という事で体育祭です。
波乱など何もないふっつーの体育祭です。そこ書けよ!という大事な部分ほどキンクリされてます。
と言うか久しぶり過ぎて本編のノリが分からない!!
綺麗な青空が広がるよく晴れた日。
気温は暑くもなければ寒くもなく、吹く風は実に爽やかで絶好の運動日和だ。
今日は学生の宿命とも言うべき学校行事…体育祭の日である。
なぜこのおれが、と思いつつもこれで三回目、今年で最後だと思えばまだマシだ。それにお遊びとはいえこのDIOが負けるなどあり得ん、今年もおれのチームが優勝を貰う。
この学園の体育祭は、学年混合で三チーム作られ優勝を奪い合う。去年、一昨年と、当然おれのチームが優勝した。
チームと言えば、この学園では毎年チームの名前が変わる。今年は以下の通りだ。
おれとジョジョのいるチームは「ファントムブラッド」。
ジョセフとシーザーのいるチームは「戦闘潮流」。
承太郎と花京院のいるチームは「スターダストクルセイダース」。
一応言っておくが、これはおれたちが決めた名前ではない。チーム分けをしているのは教師であり、名前を決めるのも教師だ。組み合わせはともかく、このチーム名はいったい何なんだ?
もっとも、花京院とシーザーは組み合わせに不満たらたらだったが。
選手宣誓(面倒なので適当なやつに押し付けた)も終わり、競技が開始される。
去年のように圧倒的な差をつけて優勝してやろうと思ったのだが、ジョセフと承太郎が思った以上にやる。花京院やシーザーも周りを煽るのが上手い。
と言うか承太郎、お前は不良じゃなかったのか?健全に体育祭になど出てどうする。
午前の部は接戦のまま終了し、昼休みになった。
競技で騒がしい分静かに昼食を取りたかったのだが、何だかんだといつもの面子が集まりそれなりの人数となった。あんな事があったジョセフまでくるとは、意外だ。
おれは手ぶら、花京院、シーザーは庶民的な弁当持参。ジョジョたちはシェフお手製の豪華な弁当だ。
「はいディオ、たくさん食べてね!」
そう言いながら笑顔でおれの目の前に豪華な弁当を置いたジョジョ。
こいつは今のおれの事情(今回も両親には恵まれていない)も知っているからな、家のシェフにおれの分も用意させたのだ。連絡をもらい、断るメリットなどないので、こうして弁当をもらってやっている。
「それにしても、やっぱりディオのチームは強いね。ぼくもディオと一緒がよかったなァ」
「おれもディオさんのチームが良かった。去年は一緒だったから、てっきり今年も一緒かと思ったんだが…」
お茶をおれの分のみ用意したりおしぼりを渡してきたりと甲斐甲斐しく動く花京院、おれが食べ始めてからようやく弁当に手をつけるシーザー。承太郎はいつもと変わらずマイペースだが、離れようとはしない。そしてそれをジョジョは微笑ましそうに見守っている。
「……なぁ、なんか疑問に思ったりしねぇの?」
「これでいつも通りだ」
今までじっくりこの光景に付き合った事のないジョセフが少しばかり引きつった顔でつっこむ。完全に慣れきってしまった今言われたところで正に今更というやつだ。
昼休みも終わり体育祭は午後の部に移る。
借り物競走や障害物走、リレーなどという定番の種目も終わり最後の騎馬戦となった。
選手を見てみればあいつらも出場するようだ。花京院とシーザーが騎手、承太郎とジョセフは馬か。流石に承太郎とジョセフは体格的に上には乗れんのだろう。こちらはジョジョがいるので当然おれが騎手だが。
ん?今まで影の薄かったジョニィの姿もあるな。騎馬戦に出たのは騎手だからか?
競技が開始され、雑魚は次々と倒される。ジョニィはおれが倒した。敵チームだったからな。
「体当たりにビクともしない馬とか卑怯だろ!でかいし赤兎馬とか松風かよ!?」
などと言いながら落馬していた。それは承太郎とジョセフも似たようなものだろに。
最後に残ったのはおれと予想通り花京院たちとシーザーたち。見ただけで分かる気合いの入りよう、全力で向かってくるつもりか。
ふん、いいだろう、このDIOが相手になってやる。
この二組は連携してかかってきた。勝利を確実なものにするには悪くない考えだ。
よく頭の回るジョセフが要か、厄介なためジョジョの馬鹿力をもって即潰しにかかる。花京院よりはシーザーの方がやりやすく、はちまきを奪いすぐさま花京院たちと向き合った。
「さすがディオだね、シーザーさんがあんなあっさりとやられるなんて」
「犬が飼い主に勝てる道理などない。次はお前だ」
「ははっ、怖いな。でも簡単には負けないよ」
負けん気の強い花京院らしい台詞だな。だがおれとて負けるつもりはない。
互いにクセは知り尽くした者同士、戦いは熾烈を極めた。騎手であるおれたちもだが、馬であるジョジョたちも服やらはボロボロだ。
そして、最後にはちまきを手にしたのはこのおれだった。
決着がついた瞬間、会場では歓喜の声と負け犬の遠吠えが響く。
これでおれのチームの優勝が決定した。
「やったねディオ!心配はしてなかったけど、やっぱり嬉しいよ!」
おれが馬の上から降りるとジョジョが暑苦しくも満面の笑顔で抱き締めてきた。
阿呆が、この程度のお遊びで優勝できない方がおかしいだろう。
馬鹿馬鹿しくなり黙っていると、なにを思ったのかおれの頭をくしゃくしゃに撫でるジョジョ。何事だ?
「ディオ、三年連続優勝おめでとう!ディオが一番だよ」
「…うるさい」
ジョジョの言葉に面食らう。湧き上がる気持ちとともにジョジョの腕を払い整列するために足を動かした。
「お兄さまってばホント容赦なくてジョセフちゃん傷ついたァ~。て事で焼き肉食いに行こうぜ!」
「なにが『て事で』だ」
「固い事言いっこなしよン!動いてみんな腹へったろ」
シーザーにじゃれつきながらジョセフが提案してきた。ジョースター家が全額もつというのでおれと花京院、シーザーの他にもジャイロが一緒に行く。今回はジョニィも一緒らしい。いつも一歩引いているというのに珍しいな。
店に着き席を二つとる。当然のごとくおれ、ジョジョ、花京院、シーザーが同じ席についた。ここにいる面子でそれを疑問に持つ者はいない。
食べ盛りが八人もいるため食い放題だ。以前(三回目)ならばともかく、今回(四回目)は仕方なかろう。
「あー!それオレが狙ってたやつ!」
「遅い方が悪い」
「ちょっ、野菜乗せたのだれ!?肉だろ肉!」
「肉ばっかじゃなく野菜も食え!んで肉よこせ!」
もう一つのテーブルでは体育祭以上に熾烈な争いが繰り広げられていたが、知った事ではない。
反対にこちらのテーブルは実にゆったりしたものだ。肉や野菜を焦がすような無駄な事をする者もいない、飲み物もタイミングよく注文される。おかげで自分の食いたいように食えて満足している。
「いやー、食った食った!ご馳走さん。なんかオレまで悪いねぇ」
「いいって。こっちこそうるさくして悪かったよ」
店を出てジャイロが満足げに腹を撫でながら言う。ジョニィはああ言ったが、貴様に遠慮の二文字はないのか?という程食っていたな。
「じゃあぼくたちはこっちだから」
「ジョナサンさん、ご馳走様でした」
「シーザー、おれには?」
「代表して払ったのはジョナサンさんだろ」
「ぼくも帰るよ。ジョナサンさん、ご馳走様でした。ディオもまた」
「ああ。じゃあな」
わいわいと店の前で別れ、それぞれが帰路についた。このままカラオケにでも、との提案があったのだが、ジョジョとおれが帰る事にしたのでカラオケは流れた。これ以上付き合ってられるか。
一人静かな夜道を歩きながら思う。こういう生活も中々いいものだ、と。
そして以前は手段でしかなかった学生生活を楽しんでいる自分に驚き、自然と笑い声が漏れた。
この変わりよう、まるで柊の葉のようではないか。悪くないと自分で思ってしまうあたり、始末が悪い。
今回はこのまま、それこそ平和に、平穏に日々が過ぎていくのだろうか。
柊の葉は若い時は鋭いツンツンがありますが、年をとればとる程丸くなります。
意訳すると「おれも丸くなったな」といったところでしょうか。
DIO様は葉っぱどころか樹齢って言ってもいいんじゃないかな!