問題児達と錬金術師×2が来るそうですよ?   作:射水 終夜

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「お気に入りしてくれた人ありがとね~」

では、本編どうぞ


第3話 箱庭の中だそうですよ?

「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れて来ましたよー!」

と黒ウサギは手を振りながらダボダボのローブを着ている少年に近づく。

「お帰り、黒ウサギ。そちらの4人が?」

「はいな、こちらの御5人様が・・・」

クルリ、と振り返る黒ウサギ。

カチン、と石像のように固まる黒ウサギ。

「・・・え、あれ?もう1人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺問題児!”ってオーラを放っている殿方が」

「十六夜君なら“ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”って走って言ったよ。あっちに」

とコーキが指さすのは上空4000mから見えた断崖絶壁。

街道の真ん中で呆然となった黒ウサギは、ウサ耳を逆立て問いただす。

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

この疑問には、コーキが

「“止めてくれるなよ”って言ってたから」

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

この訴えには、飛鳥が答えた。

「“黒ウサギには言うなよ”と言われたもの」

「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう!」

「「うん」」

とカズマと耀が頷く。

無表情どうし息がピッタリだった。

黒ウサギが前のめりに倒れる。

そんな黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になって叫んだ。

「た、大変です!“世界の果て”にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

「幻獣?」

「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に“世界の果て”付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」

「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」

「ゲーム参加前にゲームオーバー?・・・斬新?」

「墓は、石と十字架どっちがいいと思う?」

「僕は十字架の方がいいと思うよ」

「勝手に死んだことにしないでください!」

ジンは怒るが4人とも肩を竦めるだけである。

黒ウサギはため息を吐きながら立ち上がった。

「はぁ・・・ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御4人のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「わかった。黒ウサギはどうする?」

「問題児を捕まえに参ります。事のついでに――――“箱庭の貴族”と謳われるこの黒ウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」

黒ウサギは怒りのオーラを出しながら髪を黒から緋色へ変えた。

「ああ、ちょっと待って!僕もついて行く」

「別に構いませんが黒ウサギは凄く速いですよ」

「そうなの?なら、みんなに僕の隠し芸を見せてあげる!」

コーキは手を広げて4人の注目を集める。

4人中2人は頭に?を浮かべ、残りの2人は少し期待をした目でコーキを見る。

その瞬間、コーキの姿がグニャリと歪んで1匹のチーターになった。

「それがコーキ君のギフト」

「“獣”のギフトですね、ジン坊っちゃん」

「うん、そうだね」

「こんなのもギフトと言うのか」

『どう?ビックリした!スゴいでしょ』

「YES、なかなかの格の高い“獣”のギフトです!」

『違うよ、これは“獣”のギフトじゃないよ』

「えっ、そうなんですか?でも、どっから見ても・・」

黒ウサギがコーキを観察していると

「なぁ、お前ら十六夜のこと忘れてないか?」

とカズマが言った。

「はっ、しまった!完全に十六夜さんのこと忘れていました。それではコーキさん行きましょう」

『了解~』

「1刻程で戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」

と言うと黒ウサギとコーキは弾丸のように飛び去り、4人の視界から消え去っていった。

「·········。箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」

「コーキも普通のチーターより、速くて凄い」

「普通じゃないからな、あいつも」

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが······」

飛鳥は心配そうにしているジンに向き直り、

「十六夜君のことは彼女達に任せて、私たちは先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢11になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。3人の名前は?」

「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」

「春日部耀」

「カズマ・N・エノモト」

カズマと耀と飛鳥はジンに一礼した。

「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせくれると嬉しいわ」

飛鳥はジンの手を取り、カズマと耀はそのあとに続くように箱庭の外門をくくった。

 

 

箱庭に入ると4人と1匹の頭上に眩しい光が降り注いだ。

『お、お嬢!外から天幕の中に入ったはずなのに、お天道様が見えとるで!』

「……本当だ。外から見たときは箱庭の内側は見えなかったのに」

上空から見た時、箱庭の町並みは見えなかった。

だというのに都市の空には太陽が見える。

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの巨大な天幕は太陽の光を直接受けられない種族のために設置されていますから」

「それはなんとも気になる話ね。この都市には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

「え、居ますけど」

「本当にいるんだな」

とカズマが呟き、飛鳥は複雑そうな顔をした。

4人と1匹は身近にあった“六本傷”の旗を掲げるカフェテラスで軽食を取ることにした。

「いらっしゃいませー。ご注文はどうしますか?」

注文をとるため、店の奥から猫耳の少女が飛び出してきた。

カズマ、飛鳥、耀はその猫耳店員を黒ウサギと同系統として処理したので驚かなかった。

「えーと、紅茶を2つと緑茶を1つとカフェオレを1つ。あと軽食にコレとコレと」

『ネコマンマを!』

「はいはい ティーセット4つにネコマンマですね」

ん?と飛鳥とジンとカズマが首を傾げた。

しかしそれ以上に耀が驚いていた。

「三毛猫の言葉、分かるの?」

「そりゃ分かりますよー私は猫族なんですから。お歳の割に綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせてもらいますよ。」

『ねーちゃんも可愛い猫耳に鉤尻尾やな。今度機会があったら甘噛みしにいくわ』

「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」

「箱庭ってすごいね、私以外に三毛猫の言葉が分かる人がいたよ」

『来てよかったなお嬢』

「ちょ、ちょっと待って。貴女もしかして猫と会話ができるの?」

動揺した声の飛鳥に、耀はコクリと頷く。

「羨ましい」

とカズマが言うと飛鳥、耀、ジンまで動きが止まるとクスクスと笑い初めた。

カズマが3人を少し睨みながら

「何で俺を見て笑う?」

「い、以外だったからよ。カズマ君が見た目にに似合わず猫と話がしたいなんて」

「悪かったな」

「ふふ、しょうがないよ。だってカズマ赤目だし目つきが悪くて怖いから」

それは、カズマも自覚していることだから何も言い返せない。

「ところで、耀さんのギフトは猫以外にも意思疎通は可能なんですか?」

とここでジンが助け舟を出した。

「うん。生きているなら誰とでも話はできる」

「そうは素敵ね。じゃあそこに飛び交う野鳥とも会話が?」

「うん、出来……る?ええと、鳥で会話したことがあるのは雀や鷺、不如帰ぐらいだけどペンギンがいけたからきっとだいじょ」

「ペンギン!?」

「う、うん。水族館で知り合った。他にもイルカとも友達」

「し、しかし全ての種と会話可能なら心強いギフトです。この箱庭において幻獣との言語の壁というのはとても大きな壁ですし」

「そうなんだ」

「一部の猫族や黒ウサギのような神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疎通は可能ですけど、幻獣達はそれそのものが独立した種の一つです。同一種か相応のギフトがなければ意思疎通は難しいと言うのが一般です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも全ての種とコミュニケーションをとることはできないはずですし」

「そう・・・春日部さんは素敵なギフトを持ってるのね。羨ましいわ」

飛鳥に笑いかけられると、耀は困ったように頭を掻く。

対照的に飛鳥の声は憂鬱そうだった。

飛鳥と出会ってすうじかの間柄だが、カズマも耀も彼女らしくないと思った。

「久遠さんは」

「飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん」

「う、うん。飛鳥はどんな力を持っているの?」

「私?私の力は・・・・まぁ、酷いものよ。だって」

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最低辺コミュ“名無しの権兵衛”のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

品のない上品ぶった声がジンを呼ぶ。

カズマが声のした方を見ると

「ブッ!」

と少し吹き出した。

それもそのはず、そのには2mを超える巨体をピチピチのタキシードで包んだ変な男がいた。

 




オリキャラ解説所

どうも、今回も始まりました「オリキャラ解説所」ゲストはこの人!

「久遠飛鳥よ。よろしくね」

はい、よろしくお願いします
今回は、雑談無しで解説に行きたいと思いま~す

「えっ、今回解説前の雑談しないの~。残念」

「どうせ、ネタがないからだろ」

はい、そこ、お静かに
では、今回の解説するところは服装です

「服装?」

「ファッションチェックみたいにやるそうよ」

「なるほど。だから、今回のゲストは飛鳥ちゃんなんだ」

「何でファッションチェックだったら、久遠なんだ?黒ウサギでもいいだろ」

「わかってないねー、カズマ。黒ウサギちゃんだったらチェックが甘いんだよ。でも、飛鳥ちゃんなら、しっかりやってくれそうだしね」

「あら、そんなこと言われたら本気でチェックさせてもらうわよ」

「望むところだよ」

何か熱くなってますねー

「そうだな」

「というわけで、カズマのファッションチェックからお願い」

「ええ、それではさっそく·····」

「何で俺からなんだよ!さっき熱くなってたコーキからにしろ!!」

「ええ~、いやだって、流れ的にカズマかな~って」

「どこの流れを読んだら俺になるんだ!!」

「はいはい、カズマ君。そんなことよりファッションチェックをしましょう」

「はあ~、まったく。俺に選択権はないんだな」

無いわけでは····無いんですけどね~

「俺は、眠いんだー」

なら、さっさと終わらしましょう

「カズマ君、そこに楽な感じで立ってみて」

「んー?こんな感じか?」

「ええ、それで結構よ」

「なんと言うか···」

「こう見るとカズマ君って···」

黒いですネー

「そうなのか?久遠」

「ええ、真っ黒ってじゃないけど全体的に黒いわ」

「ほとんどがその黒パーカーのせいだと僕は思うよ」

「ちなみに下には何を着ているのかしら?」

「赤と黒の横じまのヒートテック」

脱いでも黒がありますね
ズボンは深緑ですか

「靴も黒と赤色だね」

それではそろそろ飛鳥さんに締めてもらいましょう

「ゴホン、カズマ君は赤と黒でしかないって言っても過言じゃないわ。黒い髪、赤い眼、黒いパーカー、深緑色のズボンそして靴底が赤い靴。ほとんどがこの二色で構成されている。もう少し明るい色を増やすことをオススメするわ」

「明るい色か。今度考えておくよ」

はい、飛鳥さんありがとうございます
それでは、次コーキさん行きましょう

「おっ、いよいよ僕の番か」

「そこにカズマ君と同じ感じに立ってみて」

「りょ~かい」

「ふむふむ、なるほど。言うだけはあるわね」

「俺にとってはいつものコーキの格好だから何とも言えないな」

それなりに決まってますね

「でも、何でパーカーの上からブレザーを来てるの?」

「えっ、何でってファッションだよ。ファッション」

「まさかとは思うけど、休みの日もそれ着てるの?」

「うん、そうだけど」

「いつものこんな感じだが」

「休みの日まで、制服着ている人何か普通いないわよ!!?」

「えっ、そうなの···?」

「なら、完全学ランの十六夜はどうなるんだ」

「い、十六夜君は······例外よ。例外」

「逃げたな」

「に、逃げるなんてありえないわ」

「なら、十六夜について説明してくれ」

「ちょ、二人とも喧嘩しないで。てか、作者止めてよ」

ええーと、コーキ君の服装を詳しく知りたかったら、『終焉の栞3巻』のE記さんの絵を見て下さい

「無視な上に僕の服装手抜き!?」

それでは
「「「次回も見て下さい」」」

「色々納得いかないよー」











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