インフルエンザが流行ってきましたね
さっそく風邪をひいて寝ている終夜です
さて、投稿の冬休み(私が勝手に作りました)も終わって今回から通常投稿していくのでよろしくお願いします!
それでは、本編をどうぞ!
“煌焔の都”、レンカのセーブハウス
「ただいま~」
と陽気声で言うと、
「お帰りなさい、レンカさん。そ、それと皆さん···いらっしゃい···です」
中から鮮やかな蒼の漢服を着た少女が出てきた。
「今回もまた世話になるんな。仲間共々よろしく頼む」
「は、はい!···また皆さんに会えて嬉しいです。よ···よろしくお願い、します」
と挙動不審になっている彼女は唯一のレンカのコミュニティのメンバー、名を
天帝(中国の最高神)と西王母(女神で仙人の長)の娘という超弩級サラブレッドなエリート仙人である。
と言っても、中身は外見年齢通り16歳のまだまだ夢見る少女。
そして、さっきから喋り方がちょっと変なのはレンカ以外に超人見知りであるからだ。
「そんじゃみんな、上がって上がって。コウちゃん、みんなにお茶お願い」
「はい、わかりました」
「お茶などよりも先に部屋に案内してくれ。いい加減人の姿をしているのは疲れた」
「ん、そうかい。なら、おいちゃんが案内しよう。今回もグライア専用の部屋を作ってあるんだ」
そう言ってレンカはグライアを連れて二階へ上がって行った。
残った5人は公主の案内でリビングに向かった。
それぞれが適当に座り寛ぎ始める。
「あ、あの···みなさん。お風呂も沸かしておきましたので、お入りになりたい方はどうぞ」
と緊張しきった声がキッチンからした。
「レディファーストとか言うわけじゃないけど、入って来たらいいんじゃないか白?」
「鏡磨がそう言うなら、私が白ちゃんと二人きりで「いや、僕は結構だよ」」
何故か応えるリンの声を遮って白は言った。
「夕食の後にでもゆっくり入るから」
「ええ~、何で?せっかく鏡磨が言ってるんだから入ろうよ。あんまり人の優しさを無下したら失礼だよ、白ちゃん」
「リン。お風呂にそんなに入りたいなら、今から一人で入って来て良いですよ?」
「白ちゃんがいないと意味ないの!」
「私は後でゆっくり浸かるのでいいです」
「じゃあ、私もその時一緒に入るね」
「いや、入れませんからね?リンと一緒に入ったら変なところ触ってくるでしょう」
「あれは純粋に体を洗ってあげているだけだよ。そういうところに汚れって貯まりやすいんだから。仕方ないよ。うん、仕方ない。下心とか全くない。そこでちょっと手が滑ってエッチなハプニングが起きるのも仕方のないことなんだよ、白ちゃん」
「ハプニングとか言っとけば何でも許されると思わない方がいいですよ、リン」
「テヘッ☆」
と笑って誤魔化すリン。
白はやれやれといった感じで肩をすくめた。
「アウラさんはどうします。先入りますか?」
「私も白と同じで後でいいわ。ですから、殿下。入浴されて来たらどうでしょうか?」
「そうだな。誰も入らないというものせっかく風呂の準備をしてくれていた竜吉公主に悪い」
「そ、そんな気にしなくていいですよ、殿下さんっ。後で入ってもらえるのならそれで···」
「いいんだ。丁度、誰も入らないなら入ろうと思ってたんだ。いくぞ、鏡磨」
そう言って殿下はソファーから立つと、リビングを出ていった。
「そんじゃあいつも通り風呂入ってくるよ、白」
鏡磨も立ち上がってリビングを――
「うん、ごゆっくり。今度は僕とお風呂入ろうね、鏡磨」
ずっこけそうになりながら出ていった。
その時背中越しに禍々しいオーラを感じたが、振り向いて確認するのが恐かったので無視した。
(何でいつも鏡磨だけ···!私は一回も誘われたことないのに!しかも、あの男私なら即OKって返事することなのに何も言わずに行きやがった。自分がどんだけ幸せか分かってないみたい。ああ、羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨まし過ぎて憎い)
「リン。どうしました?怖い顔してますよ」
「わっ!」
気づくと至近距離に白の顔があってびっくりした。
白はその反応に疑問符を浮かべながらもリンの瞳を覗いて来る。
その綺麗だけど闇を抱えた碧い瞳についドキッとしてしまう。
リンの瞳には白だけが映り、白の瞳にはリンしか映していない。
そんな状況がずっと続けばいいと思う。
でも、このまま何も応えないのは白に悪い。
「ううん、何でもないよ白ちゃん!ちょっと呪ってただけだから」
「何だ、呪ってただけですか」
「そうそう♪」
「なら、良かったです」
そう言って二人は笑い合う。
「知らぬが花と言うか···。白はいつになったら気づくのかしら?」
そんな光景を見ていたアウラはそう呟いた。
「何か面白いことでもあったのかい?結構結構。若い子は笑顔が一番」
グライアの案内が終わったレンカがリビングに入って来た。
「あの、お待たせしてしまってすみません···」
と丁度お茶の準備を終えた竜吉公主が、お茶とお茶菓子を持ってきた。
「ああ、悪いけどコウちゃん。おいちゃんの分のお茶はいらないよ」
「どこかお出掛けになるんですか?」
「借りてる工房ににね。白ちゃん、おいちゃんが頼んでた物あるかい?」
「ええ、もちろん。正直、
「それは仕方ないさ。神珍鉄は伸縮性が高いからね。少しくらい無くなっても問題ないのさ」
「とりあえず、お約束してました品です」
白は懐から15cm定規ほどの大きさをした紅い金属片をレンカに渡した。
レンカは受け取ると、その金属片を裏返したりして観察する。
「うん、間違いなく神珍鉄だ。というわけで、おいちゃんは今晩いないから」
「でしたら、お夕食はどうなさるんですか?」
「んー、多分集中しているから――」
「了解いたしました。でも、――」
そんな会話をしながら竜吉公主はレンカを見送るためにリビングを出ていった。
まもなくして、
「いってらっしゃい。良い物が出来ることを祈っております」
「おう!行ってきます」
という声と扉の閉まる音がした。
竜吉公主はリビングに戻って来ると、何も乗っていないお盆を見て驚いた。
「えっ?一つ余るはずなのに···」
用意した湯のみは自分の分も入れて全部で五つ。レンカの分も淹れてたので一つ余るはずだ。
「何を慌てているのかしら?」
とアウラが聞いてくる。
「い、いえ、レンカさんを含めてお茶を淹れたのに無くなってて···」
「全部でいくつ?」
「五つです」
「なら、丁度ここにいる全員分よ」
「ほえっ?何を言ってるんですか···?」
「信じられないなら、単純に数えなさい」
そう促されて慌てて人数を数える。
「アウラさん、リンちゃん、白ちゃん、白ちゃん。そして、私。――ん、白ちゃんと白ちゃん···?」
竜吉公主は自分の目を疑って、一度目を擦る。
そして、もう一回見る。が、幻覚は消えない。目の錯覚でもなさそうだ。
竜吉公主の目の前で
「ええええぇぇぇぇええええ!!???」