ブラック・ブレット 贖罪の仮面   作:ジェイソン13

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なんとなく思いついた小ネタ(デレステ風)

ティナ・スプラウトのウワサ

フクロウみたいに首を360度回せるか試したら首を痛めて入院したことがあるらしい。


戦乙女の血戦 ②

 灰色の盾 vs スカーフェイス ②

 

『従業員は全ての業務を中断し、ESSマニュアルに従って避難せよ。繰り返す。従業員は――』

 

 警報と録音されたアナウンスが耳に響く中、鈴音と美樹は未織に連れられてイクステトラの廊下を早歩きで通り過ぎる。

 未織の歩く10メートル先、アクアリウムを彷彿させる清涼感のある廊下が降りて来た鋼鉄の壁に遮られた。

 

「えっ? ちょっ……」

 

 3人は慌てて走り出すが隔壁は止まることなく、隔壁は天井から床まで隙間なく遮断する。後ろも隔壁で塞がれ、完全に閉じ込められた。

 未織が袖からスマートフォンを取り出す。

 

「ちょっと小此木? 隔壁で閉じ込められたんやけど。どないなっとるん? 」

 

『警備システムが、こちらからの入力を受け付けないんです。おそらく外部からシステムに介入しているかと』

 

「んなアホな! ! イクステトラ内部で完結しているローカルネットワークなんやで! ! 外部から介入なんて――」

 

 “不可能だ”と告げようとした瞬間、未織はここのシステムを掌握する唯一の手段が閃く。

 

「サーバールームは! ? ここのシステムを掌握するなら、そこから有線で繋ぐしかあらへん! ! 」

 

『警備部の人間を行かせましたが、サーバールーム周辺が隔壁で封鎖されて入ることが出来ません! ! 』

 

「んなもん強化外骨格(エクサスケルトン)でぶち破ってまえ! ! 修理費なんて気にせんでええ! ! 」

 

『その強化外骨格も次々と原因不明のシステムエラーで機能が停止しているんです! ! ()()()()もギャングに乗っ取られましたし、このコントロールルームが落ちるのも時間の問題です! ! 』

 

「例のアレ! ? 例のアレって言うた? それって地下倉庫に置いといた()()()()! ? 」

 

『間違いなくそれですよ! ! ギャングだけならともかく、あんなのウチの警備じゃ手に負え――ザザッ

 

 一瞬のノイズがざわついた直後、通話が切られた。向こうが受話器を置いた訳でもなく、未織がうっかり通話を切ってしまった訳でもない。スマホ画面で電波状況を見ると圏外と表示されていた。

 

 ――あ。詰んだわ。

 

 6年前、司馬重工本社ビルが新世界創造計画の機械化兵士に襲撃され、多数の警備員と従業員が殺害された事件を契機に司馬重工は警備員の装備更新、無人運用システムの構築を急いだ。司馬重工が持つテクノロジーをかき集めた結果、数年前に建設されたばかりのイクステトラは強固な警備体制を敷くことが出来た。一見するとオシャレなオフィスも非常事態になれば、隔壁による封鎖、対侵入者用の催涙ガス、自動機関銃(セントリーガン)、武装ドローン、etc……が展開する。

 ガストレアの群れだろうと、赤目ギャングだろうと、特殊部隊だろうとここを落とすことは出来ない――と未織は自負していた。

 

 隔壁の向こう側で銃声を悲鳴が聞こえる。死者が増えれば増えるほど、反比例して銃声は少なくなっていく。

 自分達を匿ったせいで無関係の人が傷付いていく。当たり前のように明日の予定を組んでいた人達が死んでいく。静寂と共に重責と罪悪感が鈴音と美樹の心を押し潰す。

 目の前と背後の隔壁が駆動音を鳴らしながら、ゆっくりと上昇する。司馬重工が警備システムを奪還したのかと希望を抱く。

 

 未織が下の隙間に目を向けると、人の足が見えた。うす汚れたブーツにダメージジーンズが目に入った瞬間、希望は消えた。イクステトラの警備員や従業員にこんな格好の者はいない。

 隔壁が上がり切る頃には、赤目ギャングの少女がアサルトライフルを向けていた。外周区育ちの悪い目付き、傷を模した刺青が入ったその顔は昨晩見たスカーフェイスのメンバーだった。

 彼女の背後には司馬重工製の武装ドローンが浮遊している。回転翼の下に弾倉と機銃が装備されたシンプルなものだ。ギャングの少女の片耳にはインカムが付いており、それがドローンを操作している。

 

「2人を渡せ。そうすれば、悪いようにはしない」

 

 未織は少女の足元を見る。彼女の背後には血の足跡が続いていた。ここに来るまでに何人もの人を殺して、その血溜まりを踏んだのだろう。服にもまだ乾いていない血が付いている。「悪いようにはしない」という言葉も「楽に死なせてやる」ぐらいのニュアンスだろう。

 

「はー。分かった。分かった。降参や。ウチも死にとうないし」

 

 未織は両手を挙げると不敵な笑みを浮かべる。目の前の赤目ギャングを通り越し、彼女の背後を見据える。未織は相手が訝しんだタイミングを見計らう。

 

「今や! ! エールちゃん! ! 」

 

 未織が叫んだ瞬間、スカーフェイスの少女が振り返る。無論、そこにエールはいない。彼女は未織の演技にまんまと騙されたのだ。

 ギャングが目を離した一瞬、未織はライフルを掴んだ。大きく引いてギャングの姿勢を崩すと銃身を大きく回転させ、肩掛け紐(スリング)をギャングの手に絡めていく。その動作の中でさり気なく安全装置をかけた。

 その取っ組み合いの中でドローンは未織に照準を向けるが、所有者(オーナー)であるギャングの身体が盾になりトリガーを引けずにいる。

 捩じれたスリングが手錠の代わりになり、軍用の頑丈な繊維がギャングの両手を封じ込める。

 

「舐めんじゃねえぞ! ! 人間(黒目)が! ! 」

 

 ギャングが未織を振り解くと、縛られた腕を振り子にして胴を回転、その勢いに乗って左脚、時間差で右踵の回転蹴りが眼前を薙ぐ。

 蹴りが寸でのところ当たりそうになった焦り、当たらなかった安心が気の緩みを生んだ。

 カポエイラの動きでついた遠心力でギャングは銃床を未織の脇腹に殴りつける。赤目の力が加わった一撃は未織を壁に叩きつけ、内臓に伝わった衝撃で彼女に血反吐を吐かせる。

 怯んだ隙にドローンが機銃を未織に向けた。

 

 

「駄目っ! ! 」

 鈴音が飛び込み、両手を広げて未織の盾になる。一か八かの賭けだった。昨晩のことを壮助から聞いた際、スカーフェイスは連れ去ろうとしていたと聞かされた。殺害ではなく、拉致が目的なら、少なくとも自分達はその場で殺されることはないと考えた。

 鈴音の読みは当たっていた。ドローンから弾丸が放たれることはなく、誤作動で撃ってしまわないように銃口を逸らす。

 ギャングも鈴音の行動に驚き、ドローンと同様に銃口を逸らす。その隙に美樹はギャングを羽交い絞めにする。

 

「離せっ! ! このっ! ! 」

 

「離すもんか! ! 」

 

「殺されないからって、調子に乗りやがって! ! 」

 

 ギャングが肘打ちと銃床による殴打で美樹を壁に叩きつける。同じ呪われた子供でも潜り抜けた修羅場の数が実力差を生む。

 

「動くな! ! 」

 

 廊下に響き渡った声、誰の声か、言葉の意図は何か、それを考えるまでもなく咄嗟に鈴音と美樹は硬直した。同時に9mmバラニウム弾が通路を通り抜け、ギャングの右腕を穿った。続いて2発目、3発目がドローンを撃ち落とす。

 流血と軋む筋骨の痛みに耐えながら、ギャングが銃撃の元にライフルの照準を向ける。背の高い金髪の女が見えた瞬間、銃口に弾丸を撃ち込まれ、その衝撃でライフルが明後日の方向に飛んでいく。

 

「チッ! ! 」

 

 ギャングは勝てないと見込んだのか、ライフルとドローンを捨てたまま逃走を計る。彼女の足を狙って2発の銃弾が飛ぶが、銃口から弾道を予測し、巧みに弾丸を避けて脇道へと消えて行った。

 

 

 

 

「大丈夫ですか? 」

 

 安心したのか、力が抜けて尻餅をつく鈴音に声がかけられる。顔を上げるとティナが手を差し伸べていた。

 

「ティナさん。どうしてここに? 」

 

「エールさんが私を向かわせたんです。ギャングの勘って馬鹿に出来ないですね」

 

 ティナが鈴音の手を引いて立たせる。

 続いて殴打された痛みが頭に響く美樹にも手を伸ばした。

 

「美樹さん。立てますか? 」

 

「あ、ありがとう」

 

 鈴音がしっかり立ち上がったのに対し、美樹は生まれたての小鹿のように震えていた。躓きそうになり、ティナの肩を借りる。

 

「ご、ごめん……。ちょっと、恐かった」

 

 未織は殴られた脇腹を抑えながら、立ち上がる。袖から出したハンカチで口元の血を拭う。

 

「未織さん。大丈夫ですか? 」

 

「一応な。着物の中に防弾繊維を仕込んどって正解やったわ」

 

「ぬかりないですね」

 

「こうでもせんと木更には敵わんかったからなぁ」

 

 ――そういえば、犬猿の仲でしたね。

 

 在りし日の未織と木更の喧嘩を思い出す。事の発端は未織がティナを司馬重工民警部門にヘッドハンティングしようとしたことだったか。「ティナちゃんはうちの子よ」と猛反発した木更と壮絶な戦いを繰り広げ、天童民間警備会社を半壊させた。5~6年前の話だが、昨日のように覚えている。

 

「とりあえず、隔壁が空いている間に移動しましょう。すぐに敵の増援が来ます」

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 西外周区を震撼させた二大ギャング、そのリーダー達の決戦場となった屋内駐車場は火の海になっていた。電磁加速砲が車列を貫通し、漏れたオイルはベネリM3や9mm拳銃から離れた弾丸、それが生み出した火花で引火し、連鎖爆発を起こす。

 燃え盛る業火の中でエールのバラニウム短槍と死龍の尾がぶつかり合う。互いに弾を撃ち尽くした今、肉弾戦だけが互いに残された手段だ。

 エールは光学迷彩を纏った見えざる尾を駆動音だけで位置と動きを判別し、鞭のようにしなる不規則なフェイントも勘で防ぐ。尾が離れても安心できない。電磁加速砲や即死の毒針を警戒し、足を止めることが出来ない。

 激しい動きで体内の酸素が奪われる。大きく呼吸しても供給が間に合わない。火災で空間の酸素が奪われているからだ。息を吸い込んだと同時に熱気も肺に入り、喉が焦げそうになる。

 天井のスプリンクラーは水を出し続けているが、文字通り焼け石に水だ。熱せられて蒸発したせいで余計に蒸し暑くなる。エールはワークセル運輸の赤いジャケットを脱ぎ捨てタンクトップ一丁になる。

 

「ったく、暑くてやってらんねえな。お前もそのダサいマントを脱いだらどうだ? ライバルが熱中症で倒れて決着なんて、笑い話にもならねえぜ」

 

「こう見えても私は淑女なんだ。そう易々と脱ぐクソビッチと一緒にされたくないな」

 

「おい。コラ。誰がクソビッチだって? 私はまだ処女だよ。クソチッビが」

 

「お前の股の事情など知るか。それと、人の身体的特徴を嗤うなと親に教えられなかったか? 」

 

 エールは鼻で嗤った。

 

「外周区生まれ外周区育ちの私が、親の顔なんて知る訳ねえだろ! ! 」

 

 エールは短槍を構え、地を蹴る。十数メートルも跳躍する彼女の一歩は瞬く間に死龍を肉薄する。

 示し合わせたかのように死龍の尾はその身を鞭のようにしならせ、地に振り下ろした。エールに躱された光学迷彩の尾はコンクリートの地面に縦一列の陥没を作る。スプリンクラーで水浸しになった地面から飛沫が上がる。

 

 ――外れた……? いや、違う。これは! !

 

 ギャングとして戦ったエールの勘が警鐘を鳴らす。スプリンクラーで水浸しになった地面、そこに付いた死龍の尾、電磁加速砲を放つ直前の挙動。

 エールは咄嗟に短槍を投擲。天井に突き刺すと自身も跳躍し、槍を掴んで宙にぶら下がる。

 地から足が離れたギリギリのタイミングで尾から電気が流れ、水を通して電撃が駐車場全体を走り抜ける。電圧が高すぎたのか、水は蒸発して霧散する。

 刹那でも判断が遅ければ感電死していた。この身体も黒焦げになっていただろう。エールは冷や汗を垂らす。

 

 ――ったく、隠し玉多すぎだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、空間が爆発した。

 

 

 

 

炎が瞬時に広がり、轟音と共に車や柱が吹き飛んでいく。その威力や範囲はグレネードの比ではなかった。

 死龍の本命はこの爆発だった。尾から発生した電撃は床に溜まった水を電気分解し、屋内駐車場を水素と酸素で満たす。酸素は燃焼を促進させる性質を持ち、水素は自身が爆発的に燃焼する謂わば可燃性ガスとしての性質を持つ。屋内駐車場という密閉空間、炎上する車という多量の火種は水素ガス爆発を引き起こす条件として揃っていた。

 

「さすがにやり過ぎたか」

 

 噴煙が充満する駐車場を見て、死龍は呟いた。柱の陰に隠れて爆発をやり過ごした彼女だったが、爆発音は彼女ですら手で両耳を塞がなければならないほど鼓膜を揺さぶった。加えて煙で充満した空間は自身の視界を潰しエールを隠すカーテンになる。

 咥えて、爆発で飛び散った車やそのパーツ、コンクリート片が死龍の尾にぶつかり、装甲を歪ませる。その衝撃でバラニウム装甲の表面に塗布されたナノマテリアルが不調を起こし、光学迷彩は古いテレビのノイズのように中途半端な状態になる。

 今の大爆発で大抵の呪われた子供は死んでいるだろう。多少頑丈な子でも無事では済まない。しかし、()()()()()なら分からない。今この瞬間にも爪と牙を研ぎ澄まし、襲い掛かる瞬間を虎視眈々と待っているかもしれない。

 死龍は尾の電磁加速砲を放ち、壁に穴を開ける。音速以上で動くフレシェット弾が煙を消し飛ばし、煙が壁の穴から抜けていく。

 視界がクリアになり、屋内駐車場だった光景が目に映る。車が消し飛び、燃えカスだけが残っている。エールがぶら下がっていた場所に目を向けたが、やはりと言うべきか、そこに彼女と得物のバラニウム短槍は無かった。

 爆発に巻き込まれて消し飛んだか、それとも柱の裏に隠れて機会を窺っているか。

 

 

 

 

 

 足元に歪んだボルトが落ちた。

 

 

 

 

 死龍は咄嗟に見上げた。水素ガス爆発で吹き飛んだ天井、剥き出しになった鉄骨造からエールがバラニウム短槍を逆手に持っていた。彼女は大きく振りかぶり、目を赤く輝かせる。

 放たれた渾身の投擲、急降直下する短槍は死龍の尾を貫いた。切っ先は外殻の隙間に入り込み、二重装甲の内殻を砕く。内部の疑似神経線維と毒の輸送パイプ、電磁加速砲の弾倉を貫き、尾を地面に串刺しにした。

 尾を固定され死龍の動きが止まった。

 拾った鉄パイプを握り、エールは鉄骨から飛び降りた。高低差と自身の体重、そこに腕の筋肉と遠心力を加重し、今自分が出せる最大の一撃を振り下ろす。

 

 

 エールの一撃は虚しくもコンクリートの床を殴打し、先端が折れ曲がった。

 

 

 彼女の一撃は死龍が動かなければ確実に当たるコースだった。どうしてかは分かっている。鉄パイプが直撃する寸前、死龍が腰のコネクタから尾を切り離したのだ。尾という枷を外した彼女は本来の小柄な体格に合った軽快な動きで回避した。

 死龍が右脚を振り上げる。今までマントで隠れていた長い脚が現れる。バラニウム装甲で覆われた鈍く光る義足、そのつま先から高周波ブレードが飛び出した。

 ブレードに気付いたエールは咄嗟に下がる。しかし、延長された数十センチの間合いから逃れることは出来なかった。

 高周波ブレードはエールの左腕を肘から手首にかけて刃を通す。超高速振動により絶大な切断力を誇るそれは縦一列に彼女の皮膚、前腕の筋肉、橈骨と尺骨、動脈と静脈を切断する。

 滝のように彼女の腕から血が流れる。多量の出血で失いそうになる意識を食い縛って繋ぎ止める。

 

 エールは左腕を振るった。手先に流れた多量の血が死龍に向けて飛散。マントとフードの隙間、彼女の目を狙った血液のピンポイント爆撃が当たる。

 

 

 目を潰された刹那、死龍が怯んだ。

 

 エールは右手の拳を握り、地を蹴る。

 

 自分の拳が先か、死龍が動くのが先か。

 

 赤い眼が輝き、乾坤一擲のアッパーカットが鳩尾に入った。

 

 死龍の身体が浮き上がった。尾を切り離した今、死龍の身体は見た目通りに軽く、数メートル飛んで背後の壁に叩きつけられた。

 エールは死龍を見据える。死龍が水素ガス爆発でエールが死なないと警戒したように、エールもまた死龍がこの程度では終わらないと警戒する。

 しかし、死龍は立ち上がらなかった。今の衝撃で後頭部を壁に打ち付けて脳震盪を起こしたのか、肋骨が折れて心臓か肺に突き刺さって絶命したか。

 エールは死龍が動かないことを確認すると警戒を解く。脱ぎ捨てたジャケットを拾い、腕をきつく縛って出血を抑える。

 気絶しそうな中で何とか足を進める。詩乃を救う為の解毒剤を確保しなければならない。

 

「これは……ちょっと、ヤバいな……。いや、マジで……ヤバい」

 

 腕を縛って抑えたとしてもかなりの血を流した。動脈と静脈が切断されたのだ。普通の人間なら死んでいてもおかしくない。高周波ブレードがバラニウム製ということもあって、治癒も期待できない。

 

 

 朦朧とする中、エールは気付かなかった。バラニウム短槍がコンクリートから引き抜かれる音、それが地面に落ちる音、近づくモーター音に――。

 

 死龍の尾が単独で駆動した。内部のバラニウム疑似筋繊維を収縮させ、蛇腹構造の装甲を動かし、文字通り蛇のように地面を高速で這う。

 頭部となったマニピュレーターは先端を閉じ、ハンマーのようにエールを殴打して地面に叩きつける。

 抵抗する余力も残っていないエールは地面に突っ伏せる。

 彼女を尻目に尾は死龍の元へ行き、彼女の腰のコネクタに自ら接続した。

 

 ――クソッ……。

 

 

 死龍が立ち上がった。

 

 しかし、その様子は復活と言うには様子がおかしかった。身体の動きに表情が伴っていない。視線も呼吸も合っておらず、関節の動きも生物のような滑らかさを感じない。まるで映画のゾンビのようだった。

 尾が接続して十数秒、死龍の身体は生物本来の滑らかな動きを取り戻す。視線も目の前の敵であるエールに向けられる。

 

 それでも彼女から()()を感じることが出来なかった。




・未織の京都弁が難しい

方言翻訳ページを見ながらじゃないと彼女のセリフが書けないし、うっかりすると関西弁っぽくなってしまうのが悩み。お陰で彼女の言動もどこか大阪のおばちゃんっぽくなってしまう……。



次回「戦乙女の血戦 ③」

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