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「俺からも礼を言う、ありがとう」
「ありがとうね~。そして、今後もよろしく(^_-)」
それでは、本編をどうぞ!
ノーネームの仲間は、満月が綺麗な夜空の街道を“サウザンドアイズ”へ向かって歩いていた。
十六夜は早足で歩きながら空を見上げていた。
「こんなにいい星空なのに、出歩いてる奴はほとんどいないな」
箱庭に来る前は、眠らない夜の街で生きていた十六夜にとっては新鮮に感じられた。
対照的に、戦後間もない時代から来た飛鳥にとっては疑問の対象だ。
「これだけハッキリ満月が出ているのに、星の光が霞まないなんておかしくないかしら?」
「あっ、それ天幕が星が見やすいようにしているらしいよ」
「そうなの?だけどそれ、何か利点でもあるのかしら
「興味本位で調べたからだよ~」
「そして、お嬢様。さっきの質問は無粋だぜ。“夜に綺麗な星が見れますように”っていう職人の心意気が分からないか?」
「おっ!良いこと言うね」
「ええ、とてもロマンがあるわ。カズマ君もそう思うわよね?」
と飛鳥がカズマに話を振った。
「・・・」
が、カズマは返事どころか反応すら無かった。
そして、丁度“サウザウンドアイズ”の門前に着いた。
「お待ちしておりました。中でオーナーとルイオス様がお待ちです」
迎えたのは例の無愛想な女性店員だった。
「黒ウサギ達が来る事は承知の上、と言うことですか?あれだけ無礼を働いておきながらよくも『お待ちしておりました』なんて言えたものデス」
「·······事の詳細は聞き及んでおりません。中でルイオス様からお聞きください」
憤慨しそうになる黒ウサギだが、店員に文句を言っても意味がない。
店内に入り、中庭を抜けて離れの家屋に向かう黒ウサギ達。
さて、ここまでいきなり時間が飛んでいて分かりにくい読者もいるだろうから、
前回からこの話までに何があったのかを出来るだけ簡単に説明をしよう。
◇◇◇
中庭から戻ろうとしていたカズマ達。
そこにいきなり褐色の光(ゴーゴンの威光と言うらしい)が射し込んだ。
レティシアはカズマ達を守るため、自ら光を受け石化してしまった。
すると、翼の生えた空を駆ける靴を装備した次々に現れレティシアは回収された。
その時の会話からレティシアが箱庭外のコミュニティと取引をする事を知った。
一応、説明するがカズマ達はなにもしなかったのではなく、なにもできなかったのだ。
なぜなら、レティシアは“ペルセウス”の所有物だ。
それが逃げ出したのだ。
庇いようがない。
しかも、“ペルセウス”は腐っても“サウザンドアイズ”の幹部だ。
問題を起こせば、白夜叉に迷惑をかけることになる。
話を戻そう。
そのあと、“ペルセウス”の“ノーネーム”と見下した行為に黒ウサギがキレた。
が、十六夜が右耳をコーキが左耳を引っ張って止めた。
そんな間に“ペルセウス”の男達は姿を消していた。
十六夜曰く、透明になれる兜を使ったらしい。
そして、他のメンバー(ジンと飛鳥)を呼びに行き、“サウザンドアイズ”の支店に向かった。
この続きが一番初めへと繋がる。
ちなみにジンは、耀の看病のため本拠に残った。
◇◇◇
中で迎えたルイオスの第一声は
「うわお、ウサギじゃん!うわー実物初めて見た!噂には聞いていたけど、本当に東側にウサギがいるなんて思わなかった!つーか、ミニスカにガーターソックスって随分エロいな!ねー君、うちのコミュニティに来いよ。三食首輪つきで毎晩可愛がるぜ?」
という警察に逮捕されてもしょうがないレベルの変態発言だった。
それに対して、
(うわー、類は友を呼ぶって言うけど、白夜叉ちゃんと違って聞いててキショイな)
(斬っていいよな?コイツはいない方が世界のためだよな?よし、殺そう(笑))
(待て待て。いつもの冷静さは、どこに行ったんだ、カズマ?)
(二人とも、心で会話しているわよ)
(飛鳥さんもですよ!)
四人の反応はこのようなものだった。
「これはまた······分かりやすい外道ね。先に断っておくけど、この美脚は私たちのものよ」
「そうですそうです!黒ウサギの脚は、って違いますよ飛鳥さん!!」
流石は、黒ウサギ。ノリツッコミを中々だ。
二人を見ながら、十六夜はため息をついた。
「そうだぜお嬢様。この美脚は既に俺のものだ」
「そうですそうですこの美脚はもう黙らっしゃいッ!!!」
「よかろう、ならば黒ウサギの脚を言い値で」
「「売ったッ!!!!」」
「売・り・ま・せ・ん・!あーもう、真面目なお話をしに来たのですからいい加減にしてください!怒りますよ!!」
「バカだね~、黒ウサギちゃん。怒らされてるんだよ、十六夜君に」
スパパァーン!!とハリセンを横に一閃。
今の黒ウサギは短気だ。
肝心のルイオスは完全に置いてけぼりを食らっていた。
五人のやり取りが終わると唐突に笑い出した。
「あっはははは!え、何?“ノーネーム”っていう芸人コミュニティなの君たち?もしそうならまとめて“ペルセウス”に来いってマジで。道楽に金をかけるのが性分だからね。勿論、その美脚は僕のベットで毎晩好きなだけ開かせてもらうけど」
「お断りでございます。黒ウサギは礼節も知らぬ殿方に肌を見せるつもりはありません」
嫌悪感たっぷりに吐き捨てた。
「へえ?俺はてっきり見せる為に着ているのかと思ったが?」
「実は、僕も」
「私もよ」
「あ、飛鳥さんまで····。違いますよ!これは白夜叉様が開催するゲームの審判をさせてもらうとき、この格好を常備すれば賃金を三割増しすると言われて嫌々·····」
「へー、はぁー、ふぅん?」
「嫌々そんな服着せられてたのかよ。·····おい白夜叉」
「なんだ小僧共」
キッと白夜叉を睨む十六夜とコーキ。
三者は凄んで睨み合うと、同時に右手を掲げ、
「超グッジョブ!」
「うむ」
「イエェーイ!!」
ビシッ!と親指を立てて意志疎通をし、ハイタッチをする三人。
流石は、カズマ女装計画のメンバーだ。仲がいい。
一方黒ウサギは、話が全然進まずガクリと項垂れた。
◇◇◇
「······以上が“ペルセウス”が私達に振るった内容です。ご理解いただけたでしょうか?」
場所は、変わって客室(座敷)だ。
話を仕切り直すために移動し、“サウザンドアイズ”の幹部と向かい合う形で座っている。
「う、うむ。謝罪を望むのであれば後日····」
「結構です。“ペルセウス”に受けた屈辱は両コミュニティの決闘をもって決着をつけるべきかと」
両コミュニティの直接対決。これが黒ウサギの狙いだ。
レティシアを取り戻す為には、なりふり構っていられない。
使える手段は全て使う気だ。
「嫌だ」
唐突にルイオスは、言った。
「はい·····?」
「嫌だ。決闘なんて冗談じゃない。それにあの吸血鬼が暴れたって証拠があるのか?」
「それなら彼女の石化を解いてもらえば」
「駄目だね。アイツは一度逃げ出したんだ。出荷するまで石化は解けない。そうだろ?元お仲間さん?」
嫌みったらしく笑うルイオス。
「そもそも、あの吸血鬼が逃げ出した原因はお前たちだろ?実は盗んだんじゃない?」
「はあ?君いい加減にしなよ!何を根拠にそんなこと言っているんだい?」
「事実、あの吸血鬼はお前のところに居たじゃないか」
ぐっと黙りこむコーキ。それを言われたら言い返せない。
(ただの七光りってわけじゃないね······クソッ)
「まあ、どうしても決闘に持ち込みたいって言うならちゃんと調査しないとね。·····もっとも、ちゃんと調査されて困るのは別の人だろうけどね」
「そ、それは······」
視線を白夜叉に移す黒ウサギ。
この一件で白夜叉に苦労をかけるのは避けたっかった。
「じゃ、さっさと帰ってあの吸血鬼を売り払うか。あんな見た目だし、そっち系のマニアには需要があるだろうし。にしても、太陽の光っていう天然の牢獄の下、永遠に玩具にされる美女ってのもエロくない?」
「あ、貴方という人は·····!」
黒ウサギはウサ耳を逆立てて叫んだ。
「それにしてもあの吸血鬼は不憫だねぇ。自分の恩恵を魔王に渡してでも、危ない道を行く仲間を止めに行ったのに仲間たちはあっさりと見捨てやがった!あの女が目を覚ましたらどんな気分だろうねえ?」
「·····え、な」
黒ウサギは絶句した。
今の話が本当なら魔王に奪われたはずのレティシアが東側にいるのも、ギフトカードに記されたネームのランクが暴落していることにも説明がつく。
「ねえ、黒ウサギさん。このまま彼女を見捨てたら、コミュニティの同士として義が立たないんじゃないかな?」
「·····?どういうことです?」
「取引をしよう。吸血鬼を“ノーネーム”に戻してやる。代わりに、君と·····そうだな~。そこの大人しそうな黒髪を貰おうか?」
黒ウサギとカズマを指差しながらルイオスは言った。
「なっ、」
「え?」
「マジかよ」
「(笑)」
「ほう」ニヤニヤ
上から、黒ウサギ、飛鳥、十六夜、コーキ、白夜叉の順だ。
「ああ、そういえば君なんて名前なの?教えてよ。もしかしたら、僕が一生君のご主人かもしれないんだし」
黒ウサギ達の反応に気づいていないのか厭らしい笑みで話しかける。
「・・・・」
「ん~?君、顔とか綺麗なんだからもっと愛想良くしなよ。ほら、初めに名前を言ってみてよ、ねえ?」
そう言いながらカズマの肩に触れようとした。
その瞬間カズマは、座ったままの体勢で体を鋭く捻ると同時にほとんどテイクバック無しの右ストレートを放った。
「ッ!!!!」
ゴスッっと鈍い音と共に食らい、障子を突き破ってルイオスは飛んでいった。
カズマは素早く外に出るとギフトカードから刀を出し、抜刀した。
「くっ、名無し風情が調子に乗るなよ!!!!女だからって容赦しないぞッ!!!」
激怒したルイオスは起き上がると、同時にギフトカードから鎌を出しカズマに襲いかかった。
「もう、死んじゃえよ。お前」
カズマは振り下ろされた刃を弾き、がら空きになった首を横に一閃。
それを受け止めたのは、いつの間にかルイオスの隣にいた十六夜だった。
「おいおい。黒ウサギや俺が我慢しているのに何一人でお楽しみしてんだオイ」
「うるさい、邪魔だ。アイツを殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロス!!!」
「本当にどうしたんだ?いつもの冷静さはどこいった?」
十六夜を押し退け、後ろにいるルイオスに斬りかかろうとした。
しかし、白夜叉の扇が鎌を押さえつける。
「ええい、やめんか戯け共!話し合いで解決出来ぬなら門前に放り出すぞ!」
「コロスコロスコロスコロスコロス!」
尚もルイオスを殺そうとするカズマの後頭部をコーキは殴って気絶させた。
「はぁ~。いくらなんでもやり過ぎだよカズマ。ほら、ルイオス君も抑えて」
カズマを抱えながら、いつものフレンドリーな感じで言うコーキ。
「·····。チッ。けどその女が先に手を出したんだけどね?クソ痛ってぇ」
しかし、尚も殺気立つルイオス。
「君もわからないひとだね~。十六夜君と白夜叉ちゃんが止めてくれんなっかたら死んでたんだよ。いい加減にしないと
いつものコーキからは、考えられない鋭く冷たい声だった。
また、戦いが始まりそうな予感がし、黒ウサギは慌てて仲裁する。
「ちょ、ちょっと落ち着いてください!今日の一件は互いに不問ということにしましょう。········後、先程の話ですが·····少しだけお時間をください」
黒ウサギの返事に驚いた飛鳥は、堪らず叫んだ。
「ま、待ちなさい黒ウサギ!貴女、この男の物になっていいというの!?」
「·····仲間に相談する為にも、どうかお時間を」
「オッケーオッケー。こっちの取引ギリギリ日程········一週間だけ待ってあげる」
さっきまでの不機嫌から一転して、にこやかに笑うルイオス。
黒ウサギはそれだけを言うと早足で座敷を出た。
飛鳥も黒ウサギを追って座敷を出た。
「白夜叉は恵まれてるな。気難しい友人とゲスい部下に挟まれるなんてそう経験できないぞ」
「全くだの。羨ましいなら代わってやるぞ」
「ちょっ、十六夜君。呑気に喋ってるとこ悪いんだけど、カズマ運ぶの手伝って~?」
「はあ?何でだよ。お前が運べばいいじゃねえかコーキ」
「いや、おんぶするとカズマの足が地面についたままになって引きずることになるんだよ」
「ああ、そういえばお前身長低かったな」
「シャラーァァップ!はい、カズマおんぶしてさっさと黒ウサギちゃんを追いかけよう!」
カズマを十六夜に押し付けるとコーキはすぐに座敷を出ていった。
「ったく、しょうがねえな。またな、白夜叉」
「うむ、次来るときはいい知らせを待っておるぞ」
「ハッ、当たり前じゃねえか」
そう言うと、十六夜はカズマをおんぶして黒ウサギ達を追った。
◇◇◇
外に出ると飛鳥の抗議の声が聞こえてきた。
「いいえ、嘘よ!今の貴女の顔を見れば分かるわ!貴女は仲間の為に自分を売り払っても構わないって思っている!だけどそんな無駄なこと、私達が絶対に許さないわ!」
黒ウサギも堪らず叫んだ。
「む、無駄って········どうしてそこまで言われなきゃいけないのですか!!??」
そんな二人から1mほど離れた所にいたコーキの隣に十六夜は並んだ。
「何で止めないんだ?」
「ん~、だって声かけたら巻き込まれそうだから。巻き込まれるのはゴメンだよ」
「まあ、確かにな。それにしても、今日のコイツおかしくなかったか?」
コイツとは、十六夜におんぶされているカズマのことだ。
「そうかな?カズマだって人間なんだから冷静さをなくして怒ることもあるよ」
「何がアイツの逆鱗に触れたんだろうな?」
「さぁ?いくつか候補はあるけど、確証はない」
「女と間違えたこと、ルイオスの変態発言と態度ってところか?」
「あと、レティシアちゃんの3つだと思う」
「何でそこで、吸血ロリが出てくるんだ?」
「その話は、後にしてアレ止めてきてよ十六夜君」
「ったく、しょうがねえな。世話の焼ける駄ウサギとお嬢様だぜ」
「いってらしゃい~!」
笑顔で手を振りながら十六夜を送り出す、その裏でため息をついた。
(いくらなんでも、早すぎるよ。
錬金術師たちの雑談部屋
どうも、お久しぶりです。やっと、まともな雑談部屋です
「かなり久しぶりの登場だ」
「だね~。二話か三話ぶりだね」
「俺が休みの間に何をしていたんだ?」
「「いや、別に何も」」
「なぜ、ユニゾン?」
「「・・・」」
「なぜ黙る?」
「いや~ほら、カズマは知らない方がいいかな~って。ねえ、作者」
はい、世の中には知らない方がいいことがあるんですよ
「わかった。あとで白夜叉に聞く」
「えっ、なぜ白夜叉ちゃんが出てくるの?」アセアセ
「感」
怖っ、直感怖っ!
「と、とりあえず、作者。今回の最後に出てきた『白カズマ』って何?」
えっと、それはですね。第9.5話の話と合わせると何かわかるかもしれませんよ
「いきなりの話題転換だな。そして、作者の言っていることは曖昧すぎるぞ」
そんな事いわれましても、ネタバレになりますし。そこらへんは、読者の想像にまかせます。今は
「要するに『白カズマ』君は今後ストーリーで重要な単語ってことだね!」
YES、そうです!
では、そろそろ終わりましょう!
「OK」
「了解」
それでは
「「次回も見て下さい」」