗きは立派な犯罪だと。

 お前、自分の脳みそに『赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』したほうがいいんじゃないのか?」

 

「なんだと!? お前! この間の中間試験の結果は去年より良かったんだぞ!

 お前こそ、テストも受けられないくせにえらそうな事言うなよな!」

 

「そうなの? やるじゃないイッセー。これは、後でごほうびをあげなきゃいけないわね。

 それとセージ。イッセーのやった事は確かに褒められたことじゃないけど

 そういう風に他人を言うものではないわよ?」

 

「む……それもそうですな。すまんイッセー、ちと言葉が悪すぎた」

 

案の定、セージの暴言は部長に窘められている。反対に俺は部長にご褒美がもらえるみたいだ。

……ま、まさか宿題十倍とかそういうオチはないですよね?

いつぞやのトレーニング以来、部長のご褒美ってのが今ひとつ信用できない俺がいたりする。

 

「心配しないでも、宿題を増やすとかそんなのしないわよ。

 聞けば、セージが憑いてから授業も真面目に受けてるみたいだし、それが効いたのかしらね。

 じゃあイッセー。ごほうび、楽しみにしてなさい」

 

えっ!? じゃ、じゃあ本当に!? お、おお……

ついに夢にまで見た部長の……っ!!

これは、これはセージの嫌味に耐えて授業受けた甲斐があるってもんだ!

 

「確かに俺はここの学籍はありませんがね。しかしイッセーに憑依出来る以上

 イッセーごと授業を聞くって結論が出たんですよ。

 こいつにしてみても、学力の向上が望めますし、ね。どっちにとっても得ってわけです。

 ……というわけだ。イッセー、ノート……と思ったが、お前途中から抜けてたんだよな。

 じゃあアーシアさんか木場、後でいいからノートを見せてもらえると助かる」

 

……うっ。そりゃ確かに途中から抜けたけど、そりゃ怪我して不可抗力で……

でもその怪我をしたのは小猫ちゃんのせいで……

じゃあなんで小猫ちゃんが俺を殴ったのかって言うと

覗きがばれて……はっ。

 

……結局俺のせいかよ。

などと考えていると、アーシアはアーシアでまたとんでもない提案をしてくれる。

 

「わかりました、じゃあ部活の後、イッセーさんの家で見せるのはどうでしょう?」

 

「方法はお好きにどうぞ……というわけだイッセー。

 また憑かなきゃならないから、アーシアさんとの約束、忘れるなよ」

 

忘れるも何も、アーシアは一応、俺の家族みたいなもんなんだし。

一つ屋根の下にいりゃ、顔を突き合わせるのは当たり前じゃないか。

そうなりゃ、否応なしに思い出すって。

 

「忘れねぇよ。そういや、お前自身の用事は片付いたのか?」

 

「……片付いたと言えるし、片付いてないとも言える。

 ま、今は深追いしてもどうにもならないって所だな」

 

まーたこいつは。意味深なことばかりいいやがる。

気持ち悪いから1から10までちゃんと説明しろってんだ。

まあ、そう言うこいつ自身もちょっと参ってるのか、ため息をついてるみたいだが。

 

「……じゃあセージ、今日はこの後用事は無いのね?」

 

「ええ。虹川さん絡みも昨日までに話つけておきましたので。

 他のところのアシストは大丈夫ですか? ミルたんとか、スーザンさんとか」

 

「大丈夫だって。その辺も何とか終えたよ。

 ……ふう、あの時は本当にきつかったぜ。レーティングゲームが終わったってのに

 休む間もなかったんだからな」

 

そう。合宿に行っている間、並びにレーティングゲームの日に入った依頼は全て

レーティングゲーム直後に片付けることになったのだ。

こっちを蔑ろにするのも、悪魔としての信頼を失うことになる。それはまずい。

だから、レーティングゲーム直後は俺達はキリキリ舞いだったってわけ。

 

「本当にみんなお疲れ様。お疲れのところ悪いのだけれど

 イッセー、アーシア、セージ。あなた達には使い魔をゲットしてもらうわ。

 ああ、使い魔ってのは――」

 

そう言うや、部長は赤い蝙蝠を何も無いところから呼び出す。

へぇ、あれが使い魔なのか。何か悪魔っぽいな。悪魔だけど。

 

「その使い魔っての、朱乃さん達ももってるんですか?」

 

「そうですわね。私のはこの子達」

 

「……おいで、シロ」

 

朱乃さんが呼び出したのは小さな鬼の集団。結構多いな。

一方、小猫ちゃんも白猫を呼び出していた。

後ろでセージが何やらうずうずしているようだが……どうしたんだ?

 

「……ちょっとなら、撫でても良いですよ? でも抱っこはダメです」

 

「えっ!? あ、いや……俺、そういう顔してたか?」

 

小猫ちゃんに見透かされたようにセージがうろたえている。

……そういえば噂程度だが、宮本成二が夕方の公園で

猫と戯れているって聞いたことがあるような、ないような。

って事は、こっちのセージも猫好きになるわけだ。

 

セージ、いいもの見せてくれてありがとうよ。

 

 

「ああ、すっごくしてたぜ」

 

「いい物を見せてもらったよ、セージ君」

 

「セージさん、猫が好きなんですね! 私も猫は好きです!」

 

「ぐっ……へ、変な目で見るな……悪いか。い、言うなれば……そ、そう!

 イッセーが女性の胸を目の当たりにしたのと同じようなものだ、そう!」

 

「……それはそれで、すっごく変態な気がします」

 

 

俺と木場もニヤニヤと笑いが止まらなかった。

俺自身、男を見てニヤニヤ笑うのも珍しいと思う。

しかもセージの奴は焦っていたのか、俺を引き合いに出したはいいが

盛大に自爆して、小猫ちゃんに白い眼で見られていた。ざまあみろ。

 

「そうじゃなくて塔城さん! 俺は人間なんだから人間にしか欲情しないというか

 つまりだ、えーと……」

 

「あらあら、悪魔は対象外なのね。悪魔の私としてはちょっと寂しいですわね……。

 じゃあ、悪魔も大丈夫なように今度特訓しましょうか。うふふ」

 

「あ、朱乃さんっ! その特訓、俺にも是非……」

 

「イッセーさん、その特訓なら、私が……」

 

「……セージ先輩は悪魔は対象外ですか。私としても、複雑な心境です」

 

「セージ君、あまり女性を泣かせるような真似は控えた方が良いよ?」

 

「どうしてお前らはそういうことを言うかなあ!?」

 

しかもセージの言い訳はあちこちに飛び火して手がつけられなくなっている。

朱乃さんや木場まで悪乗りを始めており、ちらりと見た部長の顔に

若干、青筋が浮かんでいるのが見えた。

 

「……話を戻すわよ。イッセー、アーシア、それからセージ。

 今から冥界に行って、使い魔をゲットしに行くわ」

 

ちょっと怒気を含めた部長の声で、空気が一瞬で元に戻る。

それにしても部長、今から冥界って随分急っすね。

まあ、思い立ったが即実行、ってのは部長にしてみればいつもの事なんだけど……

 

案の定、セージは嫌そうな顔をしていた。

 

「……確かに予定はありませんが、物事には準備と言うものがありましてな。

 今後、外出をする際には前もって言っていただけると助かりますな。

 ……行くって分かってりゃ仮面をこさえたってのに……仕方ない、これで何とかするか」

 

「……はいはい。善処しとくわ。他に言うことがなかったら出発するわよ」

 

部長もセージの意見をだいぶ聞き流すようになってきた。

セージもそれについて何を言うでもなく、懐からサングラスを出してつけている。

俺が言うのも何だが……非常にガラが悪いぞ。

 

ガラの悪くなったセージから部長に視線を向けなおすと

いつものとは少し違う魔法陣を展開していた。

 

「……使い魔の森へは直通で行くわ。みんな、魔法陣に入って頂戴」

 

皆が魔法陣の中に入ったのを確認すると、部長は呪文の詠唱を始める。

床が光ったと思った矢先、視界がどんどんと歪んでいくのを感じた――

 

――――

 

俺達の視界の前に現れたのは、鬱蒼とした森。

随分と広く、光もまるで届かない辺りが冥界っぽい。

もしかして、ここが――

 

「着いたわよ、ここが使い魔の森。イッセー、アーシア、セージ。

 あなた達にはここで使い魔をゲットしてもらうわ。そのための講師も呼んでおいたわ」

 

講師つきですか!? 至れりつくせりじゃないですか部長!

俺が使い魔を持つってのは、なんだか実感がわかないものはあるけれど……

 

「ゲットだぜぃ!」

 

そんな俺の心配事は、明後日の方向から聞こえてきた突然の声で一気に吹っ飛んだ。

アーシアは驚いて俺の後ろに隠れ、セージは声のした方向に記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)を向けている。

 

「驚かなくても良いわよアーシア。彼が今日の講師の――」

 

「名前はザトゥージ。出身はマダラタウン。使い魔マスターを目指し修行に明け暮れるも

 約20年に及ぶ修行の、その成果は一切出ていない。

 また、数年毎に冥界の使い魔地方バトルにおいて好成績を収めるも

 過去優勝したのは一度のみであり、その他は全てベスト8~16止まり。

 その都度同じ轍を踏んで負けていることも少なくないため、一部では

 『リセットのザトゥージ』と言う異名をつけられている――で、いいですな?」

 

「おいおい! 随分恣意的な情報じゃないかそれ! 確かに地方バトルじゃ優勝したことなんて

 一度しかないけど、それ以外の使い魔をめぐった大冒険じゃ大活躍してるんだぜぃ!?

 ……って、随分俺の事詳しいじゃないか、グラサンの兄ちゃん?」

 

あーもう。セージの奴、わざと挑発的な情報を読んでないか?

俺もちょこっとだけセージの出した情報を読んだことがあるけど、すぐに頭が痛くなった。

アレをほいほい扱いこなせるセージは、それだけでも頭が下がる思いだ。

 

……確か宮本の奴、成績は「本気出せばトップ狙える」って程度には良かったっけか。

 

「……セージ。いきなりザトゥージさんを挑発してどうするの。

 彼は今日のあなた達の講師でもあるのよ? 今みたいな態度は、いただけないわね」

 

「こいつは失礼。しかしながら、インチキ講師をつけられてはこちらも困りますのでな。

 もっと言えば、口に出すべきではなかったと?」

 

「腹の中で悪口言われるよりは、はっきり言って貰った方がまだ楽だぜぃ……」

 

ザトゥージさんはため息をつきながら頭を掻いている。

それが気にならないほどラフな格好である。

 

「そんなことよりだ。今日は一体どんな使い魔が欲しいんだ?

 接近戦に優れてる奴か? 炎使いか? それともやっぱドラゴンタイプか?

 俺のおススメとしてはやっぱ速い奴だな。速さは力。速いだけで全部決まる。

 速ければそれだけで相手の先手を打てる。後は先手必勝、必殺の一撃を叩き込む。

 んん、やっぱこれで使い魔バトルの必然的必勝は必定ですな。これぞロジカルな必勝法ですぞ」

 

……なんだろう。凄くうざいしゃべり方だ。

ネットスラングで言ったら、語尾に草とか生えてそうな。

後ろでスピードを生かした戦法を取る木場が苦笑いしてるし

アーシアはザトゥージさんの話についていけずにきょとんとしている。

セージに至っては……大あくびをしていた。話を聞いていないどころか

何かを見つけたらしく、記録再生大図鑑で調べているみたいだ。

それから暫くして、おもむろに立ち上がったと思ったら――

 

「あ、煩いんで静かにしてもらえますか? 今ちょっと調べ物してるんで。」

 

「やっぱあの喋りはだめだぜぃ、すんません……

 っておいグラサンの兄ちゃん! 今俺話してるの!

 俺今日あんた達の講師なの! わかる!? ねぇわかる!?」

 

「だったら主観じゃなくて客観視でどの使い魔がいいかのレクチャーを頼みます。

 別にそちらの意見聞いてませんので。あ、これ俺らの簡単な能力です」

 

セージはザトゥージさんにメモを渡すなり、また向こうに行ってしまった。

あいつ、使い魔捕まえる気あるのか?

 

「ふんふん……ならそっちの冴えない兄ちゃんにはドラゴンタイプの物凄いのがよさそうだな」

 

「赤龍帝のイッセー君には、うってつけの使い魔だね」

 

そう言ってザトゥージさんと木場に見せられたのはゲームのオオトリを飾りそうなドラゴン。

今のご時勢だったらスマホゲームでこの絵だけで激レア、客が寄り付いてきそうなやつ。

 

……ってふざけるなぁぁぁぁぁ!!

 

「バカヤロウ! こんなもん捕まえられるか! セージにまわせ! セージに!

 あいつだってある意味赤龍帝だろうが!」

 

「パス。俺の方は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)って言ったって似ても似つかない模造品だし。

 本物はお前なんだから、本物の意地をここで見せたらいいんじゃないか?

 第一、この程度の見た目のドラゴン、お前も知ってるだろ」

 

セージに振ったはいいが、やはりあっさりと受け流されてしまった。

しかも、ご丁寧にドライグを引き合いにまで出して。

そりゃ確かに、あいつもごついっちゃごついドラゴンだけど。

で、そのセージはまた黙々と何かを調べてる。何してるんだ?

 

「んで、そっちの金髪の美少女さんには……精霊とかどうかな?」

 

「精霊、ですか。じゃあ私、可愛い精霊さんがいいです!」

 

アーシアのその意見に、ザトゥージさんは満面の笑みを返した。

……何なんだ、こいつは。

 

――――

 

そして俺達は精霊がいるという泉にやってきたんだが……

目の前にいたのは筋骨隆々の水属性なのに土属性な見た目の精霊であった。

 

まさか……いや、まさか……ね。

 

「現実から目を逸らそうとしているところ悪いがイッセー。あれはウンディーネで間違いない。

 俺も最初は合体事故でも起きたのかと思ったぞ。

 事故……事故? いや、あるいは、まさか……」

 

認めたくなかった現実は、セージによって無理やり認めさせられた。

そのセージは、自分で言い放った「事故」と言うワードが気になったのか、また調べ物モードだ。

多分俺に憑いていたら、引きこもっていそうな勢いだ。

そうしないのは、ザトゥージさんに対する礼儀としての最低ライン……だと思いたい。

 

ふと、泉が騒がしくなる。またもう一体、水属性なのに土属性な見た目の精霊が現れた。

セージが言ったように、合体事故じゃなくてこれが天然モノなのか!?

その二体の精霊が繰り広げたもの、それは格闘漫画もかくやと言わんばかりの壮絶な死闘だった。

 

狂ってる……冥界は狂ってやがる……!!

俺の絶望感などどこ吹く風とばかりに、セージは珍しく部長に相談をしていた。

 

「グレモリー部長。使い魔同士を合体させることは可能ですか?」

 

「……聞いたことが無いわね。そういう術式も、あるかもしれないけど

 少なくとも私は使えないわよ?」

 

「合体は俺も聞いたことがないが、交配は可能だぜぃ?

 ただ気をつけなきゃいけないのは、互いの能力もそうなんだが、持っている技の――」

 

「あ、そっちは聞いてません。ならば……イッセー! 交配をするって前提の話だが逆に考えろ!

 『わざと事故を起こさせて見た目を真逆にすればいいんだ』と!

 俺が思うに、氷タイプの似たような見た目の使い魔を捕まえて、交配させれば

 相互作用で見た目が変化するかもしれない!」

 

向こうで部長やザトゥージさんと相談していたセージから出たのは、とんでもない提案だった。

事故前提っておかしいだろ。と言うか何なんだよ交配って!?

とは言え俺もそこまでバカじゃない(と思いたい)ので、交配でやること、はすぐに理解できた。

 

……いや、したくなかった。

 

「バカヤロウ!! そんな吹雪の中からボディビルしながら

 歪みない餡かけチャーハン食ってそうな組み合わせ、俺はイヤだからな!」

 

「今お前の考えだけは覗きたくないと思ったぞ。しかしアレもダメこれもダメって……

 と言うかイッセー。精霊のリクエストはアーシアさんから出たのに

 何でお前がああでもないこうでもない言うんだ? お前が使役するわけでも無いだろう?

 時にアーシアさん。彼女(?)らを実際に使役したいと思うかね?」

 

「えっと……よく分かりませんけど、どちらも綺麗な瞳をしていますから

 私は悪い子じゃないと思います。だから、平気ですよ?」

 

俺の意見も聞かずに、セージはアーシアに意見を求めていた。

ダメだアーシア! あんなのが一緒にいたら、キミが穢れてしまう!

綺麗な瞳をしていても、それ以外が見るからに汚らわしいじゃないか!

 

「お、お前なぁ……こんなむさ苦しくて近くにいただけで窒息死してしまいそうな奴を

 アーシアのそばに置けるか? 置けないだろう? 俺は置けない!

 勿論俺のそばにもだ! と言うわけだみんな! 他を探してみよう、他を!」

 

「……あれが雄雌どちらかは俺もわからないが、あれを使い魔にすることへの嫉妬か。

 イッセー……お前ハーレム目指す割には器が小さいな……」

 

今の俺に出来ること。それは一刻も早くこの場を立ち去ることだった。

そのためにも俺は皆を促し、とにかく別の場所へ移ることだけを考えていた。

そのせいで、セージがぼそりと呟いた一言は聞こえなかったが、まあいいや。

 

「おいおい少年。もうじきあの二人の戦いの決着がつくというのに。

 ここで帰るのはもったいないぜぃ?」

 

「知らねぇよ! 勝手にやっててくれ! 部長! 使い魔の森って広いんすよね!?

 俺はもっと色々な使い魔を見たいんです! だからさっさと次行きましょう、次!!」

 

「ず、随分熱心ね……ま、まあわかったわ。そういうことなら次を見てみましょう。

 時間についてはいくらでも都合はつけられるし」

 

部長の許しも得たことだし、さあさっさと行くぞ!

アーシアが何かを言いたそうな目をしていたが、許してくれアーシア。

これ以上ここにいたら、君も俺もおかしくなりそうだ。

 

「……イッセー。もう少しお前の気が長ければ

 俺の予想では相当な美人さんを捕まえられたかもしれないんだがな。これ、予想図な。

 じゃあ行こうかイッセー。男の二言はあまり良いものではないぞ」

 

「うっ……だ、だが予想だろうが。予想が外れたら目も当てられないぞ。

 そう言って微妙な揺さぶりをかけるのはやめてくれ、セージ」

 

セージが予想図として寄越してきたのは蒼髪で巨乳の確かに俺好みの美人さんだ。

それこそ、部長をそのまま髪の毛の色を染めたような。

でも部長は赤い髪だから部長なんであって、やっぱり青い髪の部長ってのは想像できない。

けれどこれがあの筋肉ダルマ二体から出来上がるなんていうほうが

俺にはとても信じられなかった。




少々半端なところで切れましたが。
スラ太郎と触手丸は次回に持越しです。


原作だとザトゥージは結構廃人思考してたので
そこに無理にアニメサトシの要素をぶち込んだら
こんなわけの分からないヤツになってしまいました。
やはり餃子の王将に電話注文した人を立てた方が良かったかもしれません。


今回も元ネタがあっちゃこっちゃ飛び回っています。
原作では殆どポケモンでしたが今回はシャドウゲイトやら艦これEDの某MADやら
前回の番外編よりも足がついてない感じがします。


最後に見せた配合事故の成功(?)予想図は皆様のご想像にお任せします。

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