問題児達と錬金術師×2が来るそうですよ?   作:射水 終夜

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今回久しぶり(?)の戦闘シーンがあります!

コーキ:確か、もう二度と登場して欲しくない人をボコった以来だね

カズマ:···。お前の出番初めだけらしい

コーキ:マジでッ!?

マジです
それでは、本編をどうぞ!


第5話 造物と錬金術師

火龍誕生祭・“造物主達の決闘”ギフトゲーム会場

 

『長らくお待たせしました!火龍誕生祭のメインギフトゲーム・“造物主達の決闘”の決勝を始めたいと思います!進行及び審判は“サウザンドアイズ”の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪』

「うおおおおおおおおおおおおおおお月の兎が本当にきたあああああああああああぁぁぁぁぁああああああ!!」

「黒ウサギいいいいい!お前に会うため此処まできたぞおおおおおおおおお!!」

「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおぉぉぉおおおおおお!!」

割れんばかりの熱い歓声。

これを聞くに黒ウサギちゃんの人気の凄まじさがわかる。

21世紀のアイドルでもここまであるのだろうか···?

ちょっと疑問に思う。

「···················。随分と人気者なのね」

飛鳥ちゃんは生ゴミを見るような冷めきった目で観客席の一部を見下ろす。

それを見てついつい苦笑してしまう。

飛鳥ちゃんがいた時代から約100年もしない内にソレは日本に生まれる文化なのだから。

ここは普通の客席よりも高い位置にあるVIP席みたいな所。

現在、ここにいるのは十六夜君、飛鳥ちゃん、白夜叉ちゃん、サンドラちゃん、マンドラさん、そしてアームストロング少佐と僕の七人だ。

レティシアちゃんは「合わせる顔がない!」とか言って部屋から出て来なかったのでお留守番。

昨日のお風呂上がりからそんな感じだったので一体女湯で何があったかは気になるところだ。

適当にそんなことを考えていると、

「コーキ・C・マユズミ、お主は本当に出なくて良いのか?」

と少佐が尋ねてきた。

「別にいいんだよ。適材適所。耀ちゃんの足手まといにはなりたくないからね」

「だが、相手は“ウィル・オ・ウィスプ”のジャック・オー・ランタン。お主の分野ではないか?」

「アレがただの火を吹くカボチャなら僕の分野なんだけど·····。カズマの情報が正しいなら、僕はただの足手まといだよ」

「む。そこまで言うなら致し方ない。カズマ・N・エノモトの実力でも見せてもらおう」

「ははは。あの頃なんかより、うんと強くなっているから楽しみにしてていいよ!」

少佐は「うむ。楽しみである」と言うと視線を会場に向ける。

僕は張り付けた笑顔の裏で思う。

本当にアレがただの火を吹くカボチャなら····。

この舞台に立てるのに、と。

でも仕方ない。

だって、相手は()()なのだから。

 

◇◇◇

 

『ギフトゲーム名 “アンダーウッドの迷路”

・勝利条件 一、プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る。

      二、対戦プレイヤーのギフトを破壊。

      三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)

・敗北条件 一、対戦プレイヤーが勝利条件を満たした場合。

      二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。』

 

「―――“審判権限(ジャッジマスター)”の名において。以上が両者不可侵で有ることを、御旗の下に契ります。御二人とも、どうか誇りある戦いを。此処に、ゲーム開始を宣言します」

黒ウサギの宣誓が終わる。ゲーム開始の合図だ。

ステージは白夜叉が作ったタイトル通り、大樹の根の迷路だ。

両プレイヤーは距離を取り、初手を探る。

しばしの空白の後。先に動いたのは、ツインテールの髪に白黒のゴスロリ系フリルスカートを着た、このゲームの対戦相手“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ・イグニファトゥスだ。

「睨み合っても進まねえし。先手は譲るぜ」

「···········?」

「ま、後でいちゃもん付けられるのも面倒だからな」

ツインテールを揺らしながら肩を竦め、余裕の笑みを浮かべる。

それに耀の右肩に乗っている黒猫は、傲慢さで足元をすくわれるタイプと分析する。

「貴女は······“ウィル・オ・ウィスプ”のリーダー?」

「え?あ、そう見える?なら嬉しいんだけどなあ♪けど残念なことにアーシャ様は、」

「そう。分かった」

リーダーと間違われたことが嬉しかったのだろう、満面の笑みで答えるアーシャ。

それを見て、さっきの分析結果は間違ってなかったと再確認する黒猫。

全然聞く気がない耀はさっさと背後の通路に疾走していく。

「え······ちょ、ちょっと·······!?」

いきなりのことにしばし唖然とするアーシャ。

ハッと我に返った彼女は、怒りの叫び声を上げた。

「そ·······そっちがその気なら手加減なんざしねえ!行くぞジャック!樹の根の面迷路で人間狩りだ!」

「YAHOHOHOhoho~!!」

その声に“ウィル・オ・ウィスプ”の名物幽鬼、ジャック・オー・ランタンが応える。

「地の利は私たちにある!焼き払えジャック!」

「YAッFUUUUUUUUUUUuuuuuuu!!」

アーシャが左手を翳すと、ジャックの右手に提げられたランタンとカボチャ頭から悪魔の業火が溢れ出す。

それは瞬く間に樹の根を焼き払って耀と黒猫に襲いかかる。

しかし、それを耀は最小限の風を起こして避ける。

(避けた?違う!今の風·······コレがコイツのギフトか··········!?)

対して、アーシャとジャックをずっと観察している黒猫と耀はあの業火の仕組みに気づいていた。

(あの炎···········ジンの話していた“ウィル・オ・ウィスプ”のお話通りだ)

(まんま過ぎるのもちょっと拍子抜けだな)

「あーくそ!ちょろちょろと避けやがって!三発同時に打ち込むぞジャック!」

「YAッFUUUUUUuuuuuuuu!!」

アーシャが左手を翳し、次に右手のランタンでジャックが業火を放つ。先ほどより勢いの増した三本の炎。

対する耀はギフトを使わずに全てを避けた。

「····な·······!?」

絶句するアーシャ。

黒猫――いや、言う必要ないかもしれないがカズマはくんくんと臭いを嗅ぐ。

(ああ·······やっぱりガス臭い。俺の鼻で分かるなら、春日部はもう気づいてる···)

カズマは仕組みが分かったからと、油断しない。むしろ、警戒する。

なぜなら、ジャック自信はなにもしてないと分かったからだ。

ゲーム開始前、耀はカズマをサポートとして参加させる時一つの条件を付けた。

私一人で対処出来なくなった場合だけゲームに参加すること、と。

元々、耀は迷惑をかけた黒ウサギと仲直りをするためにこのゲームに参加している。

だから、同じ迷惑をかけたコーキと協力するのは全然良かったが、わりと迷惑をかけられた側の人間なのであるカズマには条件を付けたのだ。

ということで、カズマは現在何時でも参加出来るよう状況の分析などをしているのだ。

なお、猫型になっている理由は持ち運びが便利だからである。

話は戻るがカズマは、耀が対処出来なくなるのはあのカボチャが動いた時だと思っている。

だから、一層警戒心を強くしたのだ。

「くそ、やべえぞジャック·······!このままじゃ逃げられる!」

「Yaho·······!」

ここでアーシャは種を見破られたのに気づき、歯噛みした。

現時点で走力では耀が勝っている。

当たり前と言えば当たり前だ。

彼女は豹の力でどんどん距離をあけ、しかも気流の流れから出口への道を把握している。

このままだとアーシャに勝ち目はない。まあ、あくまでこのままだったら···だが。

アーシャは離れていく耀の背中を見つめ――諦めたようにため息を吐いた。

「······くそったれ。悔しいが後はアンタに任せるよ。本気でやっちゃって、()()()()()()

()()()()()()

え?と耀が振り返る。遥か後方にいたジャックの姿は無く、耀のすぐ前方に霞の如く姿を現したのだ。

耀は驚愕のあまり思わず足を止める。

「嘘」

「嘘じゃありません。失礼、お嬢さん」

ジャックの真っ白な手で耀がなぎ払われる寸前、

「こちらこそ、失礼」

と言う声が聞こえたと認識した時にはドゴンッ!と鈍い打撃音と共にジャックは樹の根に叩きつけられていた。

「っ··········!?」

「ジャックさん!」

とアーシャが叫ぶ。

その隣に着地したカズマは

「約束通り、参加する。問題ないな?」

耀に確認する。

その右手には、いつの間に出して錬成したのか鈍器――正式名称モーニングスターが握られている。

「·······うん」

その言葉を聞き終えると、すぐにジャックが叩き付けられた下の根に飛び降りた。

カズマが着地するのと、ジャックが起き上がるのはほぼ同時だった。

「悪いがここからは俺が相手だ」

「ヤホホ!いやいや、全然構いませんよ。ルールには一人まで補佐は許されてますから」

どっかの誰かを彷彿させるように笑いながら答えるジャック。

その裏で彼は

(いや、はや·····困りましたね。早くアーシャの援護をしたいというのに···。先ほどのスピードに楽々とついて来たところを見るに正面突破は無理ですね····)

ここを突破する方法を考えていた。

それに対し、カズマは右手のモーニングスターをぐるりと回すと、

「来ないの?なら、加速(アクセラレイト)

コマンドを呟いた瞬間、ジャックの目の前にモーニングスターが迫っていた。

「なっ!?」

ここで自分の懐にカズマが飛び込んでいるということを認識した。

咄嗟に右手に持っているランタンで受ける。

そこで更に彼は驚いた。

防御に使ったランタンがいとも容易く()()()()()のだ。

もちろん、ジャックが持っているランタンは普通のランタンではなく、並のギフト所持者でも破壊するどころか傷一つつけられない程の強度を持っている。

ランタンを犠牲にして稼いだ僅かな時間で全力で後退した。

「今の避けるんだな。流石はジャック・オー・ランタンってところか···」

とカズマが呟いた。

「ヤホホ!いや~、危ないところでした!まさか、あのランタンを破壊されるとは····。仕方ありませんが、これは私の負けですね」

「そう」

カズマは短く返事をすると、モーニングスターを元の刀に錬成し直して鞘に納めた。

そしてすぐに

『勝者・春日部耀!!』

黒ウサギからのゲーム終了のアナウンスが聞こえてきた。

 

◇◇◇

 

気がつくと、カズマは元の円上の舞台の上に立っていた。

会場を割れんばかりの歓声が包み込んでいた。

少し、うるさいなと感じ始めた時、ジャックが話しかけてきた。

「お名前をお聞きしても?」

とそこでカズマは自分が名乗っていないことに気づいた。

「“ノーネーム”所属、カズマ・N・エノモト」

「カズマ・N・エノモト。·····カズマ・N・エノモト!ああ、貴方があのカズマ・N・エノモトだったのですね!ということは、先程のメイスから刀に形状変化させたのは“錬丹術”いや、“錬金術”ですね?」

「あ、ああ。そうだが、俺を知っているのか?」

「ええ、もちろん!何時も彼女から貴方の話を聞かされていましたから。ああ、そうだ。もし、空いている日がありましたらぜひ、“ウィル・オ・ウィスプ”に足を運んで下さい!お待ちしてますよ!ヤホホ~♪」

と半ば、ジャックの勢い押され頷くカズマ。

そして、カズマは「彼女って誰?」という疑問をジャックに聞くことは出来なかった。

 

なぜなら、数多の黒く輝く“契約書類(ギアスロール)”が舞い落ちてきたからだ。

そして、観客席の誰かがこう叫んだ。

「魔王が············魔王が現れたぞオオオォォォォ―――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





さて、次話から魔王とギフトゲームに入っていきます

コーキ:やっと、メインの話が始まるね!

だが、しかーし!実は次回時間がかなり飛びます

カズマ:それ大丈夫だのか?

あ、全然。カットして時間を飛ばしたのはよかったんですがお陰で面白くない話になっています

コーキ:おやおや。それは不味いんじゃない?ただでさえ人気はイマイチなのに

と、言われましてもね~。だって、飛ばさなかったらほぼ原作と同じになりますし、話数だけが多くなるんですよ!

コーキ:まぁ、確かに原作と同じだったらssじゃないもんね

ですので、次話は余り期待しないで待っていてください
そして、明るい報告と言えば今話で新キャラの出現フラグが立ちました!

カズマ:今度も原作キャラか?

さぁ、どうでしょう?登場は多分来年か今年の年末ぐらいでしょう

コーキ:何気に遠いね。でも、今の投稿ペースならそうなるか

さて、そろそろ終わりです!
では、

「「「次回も(は余り期待せず)見てください!」」」


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