問題児達と錬金術師×2が来るそうですよ?   作:射水 終夜

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いや~、早いものですね
もう、3月もあと1週間となりました
来月から新年度·····。学校に行きたくないです!もっと、ダラダラしていたい!そして、ダラーズに入りたい!
なぁんて、言っていても時は残酷にも過ぎていく···
悲しきことかな

さて、そろそろ本編どうぞ!


第6話 人体錬成

とある空に浮かぶ古城

「暇。すっごく暇過ぎるんだけどー。てか、何で地上に下りたらダメなの?超面白いものが見れるっていうのに····」

そう言いエンヴィーは、真っ黒い粒子で出来たソファーで起き上がった。

「仕方ないだろ。ダメなものはダメなんだからさ。暇なら、俺とチェスしょうぜ!」

携帯型のチェス版を片手に鏡磨が誘う。

「えー、別にいいけどさー。今からまたアウラが奇襲かけるんでしょ。それ見に行きたいんだけどー」

「ダメだぞ。······そんなに見たいのか?」

「そりゃもう!あのいつも偉そうにしている幻獣のバカどもが奇襲されて面白い程混乱して全然機能しないんだ!そして、烏合の衆となり果てたアイツらは敗残兵で混血の超低級の巨人族に無様に潰される!こんな屈辱の死を前にしたプライド高い幻獣どもはいったいどんな顔をするか。ああ、想像するだけで嗤える!!」

「熱弁ご苦労。お前、ホント性格曲がっているな」

「他人の不幸は蜜の味ってね♪」

笑いながらエンヴィーはチェスの駒を並べていく。

ここで今まで黙って本を読んでいた三人目が口を開いた。

「あなたの場合そんな可愛いのものではないでしょう、腹黒エンヴィー」

「何?喧嘩売ってんの、おチビな(あきら)?」

「いえ、そう言うわけではないですよ。ただ、事実を言っただけです」

そう言うのは、黒い粒子で出来た一人用のソファーに座った銀髪碧眼の少女だ。

「やっぱ喧嘩売ってんじゃん。今ならこのエンヴィー様が高く買って()()()()いいけど?」

「おいおいおい、喧嘩は止めてくれよ。殿下とリンに怒られるんだから」

「いや、本気にしないで鏡磨。ただの言葉遊びだよ」

白は、タメ口で言うと再びエンヴィー方を向き、

「でも、エンヴィーあなたはトロイヤ作戦が終了する頃には地上に下りるでしょう。その後の方が多くの血が流れてあなた好みだと思いますけど。それでは、ダメなのですか?」

「分かってないねー、白。超低級の巨人だからいいんだよ、超低級だから。分身体とはいえ最強種である龍の一部。幻獣が勝てないのが当たり前。それじゃ、面白くない。絶対勝てる雑魚に殺されるから良いんだよ」

「そう言うものですかね」

白は興味なさそうにそう言うと、再び本へと視線を落としたのだった。

 

◇◇◇

 

“アンダーウッド”収穫本陣営

巨人殲滅後、カズマはそこにいた。

他にも、ジンに黒ウサギ、ジャックやアーシャもいる。

彼らは今回の襲撃について“主催者(ホスト)”に説明を求めていた。

さて、ぶちゃけさせてもらえばカズマはこの会話に参加していない。

というわけで、何時ものようにまとめさせてもらう。

1,今回攻撃してきた巨人族は十年前に襲撃してきた魔王の残党である。

2,第三者が干渉している可能性有り。

3,残党の狙いは、視るだけで死の恩恵を与える“バロールの死眼”。

4,“黒死斑の魔王”と同時期現れた魔王に討たれ南の“階層支配者(フロアマスター)”は現在不在である。

5,今回こ収穫祭は、“龍角を持つ鷲獅子(ドラコ・グライフ)”の五桁昇格と“階層支配者”の任命賭けたゲームである。

6,力を貸してくれた上に、多くの武功を立てたどちらかのコミュニティに報酬として“バロールの死眼”を与える。

大体こんな感じである。

あと、ちょっとした会話も記しておこう。

 

 

「なぁ、カズマ。あんた何時までその格好してるんだ?」

黒ウサギたちとサラが会話をしている間、暇なアーシャが話しかけてきた。

「何のこと?」

「その血まみれの格好のことだよ。血が乾いてきてちょっとグロい感じになってんぞ。どうせ、ここに居ても暇なら風呂に入ってきた方が良いんじゃねーか?」

アーシャに言われ手を見てみると、確かに赤黒く乾いていて動かす度にヒビが入る。

「ああ、それとその大剣そろそろ元に戻したら?もう、巨人族はフェイスとあんたが全部倒したんだし」

何気にもう馴れて違和感を感じていなかったが、ずっと大剣を担いだままだった。

軽くバジッと稲妻が走ると、まるで装甲が取れるようにして中から元の大きさの剣が現れた。

剣を鞘に戻し、周りに落ちている金属パーツを集めアーシャを見ながら、

「いる?」

「処理するのが面倒だから私に押し付けようとしてないか?」

とジト目で見返される。

「··········。そんなことはない」

「今の間は何だ!今の間!」

「別に」

カズマは何時もの無表情でそう返す。

「で、いるのいらないの?」

「貰うよ。ただで材料貰うようなもんだしな。ああ、でも運ぶなら別のに錬成してくれ」

「何がいい?」

「ハンマー」

「了解」

そして、錬成したハンマーを渡した。

「あれ?これのデザイン、ウィラ姐のと同じじゃね?」

「嫌?」

「そう言うわけじゃないけど」

「そう」

カズマはそう言うと、部屋を出ていった。

アーシャは、カズマにもらったハンマーを両手に持ちながら、

(ウィラ姐、こんな大きくても喜んでくれるかな?)

と考えていた。

 

◇◇◇

 

“アンダーウッド”浴室

カズマが血を洗い流し、浴槽に浸かっていると揺れを感じた。

(地震?)

一瞬そう考えたが、よく耳を澄ますと“アンダーウッド”内が何やら騒がしい。

そこからのことと先ほどのことを照らし合わせれば答えは一つである。

浴槽から立ち上がろうとしてフェイス・レスがいることを思い出した。

カズマとしては、参加しなくていいならしたくないのだが、そうもいかない。

カズマは浴槽を出て、入る前に血液分解しといた服を手早く着る。

そして、剣を装備すると窓から斜め上に飛び出した。

そのまま木の表面を走りある程度登ると、剣を突き刺す。

地表358mから見た“アンダーウッド”は予想通りだった。

あっちこっちから巨人に攻められて住民たちは悲鳴の大合唱。

巨人の数は軽く500は越えている。

それに対し先ほどの巨人族の強襲により戦闘担当の幻獣たちの中で現在戦闘行動出来るは、ほんの僅か。

しかし、数の暴力で攻め込まれているのではない。

現に攻撃を受けてないのに次々と倒れていく。

――――――ロン

微かに琴線を弾く音が聞こえた。

カズマはその音に耳を澄ませようとして危うく落ちかけた。

物理的にも精神的にも。

カズマは柄を強く握りながら状況の整理をし、理解した。

一番やっかいなのは、先ほど意識を持っていかれそうになった琴線を弾く音だ。

さっき、見つけたのだがフェイスと竪琴を持ったローブを纏った何者かが闘っていた。

多分、フェイスもこの竪琴の音色に邪魔をされ攻めあぐねているのだろう。

もしかしたら、近いほど効果が強くなるのかもしれない。

それはともかく、勝利条件は解った。

カズマは水樹から剣を抜くと、戦場へと飛び降りた。

その時、何処からかポツリポツリと雨音が近づいていたのだった。

 

◇◇◇

 

“アンダーウッド”西の森

戦場、といか“アンダーウッド”全域の天気が急に崩れた。

雨は横殴りに降り、風は建物を吹き飛ばしそうなぐらい強い。まさに暴風雨(スコール)

僅かに残っている幻獣たちは、一歩間違えば自分が吹き飛ばされてしまいそうになっている。

そんな中でも巨人たちの進撃は止まらない。

現在、どうにか前線を支えているのはフェイス・レス一人。

竪琴を持った人物は逃走し、姿を消したが音色は消えなかった。

そして、カズマはあきらかに他の巨人とは違うリーダー格の巨人と闘っていた。

そのリーダー格の巨人は体長15mと大きく、燃えていたのだ。厳密に言うと身体中を炎で包まれている。

そして、周りには衛星のように右回転の竜巻と左回転の竜巻が交互に4つ回っていた。

カズマはその竜巻と竜巻の間を力技で侵入し、対巨人用に錬成した大剣で腕を切り落とそうとした。

が、身体は他の巨人よりも大きいのに他の巨人よりも素早く腕を動かしてこれを回避。

そして、そのまま腕を振りかぶり、じゅわと雨を一瞬で水蒸気に変える炎の拳を突き出した。

カズマは木の幹に着地と同時に蹴り、全力で跳躍して何とか避ける。

そこにさらに追い討ちで、雷がいくつも落ちてくる。

激しい閃光に視界がホワイトアウトした同時にすぐ後ろから爆発音のような音。

まるでスタングレネードが炸裂したみたいだ。

カズマはどうにか地面に着地をすると、すぐに走り出す。

その中で、あの巨人について考える。

さっきの雷はあきらかにカズマを狙って落ちてきた。

つまり、天候を操る類いのギフトを所持していてこの暴風雨も竜巻もそれが原因である。

ズドンという足音と水が蒸発するじゅと立てて業火の巨人がカズマを追ってくる。

カズマはそれと同時に反転、一瞬で距離を詰め右足に向けて大剣を振り切断。

その勢いを利用して左足も切断。

「コオオオォォォォォォォ!!!」

ズドォォンと巨人は倒れるが、腕を使い上半身を起き上がらせる。

そして、片方の手でカズマを潰さんと叩き突けてくる。

その間に切断された両足が火の粉に分解され、それが再び巨人の足を再構築する。

足が完全に修復されると立ち上がり今度は踏み潰そうとその巨体から信じられない速さでカズマを狙う。

実はこれと似たやりとりはもう18回目だ。

腕も足も切断しても、切断された方が分解され再び再構築する。

身体を切り裂いてもすぐに傷口自体が塞がる。

さらに一度、切断した足や腕の断面を見たがそこには肉体は存在しなかった。

ただ炎が集まって燃えていたのだ。

そう、カズマが相手をしているこの巨人は炎を纏っているのではなく、炎その物が質量を持ち巨人の形をして動いているのだ。

そんな生物を知らないし、カズマの知っている限り神話、グリム童話等にも存在しない。

つまり、カズマには殺せないと言うことだ。

でも、カズマは考える。いくら箱庭といえど、どんな不思議な現象だろうと生物だろうと絶対にロジックがある。

それを見つけるためにまだ斬ったことがない首を狙うが俊敏な動きで避けられてしまう。

余程斬られたくないらしい。

ここでカズマは勝負に出ることにした。

ダンッと踏み込んだ瞬間、加速している状態から更に加速する。

そして、炎そのものの巨人の足を螺旋を描きながら登る。

靴底のゴムが溶けるよりも速く。身体が燃えるよりも速く。熱が伝わるより速く。

刹那の間に妨害されないように両腕を肩から切断。

雷がいくつも落ちようとするが、もう遅い。カズマが腕を振るう方が速かった。

速かった。速かった。速かった······はずだった。

ポロン、ポロン、ポロロン~♪

()()の音がした。()()で。

綺麗な音色だった。綺麗過ぎて意識が持っていかれそうなぐらい。

そして、竪琴を持ったローブを着た何者かが笑った。

ズドオオォォン。カズマに雷が直撃した。

「ガハッ········!!!」

落ちかけていた意識が無理やり起こされる。

そして、視界に入ったのは空中に投げ出されたカズマを地面に叩きつけようと迫る巨大な炎の手。

(マズッ······!!!)

防御しようとするが身体が麻痺をして動かない。

さらに雷に打たれた時に手を放してしまったのだろう、大剣もない。

そして、ここは空中。走る地面もなければ、盾を錬成する材料もない。

ボゴン、そんな音と共にカズマは地面に叩きつけられクレーターの中心となった。

 

 

痛い····。熱い····。カズマが受け取ったのはそんな身体の危険を知らせる信号だった。

視界は半分がブラックアウト。嗅覚は生物が焼ける臭いを捉えていた。

相変わらずの暴風雨。火傷している身体を冷やすのには良いがちょっと強すぎる。

半分しかない視界の端には、左腕を再構築している業火の巨人姿がある。

片方だけを集中して修復する。そんな芸当も彼(彼女?)は出来たらしい。

右腕を引き絞り、拳が構えられる。

どうやら、生きているのがバレてしまったようだ。

逃げる。そんな選択肢はない。

身体中の骨という骨が折れ、砕けている。内臓もいくつかが破裂していた。

死ぬ。これは決定事項だった。

でも、カズマは恐怖を感じない。別に悔いがないとかそういうわけでのことではなく。

とにかく、終演は終焉。人生という舞台に幕を下ろす時間だ。

そして、燃え盛る巨大な炎の拳が振り下ろされ、クレーターをより深くする衝撃とじゅわと何かが焼ける音がした。

 

 

業火の巨人が操る竜巻の防壁内

暴風が吹き荒れ、雨が叩きつけるように降っていたがここまでの出来事の一部始終を見ていたエンヴィーは、

「あは!あはははははははは!!!あはっはっはっは!あー、お腹痛いwwwwww」

笑っていた。心底楽しそうに腹を抱えて嗤ってた。

「いや、まさか·····失敗しても良かったのに。カミサマなんて自分で言っといてこのザマって、ホント嗤えるwwwww」

そんなことを言いながらエンヴィーが一頻り笑い終わる頃には、先ほどまでの暴風雨が嘘のように消え綺麗な星空が見えていた。

エンヴィーは、ようやく二度目の巨人族の襲撃を退けた“アンダーウッド”を見ながらこう言った。

「ぜーんぶ、計算通り♥︎」




何気に新しいオリキャラが登場している今話
しかし、まだ語るわけにはいかないんですよね

鏡磨:マジかよ?てっきりゲストで呼ばれたから紹介されるもんだと思っていたぜ

それは、すみません。でも、鏡磨さんや白さんのプロフィールを開示するわけにはいかないんですよ

鏡磨:まぁ、あとあと紹介しくれるんだろ?なら、いいや

そう言ってくれると、ありがたいです

鏡磨:それよりも、エノモトさんがまた死にかけているんだけど····

ああ、確かに48の時も死にかけていましたね。って、貴方の仲間のせいでしょ!

鏡磨:それ言っちゃうのか?

言っちゃいます

鏡磨:仕方ないだろ。そもそも、箱庭ではあんな感じの錬金術が使える人自体が希少だし、さら中に自称カミサマの何かがいるなんてエノモトさんだけだったんだよ

それは、真理の扉を開けるためですか?

鏡磨:ああ。中の奴が扉を開けるかは7割程度の確率だったけど、予想通り開けてくれて助かったぜ

確かに、カズマさん達が使うような錬金術が使える人ってほとんどいませんもんね

鏡磨:そうだな。一応、マユズミさんとかもいるけどやっぱり少ないよな····

普通の錬金術を使う人なら北側いっぱいいますけどね
それでは、今回はここまで!

「「次回も見てください!」」

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