ガールズ&パンツァー  五人の女神と魔神戦車   作:熊さん

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第14話  懐かしき母校へ 

 

 金曜日の夕方六時――。

 大洗港、第四埠頭に接岸した学園艦に桟橋が掛けられ、港で待機していた、様々な大きさのトラックが学園艦へと昇って行く。その内の何台かが、学園へと向かって行った。

 学校に入ったトラックからは、式典用の備品や懇親会用の食材などが、次々に降ろされて体育館や大食堂へと、手分けして運び込まれていく。戦車道メンバー達も、その日は夜遅くまで、学校に残り、それぞれが明日の準備の手伝いに奔走していた。

 全ての準備がようやく終わったのは、夜の九時を回ったところで、その後、学園は静かな夜を迎えた。大洗の町の光りに負けないくらい、空を覆うかのように無数の星達が輝きを放っている――。

 

 

 大洗の空に広がるそれと、同じような綺麗な星空の下、周りに田んぼと畑しかない、静かな田園風景に溶け込むかのように、小さな和風の一軒家がある。

 とてもいい夜空だというのに、その家の窓という窓が、雨戸で閉じられていて、家の中の様子が全くうかがえない。――そこへ、一人の女性が、歩いて帰ってきた。

 玄関の扉を開けて、家の中に入った彼女は、玄関の灯りも付けないまま、まるでどこに何が置いているのかが分かっているかのごとく、暗闇の中を躊躇もなく、玄関直ぐの部屋に入り、その部屋を抜けていく。そして、次の部屋に入ると、その真っ暗闇の部屋の中心に手を伸ばし、室内灯のひもを引き下ろした。

 六畳ほどのその部屋は、女性の部屋とは思えないほど質素で、置いてある家具は、部屋入口右壁に沿って置かれたシングルベッドと、その枕元の位置に、背の高い、しかしそれほど大きくないクローゼット。反対側の壁に沿って中央の位置に、六冊の「月刊戦車道」が入った本棚代わりの横置きの三段ボックス。その上に十四インチの小さなテレビが置いてある。そのテレビの下に、DVDとビデオテープの二つを再生できるデッキを台座にしてあった。部屋の真ん中には、一人か二人用だと思われる小さな卓上テーブルが置いてある。そのテーブルの上に五人の女性と一輌の戦車が写ったポートレート立てがあり、一枚の案内状が傍に広げて置いてあった。

 彼女は、テーブルの下に置いていた無地のクッションを引っ張り出すと、その上に座り、膝を抱き抱えた。その視線の先は、案内状の文面をじっと見ている。

――とても痩せた女性である。

 栗毛色の綺麗なストレートヘアーで、長さは肩を超えて、背中の真ん中付近まである。その髪をシュシュで一つに束ねている。

 白のトレーナーを着て、首元からは、中に着ているのであろう、可愛いブラウスの襟が見えている。ジーパンはタイトなジーパンを着ている為か、余計に痩せて見える。

 しばらく彼女は、その案内状を見ていたが、すっと立ち上がるとクローゼットに向かい、その観音開きの扉を開けた。

 中には、クリーニングのビニール袋に包まれた、優しい模様のフリルが襟に着いた真っ白いブラウスと、深いグレーで、薄い紫の縦ストライプの入った女性用スーツとタイトスカートがそこに掛けてあった。

 彼女は、そのブラウスとスーツをじっと見ている……。

 時間は、ゆっくりと静かに流れ、そして夜は更けていった……。

 そうして時間が過ぎていき、東の空が少しずつ黒から紫へと変わり始め、やがて白々と夜が明け始めた。

 今日、四月の第四土曜日。大洗女子学園戦車道十周年記念式典の開催日である。

 戦車道OG達、それぞれの思いを胸に秘めて、開催の朝を迎えた。

 

 

 土曜日、午前七時三十分――。

 昨日と同じく、とても澄み切った春らしい青空が広がっている・。

 大洗女子学園に戦車道メンバーが、続々と登校してきた。登校してきたメンバーは、真っ直ぐに第一戦車倉庫へと向かっている。倉庫の大きな鉄製扉が開かれて、中に入っていったメンバー達は、倉庫内にある更衣室で、パンツァ―・ジャケットに着替えると、また外に出てきた。そうして、横五列になり、チームごとに集合して、橘隊長を待っている。

 しばらくして、橘紀子が戦車倉庫から出てくると、副隊長が大きな声で、号令をかける。

 

「一同、気を付け!」

 

 その号令に合わせて、直立不動になるメンバー。

 全百三十五人を見渡しながら、紀子がメンバーの前に立った。

 

「みんな、今日は大洗女子学園戦車道にとって、記念すべき日です。今までの先輩達のほとんどが、この学校へ来られます。我々、戦車道メンバーは先輩達をお迎えする側として、それぞれ与えられた部署で、先輩達のおもてなしをします。先輩達に笑われないように気を引き締めて、各持場についてください。以上」――『はいっ!』

 

 紀子の訓示に声を揃えて返事をしたメンバー。そして、副隊長から指示が出た。

 

「まず、手分けして各戦車を運動場へ出して並べます。第一倉庫前と整備倉庫前に二列縦隊で主力戦車を十輌ずつ、そして、第二倉庫前に訓練戦車、七輌を並べます。それが終わったら、各持場に着いて、打ち合わせ通りに、最終準備に入ります。そして全ての準備を、九時までに終えるようにしてください。終わったら制服に着替え直して、各持場で待機、担当責任者の指示に従ってください」――『はいっ!』

「それでは、作業開始!」――『はいっ!』

 

 最後に、紀子が号令をかけ、メンバーが、一斉に動き出した。

 キビキビとした行動で、各戦車倉庫に入ったメンバーは、それぞれが、各車輌に乗り込み、各戦車を倉庫から出してきた。どの戦車も、ピカピカに磨かれていて、清々しい。

 二列縦隊で、綺麗に並び終えられた戦車。そして一年生は、トンボを使って、履帯痕を消していき、見苦しく無いようにきれいに運動場が整地された。

 それが終わると、チームごとに一旦集合して、チームの戦車長が紀子の元に走ってくると「〇〇チーム、作業完了しました」と報告をしてくる。その報告を聞いた紀子は「了解。〇〇チームは、持ち場に移動」と、指示を出す。すると、戦車長は自分のチームの持ち場を報告して、移動することを復唱した後、チームへと戻り、そしてチーム全員が、駆け足で校舎へと走って行く。

 しばらくして、大洗女子学園の正門には式典を表示する看板が掲げられた――。

 

 

 土曜日、午前八時三十分――。

 大洗女子学園の体育館では、式典の最終リハーサルが行われていた。

 式典司会担当の小山柚子と式典運営担当の河嶋桃の二人が、司会者用演壇に立ち、マイクの調整と式典出席者用に準備された、体育館一杯に並んでいるパイプ椅子の位置の微調整を指示している。

 桃からの指示を聞き、戦車道メンバー達が、体育館の中を、忙しく走り回っている。

 体育館の演壇の左横には、大きな花瓶に生花が飾ってあり、中央の講演台を挟んで反対側となる右側に、八脚のパイプ椅子が、横一列に並んでいた。

 式典代表幹事である角谷杏は、その準備の様子を体育館入口に立って、しばらく見ていたが、そこを離れると、体育館から学校内へ繋げる、渡り廊下を校内へと歩き出した。そして、校舎に入ると一階中央の場所にある大食堂へと向かって行った。杏が大食堂入り口の扉を開けると、そこは立食パーティー会場に様変わりしていた。

 式典終了後ここで各世代を超えた『大懇親会』が開かれることになっている。

 

「どう? 皆、準備は順調に進んでいる?」

 

 杏が、食堂内厨房で忙しそうに働いている職員達に声を掛けると、全員から「はい、順調です」という返事をもらった。彼女は満足そうに頷くと、パーティーのホストを務める戦車道履修者達の準備の様子をしばらく眺めていた。

 生徒達は、花を飾り付けたり、大皿を運んだり、厨房と食堂内を行ったり来たりしている。嬉しそうに働く皆であった。

 その後、彼女は入り口から廊下へと出ると中央階段を上り、学園の三階にある学園長室へと向かって歩いて行った。

 杏は、立派なドアを開けて部屋に入ると、正面の壁の上の写真達を、右から順に見ている。

 学園長室には、各代の戦車道チームの集合写真が飾ってある。全部で十枚あり、今年のチームも全国大会終了後、記念撮影され、十一枚目としてここに飾られる予定である。

 初代チームだけが二枚飾ってあり、一つが復活直後の練習試合前に撮った五チームの集合写真。もう一つが全国優勝した時に撮った八チームの写真である。

 彼女は一番左側の、入り口から一番奥に飾ってある復活した直後の練習試合『聖グロリアーナ戦』直前に写した集合写真をじっと見ていた。

 中央にカメさんの三人。一番左にあんこうの五人。次にかばさんの四人。反対側の一番右がうさぎさんの六人。そしてあひるさんの四人。

 戦車道を復活させた杏にとって、本当に懐かしい、主力の五チームである。

 

「西住ちゃん。みんな、待っているんだからね、きっと来るんだよ」

 

 写真を見ながら、呟く杏。

 すると、開けていた理事長室の窓の下から、何やら話し声が聞こえた。杏はその窓の所へ行くと声のする方へと窓から顔を出した。

 窓の下は中庭になっており、そこには、初代隊長車を保管している大きなアクリルボックスがある。その前にもう同じスーツ姿の五人のOGらしき女性が立って『Ⅳ号D型F2仕様』を見上げていた。そのスーツの右肩には戦車道プロチーム『大洗アングラーフィッシュ』のエンブレムが刺繍してあった。

 杏は、その五人を見ると「祐子ちゃん達は、もう来たのか」と、笑って呟いた――。

 

 

 土曜日、午前八時四十五分――。

 大洗駅前広場のバスターミナルには、続々とOG達が集まって、学園艦行のシャトルバスを待っている。

 そこへ、駅の改札口を並んで出てくる、カバさんチームの四人が現れた。それぞれがあの独特の衣装をスーツの上からまとい、エルヴィンはドイツ帽をかぶっていた。

 彼女達を知らない後輩OG達は、何事かと注目を浴びている。

 駅前ロータリーの隅にいたスーツ姿の四人のグループの一人が、出てくるカバさんチームに気付いた。そうして、背の小さいパンツスーツ姿の女性が、声をかけながら、四人に近づいていく。

 

「カバさんチームの皆さん! お久しぶりです!」

「おお、磯辺さん! こちらこそ久しぶり! 元気そうで嬉しい限りだ」

「まさかとは思いましたけど、やっぱりその衣装で来たんですね」

「ああ、これは我々の魂(ソウル)を表したものだからな」

 

 高校時代と同じ髪型の典子を見て、エルヴィンとカエサルが、懐かしそうに答える。

 すると、右目に眼帯をした左衛門佐が、典子を見て訊ねる

 

「磯辺さん? あひるさん達はもう来たのか?」

「はい、あそこです。みんな、来ていますよ」

 

 そう言って指を差した典子の先には、背が高い三人のスーツ姿の女性が、大きく手を振っている。

 

「おお、佐々木さんに、河西さん、近藤さんぜよ」

 

 高校時代と全く同じ、髪型の三人。すぐに、彼女達だとわかる。

 おりょうこと、野上武子が言って、カバさんの四人も手を振ると、三人は走って典子の傍にやってきた。

 

「先輩! おはようございます」

「いやあ、本当に懐かしい限りだ。皆、変っていないな」

「いえ、先輩達こそ、その衣装のサイズ、まだピッタリじゃないですか」

「ああ、あれから背は伸びなかった。だが、横にも伸びなかったのが幸いだった」

「エルヴィン。それは誰もがホッとしているところだぞ」

 

 カエサルこと鈴木貴子が、エルヴィンと呼んだ、松本里子に言うと、左衛門佐こと、杉山清美が頷き、それを見た七人が、小さく笑った。

 

「今日は、まるで同窓会みたいね」

「うん、昨日から楽しみで眠れなかった。早く『はっきゅん』に会いたい」

 

 河西忍と近藤妙子が言うと、腕組みしながら、カエサルが頷きながら言った。

 

「うん、そうだな。我々も卒業して以来『Ⅲ突』にお目にかかっていないからな。楽しみでしょうがない」

「グデーリアンからのメールには、我々のパーソナルマークも、ちゃんと元の位置に描いているそうだぞ」

「そうなんですか! エルヴィン先輩! キャプテン! 早く学校へ行きましょう」

 

 佐々木あけびが、急かすように言うと、八人全員で、バスターミナルまで続く歩道を歩き出した。

 すると、国道から駅前につながるロの字ロータリー道路に、大きな八人乗りのステーションワゴンが入ってきて、駅前に止まった。そして、車のスライドドアが開いて、一人の女性が降りてきた。

 背が高いその女性は、思わず素敵と口に出るような明るい春用のタイトスカートとスーツを着ていた。

 

「すっごい、美人!」

「モデルさんかな?」

 

 忍と妙子が思わず呟いて、八人がその場で立ち止まり、降りてきた女性を見ている。すると、その女性が、彼女達に気付き、真っ直ぐに八人の方へ歩いてきたのである。

「えっ――。えっ……」とドギマギしていると、八人の目の前に立ち、その女性は、ニッコリと微笑んで、八人に声を掛けてきた。

 

「お久しぶりですね。カバさんチームの皆さんに、あひるさんチームの皆さん!」――『えっ!』

 

 全員がまったく予想していなかったのか、驚いた声を出した。すると、八人の周りにいた、後輩達がヒソヒソ話を始めた。

 

(ねえ、もしかして――。あの人、ミャオさんじゃない?)

(うん、多分ミャオさんだよ。サングラスしてるけど――。あの独特のショートボブと前髪は、ファッションモデルのミャオさんだと思う)

 

 そのヒソヒソ話が聞こえていないのか、カエサルが思わず彼女に訊ねる。

 

「あのぅ――。すみません。私達のチーム名を知っていらっしゃるってことは、戦車道メンバーの方……。なんですか?」

「ごめんなさい。こんな格好じゃ、思い出せないですよね。あの頃は、髪も長くて、猫背でしたから――。私ですよ」

 

 そう言って彼女は、サングラスを外し、持っていたハンドバックに、それをしまうと、同じハンドバッグから、別の眼鏡を取り出した。大きい綺麗な瞳の上から、取り出した牛乳瓶底のグルグル眼鏡をかけ、少し背を丸めると、両手の人差し指を合わせるようにしてグルグルと回し始めた。

 

「ボ、ボクです……。お、思い出して……も、もらえましたか?」――『ああっ!!』

 

 彼女の事を思い出したカバさん、あひるさん全員が、その場に飛び上がるくらい驚いた。

 

「ね……、猫田さん?」

 

 左衛門佐から名前を呼んでもらい、本当に嬉しそうに笑った猫田は、眼鏡を外して巣の顔に戻った。

 

「はい! ねこにゃーです。よかったぁ、思い出してもらって。あの頃は影が薄かったから、皆さんに覚えてもらっているかどうか、心配でした」

「――びっくり。……ぜよ」

 

 おりょうの言葉が今の八人そのままの感想だった。すると、あけびが後輩達のヒソヒソ話が聞こえたのか、猫田におずおずと訊ねてきた。

 

「あの……、ねこにゃー先輩は、もしかして、モデルのミャオさんなんですか?」

「はい。一応年齢不詳、出身地不肖の謎のモデルという設定なんですけどね。今日ばかりは、どうしても参加したくて、事務所を脅してここにきました」

 

 笑うだけで、その場に花が咲いたようになる猫田は「もし、行かせてくれなければ、仕事を辞めると言ってきたんですよ」と口を手で隠しながら話した。

 茫然としている八人と嬉しそうな猫田の後ろの方、ステーションワゴンの運転席から降りてきた、これもまたできる女性そのもの雰囲気を出した、マネージャー風の女性がやってくる。

 

「ミャオ。ダメだっちゃ。その事は内緒にしておくだっちゃ」――『うえっ!』

 

 また八人が驚いた。ねこにゃーだけが笑っている。

 

「ぴ、ぴよたん先輩?」

 

 エルヴィンが訊ねると「そうだっちゃ。久しぶりだっちゃね」と、ぴよたんも笑って答える。

 そうしている内に「モデルのミャオがいる」という話がどんどん広がり、一目見ようと後輩達が、彼女達の周りに集まってきた。

 二重三重の輪ができて、駅前が大混雑になりかけた時、いけなり、駅構内から怒鳴り声が聞こえた。

 

「あなた達!!! そんなところで何やっているの! 早く移動しなさい! 他の人の邪魔になるじゃないの!」

 

 一斉に声の主を見た後輩達の目に映ったのは、おかっぱ頭でスーツ姿の三人の女性であった。

 カエサルが、三人に気付き、驚いて、彼女達の名前を呼ぶ。

 

「みどり子さん! それに、希美さんに、モヨ子さん!」

「はい、はい! 懐かしいのはわかるけど、まず他の人の迷惑を考えなさい! さあ、解散、解散!」

「ソド子……。ここ、管轄外だから無茶しないでよ」

「分かっているわよ。でも、注意することは問題ないでしょ。ほらほら、早くターミナルへ行きなさい。ちゃんと二列に並んで待つのよ!」

 

 みどり子の大きな声に、後輩OG達は、しぶしぶその場を離れると、ぞろぞろとバスターミナルへと向かい始めた。その場に残ったのは、カバさん、あひるさん、アリクイさんの十一人である。

 手を叩きながら近づいてくる園みどり子に、その後ろからオドオドしながらついてくる今春希美、後藤もよ子の三人は、カエサル達に近づくと、直立不動になり、いきなり敬礼をした。

 それを解いた三人を、唖然とした表情で見る十人だった。

 

「みんな、久しぶりじゃないの。でも、松本さん達のその恰好は、神聖な式典には合わないわよ」

「園先輩――。敬礼なんてどうしたんですか?」

 

 典子が訊ねると、笑ってソド子が言う。

 

「私達、警察官だもの。挨拶前の敬礼は当然よ!」――『うひゃぁ!』

 

 また、皆がびっくりした。しかし、左衛門佐だけが納得したように頷いている。

 

「まさに――。『天が導いた天職だな』」――『それだぁ!』

 

 カエサル達、三人の指差し突っ込みを、懐かしそうに見たあひるさん、アリクイさん、カモさんの各チームだった。

 

「みなさん、もうすぐモモガ―さんも来ますので、一緒に車で参りませんか?」

 

 ねこにゃーが言うと、ぴよたんが人差し指で、ロータリーに止めていたワンボックスカーを指差した。それを見たソド子がまた怒鳴った。

 

「猫田さん! あそこは駐車禁止の場所よ。すぐに移動しなさい!」

「はい! ですから、皆さん一緒に行きましょうよ」

 

 するとその車の後ろに、また八人乗りのワンボックスカーが止まった。運転席を降りて、モモガ―が走ってきた。

 

「ごめんなり。遅くなったなり!」

「さあ、カモさん、あひるさんは、モモガ―さんの車に、カバさん達は私達の車にどうぞ」

 

 高校時代からは想像もできないくらいに、ハキハキと話をするねこにゃーを見て、卒業したあと、それぞれが過ごしてきた「時の流れ」というもの皆がヒシヒシと感じた。

 そうして、チームごとに、それぞれが、ねこにゃー達の車に乗り込むと、学園艦が止まる第四埠頭へと向かって行った――。

 


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