【完結済】インフィニット・ストラトス 〜狼は誰が為に吼える〜   作:ラグ0109

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がぁるずとぉく

皆が寝静まる夜…楯無、簪、セシリア、ラウラは狼牙がベッドで寝ているのを他所に真夜中の女子会を行っている。

これは週一で行おうと楯無が提案した事であり、狼牙に首輪をつける者同士で親密になろうと言う計らいだったりする。

なお、ラウラが居るのは娘ポジだからと言う理由である。

決してラウラを篭絡して正妻ポジを得るためではない。

彼女達の名誉に誓って。

…多分ね。

 

「そう言えば、臨海学校の時は狼牙君の部屋に行ったのかしら?」

 

ポ◯キーをポリポリと食べながら、楯無が三人を見つめる。

楯無は臨海学校の時は学園にて重要な仕事があった為同席はしていない。

生徒会会長権限があるとは言え、職権乱用は許されていないのだ。

とは言え、狼牙が気を利かせてラブコールを送ってくれた夜は、興奮して寝付けなかったりする。

 

「実は、狼牙さんと一夏さんは織斑先生の部屋でして…」

「でも、銀の福音襲来前後は甘えさせてくれた…」

「父様はいつだって優しくしてくれるからな…時々何か礼をしなくてはと思うのだが」

「狼牙君は物によるお礼よりも、そばに居てくれるだけでって感じなのよね。ハーレム作る前とか寝ているときに魘されててね…添い寝すると静かになったものよ」

 

狼牙は、心に傷を負っている。

以前の世界の出来事を克明に覚えてしまっているのもあるが、やはり両親諸共に事故に巻き込まれているのが最たる原因となっている。

最愛の人を亡くす…それは悲しい出来事だ。

故に頭を悩ます…自分の様に悲しくしない為に。

後悔して欲しくないが為に。

 

「それで楯無さんはベッドに潜り込んでいたのですね」

「役得と言えば役得よねぇ…同室の特権?」

「お姉ちゃんは私と部屋を交換すべき…可及的速やかに」

「簪、それは皆同じ気持ちだと思うが…私とて父様に毎日添い寝してもらいたいんだからな」

 

ラウラはアイスココアの入ったマグカップを両手で持ちチビチビと飲んでいる。

ドイツの冷氷と呼ばれていた少女の姿は其処には無い。

父と慕う狼牙には完全に心を開ききっており、こうして週一開催の女子会に参加しているのも狼牙に近しいセシリア達と親交を深めようと言う歩み寄りに他ならない。

尚、シュヴァルツェア・ハーゼの副隊長クラリッサはラウラの変化に歓喜の涙を流し、部隊内の結束を強めたとか何とか…。

 

「そうだけど…たまには二人きりになりたいし…」

「そうですわね…楯無さん、その辺り何か策はありますの?」

「難しいのよねぇ…織斑先生のお目こぼしがあるとは言え、派手にやるわけにもいかないし」

「ローテーションを組んで部屋を交代しては、同室の者に迷惑をかけかねない…それは父様も望まないだろう」

 

四人とも頭を悩ますが結局結論は出ず、ため息ばかりが漏れる。

 

「とりあえず、夏休み、冬休みの間はローテーションで部屋交代としましょう。休み期間中は寮の規則もおざなりになりがちだし」

「そうしましょう…普段からできれば良いのですが」

「教官の制裁は凄まじいからな…」

「ここは我慢、だね」

 

一先ずの結論が出た所で、再び楯無が質問をぶつけてくる。

 

「臨海学校の話に戻るけど、織斑先生に絡まれなかったの?」

「絡まれ…と言いますか…」

「根掘り葉掘り聞かれちゃって…」

「あぁ、初日の集まりの時の話か…」

 

セシリア、簪は若干頬を赤らめ互いに視線を交わし苦笑する。

ラウラはどうやら話の内容をよく分かっていなかった様で、キョトンとしている。

 

「根掘りって…まさか…」

「え、えぇ…織斑先生は全部把握してしまっていますわ…」

「うひゃぁ…顔合わせ辛いじゃない」

「…でも、求めた結果だし、胸張っていてもいいと思うの…」

 

セシリア、楯無、簪は顔を赤らめ俯きつつも簪の一言に頷く。

やはり、ラウラはキョトンとしたままだ。

 

「父様に添い寝してもらった…と言うだけの話だろう。何を恥ずかしがる必要があるんだ?」

「い、いろいろあるのよ、ラウラちゃん」

「ふむ…さて、と時間も時間だし今日は部屋に戻る。明日は父様と寝かせてくれよ?」

「もちろん、おやすみなさいラウラちゃん」

「また明日…」

「良い夢を、ラウラさん」

 

なんとも話し辛い雰囲気だったのだが、ラウラが気を利かせたのか単純に眠いのか席を立ち部屋を出て行くと、少しだけ三人ともホッとしてしまう。

ラウラはそう言った行為を知ってはいるが、純粋すぎるのか何なのか狼牙が関わっていると、そう言う行為との繋がりとを結び付けないのだ。

三人娘としても、ラウラには真っ直ぐ育って欲しいと言う母性本能的な何かが働いて、彼女の前であまり口に出せないでいる。

 

「さて…それで、どんな流れで話すことになったのかしら…?」

「それは…」

 

セシリアと簪は互いに視線を交わして頷くと、ゆっくりと語り始める。

 

 

 

臨海学校初日の夜。

狼牙と一夏は千冬に追い出され、部屋には千冬を含め狼牙と一夏が好きな女性達しかいない。

テーブルを囲むように女性たちは座り、なんとも言えない重苦しい雰囲気に包まれている。

 

「さて、と…話をするにも先立つものがいるな…」

 

千冬が徐に立ち上がると、冷蔵庫から様々なジュースを取り出しテーブルに置いていく。

セシリア達はそれらを不思議そうに見つめている。

 

「良いから、飲め。私の奢りだ…あぁ、そうそう篠ノ之と凰は昔の様に名前で呼んでいいからな。この場限りの無礼講だ」

「わ、わかりました…」

「い、いただきます…」

 

それぞれがジュースに手を伸ばして飲み始めると、千冬はニヤリと笑い缶ビールのプルタブを開ける。

 

「ちょっ!千冬さん!?」

「織斑先生、飲んでいいんですか!?」

 

鈴とシャルロットは教職である千冬がビールを飲み始めると目を丸くして諫めようとするが、千冬はニタニタと笑うだけだ。

 

「口止料は払っただろ?私達は一蓮托生と言うわけだ」

「し、強かですわね…」

 

セシリアは口元をヒクつかせて千冬を見つめ、チビチビと紅茶飲料を飲んでいく。

簪は何だかこの後の展開を予想してしまったのか少しだけ憂鬱そうな顔だ。

 

「さて、篠ノ之と凰、それにデュノアは一夏の何処が良いんだ?」

 

千冬は三人に目を向けるとニヤニヤとしている。

完全に酒の肴に恋話を聞くつもりである。

 

「別に…最近腕を上げていますが、鈍っているのが気にくわないだけですし…」

 

箒は、顔を赤らめつつもやはり素直になれないのか顔を逸らしている。

セシリアと簪はそんな箒の様子を見て苦笑する。

 

「あたしは腐れ縁で…その…一緒にいるだけ…」

 

鈴も鈴で素直になれず、ジュースの飲み口を指でなぞりながら、もごもごと呟いている。

千冬はあっけらかんとした笑みを浮かべる。

 

「よし、一夏に篠ノ之と凰がその様に言っていたと伝えておこう」

「「伝えなくていいです!」」

「あっはっは、冗談だ。それで、デュノアはどうなんだ?」

 

シャルロットは顔を赤くしてモジモジと体を動かすと意を決した様に口にする。

 

「一夏の…優しいところが、好きで…」

「誰にだって優しいだろうに、あいつは。それに銀だって相当に優しいだろう?」

「それはそうなんですけど…銀君のやさしさって、どちらかって言うと異性というより親とかお兄さんとかそんな感じで…」

「あいつってば昔からそうだったわねぇ…」

 

シャルロットの言葉に鈴が同調して頷く。

セシリアと簪は何処かホッとしたように胸を撫で下ろしている。

 

「さて、デュノア以外の素直になれん小娘達に教授してもらおうか…まずはオルコットからだな。お前、アイツの何処が良いんだ?」

 

千冬の言葉にセシリアは顔を赤くして俯くと両手の人差し指を突き合わせもごもごと言い始める。

 

「狼牙さんは…その…最初、良くない出会い方をしてしまいましたが…それでも怒るわけでもなく…優しく見守ってくれていて…。気付いたら、この殿方しか居ないと…わたくしの立場上いけない事なのですが…それでも狼牙さんの傍に居たくて…」

「アイツは苦労するぞ…なんせ、冷静ぶった突撃馬鹿だからな」

「それでも良いのです。狼牙さんが好きで…愛したくて…狼牙さんも愛してくれると…」

「よ、よくそんな歯が浮くような事を言えるな…」

「狼牙さんが良く仰っていた事を実践しているだけですわ」

 

千冬はニヤニヤとした顔を崩さずグビグビとビールを飲み干し、気付けば三本目に突入している。

箒は箒でセシリアの物言いに聞いている方が恥ずかしくなってしまうが、それでも羨むような視線を向ける。

 

「さて、次は更識だな。お前はどうなんだ?」

「あぅ…私は…」

 

簪はもごもごとセシリアと同じように顔を真っ赤にして俯いてしまい、ハッキリと喋ることができない。

そんな様子を見ていたラウラが不思議そうに声を掛ける。

 

「なんだ、簪は父様の事が嫌いなのか?」

「ち、違う!」

 

簪はバッと顔を上げ声を荒げる。

普段との違いに箒と鈴、シャルロットは目を丸くする。

 

「狼牙は、私にとってヒーローなの。クラス対抗戦のあの時…私を助けてくれたあの時から…ずっと、優しくて…お姉ちゃん達と一緒に迫ったときだって!」

「か、簪さん!ストップ!ストーップ!!」

 

セシリアは慌てて簪の口を手で抑えるが、ラウラを除いた全員が興味津々といった顔で此方を見てくる。

 

「ほう、抱かれたか…」

「あ、いえ、その…オホホ…」

「洗いざらい話してもらおうか…んん?」

 

千冬は獲物を見つけたかのように笑みを浮かべ

 

「あ、あ、あんた達…!!」

 

鈴は顔を真っ赤にしてセシリア達の体をジィっと見つめ

 

「は、破廉恥な…だ、だが…!」

 

箒は箒で言葉とは裏腹に興味津々といった具合で睨みつけてくる。

最早、其処に逃げ道などないのであった。

…ちなみに、此処ではお話しできない内容なので、あしからず…。

 

 

 

「と、まぁこんな感じで全て話すことになってしまいましたの…」

「ま、間違ったことしてないもん…だって、狼牙の事好きだし…喜んで欲しかったし…」

「簪ちゃん…強くなったわね…」

 

楯無はしみじみとした顔で簪のことを見つめている。

簪は簪で頬を赤らめつつも真っ直ぐに狼牙を見つめている。

 

「そろそろ、寝ませんか…?夜更かしはお肌に悪いですし…」

「それもそうね…じゃ、今夜はこれにてお開き…場所を決めましょうか」

「恨みっこなしのジャンケン…」

 

三人とも立ち上がれば、一斉にジャンケンを始める。

あまりにも勝負がつかずヒートアップした末に、目を覚ました狼牙にこっぴどく叱られるのであった。




獣人さんリクエストでしたが…こんな感じで良かったですかね…?
中々、姦しい感じが難しいです。
18禁は…需要ないでしょうなぁ

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