ジョン・メイトリックスは元コマンドーである   作:乾操

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☆祝!☆『結城友奈は勇者である』放送2周年!
☆祝!☆『コマンドー』日本上陸30周年!
☆祝!☆『勇者であるシリーズ』続編決定!
☆祝!☆『鷲尾須美は勇者である』映像化決定!
★呪!★『ジョン・メイトリックスは元コマンドーである』またも完結!
10月中に更新すると言ったな、あれは嘘だ。
ただのカカシですな。
あと完結言ってるけど放送までの欲求不満解消のためにまたぶぁくだん投稿するかもしれないから。
あとあと今回は茶番と本編の二本立てだから。
両方茶番みたいなもんじゃんとか言ったら翌朝ベッド脇のコップに大事なタマタマが浮かぶ事になるから。



女子力の為の仕方無い犠牲? じゃあこれも! 女子力のための犠牲だ!

 ある日曜日、私達勇者部一同は映画を見にイネスのシアターへとやって来ていた。

 しかし、事前に何を見るか話し合わないで出掛けたものだから、いざ映画館に着いてから揉めることとなった。なにしろ、私含めみなさん見たいものがバラバラなのだ。

 

「アニメ見ようよアニメ! 接触篇と発動篇の豪華二本立てだよ!」

とアニメ推しの友奈さん。

「子供じゃあるまいし。せっかくブルーツ・リーのアクションやってるんだからそれ見るべきよ」

と香港アクション推しの夏凜さん。

「そんな古典、家で見ればいいじゃない。ここはやっぱり大迫力のSF、スター坊主EP7にすべきよ」

と、SF推しのお姉ちゃん。

「私は戦争映画を希望します。石器時代に戻してやるでおなじみの映画がリメイクされてるので」

と、戦争映画推しの東郷先輩。

「私は怖いのがいいな~。フレアビッチ観たいな~」

と、ホラー推しの園子さん。

「エクスペンダブルズ5を見よう。好きな俳優が出てるんだ」

と、筋肉推しの大佐。

 ちなみに私は恋愛映画推し。甘く切ないラブストーリーが見たい。

 

 ……もう笑っちゃうくらいにバラバラである。強いて言うなら大佐と夏凜さんの趣味が近いような気もするけど。

「どうしたものかね」

 お姉ちゃんがうーんと腕を組む。すると、夏凜さんが、

「……もうみんなそれぞれ見たい映画観ればいいんじゃないの? どうせ観てる間は無言なんだし」

 確かに、単に映画を見たいだけならそれもアリかもしれない。でも、それははっきり言って嫌だ。だって……。

「でも、そうしたらみんなで感想言い合えないよー」

 友奈さんが言う。

 そう、映画を見るのも大切だけど、その後、みんなで喫茶店でお茶やらコーヒーやら飲みながら映画の感想を言い合う……感動の共有こそが、仲間と映画を見に行く意味であると思う。

 でも、ここでくじ引きやジャンケンで決めるのも後に変な遺恨を残しそう(特に結果観た映画がいわゆるクソ映画だった時とか)で嫌だ。

 じゃぁ、どうやって観る映画決めるのかと言うと……。

「そうだ! 売り場のお姉さんに訊こう!」

 お姉ちゃんがこれは名案だ、という調子で高らかに宣う。

 言われてみれば確かに、映画館で仕事してる人のおススメともなれば、それなりに面白い作品が期待できるだろう。それにもしつまらなくても第三者の意見だから仲間内でピリピリしないで済む。

「風にしては名案ね」

「なんか癪な言い方ね?」

「気のせいよ」

「それならば、俺に任せろ」

 言うや大佐は懐から銃を抜くと券売所へツカツカ歩いていった。

「まったく、麻酔銃じゃなかったら犯罪よ?」

「麻酔銃でも犯罪です先輩」

 東郷先輩の指摘を他所に大佐は券売所へ辿りつく。

「いらっしゃいませ」

 笑顔で大佐を迎えるお姉さん。

 しかし、大佐はそれを無視しながら拳銃の銃床で受け付けのガラスをかち割った。

「!? お客様!?」

「こっちに来い!」

「きゃぁ! お客様おやめください! 怖いわテロリストよ~」

 受付のお姉さんは大佐に引きずられるように私達の前へと連れてこられた。

「アンタ達いったい何なのよ!」

「おススメの映画を教えろ」

「えぇ!?」

「おススメの映画を教えろと言ったんだ!」

 大佐があまりにも乱暴に訊くからお姉さんは動転してすっかり怯えてしまった。仕方ないからお姉ちゃんが事情を説明する。

「あぁ、そういうことですのね」

 お姉ちゃんの説明を受けるとお姉さんもようやく納得してくれて、私達におススメの映画を紹介してくれた。

「ございますよ、皆さんの好みすべてに答えられる超大作が!」

「本当ですか!?」

「ぜひ教えてください!」

「もちろんです! それは――」

 

 

 一時間半後、私達は全員大満足して映画館から出た。

 素晴らしかった。まさか、私達の求めるすべてが収められた上に破綻していない映画がこの世に存在するなんて、夢にも思わなかった。

 ……えっ? 私達が何の映画を見たのか気になるって? 

 うふふ、それでは、特別に皆さんにお教えしましょう。

 私達を満足させてくれた痛快娯楽映画。その名も……。

 

 

 『コマンドー』です!

 

 

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 前回のあらすじ

 お姉ちゃんの気まぐれで女子力測定を実施することになった勇者部。その結果、部で一番女子力が高いのはジョン・メイトリックス大佐(♂)であるという結果となり、お姉ちゃんは涙した。

 その陰で、改めてただの案山子であることを突き付けられた私、犬吠埼樹は来年入学してくるまだ見ぬ後輩に馬鹿にされないよう、女子力を高めようと決意したのであった。

 

 

「そういうわけなんで、よろしくお願いします!」

いつもの夏凜さんルームで私は頭を下げた。相手は、お姉ちゃんを除く勇者部メンバーの皆さん。女子力診断でまさかの0点を叩きだした私からすると全員雲の上の、正真正銘『女子』だ。

「樹ちゃん、私なんかよりよっぽど女子力あると思うなぁ」

 お昼ご飯にみんなで湯がいたうどんをズルズル啜りながら友奈さんが言う。

 でも、そう言う友奈さんも押し花という女子っぽい趣味のおかげで女子力検査1点の持ち主。友奈さんの1点と私の0点とでは数字上は僅かでも実際のところは天と地の差があるのだ。

「私、このままじゃいけないと思うんです! もうすぐ二年生になるのに、このままじゃ……。とにかく、女子力マスターの皆さんに、是非協力してほしいんですっ!」

 私は改めて頭を下げる。

「……女子力マスターってもねぇ」

 夏凜さんは頬をぽりぽり書きながら口を開いた。

「勇者部で一番女子力高いの、大佐でしょ?」

 夏凜さんが横目でチラリと大佐を見やった。

 大佐は相変わらずマイペースにプロテインうどんを掃除機顔負けの吸引力で食している。

 この、身長190cm、髪は茶、筋肉モリモリマッチョマンの変態が、勇者部一の女子力を誇る真の女子力マスターだなんて……。

 でも、東郷先輩の厳正なる評価の下高得点となったからには、実際類まれなる女子力の持ち主なのだろう。

「大佐!」

「む?」

「大佐の女子力の極意、私に伝授してください!」

 私の嘆願を聴きながら大佐はちゅるりとうどんを吸い上げる。

「俺に女子力は良く分からんが、風の言っていた通りの認識で良いならいくらでも教えられるぞ」

 

 

 勇者部部長、犬吠埼風曰く――。

「女子力が高いと、男をイチコロに出来るのよん」

 

 

 

「そう言うことだろう」

「絶対『イチコロ』の解釈間違ってるわよコイツ」

「これを受け取れ」

 夏凜さんのツッコミを無視しつつ、大佐は懐から取り出したブツを私に手渡した。

 それは、ずっしり重いピストルだった。

「あの……これは?」

「世界最強と名高いポドブィリン・9.2ミリオートマだ」

 なるほど、どんな大男でもイチコロだ。お姉ちゃんは世界最強の銃はマグナム44だと言うが、大佐はこちらがお気に入りらしい。

「女子力とは男をイチコロに出来る力……つまり、それ(ポドブィリン)は女子力を具現化した存在といえる」

「へ、へぇ……」

「火器類なら俺の家に揃ってるから、女子力が欲しいときは言うと良い」

 大佐は続けて「女子力とは筋力でもある」と言いながらマッスルポーズを取り始める。

 ……恐ろしいほどに女子力をはき違えておられる。

 でも、こんな風にはき違えていても一般的な女子力が高いのは事実。

「大佐、樹ちゃんは『オトナな女性』になりたいと言ってるんですよ」

 東郷先輩が大佐に補足してくれた。

「む、そうなのか?」

「そうです!」

「なるほど」

 分かってくれたようだ。

「それならビールを飲め」

「……は?」

「ミルクは赤ちゃんの飲み物だ。大人になったらビールを飲め」

 分かって無かったようだ。

「未成年なんですけど……」

「そうか。なら、女を抱くんだな」

「んあっ!?」

 この人はまたまたとんでもない事を言い出す。思春期真っ盛りの女の子六人を前にして真顔で何を言ってるんだこの筋肉は。

「えっと……そういうのは……ちょっと……」

 夏凜さんが顔を赤くしてもじもじしながら言う。

「そうか、お前らは女だったな」

「そういう問題ではない」

 この時、園子さんが「ピッカーン!」と何かを閃き、いたずらっ子のような表情を見せた。

「でも、大佐の言う通り、大人の女性ってつまりそういうことだよね~」

「そ、そのっち……こら……!」

「どうどう。だけど私達はまだ穢れを知らぬ中学生なわけで、そういうのはまだ早いんだよ~」

 言うと園子さんはうどんを平らげて満足げな友奈さんに視線をやりながら続けた。

「ねぇゆーゆ」

「ん?」

「でも、普通に抱き付くだけならいくらでも出来るし、それでも女子力って上がるんじゃないかな~?」

 ニコニコしながらそう言う園子さん。そんな園子さんが、お尻のポケットからそっとスマホを取り出し、器用にカメラを起動するのを私は目撃した。静かに素早くか変わらんな。

「おぉっ、さすが園ちゃん名案!」

 そして友奈さんは園子さんが狙った通りの反応と行動に移った。

「えいっ!」

「きゃっ!」

 隣に座っていた東郷先輩に抱き付いたのだ。

「東郷さんと女子力アップだー!」

「もう、友奈ちゃんったら」

 そう言う東郷先輩も満更ではなさそう、というか嬉しさを隠す気はなさそうだ。

 なんて甘い光景だろう。溢れ出る女子力。すぐ傍に迫りくる筋力をも押し返す勢いだ。

 そんな二人を羨まし気に見る人が一人。

「……おや? にぼっしーどうしたの~?」

「べっ、別になにも……」

「ゆーゆ、にぼっしーも女子力あげたいって~」

「ぬあっ!? んなこと言ってな――」

「ぎゅー!」

「!?」

 問答無用、言い終わらない内に友奈さんは夏凜さんに抱き付いた。夏凜さんは顔を真っ赤にして何やら喚くが、その割には本気で嫌がっている風には見えない。むしろ喜んでる。

「夏凜ちゃーん」

「ゆ、友奈ぁ……」

 夏凜さんも緊張しながら腕を伸ばして、友奈さんに抱き返そうとする。

 でも、ここまでだった。

「友奈ちゃん、私も夏凜ちゃんで女子力補充したいわ」

 東郷先輩が静かに素早く夏凜さんの傍へ移動する。そして、言われた友奈さんが夏凜さんからパッと離れると同時、思いっきり抱き付いた。

「ちょ東郷力……アッ、アァッー!?」

 夏凜さんの身体がミシミシと悲鳴を上げる。東郷先輩なりにボディーランゲージで愛情を示しているんだろう。

 女子力が十分に充填出来たところで夏凜さんは解放された。

「全身の骨が折れた……」

「人間には215本も骨があるのよ。215本くらいなによ」

 普通は死ぬところだけど流石は完成型勇者の夏凜さん、少し悶絶した後回復した。

「それにしても、東郷の女子力測定の基準、やっぱりおかしかったんじゃないの?」

「実は私もそう思っていたの。友奈ちゃんの女子力はもっと高いはずなのに」

「そこじゃない。私が言いたいのは、やっぱり大佐の女子力が最高というのはおかしいって話よ」

 プロテインアイスを食べる大佐を指さして夏凜さんは言う。女子力なんて興味ないと言いつつも何だかんだ結果には不満があるようだ。

 しかし、ここで何故か大佐が不満げに、

「俺の女子力に不満があるのか」

「その通りよ」

「俺に女子力があって悪いか」

「そうは言ってないわよ。主夫ってのがあるくらいだし」

「インコは女の趣味だと言うのか」

「誰もそんなこと言ってねえでしょうが。良い趣味よ。てか何の話よ」 

「良いだろう。そこまで言うなら、俺が夏凜に女子力の何たるかを叩きこんでやる」

 そう言うと大佐は立ち上がって夏凜さんの服の襟を掴むとひょいと持ち上げた。

「な、何すんのよ!?」

「明後日までに夏凜を女子力マスターにしてやろう。I'll be back」

 大佐は夏凜さんを脇に抱えるとそう言い残して部屋を後にしていった。

「……にぼっしー災難だねぇ~」

「でも、もしかしたら夏凜ちゃん、すっごい女子力マスターになって帰って来るかもね」

 友奈さんがニコニコしながら言った。

 もし本当にそうなるなら、夏凜さんに女子力の教授をしてもらおう。

 

 

 二日後、再び夏凜さんの部屋。

 今日は完成型女子力勇者となった夏凜さんお披露目の日。私達は大佐が夏凜さんを連れてくるのを戦々恐々しながら待っていた。

「大丈夫かしら」

「きっと夏凜ちゃんすごく素敵になってるんじゃないかな」

「ゆーゆのポジティブシンキングぶりに畏敬の念を抱かざるを得ないよ~」

 そんな風に待っていると外から筋肉の波動が迫りくるのを感じた。そして、久方ぶりに部屋の扉が破壊されると大佐が私達の前に姿を現した。

「I'm back! 夏凜を連れて来たぞ」

 自信満々の様子の大佐。

「おぉ~。して、夏凜ちゃんはどこ~?」

「うむ。おい、夏凜。入ってこい」

 大佐は外に向かって呼びかけた。すると。

 デデンデンデデン……デデンデンデデン……

「あれ、このBGM……」

「どこかで聴いたような……?」

 既視感をおぼえる東郷先輩と友奈さん。

 私も同様に既視感を……ていうか確信をえていた。

 デデンデンデデン……デデンデンデデン……

 BGMは徐々に大きくなり、緊張感を増していく。そして。

「パララーパーパーパー」

 グラサンかけてショットガンを装備した夏凜さんが入室してきた。

「パララーパーパーパーパァー」

 ターミネートされそうなBGMを呟きつつ夏凜さんはショットガンのレバーをガチャガチャする。夏凜さんのあまりの豹変ぶりに私達は開いた口が塞がらなかったが、大佐の自信満々の様子を見るに、これが女子力の限界を超えた真の女子力マスターの姿なのだろう。

「あの、大佐、これは……」

 私が訊くと大佐はさも当然といった様子で、

「女子力だ」

「はぁ、そうですか……」

 この二日で一体何があったのだろうか……。

 ただ、この大佐的女子力マスターは友奈さんには大ウケなようで、

「夏凜ちゃんカッコいいー!」

と腕をブンブンしながら興奮していた。

「夏凜ちゃん! なんか話してみて!?」

「I shall return」

「なんか惜しい気がするけど、カッコいいね!」

「女子力って奥が深いね~」

 

 とりあえず私達は夏凜さんの女子力を計るべく大佐の提案で街へ繰り出した。

 サングラスにライダージャケット、ショットガンという出で立ちの夏凜さんは大変目立つ。ここが讃州でなければ国家権力を召喚されていたことだろう。

「それで、女子力を計るってどうするんですか?」

 街を歩きながら私は大佐に訊く。

「女子力というのは男をイチコロに出来る力の事だ」

 大佐はそう言うと道の向かいにあるコンビニを指さした。

 コンビニの駐車場にはこのあたりでは有名な(そして以前大佐にケチョンケチョンにされた)暴走族の不良達が屯してくっちゃべっていた。今日も元気に善良な讃州市民に因縁をつけては悦に入っている。

「夏凜、女子力を示してくるんだ」

「任せなさい」

 

 夏凜さんはショットガンのレバーをガチャリと言わせると堂々たる足取りで不良学生たちの元へ赴いた。

 不良たちは迫りくる夏凜さんに気付くと、ニヤニヤしながら取り囲む。

「おいお嬢ちゃん、面白い格好してるじゃねぇか」

「一緒に露天風呂に入らねぇかい?」

 しかし夏凜さんは男どもの声に耳を傾けず、

「君が着ている服と、靴と、バイクが欲しい」

「財布も欲しいって言わねぇのかよ」

「お、おい、ちょっと待てよ」

 不良の内一人が封印されしトラウマを呼び起こされたのか、慌てて仲間を諫める。

「コイツ讃州中の奴ならヤバいぜ……あそこの奴らまともじゃねぇから」

「はっ、女相手に何ビビってんだよ。……YO嬢ちゃん、そんなおもちゃの鉄砲で、俺達がビビると思ってんのか? ああん?」

 リーダーと思しき不良が夏凜さんの頭をペチペチ叩く。

「試してみるか?」

「ああん?」

 夏凜さんはショットガンを構えた。そして、引き金を引くと同時、ズドンという重厚な炸裂音と共に不良リーダーは吹っ飛ばされて仰向けに倒れた。

「!?」

「麻酔弾だ」

 そう言いながらレバーを引き、次の弾を込めると別な不良に向けて発砲する。

「ちょっ……! ぬおっ!」

「何しやがる……んはっ!」

 次々と撃ち倒される不良たち。ついに最後の一人となった。

 レバーを引き、銃口を最後の生き残りに向ける。

「まぁ落ち着け。銃を突き付けられてはビビって話もできやしねぇ」

 最後の一人は務めて冷静を装いながら夏凜ちゃんに説得を試みた。

「俺達を襲う理由は何だ?」

「女子力だ」

「じょしっ……なに?」

 不良は明らかに動揺している。

「……まぁ何でもいいや。とにかく、俺達のバイクが欲しいのか?」

「そうだ」

「そうか。なら、バイクが欲しければ……俺だけでもいいから見逃せ。OK?」

「OK!」

 ズドン!

 不良はめでたく射殺された。

 素敵な女子力の前に不良は一人残らず息絶えた!

 

 別にバイクなんて微塵も欲しくない夏凜さんは倒れた不良たちを放置して私達の元へ戻って来た。

「どうだ樹。夏凜の女子力は」

 大佐は相も変わらず自信たっぷりだ。夏凜さんもニヤリと笑うばかりである。

「えっと」

「どうした?」

「私、しばらく今のままで良いです……」

 女子力アップへの道は、まだまだ遠い。




来年が待ち遠しいね!

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