お気に入りにしてくれている方々ありがとございます
目標にまた一歩近づきました!
今回は、コーキさんの白カズマさんに対する態度がありありと分かる話でもあります
それでは、本編をどうぞ!
“アンダーウッド”街の裏路地
「久しぶりって僕は君なんかと一生会いたくなかったけどね」
「オイオイオイ、オレも随分と嫌われてたもンだなァ」
「君の3年ぶりの世間話に付き合う気はないよ。こっちも忙しいからね」
「ああ゛?“魔王ドラキュラ”のことか?」
「そうだよ、それ。単刀直入に聞く。君は後どれくらいで引っ込むの?」
「もう、オレは戻らないぜ」
「なっ!!??おい、ちょっと待て!お前が戻らないってどういうことだ!?」
「戻る必要がないンだって言ってンだよ。魂を表に出せるだけは回復したからな」
「なら、カズマはどうなったッ!?今までその身体を守ってきたカズマは!?」
「錬金術師ならもう用済みだ。必要ねェ。アイツがどうなったかは······クックックック」
その笑いが、声が僕の神経を逆撫でる。僕は苛立ちのあまりに白カズマの襟を掴んだ。
「ふざけんなっ!!!お前が瀕死で活動出来なかったから
そう僕は怒鳴ってつけたが白カズマはさっきと変わらずニヤニヤと人をバカにした目で見てくる。
「クックック、なァに熱くなってンだ、オマエは?別に誰も錬金術師を消したなんて言ってないだろォが」
「チッ。なら、カズマはまだ生きているんだな?そうなんだな?これからカズマをどうする気なんだ!?」
「だから熱くなるンじゃねェよ。ここは、箱庭だ。功績に対してそれ相応の恩恵が与えられる」
「何が言いたい?」
「等価交換、だろ?なァ錬金術師」
白カズマのニィと嗤ったこの顔が僕は最高に嫌いだ。
◇◇◇
―――眼を開けると、何も無く白い空があった。
天井を見ている、というわけではなく、ただ何も無い真っ白な空間が永遠と続いている感じだ。
頭を少し動かすと、真っ赤な彼岸花が何本も咲いていた。
どうやら、俺は彼岸花畑にでも寝ているらしい。
「死んだ·······のか?」
記憶が曖昧だがここで眼を開ける前の記憶は、炎そのものの巨人に焼き潰される瞬間で途切れていた。
では、ここはどこか。天国か地獄か。はたまた、そんな世界はなくただ永遠と続く無の世界なのか。
いや、無の世界はないな。彼岸花があるし·····。
再び視線を真っ白な空に戻すと、何かが俺を覗き込んでいた。
何か、そう何かとしか表現しようのない者。黒い粒子のようなものが輪郭を作り人の形をしていたのだ。
顔とかは無く、全て白い。輪郭の粒子が無かったらこの空間では視覚での認識は無理だろう。
というか、コイツはいつからいた?ここはどこだ?等の聞きたいことがいくつかあったがとりあえず、
「俺は死んだのか?」
「いいや、オマエは死んでねェよ錬金術師。オマエが死ぬ前に門にオレが引きずり込ンだからな。クックック」
白い何かは笑いながら答えた。
「門?引きずり込んだ?何を言っているんだ、お前は?というか、誰だ?」
「オイオイ、これで会うのは二度目だぜェ錬金術師。まァ、立ってみろよ」
その言葉に従い立ち上がってみる。そして、周りを見渡してみた。
右も左も360度真っ白な世界。あるのは、およそ直径1kmの真っ赤な彼岸花畑。
あと、少し浮遊した巨大な二枚の石板――いや、扉が存在していた。
「どォだ、少しは何か自分で理解出来たか?」
「ここは箱庭とは違う空間であること。門とお前が呼んだものはおそらくあの無地の扉。この二つは理解した。だが、お前が何なのかは解らない。もう一度聞く。誰だ?」
「オレは、オマエの“世界”。あるいは“宇宙”。あるいは“神”。あるいは“真理”。あるいは“全”。そして、オレは“
そう言いながら白い何かは俺の額を軽く小突いた。
瞬間、俺の頭の中に情報が流れ込んできた。それと同時に思い出したのは巨人に潰されそうになった時の出来事だ。
拳が振り下ろされ、目の前まで迫っていた。
終わったと思ったがその時、
「無様だなァ、錬金術師」
と声がしたのだ。
そして、一瞬のうちに光で錬成陣が描かれ、俺の身体は分解され箱庭から消失した。
「·········」
俺は流れてきた情報、記憶を整理し最適化させる。そして、呆然と自分の手をを見ながら呟いた。
「俺はカズマ・N・エノモト·····
「ああ、そォだ。オマエは“カズマ”と呼ばれた奴の死体を依り代にしたオレが、休眠状態の間に身体を守るために造った“
そんな自分の真実を聞かされたが俺は相変わらず無感情だ。普通の奴ならイカれていたかもしれない。“自分”という重要な心の柱が崩壊していくのだから。
「それにしても、驚かねェな。もう少しリアクションはとかねェのかよ、ああ゛?」
「ない。本当はお前がそう造ったんじゃないのか?」
「はっ、気づいていたのかよ。やっぱり、天然と神造の線引きは必要だろォが」
「否定はしない」
ここまでは、さっき流し込まれた情報の確認。そして、ここからが俺にとっての本題である。
「アキレス、お前がこのことを話したって役目は終わったということだな。俺は、消去されるのか?」
消去、死ではなく消去。そちらの方がしっくりくる。俺は肉体も感情もなく、終わった
だから、消去。
「そうだ。オマエはもう用済みだ。労いの言葉でも言ってさっさと消去する」
俺は予想通りの回答に、死の宣告に恐怖を感じなかった。
あるのは、無。何も感じない無機質な人形がいた。
だが、アキレスの言葉はそこで終わりではなかった。
「が、そうもいかねェ。オマエは身体を守った上に、箱庭までオレを送ってくれたンだからな。
―――お前にチャンスをやるぜ、錬金術師」
瞬間、俺の後ろにあった門がギィィと音を立てながら開くといくつもの黒い手が伸びて身体を掴んだ。
それはすごく強い力で門の中へと引きずり込もうとする。
「おいアキレス!言ってることとやってることが違うだろッ!!!クソッ、何がチャンスだ!門の中の奴を止めろッ!」
門の中ではギョロリと瞳が一つ俺を見ていた。
それは無機質な俺に何とも言えない焦りを感じさせてた。
あれは、根本的にヤバイ。ないはずものが内側に強制的に作らされる。
「オイオイ、取り乱すなんて錬金術師らしくねェぞ。クックック」
ギ、ギチギチィと門は無理やり閉じようとする。その残り僅かな隙間の向こうで、
「まァ、オレの信条は“ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん”だ。自分で勝ち取れ錬金術師」
ゴォン、門は閉じた。
『ギフトゲーム名 “DOLL ALCHEMIST”
・プレイヤー一覧
・“神造魂”カズマ・N・エノモト
・ゲームマスター
・カズマ・N・エノモト
・クリア条件
・“カズマ”を見つけろ。
・敗北条件
・十二回ゲームオーバーになった場合。
・ゲームオーバー条件
・制限時間を一時間とし、それの経過。
・戦意喪失によるゲームの続行不能。
・プレイヤー側ペナルティ事項
・ゲームオーバー毎にゲームに関する記憶をリセットする。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とゲームマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
“アキレス”印』
◇◇◇
僕はカズマの現状と彼が存在を賭けたギフトゲームの内容を白カズマに聞いた。
正直、僕にもゲームの攻略方法は解らなかったし、仮に解ったとしてもカズマを助けることは出来ない。
なら、何をする?
答えは簡単だ。
目の前のbad endへの道をhappy endに変えること。
例え、胸クソ悪い奴と協力することになっても。
というわけで、
「ねぇ、白カズマ。もう一度確認するけど、君はこのギフトゲームに参加してくれるんだよね?」
「ああ、そうだ。どォせ、錬金術師のギフトゲームが終わるまでここを離れられないからな。暇潰しに遊んでやるよ」
そこで、さっきまで水路でも見て顔を出来る限り見ないように白カズマの話を聞いていた僕は、白カズマの異変に気付いた。
「君、左目どうしたの?色変わってるし、何か文字盤が浮かんで時計になってるし」
「ああ?これか?」
そう言いながら自分の左目を指す。
僕がカズマの話を聞く前は確かに左目も右目と同じ翡翠色だった。
けど、今はカズマと同じ赤く光の無い瞳になっていて、左右で瞳の色の違うオッドアイ化している。
さらにその瞳にはギリシャ数字の文字盤が浮かんでおり、長針と短針が時を刻んでいる。
「これは、錬金術師の残り時間を表している」
瞳の指す時間は1時28分を指している。
リスポーンは12回。制限時間は一時間。
なるほど、そういう仕組み――って、針が動き出した!
「おお、錬金術師がゲームオーバーになりやがったァ。残りは10回だな。クックック」
短針と長針は回り、2時を指すと再び時を刻み出した。
カズマ·····一体何があったかは分からないが彼の精神は一度折れた。
が、そのことも忘れ彼はもう一度ゲームをリスタートする。再び精神が折られるかもしれないのに。
ホント、嫌な奴。
「まぁ、いいや。ところでこのゲームで『遊んでやるよ』とか上から目線で言ってたけど、どうやって攻略する気なの?」
そう聞くと、白カズマは空を見上げながら質問を質問で返された。
「オマエは吸血鬼どもがどォやって箱庭に来たか知っているか?」
「いや、知らないけど·····。吸血鬼って初めから箱庭にいたんじゃないの?」
「いいや、違う。吸血鬼ってのは、何らかの理由で世界を追われて来た外来種だ。そして、箱庭に来る際に奴ら一族は空を飛ぶ城と共に来たと聞いている」
つまり、このゲームの謎解きをするためには箱庭での吸血鬼の始まりの場所であるそこに行った方が良いということだ。
そして、先ほどから白カズマの視線の先には、浮遊城アインク―――もとい、浮遊している古城があった。
危ない危ない。こんな時でも、21世紀の傑作に思考がもっていかれそうだったよ(笑)
そういえば、雷鳴鳴り響く暗雲が周りを覆っているから龍の巣にも見えるな~。
ラピュタあるかな?
「が、一つ問題があるンだが······あそこまで行く手段がねェ」
··········。
「はい?」
「だから、あそこまで行く手段がねェつってンだよ」
へ?マジ何言ってんのこのカミサマ。
「君、空飛べたり走れたりしないの······?」
「オマエ、俺を何だと思っているんだ?」
ええ~、そこはカミサマなんだから何とかしてよ!この役立たず。
うん、これを口にしたら僕瞬殺されるね。
「しょうがないな~。駄神な君のためにも一肌脱いであげよう」
「テメェ、死にたいのかああ゛!?」
おっと、失言失言。ともかく、ついに僕の新しいギフトの出番のようだ。
「ちょっと、待ってて準備するから」
僕はそう言い、パチンパチンパチンと指を三回鳴らした。
これが僕の左耳に装着しているギフト、“
瞬間、ヘッドフォンから爆音が流れ出す。
リズムにビートにメロディ。
それに乗って呪いの歌が僕の脳幹を激しく揺さぶる。
呪いが記憶領域をダブダブに満たし、脳内メモリが千切れんばかりにブーストして魔法を使う準備が完了する。
「あ?」
白カズマが、不思議そうな顔をする。
僕はリズムをとるように、まるで指揮棒を振るように指を宙空に踊らす。すると立体的な光が空中を泳ぐ。
その光で、僕は“脳内魔導起機”を操作していく。
“脳内魔導起機”の中には自分で取捨選択した六種類の魔法歌を入れることができる。
僕はそれとは別にプリセットとして入っている二種類の歌の片方を選択、起動する。
魔法の歌で僕の脳漿がダブダブになっていく。
脳内では呪いの唄がヘッドフォンから再生され続けている。繰り返し繰り返し、丁寧に呪いが歌い上げられていく。
『侵入、潜入、不法侵入♪
侵入、潜入――』
網膜の裏に表れる座標を浮遊している古城に合わせる。
あとは、魔法を発動するためのトリガーである呪文を言うだけであの古城の中にいるはずだ。
「ハッ、随分と面白ェギフトを手に入れているンじゃねェかオイ!」
「まだ試験的に運用しているものだけどね~。まぁ、役に立つなら感謝感謝」
これがなかったら僕もあそこに行く方法無いもんね。
「準備はいい?」
「誰にもの言ってやがンだ」
クズ野郎です、ってね。
「じゃあ、行くよ。ダイブスイッチ」
刹那。
僕たちの体は分解され、古城の中に転送された。
どうも、今回色々と新事実が発覚するお話でしたがいかがでしたか?
レティシア:正直、カズマについて小一時間ぐらい聞きたいことがあるぞ
それを説明し始めたら長くなりますし、のちに本編で語られ部分もあるのでお話出来ません。
しかし、これはレティシアさんに聞いておかなければならないことです
レティシア:な、何だ?
カズマさんの謎を知っても貴女は、カズマさんが好きですか?
レティシア:無論だ。例え、カズマの本質が魂だろうと肉体だろうと関係ない
レティシア:まぁ、多少容姿に惹かれていた部分もあるにはあるがな。でも、そんなのはあくまで一部だ。私は、無表情でクールでツンデレな私のよく知るカズマの全てが好きだ!
そう言ってくれるならカズマさんも嬉しいでしょう。ありがとございます
それでは、コーキさんのギフトなんですけど
レティシア:ああ、あのヘッドフォンのことか
ええ、どういう物かは本編で書いてあるのでパスして。知っている人は知っている「皆さん、少女を殺して世界を救いましょう」が衝撃的だった“黙示録アリス”からの登場です!!!
レティシア:“終わりのセラフ”の鏡貴也先生の作品だ
いや~、本屋で裏のあらすじにあったそのセリフを見て即購入したんですよ
レティシア:確かにどういうものか気になってしまうな
ですよね~。あ、もしかしたら原作にないオリジナルの魔法歌も登場するかもしれません
レティシア:それはいいんだが、次に私はいつカズマに会えるんだ?そろそろ恋しい····
えーと、そう言われましても····
(カズマさんもレティシアさんもギフトゲームに囚われているから当分ないんですよね)
レティシア:カズミンが足りないのだ~!
何ですかその栄養素!?ビタミンみたいですね
ともかく終わりますよ
それでは、
「「次回も見てください!」」
レティシア:カズマ~!カズマ~!カズマ~!
どーしよ、これ(~_~;)