ハイスクールD×D 同級生のゴースト   作:赤土

127 / 151
特別篇第四話です。

イベント。
……はい、諦めました。
最後に完全攻略できたのは礼号作戦位ですね。
硬いわ資材がFXで溶け出るようなそんな感覚に陥るわで……

これもみんな強化が足りないおかげなんだ。
(資源ケチって12.7cm砲しか強化していない模様)

そんな私ですがフィギュアーツでスナイプLv50が出たら
AGPの艦娘の隣に並べてやるという野望が芽生えました。
……限定でもいいから出してくれ財団B。

艦これかと思ったらマルチロックオンで某自由が頭をよぎりましたけどね。
スナイプLv50。

閑話休題。
さてアインストに対してアーリィさんはどうするかと巷で囁かれていましたが
それに対する答えが今回。


Special4. 銀と赤、銃と杭

「そんな事よりも、丁度食事が出来たところだ。

 本来なら鯖を取り寄せて作りたいところだが、そうも言っていられんからな。

 缶詰だが、我慢してくれ。その代わり、味噌汁は俺のお手製だ。

 お前達全員分あるから、食べていくといい」

 

天道に促されるまま、一同は食卓を囲むこととなった。

セージと白音、黒歌の姉妹。途中で合流した木場に

警察署に戻って来た時、ひょんなことから見知ったアーリィと言う修道女。

天道の用意した鯖味噌――缶詰だが――が用意され、一同の前に配膳される。

 

――――

 

「……こ、これは感激です! 日本の食事はレベルが高いと聞いていましたし

 実際食べもしたんですが、その中でもトップクラスです!」

 

「……確かに、これは相当にうまい……」

 

「当然だ。俺が腕によりをかけて作ったんだからな」

 

天道の料理にアーリィが舌鼓を打ち、警察署に張られた結界のお陰で実体化できている

セージも、久々の天道の料理に感激している。

白音は量的に物足りない表情を一瞬浮かべるも、物資不足であることを思い出し

思いとどまっている。

事実、セージらが食事している後ろには、配給待ちの避難民が列を作っているのだ。

 

表向きには安全面から警察署で支援活動を芸能活動を休んでまで行っているという天道寛。

勿論その真の理由は神仏同盟絡みであるが。

しかし、それでも料理人としてのこだわりは生きている。

 

「それで、アーシアの事なんですが……悪魔になったって、具体的には……」

 

「……お釈迦様が言っていた。『食事はあらゆるものに感謝し、祝福を賜るもの』とな。

 血生臭い話なら、食事が終わってからにしてもらおうか」

 

「……そ、それもそうですね。折角主にお祈りをささげたというのに

 それを覆すようなことをしてはいけませんね。これは失敬しました」

 

「その通りだにゃん。今は食事に集中するにゃん」

 

アーリィが食事前に祈りをささげた時に木場、白音、セージが軒並みダメージを受け

セージも「頂きます」をいつもの癖で言ってしまいダメージを受けていたのは少し前の話。

 

黒歌だけは素知らぬ顔で鯖味噌をおかずにご飯を平らげ、味噌汁に舌鼓を打っているが。

 

(……悪魔と言うのも、本当に不便なものだな)

 

(……やはり、「こっち」でも皆さん悪魔なんですね。

 あの背の高い人は見覚えが無いですが、彼もそうなんでしょうね)

 

天道の素朴ながらも高級な食事は、各々の喉を通りはしたものの

その思惑までは、洗い流すことが出来なかった。

 

アーリィは既に、彼女がいた世界で木場らリアスの眷属と出会っている。

今ここにいる中で彼女が知っているのは木場と小猫――白音だけだが

この二人は例外なく悪魔のままである。

 

そしてセージもイッセーと悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を共有している関係上

悪魔としての扱いに準じてしまっている。それこそが彼にとっての悩みの種でもあるのだが

そんな事はアーリィも知る由が無い。

 

だからこそ、アーリィの行いにダメージを受ける結果となり

天道をして「難儀な種族」と思わしめていた。

 

――――

 

食事を終え、配給も一段落した辺りで各々食器を片付け終える頃には

食堂も静まり返っていた。

改めて、アーリィからアーシアについての質問が投げかけられる。

 

「……それで。アーシアは一体どうなっているんでしょうか?」

 

「話すと長くなるが、それは……」

 

アーリィの質問に対し、セージが答える。

記録再生大図鑑(ワイズマンペディア)のデータを持ち出しながら。

当初は人間としてやって来ていた彼女だが、さる堕天使――レイナーレの思惑で

殺害されてしまい、やむなく悪魔として息を吹き返した経緯がある。

 

アーシアの側はどう思っているか知らないが、セージにとっては

アーシアはまだ友人と言える存在である。イッセーと違って。

それ故に、レイナーレの行為に激怒し暴走したことも

余計な事と思いつつも包み隠さず話している。

 

その後は兵藤家に世話になっていること、その兵藤家も

テロの影響で家が崩壊、兵藤夫妻も安否不明――実質死亡ともいえる状態に陥った事。

そして……

 

「……な、何ですって!? アーシアが……狙われている!?」

 

「ぐっ……は、離してもらえると……」

 

セージの口から出た言葉。「アーシアは狙われている」

それを聞いた途端、アーリィはセージに掴みかかってしまった。

悪魔になったというのも大事なのに、さらに狙われている。

そうなれば、アーシアを妹のように思っているアーリィが取り乱さないわけがない。

そこを把握できなかったのは、セージのミスである。

とは言え、初対面でかつ記録再生大図鑑も通じない相手にそこまで察せと言うのも

なかなか難しい話でもあるのだが。

 

「あっ……す、すみません。つい……」

 

「……けほっ、けほっ。まさかこんなところで生命の危機を覚えるとは思わなかった。

 まあそれはさておき、俺が最後に確認したのは

 ディオドラ・アスタロトと言う悪魔の眷属がアーシアさんを狙っていた事だけです」

 

「やはり、か。アーリィさん。勘違いしないで聞いてほしいんですが

 実は僕たちはそのディオドラの支配下にいるんです。

 

 ……ああ、勿論彼の言いなりになるつもりはありません。少なくとも

 僕とアーシアさんは。ただ、彼は契約者のヤクザ――まぁ、マフィアって言った方がいいですか。

 それを使って、この辺りを支配しようとしているのは間違いないみたいです」

 

ヤクザ。アーリィにも分かりやすく言えばマフィア。

利権争いのために派閥同士で抗争を繰り広げ、その争いに市民が巻き込まれることも珍しくない。

アーリィにとっては、映画の世界の話だと思っていたのだが

この混乱極まる駒王町においては、ヤクザ――曲津組(まがつぐみ)

両手を振りのさばっている地域もあるのだ。

 

「……あるいは、ヤクザが悪魔を利用してこの辺りを支配しようとしているのか、ですが。

 そのディオドラが、アーシアを何らかの理由で狙っているのは間違いありません。

 事実、俺はディオドラの息がかかった悪魔と交戦しました。

 

 ……最も、そいつはアインストになっていましたが。

 ああ、アインストってのはさっき話した通り……」

 

「あ、大丈夫です。皆さんに会う前にアインストについては説明を受けましたので。

 それにしてもまたアインストですか……悪魔と同じように、弱点さえわかれば

 攻略もしやすいと思うんですが」

 

アインストの弱点。一応ミルトカイル石と言う石がコアになっているため

それを破壊すれば機能を停止し、文字通り崩れ落ちることが確認されている。

しかしそのミルトカイル石を破壊することが容易ではない。

分析さえできていれば、何とかなるのかもしれないが。

アーリィの言う通り、弱点さえわかればアインストの脅威もぐっと下がるものだが。

 

「簡単に言ってくれるにゃん……ん? いや、けれど中国妖怪の間じゃ

 百邪って別名がある位には言い伝えられてる存在だにゃん。

 もしかしたら、対抗策はあるかもしれないにゃん。

 って言うか、あいつらとガチでやり合うなんてご遠慮願い所だにゃん」

 

「……そんなこともあろうかと、対策の装備は作っておきましたよ」

 

黒歌のぼやきに呼応するように、外からトランクを持った薮田が入って来る。

セージらにしてみれば久方ぶり、アーリィにしてみればついさっき出会ったばかり。

そんな彼らの心境などお構いなしに、づかづかと入って来ては

テーブルの上にトランクを乗せ、中身を全員に見せる。

 

「薮田先生!? どうしてこんなところに!?」

 

「木場君に塔城君……いや、白音君と呼ぶべきでしょうか?

 それと……宮本君。久しぶりですね」

 

「白音、誰にゃんこの胡散臭そうなオッサンは」

 

薮田直人(やぶたなおと)……私たちの世界史の教師で、実は……」

 

白音が言いかけた薮田の正体を遮るように、薮田が話を進める。

ここには、まだ正体が割れていないアーリィや黒歌がいるのだ。

 

「そんな事よりも、ミルトカイル石を破壊する物質の開発に成功しました。

 既に戻って来た柳課長からもゴーサインは出ていますが……

 ……結論から言いましょう。この『アルギュロス』に『アントラクス』。

 これはミルトカイル石を破壊する物質です」

 

銀から生成された「アルギュロス」に、ルビーから生成された「アントラクス」。

神経断裂弾の要領で、ミルトカイル石の成分を破砕し機能停止させる物質である。

銃弾である神経断裂弾。それをアインストの弱点であるミルトカイル石に

特化させて運用させた、アルギュロスにアントラクス。

一同の前に姿を見せたそれは、一般の銃の弾丸とはまた違って見える。

神経断裂弾の要領で使えそうには無さそうだが、その答えはすぐに出ることとなった。

 

「ミルトカイル石を……って事は……」

 

「ええ。ですがアインストの表皮部分には通用しないと思ってくださって構いません。

 アントラクスの方ならば強度がありますので、ある程度は通用するかもしれませんが

 元々ミルトカイル石を破砕するための装備ですし、そもそも大量生産に向きません。

 なので、扱いには慎重になってください。

 

 さて。何故私がこれを持ってきたかと言いますと……

 アーリィさん。あなたにもこの二つを託します。

 アーシア君を迎えに行く手助けになればよいのですが。

 そして……聖職者たるあなたにこれを託すのもどうかと思うのですが

 『試作型ナイトファウル』……『アルギュロス』と『アントラクス』を運用するための

 専用武器……と言いますか兵装ですね。既に三丁完成したうちの一丁です」

 

「……な、何か凄い代物ですね……」

 

薮田の見せたものは「アルギュロス」と「アントラクス」だけではない。

「試作型ナイトファウル」と呼ばれたそれは、大型のライフル銃程度の大きさの杭打機。

それに、銀製の剣が取り付けられた、兵装と呼ぶには些か大げさな見た目の装備である。

 

「ああ、勿論事が済んだら返してもらいますよ。

 それも超特捜課の技術の粋を集めたものですから。

 とは言え、設計図はクロスゲートの近くに落ちていたものを拾っただけですがね」

 

アーリィが「向こう側」からやって来た存在であることをうまく伏せながら

薮田は試作型ナイトファウルとアルギュロス、アントラクスの入ったトランクを

アーリィに手渡す。見た目から相当重そうに見えるが

思いの他、重量は無いようであった。

 

「聞いた話ですが、杭打機を悪魔祓いに使うケースもあるそうですし

 そう間違った運用ではないと思いますよ。

 それに……アルギュロスも、アントラクスも神経断裂弾を参考に開発しましたが

 このナイトファウルとの相性がいいみたいでして。

 そしてこのナイトファウルの杭部分と剣部分ですが、銀をコーティングしてありますので

 アインストのみならず、悪魔にも効果的です」

 

その言葉を聞いた途端、アーリィのヴェールで覆われた顔に笑みがこぼれた……様な気がした。

人に害を成す悪魔に対しては、残虐ともいえるほどに彼女は容赦が無いのだ。

アーリィのそんな側面を、こちら側の木場や白音は知る由もないが。

 

(最も、設計図には銃としての側面もありましたが、そこは再現させてませんがね。

 そこまで再現させては、少々過剰戦力になる恐れがあります。

 自衛隊の兵装ならいざ知らず、そうでも無いものにそこまでする必要はありませんからね。

 今はともかく、この脅威が去った後の事を考えれば下手な軍備強化は逆効果になりかねません)

 

アインストに対抗できる武装が完成した。

これは間違いなく人類にとっては吉報であり、文字通りの天啓であるといえよう。

 

「ありがとうございます、ナオトさん。

 この装備、大事に使わせていただきますね。

 ところで、さっき出動された方々にはこれはお渡しにならなくてよかったのですか?」

 

「無論、既にお渡ししてありますよ。これは先ほどお話しした通り、三丁完成したうちの一丁ですから。

 インベスはともかく、アインスト相手にはアルギュロスやアントラクスの方が

 有効そうですし、それに……」

 

薮田が次の言葉を紡ぎかける前に、部屋の扉がノックされ、開かれる。

そこから入って来たのは赤い革ジャンに同じく赤のレザーパンツと言う

おおよそ警察らしからぬ格好の、超特捜課(ちょうとくそうか)課長テリー(やなぎ)

 

「おや、柳課長。もう怪我の方はよろしいので?」

 

「いつまでも寝ていられるか。それに怪我と言っても神器を封じられただけだ。

 君がアーリィ・カデンツァか。俺はテリー柳。

 警視庁超常事件特命捜査課(ちょうじょうじけんとくめいそうさか)――超特捜課の課長を拝命している者だ。

 それにセージ達もよく戻って来た。恐らくあのナチスかぶれと戦ったのだろう?」

 

柳の質問に、セージ達は首肯する。

セージ達はナチスかぶれ――聖槍騎士団の撃退に成功し

木場は目の前でとんでもない事実を暴露される結果となったが

こうして生還には成功している。

 

「生身の人間が戦艦の主砲を撃ちまくるようなものだ。まともにやり合うのは不利……

 かといって神器(セイクリッド・ギア)に頼れば、聖槍で封じられる。

 ……アインストやインベスで手一杯だというのに、とんでもない相手が現れたものだ。

 アインストに関しては、打開策が見えてきたがそれでも油断はできないからな」

 

「……本当にこの駒王町は大変なことになっているんですね。

 そう言えば、応援は来ないのですか? こういう時のための教会だと思うのですが」

 

「してやられている。悪魔の存在を公表されたと同時に、天使や堕天使の存在ばかりか

 神の不在さえもな。フューラー・アドルフ……あの本人であるはずがないが

 偉人を相手にすると言う事はこうも恐ろしい事なのだな。

 奴を偉人と言うのも、ある意味おかしな話だがな」

 

「そう。彼――フューラーが神の不在を口外してしまったために

 教会に対する求心力どころか不信が芽生えてしまいましてね。

 司教枢機卿は全世界のキリスト教系国家に説明のために出向いているため

 応援を出せない状態なのですよ。まして日本はキリスト教の影響が薄いですからね。

 後回しにされるのも、むべなるかなと言ったところでしょう」

 

フューラーの行動は、確実に教会の動きを牽制していた。

そんな教会の対怪異討伐の代わりを果たしているのが、超特捜課であり自衛隊である。

薮田の言う通り、日本はキリスト教の影響が諸外国に比べ少ない。

遥か古代から培われた土着信仰の賜物でもあるが、古代の人々も

まさか未来でこんなことが起こることを見越しているわけでも無いだろう。

 

「これは天照も言っていた事だが、俺達の目の黒いうちはこの国を好きにはさせない。

 ……これはサーゼクスやミカエル、アザゼルに言うべき台詞でもあるかもしれんがな」

 

神仏同盟(しんぶつどうめい)として日本を守護している天道――大日如来が口を開く。

この場にいない日本古来の神、天照の思いを代弁するかのように語られた言葉は力強く

異なる神を信仰するアーリィや、聖書の神の影である薮田さえも唸らせている。

 

そんな中、アンノウン討伐に出ていた氷上から連絡が入る。

 

『こちら氷上。アンノウン……アインストの撃破に成功しました。

 薮田博士、新型弾丸の成果は上々です。これならば、神経断裂弾の効かない相手にも

 有効打が与えられそうです』

 

「そうですか。しかし油断は禁物ですよ氷上君。アインストの恐ろしい部分は

 戦闘力以外の部分にあるのですから。いえ、往々にして恐ろしいのは

 戦闘力以外の部分ですよ。君達が精神支配の影響を受けたら、笑い話にもなりませんよ」

 

『はい、それもそうですね。では我々は直ちに帰還いたします』

 

氷上からの通信。それはアルギュロスやアントラクスは完成したという報告でもあった。

これらを装填した銃やナイトファウルで、アインストのコアを打ち抜けば

アインストは効率よく倒せる。超特捜課の装備は、充実の一途をたどっていた。

 

(完成はいいのですが、これ以上私が口をはさむのはまずいかもしれませんね。

 しばらくはマキ博士主導で、私はその様子を見ることに専念したほうがいいかもしれません。

 

 ……神が必要以上に人類に肩入れを行うのは、よい事ではありませんからね)

 

暫し薮田は考え込み、言葉を紡ぐ。

その思想こそが神の傲慢さに基づくものなのかどうかは誰にも分からないが

アインストにも、辛うじてインベスにも対抗策のある現状、これ以上口をはさむのはどうなのだろうか。

そう薮田は考えていたのだ。

 

「では私はクロスゲートについて調べてみようと思います。

 教師と言う立場でもある以上、駒王学園の様子も気がかりですが

 今はこちらの方が重要そうですからね。これをどうにかしないと、無限にアインストが沸いてくる……

 なんてことも、最悪起こりうるかもしれませんし」

 

「それは考えたくないな……わかった。では駒王学園については……」

 

「いけない、忘れるところだった。薮田先生。

 俺達が駒王学園に向かった時、シトリー会長らを見かけました。

 一応、無事は無事ですが……」

 

セージの言い方に、無事だが何か問題があると見込んだ薮田は

セージに質問を投げかける。

その答えもまた、薮田の想定内のものではあったが。

 

「無事は無事……と言いますと、何か問題がありそうですね、宮本君」

 

「はい。シトリー会長らは既に冥界に帰還。事のあらましは今頃冥界政府に知れ渡っているでしょう。

 そうなると……」

 

「……やれやれ。またあの魔王が出しゃばらなければよいのですが。

 今冥界軍に動かれたら、地上は大混乱になりますよ」

 

「……起こり得るのが怖い所です。引き金になるであろうシトリー会長にダメージが及んでますからね。

 あの魔王陛下の性格を考えれば、こっちの被害なんか顧みずに軍を動かしかねません」

 

セージもまた薮田に同調し、誰の事かが分かった木場と白音も苦笑を浮かべている。

アーリィは初めきょとんとした表情をヴェールの下に浮かべていたが

話題に出ているのがセラフォルー・レヴィアタンであることに気づくと「ああ」と言った表情になり

ポンと手を打っている。

 

「正気の沙汰じゃありませんよそれ。混乱しているところに戦力を派遣するなんて

 もう法治国家のやる事じゃなくて野盗のやる事ですよ。

 でも、そうなったら私の出番ですね。この町やアーシアに危害を加えるような悪魔は

 私が一人残らず撃退しちゃいますから」

 

「……程々に頼みますよ?」

 

アーリィの一面が垣間見えた薮田だったが、ナイトファウルを取り上げるところまではしていない。

ナイトファウルを取り上げてしまえば、アインストに対して無力化してしまうからだ。

今や悪魔と同等以上に脅威となったアインストに対し、その対応は失策と言わざるを得ない。

 

「それじゃ、今すぐにでもアーシアを探しに行きたいところですけど…

 私、お恥ずかしながら地理には疎くて……まして町がこの状態ですし。

 それで、皆さんの都合がつく時までここに滞在させてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「ああ、それなら明日にでも行きましょう。俺も早いところこんなことは終わらせたいんだ。

 それに、アーシアさんがいるグレモリー部長の所には俺達も用事がある」

 

「……そうだね。あのディオドラとか言う悪魔の動きが気になる」

 

行動の方針が纏まりかかったところで、柳から提案が入る。

その提案は、アーリィにとって非常にありがたいものであった。

 

「ここは避難所でもあるんだ。一人くらい受け入れる余裕はある。

 部屋は……すまない、女性署員の宿舎に使っているところがあるから

 そこで構わないだろうか」

 

「はい、大丈夫です。お心遣いありがとうございます」

 

避難所とは言え、元が警察署とその近隣地域なので最低限の設備は整っている。

こうして、アーリィの宿の心配もクリアされたのだった。

 

「となると僕だけど……ちょっと待っててくれ。部長に話をつける。

 

 ……木場です。出先でアインストの襲撃を受けてしまい、今警察に保護されています。

 明日には戻れると思いますので、よろしくお願いします。

 出迎えには及びませんので、そちらで待機していてください……っと。こんなものかな」

 

魔法陣を利用した通話で一方的ながらもリアスに話を付けた木場は

何買わぬ顔で嘘をつき通していた。

 

「……嘘を真実と思わせるには半分は本当のことを交えたほうが信憑性が増すというが……

 祐斗、お前もずる賢くなったな」

 

「反面教師には事欠かないからね。言いたくはないけど」

 

さらに質の悪い事に、木場はセージや猫姉妹、そしてアーリィの存在を喋っていない。

誰も彼も喋れば面倒なことになる事は避けられない。そう考えれば、黙っているのも一つの手だ。

 

その日の夜は、警察署周りでは平和な一日であった。

 

――――

 

一方、その夜の出来事。曲津組が支配する地域と警察の管轄区域の境目付近。

悪魔の力を借りた曲津組の組員に、自衛隊員が捕まってしまっていた。

 

「おう、とっとと吐けよ。この写真の女、見たことあるだろ?」

 

「……知るか」

 

「あっそ。じゃあ……」

 

組員によるアーリィ捜索は、避難民捜索活動を行っている自衛隊員を締め上げて聞き取りを行うという

外道じみた手法がとられていた。勿論、ただのヤクザに自衛隊員が後れを取るはずがない。

質の悪い事に、アインストとの戦いで消耗したところを一斉に取り押さえにかかったのだ。

これでは、誰が悪魔だかわかりやしない。

 

「なあ。お前、この辺に家族はいるのか? いるんだったら……」

 

「!!」

 

組員の次の言葉に、捕まった自衛隊員の顔色が変わる。

彼の家族は、運悪く曲津組の支配下の地域に避難していたのだ。

つまり、人質に取られているようなものである。

 

家族と言う存在を盾に取られては、従わざるを得なかった。

 

「そうそう、最初から素直に吐いてくれりゃいいんだよ。

 じゃ、もうお前に用は無いから……」

 

自衛隊員の頭に銃口が突きつけられたとき、その銃口を突きつけた側が突如として崩れ落ちる。

自衛隊員が見上げると、銀髪碧眼の青年が立っていた。

 

「……逃げろ。こんなやり方は、俺の主義じゃない。

 俺は道を誤った。だが、今更俺はどうすればいいのかがわからない。

 だから今はただ、こいつらを――禍の団(カオス・ブリゲート)

 それに通ずるものを叩きのめす事だけを考えている」

 

青年――ヴァーリの手ほどきで自衛隊員は脱出に成功。

騒ぎを聞きつけて駆けつけてきた曲津組の組員とアインストと化した組員がやって来る。

 

「今の俺には、何も目標らしい目標が無い。だが……力を貸してくれるか? アルビオン」

 

『赤いのに比べれば俺はマシと言ったところか……今代は二天龍の我らには優しくない時代だな。

 ま、それが普通なのだろうがな……で、質問の答えだが……

 

 言うまでも無かろうよ!!』

 

ヴァーリの神器、白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の力で

能力を半減させられたアインストは、ヴァーリの敵ではなかった。

 

しかしその行いは、すぐさまアインストの長ともいえるオーフィスに筒抜けになる事となった。

白龍皇もまた、運命を狂わされた存在。アインストによる破壊は

彼が望んでいたものでは無かった。赤と白のぶつかり合い。それが望みだったはずなのに

そこからは大きく外れていった彼の運命。幼き日を考えれば、どこまで狂って行くのだろうか。

 

次第に、ヴァーリを付け狙うアインストの数が増えてくる。

オーフィスが直接ヴァーリを標的に攻撃指令を出しているのだ。

その中には、平和の象徴から変貌したアインストアイゼンやアインストリッターの姿もある。

 

人知れず、アインストの大群を相手に白龍皇の戦いが始まっているのだった……




ナイトファウル来た、これで勝つる!

……いや、某同人ゲーのパスt……カレー先輩の得物から着想を得たんですけどね。
杭打機で悪魔狩り、あると思うんです(元ネタは吸血鬼だけど)

設計図はクロスゲート経由で流れ着いた模様。
それを超特捜課(薮田)が拾い上げ、急ピッチで制作。
そんな急造品をいきなり実戦投入とか無茶が過ぎます。
アルギュロス、アントラクスは神経断裂弾の要領で開発。
対アインスト用の神経断裂弾と思っていただければ。
材質上、アルギュロスは悪魔(+吸血鬼)用神経断裂弾としても流用可能ですけど。

とりあえず「アーリィが超特捜課製の武器を使う」フラグはこれにて回収。
これでディオドラも怖くない! ……はず。

なお、ゲシュペンスト・ハーケンの設計図は見つかりませんでしたとだけ。

>薮田博士
こういうポジの人がいきなり新兵器を持ってくるのは創作ものの
あるあると言う事で一つ。
ゴジラやゼットンはその犠牲になったのだ……

さて、ここでアインスト特化武器まで完成した以上
インベスの毒に対する抗体完成まで超特捜課に居座るかと思ったら
ここで脱退フラグ。まぁ正体考えれば……

それに、アーリィさんの帰還手段も確立させないといけませんし
ここでアポロンとクロスゲート研究に専念と言う形で。

>不死身属性のある柳課長
倒しこそできませんでしたが、聖槍騎士団と一戦交えて撃退に成功してます。
安玖巡査も無事です。出てきてないだけで。
戦果としてはイッセーらとどっこいです。
彼らは「試合に勝って勝負に負けた」状態ですが。

>ヴァーリ
久々の登場。
過去にやられたことを顧みてなお「知った事か」とかのたまうようだったら
速攻排除対象ですが、今回はまだ第三勢力ながらも
禍の団――と言うかアインストとは袂を分かつつもりでいます。
人のふり見て何とやら、そんな感じです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。