嬉しい!なかなか越えられなかったんですけど、ついに!
「みんなありがとね~」
「これからもよろしく」
という感じで第二章スタートです!
第1話 カズマは誘拐されました。
“ノーネーム”農園跡地
レティシア黒ウサギは荒廃している白地の土地を見ながら話をしていた。
「ところで、黒ウサギよ。先程から主殿達の姿が見えないんだが」
「十六夜さん、飛鳥さん、耀さん、コーキさんは恐らく何処かにいると思いますがカズマさんはいつも通りでしょう。あ、そろそろお洗濯するお時間なので起こしてきてくれませんか?」
「うむ。まったくアイツはいつも寝ているからな。少しは、自分で起きて行動して欲しいものだ」
レティシアはヤレヤレという感じに口では言っているが表情は嬉しそうだった。
その時、
「く、黒ウサギのお姉ちゃぁぁぁぁぁん!た、大変ーーーーー!!!」
割烹着姿に狐耳と二尾を持つ、年長組のリリが泣きそうな顔で走ってきた。
「リリ!?どうしたのですか?」
「じ、実は飛鳥様が十六夜様と耀様とコーキ様を連れて·····あ、こ、これ手紙!そしてこっちはレティシア様宛です!」
パタパタと二尾を動かしながら、リリは黒ウサギはとレティシアにそれぞれの手紙を渡した。
『黒ウサギへ
北側の四○○○○○○外門と東の三九九九九九九外門で開催される祭典に参加してきます。
貴女も後から必ず来ること。
私達に祭りの事を意図的に黙っていた罰として、今日中に捕まえられなかった場合私達四人+
あ、『+一人』ってのはカズマ君のことね。彼は人質として誘拐しました。
死ぬ気で探してね。応援してるわ。
P/S ジン君は道案内で連れて行きます』
『レティシアちゃんへ
ここを出る時カズマが寝ていたので寝袋に積めて誘拐しちゃった、テヘッ☆
このままだと、愛しのカズマはコミュニティを僕達の道連れで脱退しちゃうよ!
それがいやだったら、頑張って僕を捕まえてね!
期待してるよ。
P/S 僕達は“火龍誕生祭”に行ってきます』
「な、何を言っちゃってんですかあの問題児様方あああああーーーーー!!!!!」
と絶叫している隣でレティシアは
「フッフッフ·····随分と面白いことをしてくれたな、コーキ」
笑っていた。
ここに
◇◇◇
同時刻、逃走者側
十六夜、耀、飛鳥、ジン、コーキそしてカズマは“六本傷”のカフェにいた。
「まさか、980000kmも離れてるなんて····」
「ですから皆さん、戻りませんか?」
「「「「断固断る!」」」」
彼らは先ほどジンから北側の境界壁までの距離を聞いたところだ。
いくら世界屈指の最強問題児集団でも980000kmは遠すぎた。
「んー、じゃああれは?“ペルセウス”のところに行ったときに使ったど○でもドアみたいなの」
「·······それはもしかして、“
「うん、あれなら門を潜るだけで移動出来るじゃん」
「断固拒否です!外門同士を繋ぐ“境界門”を起動させるには凄くお金がかかります!“サウザンドアイズ”発行の金貨で一人一枚!六人で六枚!これはコミュニティの全財産よりも多いです!」
ジンはコーキの提案を全力で拒否した。
「なるほど。確かにコミュニティを破産させるわけにはいかないね。それにしても、ジン君元気だね~。何か良いことでもあった?」
この言葉にジンはイラッとした。
「せっかくコイツ誘拐してまで煽ったが、マジでどうする?」
「今頃、黒ウサギもレティシアもすごく怒ってるのかな」
「今なら笑い話ですみますから········皆さん帰りませんか?」
「ちょっと待って、最後の希望にかけてみる」
コーキはそう言うと、地面に寝袋で寝ているカズマのポケットに手を突っ込んでコインケースを引き抜いた。
それを逆さまにし、振ってみると硬貨数枚テーブルの上に落ちた。
「えーと、カズマのポケットマネーは銅貨五枚に銀貨一枚、そして金貨四枚·····」
「ちっ、あと二枚足りねーな」
「おしい」
「皆さんツッコむべきは、何故カズマさんがコミュニティの全財産相当のお金を持っていることです!」
要するに、カズマ一人のポケットマネーが今の“ノーネーム”の全財産と同じと言うことだ。
「もういいわ!こうなったら白夜叉のところに行くわよ!」
「おう!駄目元で交渉するぞゴラァ!」
「行くぞコラ」
「みんな静かにしてカズマが起きる!」
ヤハハと自棄気味にハイテンションな十六夜と飛鳥に続き、その場のノリで声を出す耀。
その大声でカズマが起きないかハラハラしているコーキ。
ジンはダボダボのローブに首を閉められながら、四人に連れ回されたのだった。
そしてカズマはそれでも起きなかった。
「·······と言うわけだ、白夜叉」
場所は変わって、“サウザンドアイズ”支店・和室。
店内に入る時の白夜叉の空中スーパーアクセルや、女性店員の門前払いの話は以下略。
そして、今十六夜がここに来た理由を説明したところだ。
「ふむ、なるほど。その話の前にまず、一つ問いたい。“フォレス・ガロ”の一件以降、おんしらが魔王に関するトラブルを引き受けるとの噂があるが······真か?」
「ああ、その話?それなら本当よ」
飛鳥が肯定する。
「ジンよ。それはコミュニティのトップとしての方針か?」
「はい。名と旗印を奪われたコミュニティの存在を手早く広めるには、これが一番いい方法だと思いました」
白夜叉は少し考え込むと言った。
「なら良い。これ以上の世話は老婆心というものだろう」
「んで、路銀関係の話は?」
「うむ。実はその“打倒魔王”を掲げたコミュニティに、東のフロアマスターから正式に頼みたい事がある。此度の共同祭典についてだ。よろしいな、ジン殿?」
「は、はい!謹んで承ります!」
「認められて良かったね、ジン君」
「はい!」
ジンは明るい表情で応えた。
「さて、ではどこから話そうかの·········ああ、そうだ。北のフロアマスターの一角が世代交代をしたのを知っておるか?」
「え?」
「急病で引退だとか。まあ亜龍にしては高齢だったからのう。寄る年波には勝てなかったということじゃな」
「まさか頭首が替わっていたとは知りませんでした。それで、今はどなたが頭首を?やっぱり長女のサラ様か、次男のマンドラ様が」
「いや。頭首は末の娘····おんしと同い年のサンドラが火龍を襲名した」
は?とジンが小首を傾げて一拍。二度程瞬きをした。
「サ、サンドラが!?え、ちょ、ちょっと待ってください!彼女はまだ十一歳ですよ!?」
「あら、ジン君だって十一歳で私達のリーダーじゃない」
「そ、それはそうですけど·······!いえ、だけど、」
「なんだ?まさか御チビの恋人か?」
「わー、ジン君彼女いるんだ。初耳!意外と隅に置けないね!この、い・ろ・お・と・こ」
「コーキさんは黙っててくださいッ!」
ヤハハと誤魔化す十六夜とコーキ。それに怒鳴り返すジンだった。
「んで、結局白夜叉ちゃんは何がして欲しいの?······あれ?何か忘れてるような」
「そう急かすな。今回の誕生祭は北の次代マスターであるサンドラのお披露目も兼ねておる。しかし、その幼さ故に東のフロアマスターである私に共同の
「あら、それはおかしな話ね。北は他にもマスター達が居るのでしょう。ならそのコミュニティにお願いして共同主催にすればいいんじゃないかしら?」
「·······うむ。まあ、そうなのだがの」
急に歯切れが悪くなる白夜叉。
頭をかいて言いにくそうにしている白夜叉に十六夜が助け船を出した。
「幼い権力者を良く思わないs「あ!思い出した!!!」ってどうしたコーキ?」
さっきまでウンウン唸っていたコーキがいきなり大きな声で言った。
「白夜叉ちゃん!この話あとどれくらいで終わる!?」
「ん?んん、そうだな。短くともあと一時間程度はかかるかの?」
「まずい、そんな時間ないのに。まずいマズイマズイ」
「だからどうかしたの、コーキ君?」
「黒ウサギちゃんとレティシアちゃん」
「「「「あっ!」」」」
ハッ、と他の問題児三人とジンも気が付く。
今現在、自分達は逃走者の身。なのに今から更に一時間もの説明を聞いていたら捕まってしまう。
ジンは咄嗟に立ち上がると
「し、白夜叉様!」
『ジン君、だまりなさい!』
ガチン!と下顎をを飛鳥のギフトで閉じらせられた。
「······ん、あ~、うるさい。人がn「状況説明すんの面倒だからもうちょい寝てろ!」」
この騒ぎに不機嫌MAXで起きたカズマは十六夜に殴られ気絶した。
「ナイス、十六夜君!そして、さっさと北側に連れてって白夜叉ちゃん!」
「む、むぅ?別に構わんが、何か急用か?といか、内容も聞かずに受託してよいのか?」
「いいから、早く!それにそっちの方が「面白い!僕が(俺が)保証する!」」
後半はコーキと十六夜のユニゾンになった。
白夜叉は目を丸くすると呵々と哄笑を上げ頷いた。
「そうか。面白いか。いやいや、それは大事だ!娯楽こそ我々の生きる糧なのだからな。ジンには悪いが、面白いならば仕方がないのぅ?」
白夜叉のイタズラっぽい横顔に声に出せない悲鳴を上げるジン。
暴れるジンを嬉々として押さえつける問題児達を余所目に、白夜叉は両手を前にだしパンパンと柏手を打った。
「ふむ。これでよし!これでお望み通り、北側に着いたぞ」
「「「「えっ!?」」」」
◇◇◇
東と北の境界壁
四○○○○○○外門・三九九九九九九外門、旧サウザンドアイズ支店。
四人が店から出ると、厚い風が頬を撫でた。
何時の間にか高台に移動していた支店からは街一帯が展望出来た。
飛鳥が大きく息を呑み、感嘆の声を上げた。
「赤壁と炎と·······ガラスの街······!?」
そう、ここからは東と北を区切る巨大な赤壁、境界壁が見えた。
他にも、彫像されたモニュメントやゴシック調の尖塔群のアーチ、二つの外門が一体となった巨大な凱旋門もあった。
カズマが好きそうだな、とコーキは考えながらカットガラスで飾られた歩廊を眺めていた。
「いや~、こんだけ離れてるだけあって東と全然違うね。歩くキャンドルスタンドなんて空想の世界の物で実際にみることになるなんて思わなかったよ」
「ふふ。それだけではないぞ。其処の外門から出た世界は真っ白な雪原でなそれを箱庭の結界と灯火で、常秋の様相を保っているのだ」
白夜叉の解説に耳を傾ている十六夜とコーキの隣で飛鳥が熱っぽく訴えた。
「今すぐ行きましょう!あのガラスの歩廊をに行ってみたいわ!いいでしょう白夜叉?」
「ああ、構わんよ。続きは夜にでもしょう。暇があればこのギフトゲームにも参加していけ」
白夜叉がゴソゴソと着物の袖から取り出したゲームのチラシを四人が覗き込んだ時だった。
「見ィつけたのデスヨォォォオオオオオオオオオオ!」
ズドォン!!と、爆撃の様な着地。その絶叫に跳ね上がる一同。
大声の主は我らが同士・黒ウサギ·····もとい、鬼ウサギ。
「ふ、ふふ、フフフフ······!よぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方ァ······!」
危機を感じとり真っ先に動いたのは十六夜だった。
「逃げるぞッ!!」
「逃がすかッ!!」
「え、ちょっと、」
十六夜は隣にいた飛鳥を抱き締めかかえ逃走。
耀は旋風を巻き上げ、空に逃げようとしたが鬼ウサギの大ジャンプでブーツを掴まれた。
「わ、わわ······!」
「耀さん、捕まえたのです!!もう逃がしません!!!」
ぶっ壊れた気味に笑う鬼ウサギは耀の耳元で囁いた。
「後デタップリ御説教タイムナノデスヨ。フフフ、御覚悟シテクダサイネ(黒笑)(黒笑)(黒笑)」
「りょ、了解」
そして、壊ウサギは耀を白夜叉に投げつけると白夜叉に耀を任せ十六夜を追いかけ街へ走っていった。
「ふう、どうやら気づかれなかったみたいだね。僕って運がいいな~」
鬼ウサギ登場からずっと身の安全のため空気に徹していたコーキは呟いた。
その時、“サウザンドアイズ”支店からカズマが不機嫌そうに出てきた。
「クソッ、十六夜の奴どこ行きやがった!?······つか、ここどこ?」
十六夜に殴られたことを怒っていたカズマは街を見ると、すぐに疑問を口にした。
それも、そのはず
“ノーネーム”本拠で寝る→起きたら“サウザンドアイズ”支店→十六夜に殴られて気絶→外に出たら知らない街が目の前にあった
のだから。
「いや~、カズマ起きたんだ!ここはね、北側にある四○○○○○○・三九九九九九九外門。僕達は“火龍誕生祭”に来ているんだよ」
と言いながら後ろにいるカズマの方を振り返ったコーキはピタリ、と固まった。
そこには金髪美少女に後ろから抱き付くように、首に噛り付かれたカズマの姿があった。
次の瞬間には恐らく吸血をされて貧血を起こしたのだろう、自立出来なくなったカズマをレティシアが人形のように抱いた。
ぎゅっとカズマを抱き締めながらレティシアは笑顔でコーキを見ている。もちろん眼は笑っていない。むしろ不自然に瞳孔が開いていて怖い。
「あ、あは、アハハハハハ·······」
今のレティシアなら身体中の血液を飲まれかねない。彼女の眼は『ただで済むと思うなよ(黒笑)』と言っている。
ふぅ、とコーキはため息をつくと······全力で土下座をした。
「すみませんでしたッッ!!!」
作者:いや~、お二人さん。ついに第二章始まりましたね
コーキ:そだね。というか、この話タイトルって冷やし中華始めました!みたいだよね~
カズマ:だな。元々は『カズマ誘拐事件』ってタイトルだったらしいぞ
作者:あ、ソレはインパクトが足りなかったのでボツにしたタイトルです!
コーキ:そうなんだ~。それにしても相変わらずカズマのセリフって少ないよね?
カズマ:数えてみたが二回しか喋ってない
作者:ほぼ寝てるからですよ
カズマ:·······
コーキ:否定出来ないよねwwwwww。だって事実だし
カズマ:俺は吸血のこととか十六夜に殴られたこととかで今からコイツをボコそうと思うがいいか?
作者:OK!でも、後書き終わってからにしてください
コーキ:·········
作者:コーキさん、逃げちゃダメですよ。まだ、後書き終わっていません
コーキ:嫌だ――!!!!まだ、死にたくない!死にたくないよ!彼女だってまだ作ってないし、まだ(放送規制)だってしてないもん!
作者:はいはーい。それでは、今回はここまで
カズマ:諦めろ
コーキ:嫌だー!助けて――!
作者・カズマ・コーキ:次回も見て下さい!
コーキ:死にたくない――!
カズマ:サヨナラ、コーキ