ブラック・ブレット【神を喰らう者】   作:黒藤優雨

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なんとか、一月中に投稿する事が出来ました。
今回、グダグダな所が有りますがご了承くださいm(_ _)m




第二話【戦い】

「蓮太郎のやつめぇ!急いでいたとはいえ、ふぃあんせである妾を振り落とし放置するとわ!」

 

左右に結った長く赤い髪をはためかせながら走る少女。藍原 延珠は蓮太郎に自転車から落とされた事を愚痴りながらマンションへ向かっていた。

 

「お嬢ちゃん!」

 

「なんだ!妾は急いでいるのだ!……ッ!?」

 

突然声を掛けられて脚を止める。声の発生源へと向いた瞬間、息を呑んだ。

声を掛けてきた男性は全身血まみれ、腹部は切り裂かれたように無くなっていた。普通の人間なら既に、死んでいてもおかしくないぐらいに、だ。

 

「お嬢ちゃん。道を聞きたいんだけど…」

 

「お主、自分の身体がどうなってるのか分からんのか?」

 

「え?」

 

男性は驚いた声を上げ、腹部に当てていた血で濡れた手を見つめると、思い出したかのように口を開いた。

 

「そ、そうだ…何か音がすると思って窓を開けたら…上からガストレアが…ッ!!」

 

「そうか…残念だが、お主はもう被害者から加害者になってしまう。何か言い残す事はないか?」

 

男性の身体を見る限り、出血死してもおかしくない。それで動けているという事は、ガストレアウイルスの体内侵食率が確実に50%を超えているだろう。最後の言葉でも聞こうと問うが、男性は急に腹部を押さえて、苦しみだす。

 

「た、たすけ…ッ!」

 

男性は助けを求めたが、こうなってしまっては助けようが無い。藍原 延珠はじっと男性がガストレアになるところしか見れなかった。

男性の身体を内側から破るように出てきた蜘蛛の姿をしたガストレアがこちらに狙いを定め、糸の塊を吐き出してくる。

 

「な、なんだ、これわぁ!?ネバネバするぞぉ!」

 

こちらが動けなくなったのを確認したのか、ガストレアが前脚で攻撃してくる。

咄嗟に両腕で防御したが、ガストレアの攻撃をに喰らってしまい後ろに建ててあった木の壁に吹き飛ばされてしまう。

 

ーーーーーーーーーー

 

感染源ガストレアと感染者を探していた蓮太郎は、何かがぶつかったような音を聞きつけ、路地に出る。

 

「居た!モデル・スパイダー。ステージⅠを確認、これより戦闘に入る!」

 

蓮太郎がXD拳銃をガストレアに向けて撃とうとしたら、多田島警部が拳銃を引き抜き、銃弾を二発撃ちこむ。

警部の拳銃から発射された銃弾は、ガストレアの腹部に命中した。

再度、銃撃をしようとした警部に体当たりをして銃撃を阻止する。

 

「ッ!?なにしやがる!」

 

「ガストレアに普通の銃弾は効果ねぇんだよ!興奮させるだけだ」

 

見れば、ガストレアの腹部に命中した銃弾の傷が一瞬にして再生された。

ガストレアに照準を合わせ、銃弾を一発放つ。銃弾は頭に命中し、ガストレアが悲鳴を上げた。

 

「効いてる…」

 

多田島警部は銃弾を食らって苦しむガストレアを見て、呆然としている。そして、蓮太郎の撃つ銃弾の正体に気ずく。

 

「黒い弾丸…バラニウムか!」

 

「ああ。ガストレア再生を阻害する効果を持つ金属だ。そして、こいつは単因子ハエトリグモのガストレアだ!」

 

何発か撃ち続け、予備の弾倉も使ったが、ガストレアはまだ倒れていない。

 

「くッ弾が無い!」

 

ガストレアが蓮太郎を攻撃しようと前脚を振り上げてくる。

 

「(マズイ!)」

 

「たぁッ!」

 

気合いを込めた声と同時に振り上げられた脚が吹き飛ぶ。

 

「延珠!」

 

ガストレアの脚を切った人物を確認し、驚きの声を上げる。

脚を切った延珠は、地面に着地し、流れるような動作で再びガストレアに向かって跳躍する。

 

「てぇやぁぁ!!」

 

隙が出来たガストレアを蹴りつけ、大きい図体を吹き飛ばす。

 

「大丈夫か!?蓮太郎!」

 

「ああ、問題ない。延珠は?」

 

「妾も大丈夫だ。だが、奴は少し硬いぞ…」

 

延珠へ向けていた視線を奥へ向けると、ガストレアは立ち上がっていた。

 

あのダメージを負ってもまだ戦えるとは、タフなヤツだ。

 

「硬そうだな。やれるか?」

 

「無論だ。糸にさえ気をつければ問題ない!」

 

延珠がガストレアに突撃しようと構えた瞬間だった。

 

バァンッバァンッバァンッ!

 

三発の銃声が鳴り響き、右から直撃を受けたガストレアは一瞬よろけたが脚で踏ん張り銃撃に耐える。

 

「なんだ?」

 

何が起こったのか理解が出来ず、その場に居た全員が呆然としてしまう。

 

そして、右から"何か"が飛び出してきて、ガストレアの脚を一本斬る。切断された脚は吹き飛んで延珠の前に落ちてきた。

 

「ひょえ!?」

 

延珠が素っ頓狂な声を上げ、後ずさる。

 

「なんだ…?」

 

出てきたのは、人だった。身なりは全身真っ黒。だが、問題なのはそいつの使ってる武器にあった。

 

「あいつ、随分バカデケェ剣振り回してるが……知り合いか?」

 

「いや、知らねぇよ。見たこともない」

 

そう。警部の言う通り、2メートルはあろう黒い剣を軽々と振り回している。

脚を斬った人はガストレアの反対側に回り、また脚を斬る。隙ができた腹に向かって切っ先を突き刺し、頭にかけて切り込みを入れる。

ガストレアが自分の身体に傷をつけた犯人に糸を吐こうとしたが、それはその犯人の振り下ろした剣によって止められてしまう。

 

「終わったぞ…」

 

延珠が戦闘の終了を口にし、黒い人がこちらに近づいてきて容姿がはっきりと見てとれた。

服は完全的に漆黒で染まっており、服に負けないくらいの黒い髪は頭の後ろで結われている。いわゆる、ポニーテールというやつだ。肌は透き通ったように白い。ちなみに女だった。

 

「おい」

 

「な、なんだ?」

 

怒っているのだろうか、眠たそうな蒼い眼光から妙な殺気を感じる。

 

「ここの警備隊か何かか?」

 

「あ、ああ。俺は民間警備会社の里見 蓮太郎だ。お前は?」

 

「フェンリル極致化技術開発局所属ブラッド隊の黒藤 夜鈴だ」

 

「( フェンリル?ブラッド?聞いたことない名前だ。)」

 

「外から来たのか?」

 

「外……まぁそうだな。君は?」

 

「妾は藍原 延珠!蓮太郎のイニシエーターにして相棒のふぃあんせである!!」

 

と、言いながら身体に抱きついてくる。

 

「最後のはいらんだろ」

 

いつもの事なので、適当にあしらって頭をボリボリと掻く。

 

「そう言えば、スーパーに急いでいたのではないのか?」

 

「あ、そうだった!!」

 

延珠の言葉によって今日のミッションを思い出し、脱兎の如く走り出す。延珠もその後に付いてくる。

 

「お、おい!どこ行くんだー!」

 

突然走り出した俺たちに向かって多田島警部が大声を上げてくる。

 

「今日はもやしの特売なんだよ!急がねーと売り切れちまう!」

 

そう言い残し、角を曲がってスーパーへと急ぐ。

 

ーーーーーーーーーー

 

「ご協力感謝します」

 

「どうも」

 

警官とのやり取りを終え、椅子に座っているユウの下へ行く。

 

顔を上げこちらに気づいたユウが、立ち上がって歩いて来る。

 

「どうでした?」

 

「ああ、なんかこんなの貰った。」

 

制服のポケットから茶色い封筒を取り出して見せる。なんか妙に厚い。

 

「それ、なんですか?」

 

「報酬だそうだ、ここではこういった感じなのか……?」

 

極東とはまた違った配給の仕方だと、思いながら封筒をポケットに戻す。

 

「さて、行くか」

 

「え、ど、どこへ?」

 

「ちょっと、目的地」

 

用を済ませた警察署を後にする。

 

ーーーーーーーーーー

 

「で、何か言い残すことはあるかしら?里見君。」

 

今、目の前に椅子に座って腕組みをしている制服を着た長い黒髪が美しいこの女性は、この天童民間警備会社を営んでいる天童 木更である。

 

「過ぎたことはしょうがねーだろ」

 

「こんの…おバカ!」

 

身を乗り出して繰り出されたパンチを頭を下げて回避する。

 

「なんで、避けるのよ!腹立たしいわね!」

 

「無茶言わないでくれよ!今回は、イレギュラーがあって……」

 

「他の民警に手柄を盗られたことかしら?」

 

「知ってたのか…」

 

変な汗をかきながら、言おうとした事を先に言われてしまい。さらに、汗をかいてしまう。

 

「どうするの?今月ピンチなのよ?これもそれも、里見君が甲斐性なしの所為だわ……」

 

「悪かったって…」

 

「いっその事、里見君が天童民間警備会社此処にありー!って燃えるか爆発してきなさい!!」

 

「それじゃあ、ただのテロだろ…」

 

人差し指を向けてくる木更さんに呆れながらもツッコミを入れていく。

 

グゥゥという音と共に木更さんが腹を押さえた。

 

「もう、ヤダ。ビフテキ……食べたい……」

 

「俺も食べたいよ…」

 

二人して落ち込み、その場の空気が淀んだように重かった。と、それを破ったのはコンコンと事務所の扉を叩く音だった。

 

「ん?誰かしら…どうぞー」

 

木更さんが返事をし、扉を叩いたと思わしき人物が扉を開けて入室してくる。その人物は……

 

「あんた、さっきの!?」

 




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次回の投稿は、来月になります。
※オリジナル要素をどんどん含んでいきます。

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