問題児達と錬金術師×2が来るそうですよ?   作:射水 終夜

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勇気百倍、筋肉千倍!
このフレーズいいですねぇ~
今回も真面目な戦闘回ですのでギャグ性は皆無ですね
もともと、あるかどうか分かりませんが
それでは、本編をどうぞ!


第8話 死刑囚の傭兵

少佐がシュトロムを駆逐している時、教会から離れたところでは爆炎と叫び声が響いていた。

「ギャーーーーーー!!死ぬ!死ぬ!死ぬー!」

と叫びながら全力ダッシュしているのは、ナンバー66。

そして、その後ろからはガチャリとショットガンをリロードしながら歩くコーキ。

「鎧のくせに速いな~」

のんびりした口調で言いながらトリガーを引く。

ショットガンの中でガチンッと金属が金属で打たれる音と同時に火花が発射される。

「クソッ!来やがった!!」

66は走りながら、火種である火花を見ると近くの家屋の扉を蹴り破り転がり込む。

外で火種が爆発的に燃え上がり、66の逃げ込んだ家屋は吹き飛ばされ、燃え上がる。

「うーん、死んだかな?死んでるといいな~。いい加減、遊ぶのにも飽きてきたよ」

と一瞬で廃材となり、所々で燃えている元家屋を見ながら呟く。

その時だった。コーキの立っている2m先の木片が盛り上がりと、中から66が飛び出して来た。

「油断したな、クソチビ!肩ロースいただきッ!!」

そう叫びながら66は右手の包丁をコーキの左肩に振り下ろす。

完全に回避も防御も間に合わないと66は思っていたが

「はい、残念。どーん!」

目の前でドガンッと爆発が起き、吹き飛ばされた。

その際、爆風でガイコツみたいな頭部の鎧が落ちた。

「!?」

ここでコーキは驚いた。

本来頭部の鎧が外れたなら装備者の顔が見れるはずなのだが―――そこには()()()()()()()

「野郎·······。頭が落ちちまったじゃねェか」

「そ、その身体······」

そうつまり、空っぽなのだ。本来なら鎧を着ているはず人間がいない。

「げっへっへ、ちょいと訳ありでなァ····。おめェ、その錬金術使ってんならアメストリス出身だろォ?なら、聞いたことあるだろ。バリーっつう肉屋の話を」

「バリー·····バリー、バリー···。ってまさか!?バリー・ザ・チョッパーッ!?」

「そう。奴は23人もの人間を解体し、中央(セントラル)市民を恐怖のどん底に叩きこんだ!」

「そんなバカな!?バリー・ザ・チョッパーは死刑になったはずじゃ···!」

「それは表向きの話だ。奴は傭兵になる事を条件をまぬがれたんだ···。ただし、肉体を取り上げられ魂のみ鉄の身体に定着させられてなァ!」

「ま、まさか···!?」

「そう!今、てめェの目の前にいるこのオレ!!バリー・ザ・チョッパーとはオレの事だァ!!!!」

そうコーキ達が相手をしている傭兵らは、本物の殺人鬼だった。

そして、それを知ったコーキの反応は――

「へぇ!鎧に魂を定着させるなんて流石箱庭!面白い!これは医者としての興味も湧くな~」

66――いや、バリーは盛大にずっ転ける。

「――って、オイ!てめェ、ここまで盛り上がっといてその反応はねェだろ!!そこは『な、何だって!』とか『あ、あり得ないッ!』とか『何だその身体!!』とか驚くところだろ!」

「えぇ~?そんなこと言われても、ここ箱庭だし~。そんな人がいてもおかしくないじゃん!てか、そんなんで驚いていたら箱庭で生活出来ないよ。もう一つ言えば、アメストリス国出身でも呼び出された年代によっては君のこと知らない人だっているよ」

まっ、そんなことは置いといてと続けると

「どうやら君は随分と面白い身体をしているようだね。その魂を鎧に定着させる方法とか色々教えて欲しいなぁ?」

「ハッ、何でこのオレがてめェにそんなこと教えねェといけねェんだよ。そんなことよりィ、大人しく切られやがれェ!!!」

と斬りかかるバリー。

しかし、コーキは手に持っているショットガンのトリガーを引く。

「でえええ!!」

ただそれだけで、バリーは爆炎に包まれ爆風で吹き飛ばされる。

「も~、君は分かってないね。君に拒否権なんて初めからないんだよ?君の返事は、はいとYESの二択なの。OK?」

コーキはいつもの笑顔のまま、バリーの口の中に銃口を突っ込みながら言った。

「さぁ、返事を聞かせて貰おうか?」

 

◇◇◇

 

(····む、今度は何で来る?)

48は苦戦していた。

それは、カズマの速さ―――では、ない。

カズマは大きく一回転する。

その一瞬後ろを向いた間に武器がバスタードソードからバトル・アックスに変わっていた。

48は即受け止めるのは不可能と判断すると、横薙ぎのそれをバックステップで回避。

そう、48が苦戦していたのは一瞬の内に別の武器に錬成されることと、そのレパートリーの多さにあった。

現在、何十回めの錬成だが一度も同じ武器には錬成されてないし種類も刀剣・短剣・長柄・打撃系と様々だ。

だが、カズマの本当にすごいところは錬成した武器全てを完全に使いこなしているところだ。

今もバトル・アックスを巧みに使い48を追撃している。

しかし、48も死んでも傭兵。それなりの場数を踏んでいる。

彼は、今までの経験から直感でカズマの斬撃や石突を避ける。

受けるなんて論外だった。もし、受け止めようとすればその瞬間愛刀ごと斬り砕かれるのは目に見えていた。

48は避けるだけではなく、ちゃんと切り返しをしている時を狙い攻撃しているが全て弾かれる。

かと言って、カズマの斬撃も48に当たらず回避される。

両者はどちらにも一撃も加えることが出来ず、時間だけが過ぎていく。

48には都合の良い状況である。

「チッ」

カズマは舌打ちをすると大きく振り上げ、全力で振り下ろす。

48は大きく下がることでこれを回避。

カズマの一撃はそのまま地面を砕き、土埃が舞う。

それが48の視界を奪い、カズマの姿を隠す。

しかし、48は気付いている。これが武器錬成と奇襲のためだと。

そして、錬成する時に光るということも知っているので360度全部に気を配りカズマが錬成をするのを待つ。

カッ、48の左後方で蒼く光った。

「そこだッ!!」

光った左後方を向きつつ、渾身の突きを繰り出す。

が、しかし

(―――いない····だと!?)

次の瞬間、突きを繰り出した真下からレイピアが突き上げられた。

それは、48の頭に着けている布を切り裂いた。

「ッ!!」

48は咄嗟に刀を振り下ろし牽制しながら二撃目、三撃目を避け距離をとった。

「フッ、惜しかったな小僧」

「チッ。お前が予想より速くなければ、あのまま頭部を貫いてエンドだったんだがな」

「なら、加速すれば私など今すぐ殺せるだろう、“加速者(アクセラレイター)”?」

「·······お前殺した後、重要な仕事が待っているからな。加速することは出来ない。だけど、もう終わらせる」

カズマは両手に一本ずつ持っていたレイピアを重ね、錬金術を発動する。

そして右手に40cmほどの短剣、パリーイング・ダガーを、左手には70cmぐらいの長さの剣身のかなり細い両手剣、メル・パッター・ベモーを錬成した。

「ほう、『もう終わらせる』か·····。面白い、やれるのもならやってみるがいい!」

48は刀を構え、今までの比にならないほどの殺気を放った。

これまでの時間稼ぎと違って本気で殺しに来る、ということだ。

カズマも右手のダガーと左手のベモーを構える。

両者は同時に動いた。

カズマは一歩目からトップスピードを出し、左手を引く。

48も同じく最速でカズマに接近し、右上から刀を振り下ろす。

カズマはそれを右手のダガーでパリィ。そして左手のベモーをまるで銃弾のような速さで突き出す。

それを48は紙一重でかわし、横に一線。

瞬時にダガーを逆さに持ち変えるとこれを受け止める。

その間に両手剣である左手のベモーをレイピアように連続で突き出す。

48はすぐに刀を引き、カズマの連撃を軽く弾くようにして流していく。

五、六撃目を流した48は七撃目突きを大きく弾いた。

それによりカズマの左側の胴ががら空きになる。

(隙有りッ!!!)

そう思った48はベモーを弾いた刀をカズマの左脇腹に

「終わりだ小僧ッ!!!」

全力で振り下ろした。

カズマはその一撃をどうにか右手のダガーで受けようとする。

48は当然のごとく角度を調整しダガーの少し上を狙う。

その時だった。カズマのパリーイング・ダガーの剣身が()()()()()()()

「何ッ!!??」

これには48も驚き、一瞬隙が出来る。

その間に刀は三叉になったダガーに受け止められ、閉じることにより挟まれる。

そして、弾かれていたベモーで48の胸を貫かれた。

が、

(手応えがないッ!?)

今度はカズマが驚く番だった。

48は挟まれていた刀を素早く引き抜くと下から上に斬り上げる。

「うッ、“加速(アクセラレイト)”!」

カズマのうめき声と共に血が舞い、黒い布切れが舞う。

48は後ろを向きながら言う。

「フッ、流石は加速者だな。その右腕貰うつもりだったんだがな、速い」

「クソ····がッ!てめぇ、その中·····空っぽだろうが···」

カズマは右腕と右肩から夥しい量の血を流しながら言う。

「小僧の言う通り、この鎧の中は空っぽだ。しかし、これも錬金術の一種なのだ。私はあまり詳しくないがこの血印が魂を繋ぎ止め、そして血液中に含まれる鉄分が鎧の金属と同調しているらしい」

48は鎧の面の部分を開け、血印を見せながら説明する。

「つまり、この血印を壊せばお前の勝ちと言うことだ。····まぁ、もう無理だろうがな」

カズマは思考が途切れ途切れになる中どうにかこれを理解する。

48が元々生身の身体を持った人間であること。それを錬金術で魂を鎧に定着させられていること。そして、頭部の血印を破壊すればいいこと。

(頭がくらくらする····。右腕は····ほぼ使い物にならない···。武器は·····)

カズマはまとまらない思考の中右手の血まみれのダガーと左手のベモーを合わせ元の刀に錬成し直す。

「ほう、まだ足掻くか」

「·····“加速”」

カズマは加速し、48の懐に一瞬で懐に入り込み左手で刀を一線。

これに対し、48もバックステップを踏みながら刀を振るう。

が、そこまでがカズマの限界だった。

足が縺れ、意識が明滅する。それにより48に激突し、弾かれ地面に倒れた····。

足も手も頭も働かない。今何をしないといけないのか、今何をしていたのか、何で倒れているかも分からなくなった。

明滅していた意識も徐々に遅くなり停止していく。48が何か言っている気がするが·····よく分からない。

そして、カズマの意識はここで途切れた。

 

 

 

「よくもまあ、その傷でここまで動いたものだ」

48は倒れてピクリとも動かないカズマを見下ろしながら呟いた。

その時、本来ならその呟きに答える者などいないはずなのに返事があった。

「でも、良かったのかよ兄者?依頼人(クライアント)には時間稼ぎを頼まれていたのに殺しちまって」

その返事は48の中、厳密に言えば鎧の身体の方から聞こえる。

そう、一つの鎧に二つの魂――兄弟殺人鬼“スライサー”の魂を定着しているのだ。

「致し方ないであろう。向こうは本気で破壊しに来ているんだ。何時までも時間稼ぎなどしておれぬ。それに、無理な場合は殺して良いと言われているだろう」

「にしても、コイツ若いなぁ。14、5ってところか。まあ、この箱庭では外見と年齢が必ずしも一致するとは限らないがね。つーか、トドメ刺さねえのか?」

「刺しても良いが、しなくともこの出血量だ。次期に死ぬ」

今もカズマからは血が流れ、血溜まりを拡大させていっている。

「俺的には死ぬのを待つより、この手で葬りさりたいんだがダメか、兄者?」

「········。遅いか早いかの違いだ。お前に任せる、我が弟よ」

「オーケイ、兄者!」

そう弟は答えると刀を上段に構え、

「さらばだ、小僧」

「地獄でまた会おうぜ!」

カズマの首にヒュッと振り下ろした。

 

 

 

 

 

 




さてさて今回は本編でカズマさんが使用した武器の解説です!
あと、アンケートの回答本当にお願いします(._.)
このままだと、結局自分で決めることになってします·····(回答してもらった二人には悪いですが)

バスタードソード····刀身の先端から3分の1近くまでが両刃であり、柄の長さが拳1つ半ほど長いため両手でも片手でも両方使える15世紀のスイスの傭兵が用いた剣です

バトル・アックス····ヨーロッパで使われた戦闘用の斧の総称で、今回カズマさんが使ったのは左右対称に二つの斧頭が付いたものではなく、半月形の刃が片方だけに付いたものです

レイピア····フランス語の『エペ・ラピアレ(刺突の剣)』が語源であり、軽量だが剛性が低く主に決闘で使われていた剣です。レイピア一本で闘うこともありましたが、一般的には左手に外套や短剣を持って防御や牽制をして闘っていました。まぁ、SAOを知っている方には必要のない説明ですね

パリーイング・ダガー····防御に特化した短剣であり、レイピアなどと一緒に使われていました。防御用に作られているので鍔の形状を鉤型にして剣を受け止めやすくしたり、剣が三叉に分かれる仕組みにされてたりしました

メル・パッター・ベモー····南インドで使われた長大な両手剣でした。剣にしては刀身がすごく細く、柄頭に重量を持たせることで重心のバランスを調整します。この剣の威力は実際に高く、チェインメイルを簡単に貫き、騎兵を馬ごと刺し殺していました。本来なら刀身が150~170cmありますがカズマさんは別に騎兵と闘っているわけではなかったので、半分位の長さで十分でした

打刀····これはカズマさんの『刀』の基本形状であり、現代で日本刀といえばこれを指します。普通は、70~90cm位の長さですがカズマさんのは120cm以上あり、太刀と同じ長さです

以上で本編武器解説を終わります!
それでは、次回も見てください!さようなら~

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