この超ポジティブまぬけがっ!   作:甚三紅

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いつも感想ありがとうございます!元気が出ます!
餌があると速度が上がります。

ほぼ書き上げてから時系列に気づく痛恨のミス発覚。
四部短かったし
日本→イタリアでジョルノと会う→ジョセフの騒動に巻き込まれる→日本→ジョセフをスージーQに返品→イタリアに戻る
でいけるかなぁ…。



汐華初流乃視点

養父に殴られ町の子供達にいじめられる日々。けれど、気づかないところで自分を助けようとしてくれる人は確かに存在していた。

当時は誰も助けてくれないと嘆いた事もあったけど、今なら分かる。彼ら、彼女らは自分が行動を起こすのを待ってくれていたのだ。

とある男を助けてからあっという間に日々が楽しくなっていって、その後にようやく気づいて酷く恥ずかしくなった。男を助けるまでは、自分はただ待っていただけだったのだから。

気づいて恥ずかしさに身悶えて、落ち着いてからだいぶ年上の友人に聞いた事がある。もしかして、待ってくれていたのかと。

 

「お、ようやく気づいたか。まぁ何だ、厳しいと思うかもしれないが、おれ達がディオさんから教わった事なんだ。自ら動くなら、そいつを全力で助ける。動かないやつは助けない。ったくどれだけもどかしかったか。一言『助けて』て言ってくれりゃ直ぐに動いたのに」

 

そういえば、自分を助けてくれる人達は自分をいじめる人達とは仲が悪かった事を思い出す。きっと派閥などがあるのだろう。

 

「おっと。ディオさんの名前出すなよ、おれ達は数が少ないんだ」

 

でぃお…でぃお…自分の本当の父親だと、母親が写真を見ながら言っていたような気がする。

 

それから何度もディオという名前を聞いた。その名を口にする人はみんな誇らしげで、ぼくの目には眩しく映った。

だからどうしてもその姿を見たくて母親の部屋を漁った。罪悪感はこれっぽっちもなかった。

見つけた写真には金髪の男の背中が写っている、首の付け根の星形のアザが特徴的だ。自分はほとんど似ていない気がしたけれど、この人が自分の本当の父親なのかとぼんやりと思う。

 

 

 

- - - -

 

 

 

「ジョルノ、ディオさんが帰ってきたんだ」

 

放課後、友人から小さな声で聞いた言葉に居てもたってもいられなくなる。夜にとあるパブで歓迎会を行うと知り寮を抜け出す事を決めた。

待ち遠しかった夜が訪れると直ぐに寮を抜け出して聞いたパブに向かう。意外にもぼくはすんなりと中に入れた。敵対している奴らだったらどうするのか、と思ったけれど中で年上の友人に挨拶されたので顔を覚えられていたらしい。

皆それぞれが親しげで中はあたたかい雰囲気が漂っている。

それから少しして奥の扉から待ち望んだ人物が入ってきた。

写真とは比べ物にならない程の美しさ、ゾクリとするような色気、赤い瞳は力強く、顔の造形こそ一緒だが本当に同一人物かと疑いたくなる。

違う、けれど同じ、いいや違う、なのに同じ。

頭の中でぐるぐると言葉が回り混乱していると目が合った。

ゆっくりと細められていく目から視線を外せずにいると、その人はゆるりと笑みを浮かべて隣にいる人に声をかけた。

彼から視線を外されて一気に空気を吸い込む。どうやら自分は無意識の内に息を止めていたようだ。

 

一通り挨拶は済んだのか、彼は楽しんでくれとの言葉を残して扉の奥へと消えていった。

目的も果たしたために帰ろうとしたところで呼び止められる。

 

「ディオがきみの事を呼んでるんだ。一緒にきてくれないか」

 

物腰の柔らかそうな男の人で、前髪が特徴的な人だった。

断る理由もなくその人についていくと、いくつかある内の一つの部屋に案内される。中には例の彼がいた。

 

「やあ、はじめまして。きみには何か感じるものがあってね、どうしても話がしたかったんだ」

 

言葉こそ穏やかだが向けられる瞳に胸の奥まで覗かれている気分になり汗が吹き出てくる。自分の胸の服を掴みながら、荒れ狂いそうになる感情にたまらなくなりぼくは尋ねてしまった。

あなたはぼくの父親ですか、と。

いつも持ち歩いている写真を突きつけるようにして差しだし彼の言葉を待つ。沈黙に体が震えるけれど視線は逸らさず真っ直ぐに彼を見つめた。

すると彼は申し訳なさそうな笑みを浮かべてくしゃりとぼくの頭を撫でる。

 

「待たせてすまなかったな」

 

その一言に心の堰が壊れ涙が溢れて止まらなくなる。小さい時だって泣いた事はないのに、大きな手のひらから伝わる体温にしゃくりあげる程に泣いた。

 

 

落ち着いたころにぼくを呼びにきた人…名前を花京院というらしい…が、ホットミルクを持ってきてくれた。

礼を言ってカップを受け取り一口すするとほんのりと甘い味がした。

それから、パー…ドレ、と…色々な話をして、寮に帰る時間になる。名残惜しいが仕方がない。

帰り際、パードレがぼくにこう言った。

 

「お前が何を選択しても、おれはそれを受け入れよう」

 

また泣きそうになったが、今度は笑顔で頷いてみせた。

 

 

その日を境にすっきりとした気持ちで日々を過ごせるようになった。不思議な事に、あれ以来少しずつ髪が金色に変わってきたが大した問題ではなかったので気にせずにいた。

 

パードレは世界中に部下がいるようでよく色々な国に行っている。

今日は久しぶりにイタリアに来ると言っていたので会うのが楽しみだ。

昔の写真はもうない、今のパードレの写真を持ち歩いている。ぼくの宝物だ。




ちなみに康一くんはイタリアに行きました。
ディオが関わってるなら大丈夫だろうけどあの胸くその悪いDIOの野郎みたいだったら心配だから調査しておこう、と。

DIO様はやる事やってるけど子供つくるようなヘマはしてません。
ジョナサンや花京院?うーん…リクエストがあれば番外編で。

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