いい加減に書き溜めを作って投稿準備をしないといけなのに···
また、年末連載開始とかになるのでしょうかね
というか、二作品同時連載出来るかな~
それ以上をしている蒼鋼さんは尊敬に値しますね
それは、ともかく本編をどうぞ!
吸血鬼の古城・黄道の玉座
玉座の間に続く階段の踊り場に陣取っていた、黒いローブを纏ったアウラは水晶球で地上を覗き見ていた。
「·····殿下。“アンダーウッド”が動きました」
「そうか。そろそろ頃合いだと思っていた。迎え撃つ準備は出来ているか?」
「勿論ですわ。城下街には吸血鬼の死骸に冬獣夏草を散布してあります。苗床が良いですし、今頃は全区画を埋め尽くしているでしょう」
口元を押さえ、クスクスと笑うアウラ。殿下も頷いて返す。これに口を挟んだのは
「それ、もう全滅とかしていませんよね?炎の槍を放った者がこの古城に侵入しているのなら冬獣夏草なんて、一瞬で灰になっているかもしれませんよ」
「その話なら侵入している者はいない、という結論になったでしょう。そもそもこの城に近づけば影に襲われ、そう簡単に侵入出来ない。それに仮に影が撃破された場合は、すぐに分かるわ」
「アウラの言う通りだ。今の“アンダーウッド”の動きとつじつまが合わない。それに侵入するなら未だに城内に入ってこない何故だ?囮だとしても何のアクションがないのはおかしい」
「確かにそうかも知れませんが警戒するに越したことはないと言いたかっただけです。何があるのかが分からないのがここですからね」
この考えにリンが肯定した。
「その白ちゃんの考えに私は賛成だよ!殿下もアウラさんも頭固すぎ。もう少し柔軟にしないと」
「いや·····、リンもこの結論に反対どころか賛成していただろ?」
「賛成はしたけど、そこまでガチガチに考えてないよ。それに私やアウラさん、グーおじ様に白ちゃんの存在が知れるのはいいの」
「えっ、俺は?俺は頭数に入ってないのか~?おーい」
そう言う鏡磨を黙殺。
「でも殿下の存在を感づかれるのは危険。殿下は私達の切り札なんだから、こんなゲームで存在を知られちゃダメ。だから、この古城に参加者が侵入している可能性は絶対考慮した方がいい」
「··········。リンの話は分かった。もしも参加者が侵入していたら厄介だ。それはグー爺と白、鏡磨に任せる。二人はそろそろエンヴィーと合流し、“アンダーウッド”を叩く準備をしろ」
『承りました』
「了解しました」
「任されたぜ」
「それじゃ、殿下も気をつけてね。くれぐれも誰かに悟られないように。白ちゃんもまたね」
「ええ、頑張って来てくださいね」
バイバーイと手を振るリンに白も手を振り返した。
それを見ていた鏡磨は殿下と同じように階段に座り込む。
「それで、こっちはどうするんだ?全員で捜索するのか?」
「いや、用心する越したことはないから今回の探索をするんだ。メインはグー爺がしろ」
『御意』
「白はグー爺の補佐を。鏡磨は最終的なバックアップをしろ」
「うわっ、場合によって何もすることがない·····」
「仕方ないよ。場所が悪い」
「諦めろ、鏡磨。仕方がないことだ。······ああ、そうだ」
殿下は思い出したようにグライアに近づき、ニヤリと笑った。
「例の“生命の目録”の所持者だが。案外、ソイツが城に乗り込んで来ているんじゃないか?」
『······まさか』
「根拠はない。ただそうだったら面白いと思っただけだ」
『白、今回は手出しするな』
「ああ·····、グー爺のスイッチが入りましたね。一応、補佐しろと殿下は言いましたがいいのですか?」
「構わん。全てグー爺に任せる」
殿下はそう言うと音もなく闇に溶けて姿を消した。
「まぁ、グー爺なら私が補佐するまでもないですよね。でも、もし“生命の目録”の所持者がいたら····露払いでもか見物でもしているので安心していてください」
(ハズレでも侵入者がいるのは当たっているんですけどね)
と白は言いながら思った。
「ああ、そうしてくれ。では行くぞ」
「それじゃ、鏡磨。行ってくるよ」
白は、すぅと鏡磨に近づき頬に軽く口づけをするとグライアの後に続いて回廊の闇に消えていった。
一人残された鏡磨は口づけをされた頬に手を当てながら、
「白は相変わらずクールだな·····」
と嬉しそうに呟くのだった。
◇◇◇
“アンダーウッド”最高主賓室
「始まったようだ」
「そのようですね」
フェイス・レスは立ち上がると巨人族が攻めてきている方向の窓を見る。
「どうやら今回は前回や前々回のようには行きそうにないですね」
「そうだな。あきらかに気の数も増えている。しかも一ヶ所にこんなに····」
「およその数は?」
「10、いや20万はいる」
「貴女はどうしますか?」
「私はあの気の集まりが気になっているんだ。何か嫌な予感がする。私はそちらを確認をするつもりだ」
「そうですか。では、ご武運を」
そう言い残しフェイスは部屋を出ていった。
レーネはもう一度気を探ってみるが、やはり20万近くの気が一ヶ所に集まっておりその周りを大きな気(おそらく巨人の)が10ぐらい感じられた。
彼女はシン国で気の流れについて少し修行をしているのでこういうことがわかるのだ。
だが、彼女は自分の技術はまだまだと思っているのでそれに自信が持てない。
だから、フェイスに協力も求めず一人で確認することにした。強さにはそれなりの自信があったからだ。
「しかし、あのバカ共はこんな時にどこで何をしているんだ···」
そう呟きながらレーネは部屋を出ていったのだった。
◇◇◇
“キアラ”さんが入室しました。
キアラ:すみません。今、誰か“アンダーウッド”にいる人はいませんか?
真由美:もちろん、いますよ☆
真由美:いや~、キアラさん。今、魔王が襲来しているのにチャットなんて不謹慎ですねwww
キアラ:貴女に言われたくないですよ。というか、無事だったんですね
キアラ:死ねば良かったのに(ボソッ
真由美:あは!相変わらず、酷いデスネ
キアラ:そんなことはどうでもいいです。
キアラ:それより、今どんな状態になっているか詳しく教えてくれませんか?
真由美:はい?当事者であるからキアラさんの知っている以上のことは教えれませんよ
キアラ:そうでなく、攻略がどこまで進んでいてどんな行動をするのかを知りたいんです
キアラ:私のコミュニティはあまり大きくないのでイマイチ情報が足りないんですよ
真由美:あはははは!そうですか、コミュニティが小さいんですか!どうしよういかな~。教えてあげてもいいですけどね~wwwww
キアラ:ふざけるのも大概にしろ!今がどういう状況か分かっているんでしょう!!!??
真由美:ごめんなさい。今回は素直に謝ります
真由美:しかし、私もあまり詳しくないので推測を交えて話します
真由美:いいですよね?
キアラ:謝るぐらいなら初めから教えてください。あと、それで構いません。少しでも情報が欲しいので
真由美:では、まず現在あの浮遊している古城に拐われた人々がいるのはご存知で?
キアラ:え、そもそも古城に拐われた人ってなんですか!?
真由美:どうやら、鱗の化物が回収される時にどんな手違いか運ばれた人達がいるんです
真由美:ですので、おそらくその人たちの救出とゲームクリアを目的とした部隊が編成され、近い内に古城に向けて出発するでしょう
キアラ:それだと、残存している戦力を結集して短期決戦に出るんですね
キアラ:でも、もしもしですよ。もし、また巨人族が攻めて来たときは大丈夫なんですか?
真由美:流石にそれも想定しているでしょう。私の予想では、あの“ノーネーム”の主力が一人攻略部隊に。もう一人が防衛に回ると思っています
キアラ:それに“箱庭貴族”は防衛でしょうね。あと、フェイス・レスや暁のも防衛に回ってくれるとさらに安心できますね
真由美:どーでしょう。私、どちらもあまり知らないんですよね。だから、行動パターンが読めません
真由美:まぁ、そうそう“アンダーウッド”が攻め落とされることはないでしょうから安心してください
キアラ:はい、ありがとございます(._.)_
真由美:最後に、予想でもなんでもないことですが“ノーネーム”のメンバーが何人かもう古城に侵入しているとかなんとか
◇◇◇
“アンダーウッド”西の森
「さてと、“アンダーウッド”方はどんな感じかなー?」
エンヴィーは樹の天辺から双眼鏡で“アンダーウッド”の様子を傍観していた。
「ははは、三回目だってのにもう見張りの奴らほぼ全滅してるよ。プライドだけで根性ないなー。三回目だよ、三回目。普通な対策ぐらいするよね~♪」
双眼鏡を少し上に向けて倍率を上げる。
“アンダーウッド”の天辺では、緋色の髪の“箱庭の貴族”とリンが戦闘を行っていた。
「はぁー、あれが“箱庭の貴族”か。初めてみたな。でもいくら強力なギフトを持っていてもリンには勝てないよ、兎さん(笑)」
今度は向きを変えてみると、儀式をしているアウラと黒斑の服を着た少女が見えた。
「あのオバサン何モタモタしてるんだよ。さっさと、このエンヴィー様が盗んできた“バロールの死眼”を使えばいいのに!ん·····って、何で勧誘してんの?ああ、あれが役に立たなかったクズ魔王か。しかも、隸属されたのかよ。あーあ、そんな奴マジいらないから。さっさとしなよ。オ」
バサンと続けようとした時だった。
視界がブラックアウトした。
いや、違う。双眼鏡の拡大した視界いっぱいに何か大きいモノで遮られたのだ。
「何?」
言った時には、すぐ近くにバキバキバキバ、ズシャアア!と巨人族の大質量がぶっ飛んできた。
エンヴィーは瞬時に跳躍するし、次々飛んでくる巨体を避ける。
「アハハ!リンやオバサンの所に行かず、このエンヴィー様を狙ってくるなんてセンスあるなぁ」
本来なら、エンヴィーの役目は“バロールの死眼”を盗んで来たことで終わっていて“アンダーウッド”が潰されるのを高みの見物しているはずだったが、そうもいかなくなった。
エンヴィーは巨人族の巨体により樹木が折れ出来た剥げた地面に着地するとすぐ近くで声がした。
「お前は何だ?」
声がした方を見ると、ほんの3mほど離れた倒木の上に少女が佇んでいた。
「ん~、お姉さんこそ誰よ?そう言うのって自分から名乗るべきじゃないの?」
「私は“ウィル・オ・ウィスプ”所属、レーネ・K・エノモトだ」
「あは!こりゃすごい!北側第二位の暁のレーネだ!はっはー、そんな有名人がこのエンヴィー様に何の用?」
「エンヴィー···嫉妬か。キリスト教・カトリックの七つの大罪、嫉妬の罪の具現化か対応する悪魔、またはそれを背負った者といったところだろうか?」
「どうだろうね。お姉さんの想像に任せるよ」
「まぁ、いい。エンヴィー、君にもう一度問う。
この言葉にエンヴィーは、人を食ったような表情だけは変えずに殺気を放ち始めた。
「そんなこと、どうでもいいんじゃん。お姉さんの目の前にいるのは敵。ただそれで良いんじゃない、の!」
エンヴィーは一瞬でレーネの懐に入り込み、
「ははっ!」
右手を変化させた剣で斬りつけた。
手に肉が裂ける心地良い感覚が―――しなかった。
代わりに来たのは、キイィィンという甲高い金属音と厚い鉄板にでも斬りつけた感覚。
「確かにお前の言う通りだが、戦闘を優位に進めるにはそれだけではダメだな。ああ、それと私には基本的に刃物は通用しないから無駄だぞ」
レーネは左腕で刃を受けめながら言った。
「では、次はこちらだ」
その言うと共に右腕の力を急に抜き、身体を沈み込ませる。
力押しで斬ろうとしていたエンヴィーは前のみになってしまい、そこをレーネの回し蹴りがクリティカルヒットした。
「かはっ!!!!!」
バキ、バキバキと木に激突してはそれをへし折りながらぶっ飛ぶエンヴィー。
その姿ははまるで大砲の弾のようだった。
何本もの木を薙ぎ倒してようやく止まると、
「ゲホッ、ゲホッ·····。ああ、流石は北側第二位だ。それなりにやるようだ·····」
「おや、殺さないように手加減していたがまさか意識があるとは驚いた」
「でも·····あくまでそれなだよ、お姉さん。そんなんじゃこのエンヴィー様は殺せないよ!」
エンヴィーはまるでさっきの攻撃のダメージが無いように普通に立ち上がり、ニヤリと笑った。
「どうやら、そうらしいな。久しぶりに私も本気を出すとしよう」
「フフフ。お姉さんは刃は効かないって言っていたけど、他の攻撃は効くってことだよね?なら、それをじっくり探しながら痛めつけてボロ雑巾のようにしてやるよ」
「はっ!なら、私はその前にお前を倒すだけだ!」
「殺ってみろよ、人間!」
レーネは砲弾のように跳躍し拳を引き絞る。エンヴィーはそれをで向かい討とうと両腕を変形させる。
両者の死闘はまだ、始まったばかりだ。
どうも!今回は特に解説することもないのでさっさと終わります
レーネ:確かに主に私の解説になりそうだからな
ええ、次回はレーネさんvsエンヴィーでオールの予定です!
そういえば、番外のチャットお二人が今回は登場していましたね
レーネ:これから本編に登場する頻度は増えるのかい?
どうでしょう?彼ら彼女らは、それはそれで重要ですからね。増えるかもしれません。
それとちょっと質問なんですけど、レーネさんって何でシン国で気の修行を?
レーネ:いや、なに。錬丹術を学びに行ったんだよ。その過程でっていうか、錬丹術は龍脈を使うからな。それを感じられるようにちょっと修練していただけだ
そうなんですか。錬丹術を学びに留学したついでに身に付いたもの····すごいですね
レーネ:そうでもないさ。私なんかまだまだ素人だよ
ご謙遜を。それでは今回はここまで!
「「次回も見てください!」」
レーネ:そういえば、鏡磨君と白君のアレはなんだったんだ?
のちに説明しますが、今はご想像にお任せします