問題児達と錬金術師×2が来るそうですよ?   作:射水 終夜

8 / 67
三週間ぶりの投稿ですね

「そうだな」

「まあ、不定期更新のタグあるから問題ないけどね」

そうですね。それでは、本編をどうぞ!


第6話 ギフトカードだそうですよ?

「うう·····まさか私まで濡れる事になるなんて」

濡れた服やミニスカートを絞りながら水路から上がってきた黒ウサギが呟いた。

「等価交換だね」

「等価交換だな」

「等価交換なの?」

『等価交換やと思うでお嬢』

悲しげに服を絞る黒ウサギ。

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たという事は······遂に黒ウサギが私のペットに」

「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

「ええーと。まず黒ウサギちゃんが白夜叉ちゃんのペットになり「何勝手に捏造しているんですか!!」」

「おお、おんし中々ノリがいいのう!名をなんというんだ?」

「コーキ・C・マユズミだよ。よろしくね、白夜叉ちゃん」

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。

白夜叉は新たな同士(黒ウサギを弄る方)見つけ、快くして店に招く。

「さて、話があるのなら店内で聞こう」

女性店員に睨まれながら暖簾をくぐると店の外見にしては不自然な広さの中庭に出た。

正面玄関を見ると、ショーウィンドに様々な珍品名品が並んでいる。

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

そのまま中庭を進み縁側で足を止める。

障子を開けると中はやや広い和室だった。

白夜叉は上座に腰を下ろし、大きく背伸びをしてからカズマ達に向き直った。

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構える“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ」

「質問があるんだけど、外門って何?」

元気にコーキが問う。

「箱庭の階層を示す外壁にあるもんですよ。数字が若いほど都市の中心に近く、同時に強大なギフトを持つ人達がすんでいるのですよ」

黒ウサギは上空から見た箱庭の図を描いて見せた。

「·····超巨大玉ねぎ?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「そうだね~、どちらかと言うとバームクーヘンだね」

「バームクーヘンか。箱庭もあるのか?」

「あるんじゃない。今度探そう」

見も蓋もない感想というか後半2人のバームクーヘンの話に肩を落とす黒ウサギ。

「ふふ、上手いこと例える。ああ、ちなみにバームクーヘンは箱庭にもあるぞ。そしてその例えならここはバームクーヘンの一番薄い皮にあたる。更に言うと東西南北の区切りの東側で、外門のすぐ外は“世界の果て”がある。そこにはコミュニティに所属していない、その水樹の持ち主などの強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ」

白夜叉は薄く笑い黒ウサギの持つ水樹の苗を見る。

「して、一体誰が、どのよう――――――――」

ここまで聞いてカズマは、早く目的を終わらして本拠にいきたいと考えて話を聞き流し始めた。

要するに長い話に飽きたのだ。

次にカズマが認識した言葉は

「――――――――私にギフトゲームで挑むと?」

と高らかに笑う白夜叉の言葉だった。

は?、何故こうなった?いきなり幹部に喧嘩売るなんてシニタイノ?

と疑問を浮かべながらもそれが無謀だと判断する。

「え?ちょ、ちょっとお三人様?」

黒ウサギもどうやら理解出来てないらしい。

コーキは、その隣で次の展開にワクワクしていた。

完全に傍観者である。

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」

「ノリがいいわね」

「しかい、ゲームの前に一つ確認しておくことがある」

「なんだ?」

白夜叉は“サウザンドアイズ”の旗印が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

 

「おんしらが望むのは“挑戦”か――――――――もしくは“決闘”か?」

 

刹那、視界に爆発的な変化が起きた。

視覚は意味をなくし、様々な情景が脳裏で回転し始める。

白い雪原と凍る湖畔――――そして、水平に太陽が廻る世界に投げ出された。

「.・・・なっ・・・!?」

「すご~い!!」

「これが“サウザンドアイズ”幹部の力か」

余りの異常さに、十六夜達は同時に息を呑み、コーキとカズマは感嘆の声を上げた。

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”――――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは“挑戦”か?それとも対等な“決闘”か?」

しばしの静寂の後·····諦めたように笑う十六夜が、手を上げて

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるという事なのか?」

「ああ、今回は黙って試されてやるよ、魔王さま」

「く、くく·······して、他の童達も同じか?」

「······ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

「右に同じ」

苦虫を噛み潰した表情で返事する耀と飛鳥。

「僕は元々白夜叉ちゃんと決闘する気なんて無いから、いいよ~」

「俺もそこまで自惚れてない」

満足顔のコーキと相変わらず淡々と言うカズマ。

その時、彼方にある山脈から甲高い叫びが聞こえた。

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

「ふむ····あやつか。おんしら五人を試すには打って付けかもしれんの」

山脈の方を向き、チョイチョイと手招きをする白夜叉。

すると鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣が風の如く現れた。

「グリフォン······嘘、本物!?」

「フフン、如何にも、あやつこそギフトゲームを代表する獣だ。さて、肝心の試練だがの。おんしら五人とこのグリフォンで“力”“知恵”“勇気”の何れかを比べ合い、背に跨がって湖畔を舞う事が出来ればクリア、という事にしよう」

白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出すと、虚空から“主催者権限(ホストマスター)”にのみ許された輝く羊皮紙が現れる。

 

『ギフトゲーム名 “鷲獅子の手綱”

 

・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

久遠 飛鳥

春日部 耀

カズマ・N・エノモト

コーキ・C・マユズミ

 

・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”の何れかでグリフォンに認められる。

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の元、ギフトゲームを開催します。

“サウザンドアイズ”印』

 

「私がやる」

耀は読み終わるとピシッ!と挙手をした。

『お、お嬢·····大丈夫か?なんや獅子の旦那より怖そうやしデカイけど』

「大丈夫、問題ない」

「ふむ。自信が有るようだが、コレは結構な難物だぞ?失敗すれば大怪我では済まんが」

「大丈夫、問題ない」

キラキラ光る耀の目を見て十六夜と飛鳥は苦笑いを漏らす。

「OK、先手は譲ってやる。失敗するなよ」

「気を付けてね、春日部さん」

「あ、ちょっと待って耀ちゃん」

コーキは、耀を止めるとカズマの方を向いた。

カズマはコーキの顔を見ると無言で頷くと、チャックを開けて着ていたパーカーを脱いだ。

そのパーカーを耀に渡さずに後ろを向くとしゃがんだ。

コーキ以外は、てっきりパーカーを耀に渡すと思ったので頭に?が浮かび上がった。

カズマを見ているとガリガリと地面を削る音が聞こえて来た。

そして、ピカッ!と青白く光るとカズマはこちらを向いた。

カズマの手にはさっきと少しデザインが変わったパーカーを持っていた。

「ほらよ」

「えっと、その、ありがとう」

「気にするな。提案してきたのはコーキだ」

「さすがにその格好で山頂は寒いからね~。頑張ってね!」

「うん、頑張る!」

耀はそう言うとパーカーを着て、グリフォンに駆け寄っていった。

「どうやらサイズの方は問題ないが袖が少し長かったらしい」

「そうだね~。少し余ってるね」

そんな話をして耀とグリフォンを見ていると飛鳥が質問をしてきた。

「カズマ君さっき後ろ向いて何をしていたの?」

「別に。パーカーのサイズを合わせてただけだが」

「だけど、何か光ってたわよね?」

「錬成反応の光だな」

「錬成反応??」

「まあまあ、それについてはまた後でにして耀ちゃんの応援しよう」

コーキもカズマも今はしゃべる気がないと理解した飛鳥は耀の方に意識を向けた。

 

 

 

結果を言うとこの勝負は耀が勝った。

が、勝利が決定した瞬間耀の手から手綱が外れた。

『何!?』

「春日部さん!?」

助けに行こうとした黒ウサギを十六夜が止める。

「待て!まだ終わってない」

フワッと、耀の体が翻る。

慣性を殺すような動きはやがて落下速度を衰えさせ、遂には飛翔させた。

ふわふわと不馴れな飛翔を見せる耀に十六夜が近寄った。

「やっぱりな。お前のギフトって、他の生き物の特性を手に入れる類だったんだな」

「····違う。これは友達になった証」

さっきから興味津々に見てくる十六夜の視線をふいっと避ける。

すると三毛猫が駆け寄ってきて心配そうに耀に問う。

『お嬢!怪我はないか!?』

「うん、大丈夫。指がジンジンするのと服がパキパキになったぐらい」

三毛猫を優しく撫でていると思い出したようにカズマの所に行き、パーカーを脱いで渡した。

「ありがとう。パーカーがあったから楽だった」

「そうか、役に立って良かった。そして、おめでとう」

そう言うとカズマと耀はパシッとハイタッチをした。

パチパチと拍手が聞こえた。

向こうを見ると白夜叉が拍手をし、グリフォンが感嘆の眼差しで見つめていた。

『見事。お前が得たギフトは、私に勝利した証として使って欲しい』

「うん、大事にする」

「·····ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天性か?」

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげ」

「木彫り?」

『お嬢の親父さんは彫刻家やっとります。親父さんの作品でワシらとお嬢は話せるんや』

「ほほう·········彫刻家の父か。よかったらその木彫りを見せてくれんか?」

白夜叉は渡された手のひら大の木彫りのペンダントを見て、顔をしかめる。

飛鳥も十六夜もコーキも黒ウサギも集まって鑑定を始めた。

ただ一人、カズマだけが鑑定に参加しなかった。

彼は耀のサイズに合わせたパーカーを錬成して元のサイズにし、直ぐに着た。

そして今もワー、キャー、ワー、キャー騒いで鑑定をしている十六夜達が終わるのを待つことにした。

別にカズマは恥ずかしいとかそんなのではなく、ただ単に彫刻とかの美術品に興味がないのだ。

だって、彼は実用性があるものを割りと好むのだから。

 

 

「どれどれ······ふむふむ······うむ、五人ともに素質が高いのは分かる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」

「企業秘密」

「右に同じ」

「以下同文」

「僕達はただの」

「突然変異だ」

「うおおおおい?それじゃ話が進まんだろうに。しかも、後ろの二人は突然変異にもほどがあるじゃろ!」

「別に鑑定なんていらねえよ。人に値札貼られるのは趣味じゃない」

困ったように頭を掻いた白夜叉は、突如妙案が浮かんだようにニヤリと笑った。

「ふむ。何にせよ“主催者(ホスト)”として、試練をクリアしたおんしらには“恩恵(ギフト)”を与えねばならん。ちょいと贅沢だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

白夜叉がパンパンと柏手を打つと五人の眼前に光輝く五枚のカードが現れる。

カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明(コード・アンノウン)

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム“威光(いこう)

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム“生命の目録(ゲノム・ツリー)”“ノーフォーマー”

ブラックブルーとライトブルーのコントラストに彩られたカードにカズマ・N・エノモト・ギフトネーム“錬金術(アルキーミア)”“加速者(アクセラレイター)

クリムゾンレッドのカードにコーキ・C・マユズミ・ギフトネーム“錬金術(アルキーミア)”“偽物は本物(フェイク・イズ・オーセンティック)

 

黒ウサギは驚いたような、興奮したような声で言った。

「ギフトカード!」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「お札?」

「商品券?」

「ち、違います!このギフトカードは顕現しているギフトを収納出来る超高価なカードですよ!」

「つまり、レアアイテムってことだね」

「レアアイテムなんて物じゃありません!超レアアイテムなんです!」

黒ウサギは、どうにかしてギフトカードの価値を説明している。

「もしかして水樹って奴も収納出来るのか?」

何気なく水樹にカードを向けると光の粒子になってカードの中に呑み込まれた。

「おお?面白いな」

「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定をせずともそれを見れば大体のギフトの招待がわかると言うもの」

「へえ?じゃあ俺はレアケースってわけか?」

ん?と白夜叉が十六夜のギフトカードを覗きこんだ。

「いや、そんなバカな」

雰囲気が尋常ならざるものになった。

「“正体不明”だと······?ありえん、全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすなど」

「その“ラプラスの紙片”が全知ってことじゃないんじゃない?」

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはその方がありがたい」

 

 

近くでここやり取りを見ていた黒ウサギは、コーキが言っていた“獣になれる、獣のじゃないギフト”について気になり、コーキにギフトカードを見せてもらうことにした。

「あの~、コーキさん。ギフトカードを見せて頂いてもいいですか?」

「ん~?別にいいけど」

黒ウサギはコーキからギフトカードを受けとるとさっそくギフトネームを見た。

 

 




錬金術師たちの雑談部屋


はい、皆さん今回からタイトルを『錬金術師たちの雑談部屋』に変更しま~す
よろしくお願いします

「本当に考えて変えちゃったよこの人」

「だな」

あれあれ~、何ですかその反応。前回の宿題をちゃんとやっただけですよ

「別にー、気にしなくていいよ(笑)」

何ですか(笑)って

「そんなことよりゲスト」

あ!まだ紹介していませんでした
それでは今回のゲスト、ジン=ラッセル君でーす

「どうも、ジン=ラッセルと申します。今日はどうぞよろしくお願いします」

はい、どうも。こちらこそよろしくお願いします

「よろしくね!ジン君」

「よろしく」

「ところで、今回の本編には僕は出ないんですけどここに居ていいんでしょうか?」

そこは気にしないでください。あえて本編に出ないジン君を選んだんですから

「はぁ、そうなんですか?」

「俺も知らない」

「さて、今回はなんについて話すの作者?」

今回は、お二人のギフトカードの色についてです

「色ね~」

「カズマさんがブラックブルーとライトブルーのコントラストでコーキさんがクリムゾンレッドでしたね」

「その通りなんだけど、何で僕が赤?普通ならカズマが赤系色でしょ」

「あっ、それ思った」

「確かにカズマさんのキャラ設定では、赤と黒がイメージカラーですもんね」

「おっ、さすがジンくん。なかなか作者のマル秘オリキャラプロフィール帳を読んでいるね」

い、いつの間に私のメモ帳を読んだのですか!?

「えーと、コーキさんに渡されました」

あなたが犯人ですか!コーキさん!

「ゴメン、ゴメン。そう怒らないでよ。僕だって悪気があってやったんだから」

あ、そうですか。そうですか。悪気があってやったのですかなら、許すわけないでしょ!!コンニャロー!

「そろそろ、話を戻すぞ」

そうですね。時間もありませんし。コーキさんには本編で酷い目にあってもらって

「何気に身の危険を感じるよ、作者」

ええと、まずカズマさんが何故赤系色じゃないか気になった方もいるかもしれませんが

「ねえ、無視?」

これは、私の友達が考えた色なのです。まず、青色は冷静な性格を表します。そして、ブラックとライトのところはカズマの時には、冷酷なところと明いところの二面性を表しています

「なるほど。ギフトカード色で性格を表しているんですね」

「確かに言われてみれば」

「じゃあさ、じゃあさ。僕はどうなの?ねえ、僕は?」

そう、急かさないでください。コーキさんのクリムゾンレッドは·······実は私も知りません

「知りませんってなんだ?」

「そうだよ。また作者の友達にでも決めてもらったの?」

あ、いえ。友達が決めたことはあってるんですがこの色を決めたのが
コーキ・C・マユズミの製作者なんですよ

「えっ?僕というオリキャラって作者が作ったんじゃないの!?」

「なるほど。だから色々手抜き設定があるのか」

「確かに作者さんが作っていないから設定が不十分なところがあるのも頷けます」

ああ~、というわけで次回のこのコーナーはコーキさんについて話をする予定です

「何気に次回予告をしてる。にしても知らなかったな~」

「だな。まさか生みの親が違うとは思わなかった」

「ですね」

それでは、次回も
「「「見てください!」」」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。