第二次スーパーロボット大戦Z Another 作:Dr.クロ
前回の後、デュオとカトル、五飛がOZに捕まり、彼らを助ける為に刹那とAエクシア、ティエリアと名乗り出たイアンに小さく隠れやすく白兵戦も出来るSD3人組がAN特製ステルス装置とスタンガンを持って先行して救出に向かった後、ANはジェフリーとスメラギを呼んでランカ・アタックの際に分かった事を伝えていた。
なぜバジュラが現れるのか…なぜランカの歌に反応するのか…
ジェフリー「なんと!?なぜバジュラが現れていたのかはそう言う事だったのか…」
スメラギ「確かに…これは普通じゃあ信じられない話だわ…私たちだけに伝えて貰ったのは正解です」
AN「おそらくこれを利用している奴らが居るんだと思います」
話を聞いて驚いてから述べる2人にANはそう言う。
ジェフリー「利用している存在…そうなると…フロンティア船団にいる可能性があるな…」
AN「その中でバジュラに関する研究をしていた人ってわかります?」
そう呟くジェフリーにANは聞く。
ジェフリー「……すまない私もそこまで詳しくない…ただ、調べれば誰なのか分かるはずだ」
スメラギ「…全員に伝えるのははっきりしてからの方が良いわね」
謝ってからそう言うジェフリーへ続いて言うスメラギのにANも同意する。
ジェフリー「とにかく、ANくんが言った人物については信頼できる者に調べて貰うよ」
スメラギ「その方が良いでしょうね」
AN「今は救出のほうをなんとかしませんとね」
そう言うジェフリーとスメラギにANは言った後にいつでも出撃できるように向かう中で1つ引っかかるのがあった。
あの時聞こえた声、あれはいったい何だったのか…
AN「(まさか……あのプログラムが?)」
かつて自分の師が気分で入れた奴を思い出して注意しないといけないなと考える。
一方、Aエクシアと共にティエリアがイアン達を潜入させているのを気づかれない様に陽動をしていた刹那はOZの基地から五飛とカトルの命を人質に取られた事で出撃してさせられたデュオの乗るウイングゼロを相手してきたが突如の動きの変わりように翻弄されて控えていたトランザムを発動した時起こった。
刹那『!?何だ、これは…!さっきまでの感覚と違う!俺の意識とデュオの意識が交わって行く…!?』
今まで使った時には感じなかった事に驚きを隠せない刹那だがデュオも同じであった。
デュオ『刹那の思考が…俺に流れてくる…』
なぜ流れてくるのかに戸惑うデュオにより動きを止めるウイングゼロにチャンスと感じたAエクシアと刹那は呼びかける。
刹那『デュオ・マックスウェル!己を取り戻せ!』
Aエクシア「そうだぜ!いつものお前はどうしたデュオ!」
デュオ『刹那、エクシア…』
2人の呼びかけにデュオは顔を上げる。
刹那『お前の希望を捨てない強い意志はいつだって俺に力をくれた!そのお前が意思なき機械に翻弄されるのか!』
Aエクシア「そうだ!振り切れ!デュオ!」
デュオ『くっ…うおぉぉぉぉぉぉ!!』
2人の言葉にデュオは咆哮するとゼロシステムの呪縛を振りほどく。
ビリー《ゼロシステムが停止した…!?あのパイロット…ゼロシステムの干渉を跳ね除けたのか!》
それに見ていたビリーは驚きの声を上げる。
デュオ『…ありがとうよ…刹那…エクシア…お前達の直接、脳に響いたせいか、なんとか自分を取り戻せたぜ』
刹那『デュオ…』
Aエクシア「取り戻したんだな!」
礼を言うデュオに刹那は呟き、Aエクシアは喜ぶ。
デュオ『ああ…こいつに乗ってみて、分かったぜ。カトルもこいつにやられたんだ。こんなシステムを使いこなせる奴がいるなら、そいつは人間を超えた存在だぜ』
Aエクシア「人を超えた存在…」
ウイングゼロに対してそう言うデュオの言葉にAエクシアが呟くと基地からモビルドールやヒイロが別行動を取る切っ掛けとなった基地で見かけた2機の機体に別の機体が現れる。
刹那『出て来たな…!」
デュオ『悪いな刹那、エクシア。俺が戻んねえと五飛とカトルの生命が危ないんでな…すぐ戻る。それまで頼むぜ』
そう言うとウイングゼロはOZの基地へと戻る。
それと入れ替わりにZEXISが駆けつける。
Aエクシア「来たか!」
AN『さぁ皆さん!大量に壊しますよ!』
葵『ええ、あんな物騒なのは壊すに限るわ!』
その言葉と共にそれぞれ出撃する。
アレルヤ『刹那、エクシア、無事なんだね』
刹那『こちらは問題ない。ティエリアも任務を遂行中だ』
ロックオン『それならあいつも丁度出て来たぜ』
そう返す刹那のにロックオンはそう言うとセラヴィーが現れる。
AN『ティエリアさん!』
ミレイナ《アーデさん!パパは!?》
ティエリア『目的の場所へ武者達と向かっている。今の所は無事だ』
刹那『ティエリア、アメイジングエクシア。態勢を整えるぞ』
Aエクシア「おう!」
聞くミレイナにティエリアは返した後に刹那のに頷いてZEXISに合流する。
プロヴィデンス「これはこれは、まだたっぷりといるな」
アビス「良いね良いね!おもちゃは多い方が良いじゃん!」
そこにプロヴィデンスとアビスが現れ、プロヴィデンスにアスランとキラは身構える。
キラ『プロヴィデンスガンダム!』
アスラン『話に聞いていたが、こうして直にまた見る事になるとはな』
AN『今回は貴方だけですか?』
アビス「ちょいちょい、こっちを無視しないで欲しいなお姉さん」
プロヴィデンス「落ち着けアビス。ああ、丁度兵隊には困らないので…ね!」
不満そうにぼやくアビスを宥めてからそう答えてプロヴィデンスはモビルドールに手を向けるとモビルドールのコントロールを奪い取る。
AN『毎度のことですねこれ』
プロヴィデンス「そうさせる馬鹿な奴らがいるからね」
呆れる様に言うANにプロヴィデンスは肩を竦めて返す。
AN『まぁ破壊させてもらいますけどね』
刹那『ああ、モビルドールを駆逐する!』
その言葉と共にそれぞれ動き出し、モビルドールを攻撃する。
AN『ARISIA!全砲台、一斉射撃!』
ジェフリー《こちらも続け!》
スメラギ《こちらは援護よ!》
続けて戦艦による援護や射撃が放たれてモビルドールを破壊していく。
ズドズドズドォオオオオオオン!!
プロヴィデンス「派手だな」
アビス「なあプロヴィデンス。人形が消えてるじゃんか」
起こる爆発とか破壊されているのを見ながらそう言うブロヴィデンスにアビスが聞く。
プロヴィデンス「ああ、どうやら新しいのが投入されるみたいだ」
その言葉の後にOZの基地から新たなモビルドールが出てくる。
ただ、それは今まで違い、大型のMSであった。
アスラン『なっ!?』
シン『あれはっ!?』
シオニー『知っているんですか!?』
キラ『あれも僕たちの世界の奴だ』
驚く2人に聞くシオニーにキラは答えながら出て来たモビルドール、デストロイガンダムを見る。
シン『デストロイ…!あの機体もこの世界に来ていたのか!』
クロウ『見ただけでヤバい臭いがプンプンしてくるマシンだぜ』
ロックオン『そんなものまでモビルドールにするとは、連中は本気で反対する人間を根絶やしにする気らしい』
操縦桿を握りしめるシンの後にクロウとロックオンはデストロイからの威圧感にそう言う。
アビス「おお~あっちも大きいのを作ってるみたいだねプロヴィデンス」
プロヴィデンス「そのようだなアビス」
そう言うアビスにプロヴィデンスはそう返す。
カミーユ『どういう意味だ?』
プロヴィデンス「こう言う事さ。カオス!」
???「あいよ!」
彼らの言葉に問うカミーユやZEXISに対してプロヴィデンスは後ろに呼びかけると見知った機体と共にデストロイと並ぶ巨大な機体が現れる。
エスター『な、なんだあれ!?』
シオニー『で、デカいです!?』
カミーユ『な!?サイコガンダムだと!?』
シン『それにカオスガンダム!』
出て来たのに驚くZEXISメンバーの後に知るメンバーは驚きの声をあげる。
シオニー『もしかしてこの二つは……』
シン『どっちとも俺達の方のだ』
カミーユ『細かく言うとサイコガンダムが俺の、カオスがシンの方の機体だ』
フェニーチェ「ややこしいな」
答える2人のにフェニーチェはそう呟く。
シオニー『それぞれにはどんな武装がされてますので?』
シン『カオスは背中のポッドや重火器に足のビームサーベルがある』
カミーユ『そしてサイコガンダムは…』
プロヴィデンス「放て!!」
シオニーの問いにシンは答えてからカミーユが言おうとした時にプロヴィデンスの指示と共にサイコガンダムは額や両腕、お腹の所からビームを乱射する。
それに誰もが慌てて避け、シオニーもひっ!と悲鳴をあげながら避ける。
AN『あのビームですか』
カミーユ『ああ、あのサイコガンダムとデストロイガンダムにより俺達の世界の1つの都市が破壊された』
レイジ『そんなにやばいのかよ!?』
ビームを見て言うANにカミーユは苦い顔をしながら言った事にレイジは驚く。
AN『コロニー一つ壊したウイングゼロよりはまだマシなのでは?』
シオニー『似たり寄ったりですよ!』
キラ『!向こうから何か出てくる…!』
エスター『え?あれって!?』
そう言うANのにシオニーが叫ぶとキラがOZの基地を見て言い、同じ様に見たエスターは驚きの声を上げる。
そこから出て来たのはデスサイズとシェンロンと思われるガンダムにトーラスであった。
思われると付くのはどちらとも見た目が変わっているのだ。
クロウ『デュオとカトルか!』
ハヤテ『無事だったんですね』
五飛『こちらにはカトルもいる』
エスター『カトルも!?』
現れた2人と五飛の言葉でカトルの無事にエスターは安堵する。
デュオ『ヒルデ、俺達と来るんだな?』
その間、デュオは後ろのトーラスに乗る自分たちが捕まっていた際に世話をしてくれた少女、ヒルデに聞く。
ヒルデ『さっきあなたが仲間の為に必死で戦っている姿を見てたの…あれを見たら、私…何のために戦うのか、分からなくなった。だから、あなた達とそれを探すの』
デュオ『分かった。だったら、絶対に死ぬんじゃねえぞ』
そう言うヒルデに言ったデュオはあなたもねデュオと返されて笑った後にメンバーと合流し、カトルをプトレマイオス2へと運ぶ。
沙慈「カトル…!」
カトル「何か…戦える機体はありませんか!?」
駆け寄る沙慈にカトルは聞く。
沙慈「でも…」
カトル「僕は…僕のやってしまった事をこの手で償いたいんだ!」
休んだ方が良いと含んだ沙慈のにカトルは決意を込めた目で言う。
沙慈「…わかったよ。じゃあ…」
決意に沙慈は頷いて、来る途中でカトルの姉から託され、イアンや技術班により改良されたガンダムサンドロック改へカトルを案内しカトルは感謝した後にサンドロック改へ乗り込んで発進する。
エスター『やれるの、カトル!』
カトル『はい、僕も戦わせてください!』
AN『暴走はしませんよね?』
エスターへそう返すカトルは念入りに聞くANにしませんよと苦笑いしながら返す。
クロウ『どうなってんだよ、デュオ。お前等の機体…どうしてパワーアップしてんだ?』
デュオ『あの基地には俺達のガンダムを造った連中がいるんだよ。案の定、あいつ等…こっちの意図を察して、ガンダムを改良してくれだぜ』
AN『へ~そうなんですか』
ティエリア『イアンは彼らに会う為に基地に潜入を試みたのか…』
クロウ『無償バージョンアップとはよ…アフターサービスもばっちりって訳か…正直羨ましいぜ』
変わっている理由を言うデュオのにANは納得してクロウがそう言う中ANは物足りなさを感じた後ににゃぴーんとサンドロック改にアルトロンガンダムにガンダムデスサイズヘルを見る。
その際デュオは第六感でまた何かが起こると感じたがそれはしばらく先である。
AN『んじゃ暴れますか!』
X魔王「やりましょう!」
カトル『サンドロック…また君の力を貸してもらうよ』
デュオ『へへ…さらにかっこよくなったじゃねえか、相棒。あのジイサン達にしちゃあ、気が利いてるぜ』
五飛『行くぞ、ナタク!魂なき人形など、俺達の敵ではない!』
その言葉と共に戦闘は再開される。
カトル『はあっ!』
ビームを避けながらサンドロック改は手に持ったヒートショーテルでモビルドールを両断していく。
五飛『はあ!』
アルトロンは両腕のドラゴンハングから火炎放射を浴びせた後に腕を伸ばして薙ぎ払っていく。
デュオ『死神様のお通りだ!!』
ハイパージャマーを活用してデスサイズヘルはビームサイズで両断していく。
エスター『やばっ、エネルギーが……』
カトル『エスターさんこっちへ、補給します』
向かって来るモビルドールを蹴散らしたは良いがエネルギーが切れかけたブラスタEsへカトルはそう言って、エスターも言われた通りにサンドロック改へ近づいてエネルギーを補給して貰う。
エスター『ありがとうカトル!』
カトル『どういたしまして…しかしまだ来ますか』
礼を言うエスターの後にカトルが返した後にOZの基地から出て来たモビルドールに顔を顰める。
AN『もう基地ごと破壊しますか?』
ティエリア『まだイアンと武者たちが中にいるから止めてくれ』
スメラギ《あと、破壊とかは逆に相手にこちらを潰すネタにされそうだから隙を見て脱出するの方が良いわ。あくまでデュオ達のを救出だから》
そう言うANにティエリアが止めてスメラギがそう言う。
AN『むぅ、そうですか……』
デュオ『残念がるなよ;』
不満そうなANにデュオはツッコミを入れる。
一方で内部の方では
イアン「あ、あなた方は!?」
ドクターJ「久しぶりだな、イアン。元気そうで何よりだ」
プロフェッサーG「最後に会ってから、20年近くは経つかな?」
OZ兵を潜り抜けながらたどり着いた場所にいたヒイロ達のガンダムを造りあげた科学者達に驚くイアンにドクターJとプロフェッサーGが代表で言う。
騎士「知り合いですか?」
イアン「まあな…あなた達の開発したと言うトールギスは俺の目標の一つだった…やはり、あなた方がコロニーのガンダムを開発者だったんですね」
ドクトルS「その通りだよ。イアン・ヴァスティ」
H教授「私達も驚いたよ。AEUのメカニックだった君がソレスタルビーイングに参加していたとはね」
老師O「つまり、君は私達と入れ違いだったというわけか」
コマンド「と言うことは……」
武者「そなた達はソレスタルビーイングにいたと言う事か!?」
騎士に答えてからそう言ったイアンにドクトルSが肯定してから感慨深げに言うH教授の後の老師Oの言葉にイアンとSDガンダムチームは驚く。
ドクターJ「君達の推察通りだ。我々はトールギスを製作した後、一時的にソレスタルビーイングに所属した。無論、その痕跡は完全に消去されてるがね」
プロフェッサーG「そこで5機のガンダムのプロトタイプであるウイングガンダムゼロを設計したのだよ」
コマンド「やはりウイングガンダムゼロはコロニーの方の始まりのガンダムだったのか」
イアン「GN粒子の存在を知っていたから、その対抗策も開発していたのですね」
肯定するドクターJの後のプロフェッサーGのにコマンドは納得してイアンはそう言う。
ドクトルS「我々はイオリア計画のカウンターだからね」
騎士「なんだって!?」
だが、その後のドクトルSの言葉に再び驚く。
所属していたのに所属していた組織のカウンターと言うのだ。
コマンド「ってどういう事だ?」
武者「そなたらはソレスタルビーイングに所属しておられたのだろう?」
H教授「そう驚くことではないだろう。我々はそれぞれに三大国家による世界支配を苦々しく思っていた」
老師O「いつの日か、連中に対して挑む時、ソレスタルビーイングの存在も障害になると考えるのは当然だよ」
代表で聞く武者のにH教授と老師Oはそう答える。
イアン「では、あなた達はソレスタルビーイングを潰す為に、あのウイングゼロを造ったのですか!?」
ドクターJ「そうだとも言えるし、そうでもないと言える」
コマンド「何?そりゃあどう言う意味だ?」
驚いて聞くイアンへと返したドクターJの言葉にコマンドは顔を顰めて聞く。
プロフェッサーG「少なくとも当時の我々はソレスタルビーイングにゼロシステムを渡す訳にはいかないと考えたのだよ」
イアン「なぜです!?あのガンダムとイオリアの計画に何の関係があるのです!?」
その言葉にイアンは自分の疑問をぶつけるがドクトルSが時計を見る。
ドクトルS「…時間切れだ。我々も、脱出するつもりなのでな」
H教授「その答えは君達自身が見つけてくれ」
老師O「あのツインドライヴのガンダムと共にな」
コマンド「ダブルオーと共に?」
科学者たちの告げた事にSDチームとイアンは戸惑う。
ドクターJ「人類を導く者に迷いは許されない。それは他者に不安を与え、より大きな争いを生むだけだからな。だからGNドライヴとゼロシステムは距離を取らなければならなかったのだよ」
イアン「待ってください、博士!」
騎士「それはどういう意味なのです!」
ドクターJ「君達の迎えが来たようだ。では、さらばだ」
そう言って科学者達はシャトルに乗って去って行く。
イアン「博士!!」
武者「イアン殿!もう無理じゃ」
騎士「今はここから撤退しなければ!」
走り出そうとしたイアンを武者が止めて、騎士のにイアンも仕方がないと考えて向かう。
一方でデストロイやサイコなども含めたモビルドールをあらかた倒して撤退しようとティエリアがイアン達を回収するのを待っていた所でシャトルが飛び去って行くのが目に入った。
カトル『あのシャトルは…』
デュオ『ジイサン達が逃げ出したんだろうぜ。こっちの騒動を利用するとは、相変わらずのタヌキ野郎だ』
五飛『奴等と俺達はお互いを利用した。もう会う事はないだろう』
シャトルを見て呆れて言うデュオに五飛はそう言う。
イアン「(ツインドライヴシステムにゼロシステム…ソレスタルビーイングとソレスタルビーイングを抜けた者…いったいそこに何がある?それもイオリア・シュヘンベルグの計画の一部なのか…)」
ティエリア『イアン・ヴァスティとコマンドガンダム達を収納した。これよりこのエリアより後退する』
ヴァーチェの中でイアンは考え込んでいる間にティエリアは報告する。
スメラギ《各機も離脱を!》
その言葉と共にZEXISは一斉に離脱する。
プロヴィデンス「我々も離脱する」
アビス「そうだね」
それを見届けてプロヴィデンス達も退散する。
☆
なんとかカトル達を救出したZEXISは一路、暗黒大陸へ向かった地上組と合流する為にフロンティア船団に戻って補給をしていた。
補給が終わるまで自由行動を与えられてそれぞれ出かけた。
AN「ふぅ……」
私服に着替えて歩きながらANは色々と詰まったため息を漏らす。
ウイングゼロに追いかけている奴が作り上げた存在やらといまだ動かないフェニックス…極め付けに聞こえていた声…
どれもこれも悩ませることである。
ふと、ANは歩いてくる存在に気づく。
その人物はグレイス・オコナーであった。
AN「あれは……グレイスさん?」
何やら悩んでいる様子のグレイスにANはふうむと顎を摩った後に近寄る。
グレイスは悩んでいた。
自分に与えられた事とシェリルとランカにバジュラ関係なく歌い続けてほしいと言うマネージャーとしての思いが彼女を悩ませ続ける。
グレイス「(私は…どうすれば良いの…)」
AN「あの~」
悩んでいたグレイスは声をかけられて顔を上げて初めてANに気づく。
グレイス「あなたは…」
AN「私はANと言います。ZEXISに所属しております」
問うグレイスにANは名乗る。
グレイス「ZEXISの方でしたか。私は…」
AN「グレイス・オコナーさんですよね?シェリルさんとランカさんのマネージャーの」
名乗ろうとするグレイスにANはそう言い、グレイスはそうですと頷く。
グレイス「そちらは大変ですね。色んな所に出向いておられてますし」
AN「まぁ、そうですねぇ」
そう言うグレイスにANは思い出しながら頷く。
グレイス「こちらも仕事の関係で様々な所に行ったりとしてますから苦労が分かります」
AN「そちらもそちらで大変ですね。そう言えば先ほど悩んでいる様子でしたが?」
苦笑して言ったグレイスはANの問いに困った顔をする。
グレイス「ええ、ちょっと悩み事が…」
AN「悩み事ですか?……ん?」
そう言うグレイスのを聞きながらANはちゃっかりサーチした結果…彼女の体が機械だと言うのを知る。
グレイス「?どうしました?」
AN「あ、いえ……」
そんな彼女の反応に聞くグレイスにANは誤魔化す。
グレイス「?そうですか…そのさっきも言った悩み事で困っておりまして」
AN「(……まさか……)」
疑問を感じたが悩み事を言うグレイスの言葉にANはデュオ達を救出に向かう前にジェフリーとスメラギに話した事を頭に出す。
それと共にANはグレイスの上にいる者がランカを利用しようとしてるのではないかと考える。
AN「(……あれを使いますか)」
そうと決まったらとANはゼロを調べた時と同じことをする。
グレイス「あの…どうしました?」
AN「…………!?」
恐る恐る聞くグレイスだったがANはANで衝撃を隠せなかった。
ゼロの様に確かめたのだが…ゼロのとはまた違う衝撃であった。
AN「(これは……)」
ゼロがかける側だとするならば彼女はかけられた側
その頭には特殊な波動があった。
AN「(しかもこの経歴って!?)」
その後に瞬時に気づかれない様に手短な端末でハッキングして調べ上げた彼女の経歴の中から研究者だったと言うのと行われていた研究がシェリルの祖母であるマオ・ノームとランシェ・メイと言う女性と共にバジュラの研究であった。
研究者であった彼女たちはバジュラの研究により、彼らが広範囲のフォールド通信を用いて意思共有をする生物であることを発見した。
グレイスはこの意思共有能力を応用することで、全銀河の生物の集合意識を一つに纏めることができると確信するが同僚のランシェらにはそのことを反対される一方で、バジュラ襲撃により調査船団は壊滅し、グレイスも大きな傷を負ってしまい、それが原因で機械の体になったと言う。
見つけ上げたのは全て隠されていた物でANは彼女の経歴はそれ程気づかれてはならない物だろうかと考える。
グレイス「あの…どうしました?」
AN「……意識の統一……」
恐る恐る話しかけたグレイスに気づかずANはぼそりと呟いてしまう。
グレイズ「え!?」
AN「……あ」
しまったとANは焦る中でグレイスは戸惑いを見せていた。
グレイス「あ、あなたどこでそれを?」
AN「えっと……調べました」
戸惑いながら問うグレイスにANはそう返す。
嘘は言っていない。
現に今調べたのだから
グレイス「そう…」
AN「にしてもかなり凄いですね。これは」
そう言って人がいない事を確認しつつ一目が付かない場所にグレイスを引っ張ると画面を展開して見せる。
グレイス「ここまで調べ上げるなんて…」
AN「意識を一つに纏める……確かに科学者として見たら凄い発見ですよねこれは」
驚くグレイスにANは見ながら述べる。
ただ…とデータからグレイスへ顔を向けたANは厳しい顔をする。
AN「人間としては終わる研究ですね」
グレイス「っ!だけどこれは人が進むための「それに個としての可能性がありません」…」
言おうとしたグレイスだったがANの言葉に黙る。
AN「個としての可能性がなくなったら進化の可能性も少なくなります」
そんな訳ない…と反論しようとしたグレイスはANの目に言葉を失う。
それだけ彼女の目にその強さがあった。
AN「私は様々な世界を見てきました……。その中にはグレイスさんの研究と似た感じのがあった世界もありました」
グレイス「そ、その世界はどうなったんですか?」
そう言うANにグレイスはすがる様に聞く。
AN「全人類が液体になりました」
グレイス「!?」
告げられた事にグレイスは愕然とする。
自分が信じていた事が別の世界では進化ではなく滅亡を齎した事に…
グレイス「そんな…」
AN「凄い発見であろうとその使い方を誤れば文明など一瞬で消え去る運命になります。ただ発見したのをそのままになど、科学者としてやってならないと思います」
崩れ落ちるグレイスにANはそう諭す。
AN「……とまあ綺麗事言いますけど私もその一人……いや一体なんですけどね」
ふっと顔を緩めて最後はぼそりと呟いていうANにグレイスは顔を上げる。
グレイス「あなたも…?」
AN「えぇ、そうなんですよ」
そう聞くグレイスにANは頷く。
AN「意識の統一、間違えれば大変ですが、これを何かに応用すると言うのは可能があると思います」
グレイス「……え?」
するとそう言うANにグレイスは呆気に取られる。
グレイス「何かに応用?」
AN「はい、そうです」
呟くグレイスにANは頷く。
AN「例えば医療ので意識不明や植物状態の人の脳へと直接伝えるなどの事です」
グレイス「なっ……」
例で上げられた事にグレイスはそう言う手があったのかと考える。
グレイス「そういう使い方が…」
AN「他にも見知らぬ種族と会話する時とかね」
思いつかなかったと呟くグレイスにANは続けてそう言う。
それにはグレイスも分かる。
言葉を発せずや言語や言葉が分からない者達と話せる様にする為だ。
グレイス「確かにそれも…」
AN「可能ってことなんですよ」
自分が考えていたのとは違う次々の使い方にグレイスは圧倒される。
グレイス「あなた、本当に凄いわね」
AN「まぁ、知り合いの科学者さんの影響ですよ。……その人、とんでもないマッドサイエンティストですけどね」
そう言うグレイスにANは肩を竦めて言う。
ちなみに遠くで誰かがくしゃみをした。
シオニー「ANさ~ん。補給完了したとの事です!」
AN「あ、は~い」
するとシオニーが来て補給完了したのを伝えにきて、返事をした後にグレイスに頭を下げてANは去って行く。
グレイス「ANさん…ありがとう」
そんなANへグレイスは純粋に礼を述べて、自分のやるべき事の為に頑張ろうと決める。
彼女たちのマネージャーとして…