上条当麻は状況を理解できないでいた、ようやくの思いで戦いが終わったかと思えば謎の男が現れ突如吹き飛ばされたのだ。
少しどこかにぶつけたようで体に鈍い痛みがある。
何が起こっているかはわからなかったがとにかくすぐに行動しなくてはならないという思いで酷使した体を動かす。
右腕を左腕で少し揉みほぐしながら音が続く方向へと足を向ける。
角を曲がったところで音がやんだ、そこには人影が見えてよく知っている茶髪の少女が立っていた。上条当麻はとりあえず状況を確認しようと声をかけかけて気づいた、
その奥にもう一人いる、すぐさまに意識を戦闘へ切り替え右手を構える。
「大丈夫か!」
相手の位置を確認しながら少女の隣に立った。
しかし返事はなく疑問に思い少女の顔を覗く、
そこにはボロボロで既に意識を失ないながらも立っている第三位御坂美琴の姿があった。
「ッ!?おい!」
「……忠告してやる、諦めろ。そしてクローンの場所を教えろ」
肩をつかみ声をかける上条当馬にその奥にいた男があざ笑うように声をかけてくる、いやどちらかといえばまるで気にしていないような口ぶりで、その一言が上条当麻の怒りを再び頂点へと導いた、少女をコンテナの影へと寝かせ男の方へ向き直り上条当麻は吠えた。
「ふざけんなよお前!!!」
◆
本堂拓斗は少々困惑していた。
第三位の気力が切れたようで気絶したのでどうするか迷っていたところ男が来たので甘い条件をくれて停戦を言い聞かせてやったのだが男は屈する素振りを見せずにこちらに向かってきたことである。
第三位は確かに実力を上げていたが本堂の体をかすることなく力尽きたのだ、それをLEVEL0と言い放った青年に勝てるはずなどないのだ。
小学生でもわかる単純なこと、それとも第一位を倒せた?事により調子に乗っているのだろうか。ならばと、本堂は何もしない。
青年の心を折るつもりでいた。どんな奴だってそうである、
メタルスライムというものをご存知あろうか?
防御が硬くすぐに逃げるが倒した時の報酬がとてつもなく多いアレである。
なんでも子供はあれをめげずに探して倒し続けるらしい、何故か?
なぜ心が折れないか?それは攻撃が当たっている為である。
そしてわずかでもダメージ(例え0でも)を与えるためである。
運が良ければ倒すことが可能、そんなギリギリの位置にいるため人はメタルスライム狩りをやめない。
だから、例えば回避力100%のメタルスライムがいたとする、戦うか?
最初こそもしかしたら何かできると思って心は折れないだろう、だが次第に学ぶのだ。
「敵わないと」
「クッ!」
そして一度学んだ考えは曲げられなくなる。
そうして人は成長していくとこの間本で読んだ電子書籍だがな。
「なんで右腕でばっか攻撃してんだ?見た限りじゃ左は負傷していないよう見えんだが」
青年は本堂の言葉を聞かずにただ腕を振るう、本堂は
喧嘩慣れしている人間の戦い方とと場慣れしている人間は違う、それに本堂は常に回避を体がとっていたため避け方を分かっているのだ。
「(糞ッ!なんで当たんねえんだ!?)」
青年は酷使した体を無理矢理動かし振るう一撃が当たらないことに焦りを覚えていた。自身の体がいずれ使えなくなることをここのどこかで分かっているのかも知れない。故にすぐに終わらせるために考えがより単純になっていた。
第一位、
第一位のベクトル変換は触れた時点でその効果を発揮する。
それゆえに当たる時に能力を打ち消す
第七位、本堂拓斗はそうにもいかないのが事実であった。
第七位の
故に当たらないと効力を発揮しない
だからこそ、この世には何があっても覆せない差があるという事を実感させられるのだ。そしてその瞬間が本堂にとっては心地よい時間であった。
だが上条当麻は諦めを知っている人間だからこそ、この諦めだけは飲めないものであった。
それを見て、次第に本堂の顔は不快に染まっていき腰からハンドガンを取り出し、放った。
「もういいや、じゃあな」
反応できないでいた上条当麻は、ただでさえ避けることが難しい近距離での発砲、体は疲れきっていて一歩が踏み込めなかった。
弾丸は無情にも空を裂く事をやめずに肉体を貫いた、
茶髪の少女を
はじめてルビを試してみる、何かあればご感想を。
11月3日、少し修正。